042 女神


 





戦いが終わった



僕はいつも

ぼろぼろになって帰ってくる

体も……心も……



体中には

まだ生々しい無数の傷の跡

そして心には……

失った者たちへの

悲しみの涙に吹き晒され

大きな風穴をいくつも開けたまま……



いつもいつも

戦いを終えるたびに

僕の体と心が疲弊し悲鳴を上げる

傷ついた僕は

置き去りにされた幼子のように

平和な世界に救いを求め

黒い闇の中で

手を差し伸ばす



その手をとるのは

いつも……君



君は……

黙って優しく

僕を抱きしめて

それからひとことだけ

おかえりなさい……と

耳元をなぞるように囁く

その声に

僕は始めて

戦いが終わった安らぎを知る



君の手に導かれ

僕らは

生まれたままの姿に戻り

互いのぬくもりを求め合う



君は

戦いで傷ついた傷のひとつひとつに

そう……

どんなに小さな傷も見逃さずに

柔らかな口付けをくれ

暖かな息吹を吹きかける

そんなとき

僕はただ君のぬくもりに

埋もれているだけ……

それだけでいい

それだけが……いい



君のぬくもりをたっぷりと味わって

僕は再び命を吹き込まれ

突然……

内なる激しさを露呈させる

人間の『男』ではなく

猛々しい獣(けもの)の『雄』となり

君の美しい体を

心のままに蹂躙する

時に鋭く

時に激しく

君の体をもてあそび

なぞりつくす



けれど君は

どんなに激しい豪流の中にあっても

いつもいつだって

気高く美しく

獣に成り下がった僕を

優しく包んでくれる

君の中は温かくて

柔らかく心地よく

その全てが僕を狂喜させる



さらに僕が君を求め

むさぼるような口付けを浴びせても

激しく体を揺さぶり振りまわそうとも

君の笑顔は

決して耐えることはない

それどころか

歓喜の歌を歌い始めさえする

それがまた

僕の中の雄を奮い立たせる



激しくさらに激しく

翻弄し続ける僕を

君はなすがままになりながら

けれど

一段高いところから

僕を見守リ続けてくれる



女神(ミューズ)……

ふと僕の脳裏に

その言葉が浮かんだ

そんなときの君は

まさに神にも似た存在



僕にとっての

女神(ミューズ)になる

誰のものでもなく

ただ僕一人だけのための……

女神(ミューズ)

それが君



僕は

女神(ミューズ)の深い愛に包まれ

戦いで受けた傷が

君の中で癒されていく



そうして

僕の心と体は潤いに満たされ

再び人の魂を取り戻し

人の世界に舞い戻る



その時……

僕は

君への優しさを思い出し

君も

僕の女神(ミューズ)から

ただの女(ひと)に戻る



愛しい女(ひと)よ……



Fin


君と僕だけがでてくるモノローグです……が、もちろん君は彼女、僕は彼のことです(*^^*)

地球を救うためになりふり構わず戦い続ける古代君。でも、戦いが終わるたびに、虚脱感とか虚無感とか……そんな思いに捕らわれることでしょう。
そんな彼を救うのは、愛する雪ちゃんの愛だけです。

ヤマトには、素晴らしい宇宙の女神がたくさん登場しますが、古代君にとっては、どんな女神よりもやっぱり雪ちゃん……ですよね!
あい(2005.10.12)

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(背景:Four seasons)