098 Wedding Bell




教会の荘厳の鐘がなる

これからの儀式のために……

Wedding Bellの音

Ring……Gong…… Ring……Gong……


僕の隣にはもちろん

いつものように彼女が立っている

ちらりと隣を見ると

彼女も僕のほうを見ていた

頬をほんのりとばら色に染めて……

期待でその瞳をきらきらと輝かせて……


パイプオルガンで奏でられる

Wedding March

正面に飾られているイエスキリストの像

僕はキリスト教徒ではないけれど

その姿にとても厳粛な思いを感じた


神父が花嫁と花婿の前に立って

神の言葉を告げ

そして誓いの言葉を述べる


まずは花婿に……

悩めるときも健やかなるときも

死が二人を別つまで共に生き愛し続けますか?

はい…… たとえ死が訪れようとも!

僕は心の中でしっかりとそう答え

そっと隣を見た


そして花嫁に……

悩めるときも健やかなるときも

死が二人を別つまで共に生き愛し続けますか?

彼女も静かにYESと答えたように見えた


Wedding Kiss

誓いのキスを終え晴れて夫婦になった花嫁と花婿が

僕らの横を通りすぎ

僕らは拍手で二人を祝福した


見た目にはなんの憂いも見せず

美しい笑顔で二人を見送る彼女

その姿を目にすると

僕の心に

少しばかりの苦い感情が走る


本当は彼らよりもずっと先に

君にこの喜びをあげていたはずなのに……

僕らがここを歩いていたはずなのに……

君の本当の笑顔を見ていたはずなのに……と


君は今……

どんな思いで彼らを見つめているのだろう?


教会の外にでる

僕らは新婚の二人のライスシャワーを浴びせる

人の群れに花嫁と花婿の笑顔が揺れる

最後に花嫁がブーケを投げた

そして……

大きな孤を描いたそのブーケは

まっすぐに彼女の胸の中に収まった

花嫁に負けないほど

嬉しそうに頬を染める彼女の今日の微笑を

僕は一生忘れないだろう


今日はヤマトの同僚の結婚式

君を待たせ続けている僕だけど……

いつかきっと君にも聞かせたいWedding Bell

そのときには

今日の花嫁よりももっともっと……

幸せな微笑みを見せておくれ

そして今よりもずっと

嬉しそうにブーケを投げておくれよな

きっと……きっと……

必ず君と……


雪……

愛してる……


Fin


最初ひっかけちゃいましたかな?(笑)
時期的には、同棲し始めた二人でしょうか? 結婚する同僚の式に一緒に出席した古代君と雪でした(^^;)
ちょっとばかり、心が痛い古代君。いつかきっと世界じゅうのどの花嫁よりも雪ちゃんを幸せにしてあげてね……
あい(2004.1.15)

close

(背景:pearl box)