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かずみさん作

一緒に暮らし始めて一ヶ月ほどたった、ある休日の昼下がり。

古代進はだらしなくソファに寝そべり、パラパラと雑誌をめくっていた。
だがすぐに飽きたのか、ふわあ〜という大きなあくびとともにそれをポイッと放り投げた。

「ああ〜、もうっ!」

ちょうど買い物から帰って来た雪が、その進の行動に非難を浴びせる。

「古代君っ、おそうじしたばかりなのに散らかさないで!」

玄関からすっ飛んできて、進が投げた雑誌を拾い上げる。―――と、

「ええー、やだっ、もうっっ!!」

進が投げて雪が拾った雑誌……には、ハダカのおねえさんたちがいっぱい……。

「なによ、これぇ!? あなたが買ったのー!?」

昼下がりのヒミツ(?)を発見されて少しばかり焦った進だったが、もちろん自分で買ったモノじゃない。だから堂々と反論する。

「もらったんだよ。発奮剤にしろってな。」

「発奮剤!?」

雪の綺麗な眉がキッと吊り上がった。

「誰なの、そんなこと言う人!? 南部君?」

「おいおい、南部が聞いたら泣くぜえ。いの一番に名前が出てきて。」

なんとなく雪の怒っている姿がかわいくて、進の口調はからかい気味である。

「じゃあ誰? 相原君?太田君?それとも島君? まさか、真田さん!?」

なじみの名前をずらずら並べ立てる雪にとうとうガマンしきれなくなって進は、わはは、と大声で笑い始めた。

「なによう!?」

「ひでえなあ、雪。かりにも地球防衛軍を背負って立つヤツらをそんな風に。ああ、ハラいてえ。」

「誰? ねえ誰にもらったの?」

「そんなに知りたい?」

「ええ。」

進はまだ含み笑いしつつ、雪にこそっと耳打ちした。

「ウソっ!!」

「ホントだって!」

目を白黒させている雪を見て、再び進は笑い出す。

「だって、もう、その……おトシが……。」

「あ、それ失礼な発言だな、雪。まだまだ現役だぞって笑ってたぞ、……佐渡センセ。もらった時は俺もびっくりしたけどな。」

「もう〜センセったら、今度会ったらお灸をすえてやるわっ!」

「まあまあ。なっ、それより♪」

と言うが早いか、進は雪をあっという間に腕の中に抱き上げた。

「え、あ、ちょっと?」

「せっかく発奮剤を処方してもらったんだし。ちゃんと役に立ったかどうか聞かれると困るからな。」

雪の頬が赤く染まる。


「もう……普段は医者嫌い、薬嫌いのくせに、こんな時だけ……。」

と言いつつ、雪の腕は進の首に絡まっている。進は雪が何を言おうとおかまいなしで、ずかずかと寝室を目指した。

「まだ…明るいわ……。」

「クスリが効いてきました♪」

おどけた口調で進は作業(?)にかかる。言葉とは裏腹に、雪もその作業(?)を手伝っていたりなんかする。

「本当に、あのクスリのせいなの?」

「まさか!」

「だって……。」

「クスリなんか、必要ないだろ……。」

そう言った進の唇が雪の唇をとらえ、手は雪のブラウスの中へと動き始めた。


彼女の白く、やわらかく、あたたかく、そして艶かしい肌と肢体。その表情とその声―――。
普段の雪からは想像もつかなくて、彼女を愛する時いつも進は驚かされてばかりいる。

もう雪以外には何も見えない進の手の動きは性急で、けれど優しかった。雪にキスをしてにっこりと微笑み、やがてその顔が雪の滑らかな曲線に沿って下へ、下へとおりていく。
雪が切ない声をあげ始め、進の動きが激しくなり……。

雪は進にあふれんばかりの愛情を注がれ、進は雪に優しく包まれた―――。


至福の瞬間は過ぎ去り、けだるさが体を包んできた頃。

「いや。」

突然の雪の言葉に、進は我に返った。

「え?」

「いやよ……。」

「なに?」

「ほかの…女の人の……裸なんて、見ちゃ、いや。」

思わず言ってしまった、という感じで、雪は進の腕の中でクルリと一回転して背を向けた。
ゆき、と囁いてその背中にくちづけると、ぴくり、と彼女の体が反応する。

「俺は、雪だけだよ。」

「それなら見ないで。そんなに見たいなら―――。」

「見たいなら……?」

今度は進の方にまた向き直って、すぐにその胸に顔を埋めた。そしてちいさな声で…。

「私が……見せて……あげるから…。」

進は返事の代わりに彼女を思いきり抱きしめた。そして抱きしめながら、ふと佐渡との会話を思い出していた。

『おまえさんには必要のないもんだと思うよ。』

『…まあ、そうですね……。』

『おまえにはな。古代。』

『…?…』

そう言って佐渡はパチンとひとつウィンクをした。
あれは…あの言葉の意味はつまり……、俺ではなくて、雪が……。

それにしても、と進は考える。

(佐渡先生、なんであんな雑誌を持ってたのか、その経緯は問わないことにしますから……。)

おかしさがこみあげてきて、同時に腕の中にいる雪が愛しくて愛しくてたまらなくなった。


「これも、ひとつの『愛』のかたちなのかな?」(佐渡先生、雪を娘みたいに思ってるもんな。)

「え?」

怪訝そうに自分を見上げる雪の頬に、ちゅっとひとつキスをする。佐渡に心の中で感謝しつつ……。

「なんでもない。さっ、それより第二ラウンドっ♪」

「……んもうっ……♪♪」  

終わり


佐渡先生だって、他のクルーに負けず劣らず二人の幸せを願っている、と思います。 ま、先生らしくカーブを投げてみました(^^;)
by かずみさん
古代君ったら、佐渡先生の処方箋!?上手に使ったみたいですね! これからも雪ちゃんの○○○をたっぷり眺めさせてもらってくださいませ!(*^^*)
あい(2003.11.21)

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