072 大嫌い!
みーこさん作
何よ、古代君なんて。
私は宇宙戦士訓練学校なんて出てないの、看護師だったの、ヤマトでの部署も生活班であって戦闘班じゃないわ。
銃なんて、コスモガンなんて、触った事もなかったんですもの。
それどころか、モデルガンにも触った事がなかったのよ。
でも、それってフツーじゃない?
どこにでもいるフツーの女の子が、フツーの看護師が銃なんて扱ったことがあるワケないじゃない。
だから・・・・、あんな言い方をしなくてもいいじゃない・・・・!
なにもあんなふうに言わなくても・・・・。
私にだってわかっているわ。
この旅がどんなに大切なものか。
私たちに地球の未来がかかっていること・・・・。
もしも、私たちがヤマトが、イスカンダルに辿り着けなかったら、ガミラスに葬り去られたら、人類が、地球がどうなるかなんてイヤというほどわかっているわ。
・・・・・・だから・・・・、自分の身くらい自分で守れなきゃ、ってこともわかっている・・・。
いざという時、自分の手で敵を倒さなければいけないこともわかってる。
もしも・・・・、ヤマトに敵が乗り込んできたら、白兵戦になったら・・・、誰も私の事なんて守ってくれる余裕の無い事もわかってる・・・。
だけど・・・・
ヤマトに乗り組みが決まるまで、銃なんて触ったことの無かった私に古代君たち戦闘班員と変わらないものを要求する方がおかしいんじゃない。
そりゃあ、乗り組みが決まってから訓練は受けたわ。
でも、それもほんの数回、片手に余るほど。
そんなんで、訓練学校をトップクラスの成績で卒業した他のクルーと同じ扱いをされたって困るだけなの。
それを知っている南部君や加藤君は、もっと優しいじゃない。
それに・・・・、知っているんだから・・・・。
古代君が他の女の子には、優しいってこと。
<古代さんって、普段はぶっきらぼうに見えるけど、意外と優しいのね。私、見直しちゃったわ。>
<そうそう、私、好きになっちゃいそう。>
カフェテリアで偶然に聞こえてきた、同じ生活班の女の子たちの会話。
どういうことなの?他の女の子達には優しくできるのに、私にはどうしてあんなに冷たいの?厳しいの?
そんなに私の事が嫌い・・・なの?
そう思ったら急に胸の奥がつっかえたみたいになって、淋しくなってきた。
・・・・・・・・どうしてこんな気持ちになるの?
どうだっていいじゃない、古代君の態度なんて・・・・。
そうよ、他の人達は優しくしてくれるんだし・・・・・・。
古代君一人が優しくしてくれたって、他の人達が冷たいんじゃ、もっと悲しいはず・・・・。
ううん・・・、そうじゃない・・・。
今の私は古代君にだけ優しくされたくって、他の人のことはどうでもいいの。
だって、好き・・・・・なんだもん・・・・。
どうして古代君なんて好きになってしまったんだろう・・・・。
ヤマトには他にも男の子なんてたくさんいるのに。
他のみんなはあんなに優しくしてくれるのに。
どうしてよりによって、古代君でなきゃいけないんだろう。
ぶっきらぼうで、意地悪で、いつも荒んだ目をしてみんなの輪の中に入ってこようとしない・・・。
だけど、知ってしまったの・・・。
ヤマト農園でコスモスの蕾を見詰めていた優しい古代君の瞳を。
あぁ、本当はとても優しい人なんだって思って・・・・。
そう、本当は優しい人だと思いたいの。
でも、私にだけどうしてそんな態度を取るの?
だから、私もつい言い返してしまうんじゃないの。
それも本当は言いたくもない、本当の気持ちとは正反対の言葉で。
ねぇ、古代君、どうしてなの?
そんなに私の事が嫌いなの?
嫌いよ、嫌い、・・・・大嫌い・・・・。
私の気持ちをこんなにしてしまう古代君なんて。
他の女の子には優しくて、私にだけ冷たい古代君なんて。
だけど・・・・
そんな古代君に強がりばっかりの私はもっと嫌い・・・・。
本当の気持ちに素直になれない私は・・・・大嫌い・・・・。
嫌い嫌いも好きのうち……なんて言いますが、雪ちゃんの大嫌いも間違いなく大好きの裏返しなんですよね!
ま、古代君も古代君なんですけどねぇ〜 素直になれないかわゆい恋人未満カップルが大好きな私たちですものねっ(*^^*)
あいさん(2006.10.6)
(背景:Holy-Another Orion)