019 ただいま
ヤツラのTANKさん作






彼は 時々 小さなため息をつく


私は その時 自分のバッグに手を伸ばす


取り出すのは Cigarette


煙草を吸わない彼のために  


私がいつも バッグに忍ばせている 記憶の扉を開ける鍵








いつか彼が語ってくれた 


父についての 遠い記憶


〜 ・・・・父さんのことで 思い出すのは 煙草の匂いなんだ・・・・ 〜






煙草の煙は 彼の Memorialization


父の姿を思い出させてくれる ほろ苦い刺激






彼が煙草に火をつける


心の中で 父と語らうために




その時間の中に 私は入れない 入ってはいけない






(・・・・疲れているの?
           ・・・・迷っているの?
                     ・・・・寂しいの?)






私では 癒せないものもある


踏み込めないもの 男の世界








その煙草が燃え尽きるまでの 少しの間


離れてもいいわ 私から


あなたはすぐに 帰ってきてくれる


私にはそれが 分かっているから








燃え尽きた煙草を 指から離し


彼がポケットに手を入れる


それは


私の元に 帰ってくるサイン




彼が広げる手のひらの上に


いつもの Mint Candy




ミントは 私の Relaxation


待っている間 少しだけ 寂しかった私の


心を癒してくれる 優しい刺激




彼は私を見つめる


心を留守にしたことを 詫びるみたいに




私も彼を見つめ返す


まるで 何事もなかったかのように




広げた彼の手のひらに 私の手のひらを重ねる


受け取るのは Mint Candy


ミントが好きな私のために


彼がいつも ポケットに忍ばせている 私の心を繋ぐ鍵






ミントの香りに包まれながら 私は言う


ありがとうの代わりに・・・・






     「お帰りなさい 古代君。。。。」 

                                 .......... D.S.

ヤツラのTANKさんから、100のお題への投稿をいただきました。

タバコと古代君…… ちょっと不思議な感じですが、お父さんの思い出を巡らしながら、タバコをくゆらせる彼の切ない思いを感じました。
あい(2011.1.11)

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(背景:pearl box)