098 Wedding Bell
ゆみこさん(イラスト&文)作
古代くんは、雪ちゃんから"当日は控室に来ちゃダメ"って言われていたのに、どうしても一人で控室にいるのが耐えられず、雪ちゃんの控室に行ってしまいます。
※余談ですが、式の前に花嫁と花婿が会うのは不吉とされている…のです。(映画「ウェディング・プランナー」より) 彼、甘えん坊だから…許してやってください。
雪、ゴメン…約束破って
君にダメだって言われていたけど、控室(あそこ)に一人でいるのは息苦しくって…
待っている時間がとても長くて、もどかしかったんだ
雪、君のことを誰よりも愛しているよ
この広い宇宙の中で、君と巡り逢えたことに…君と愛し合えたことに
僕は大声で叫びたいくらいとても感謝しているんだ
君とは幾つもの戦火を潜り抜けてきたね
君が仮死状態から生還した時……
言葉に言い表せないほど嬉しかった
…あの時、僕にとって君はかけがえのない存在だと…はっきりわかったんだ
二人で一緒に逝くことを決めた時……
逝くのは僕一人でいいと思っていた…君には地球に戻って幸せになってもらいたいと思っていたから
でもそれは君にとって幸せなんかじゃなかったんだよな…
僕は君のことがちゃんと見えていなかったんだ
そして僕にとって一番辛かった、君と離れ離れになってしまった時……
何度全てのことをかなぐり捨てて地球に帰ろうと思ったことか…
眠ることも出来ないのに、正気でいるのが不思議なくらいだった…
心の中では君にはもう再会できないかもしれない、と諦めたこともあった
…思い出すとキリがないほど、僕達の間を色んなことが過ぎていったね
どんな場面でも僕が頑張ってこられたのは…
雪、君がいつも僕の傍にいてくれたからだよ
今まで君には色んな思いをさせてしまったね
だけど雪、そんな思いはもう一生させない
約束する
僕がどんな時でも君の傍にいて、全てのことから君を守るよ
こうして僕の目の前で、君の純白のウェディングドレス姿、見ることが出来て…
感無量だよ
…雪…君のその姿、もっとよく僕に見せて…この瞳に焼き付けておきたいから
…とてもきれいだよ…とても輝いているよ、雪
式に参列している人達に今の君を見せるのが惜しい…
この瞳の中にだけ仕舞って、誰にも見せたくない気分だ
このまま黙って、君と教会(ここ)から逃げてしまいたいよ…
…雪……
……長いこと待たせて…ゴメン…
今、この瞬間から君は…僕の奥さんだ
…雪…?
…泣いているのか?
…参ったなぁ…泣かせるつもりじゃなかったのに…
古代くんから「……長いこと待たせて…ゴメン…」と言われた雪ちゃん。
その言葉を聞いた途端、今までのことが走馬灯のように目の前に蘇ってきて、溢れる涙を堪えることが出来ず、彼の肩にちょこんとおでこをつけて、思わず涙を零してしまいます。
泣かすつもりがなかった古代くんですが、その雪ちゃんを手繰り寄せるように優しく抱きしめているのです。
ドレスが邪魔で強く抱きしめられないんですが(笑)。
イラスト……
古代くんが雪ちゃんを泣かせてます(俯いているので、顔は見えませんが)。笑っている二人のイラストも、とってもいいとは思うんですけど、雪ちゃんには式の前に感無量を味わってもらおうと…思いまして…まぁ、ある意味幸せ…ですが。
イラストにしたのは、古代くんの告白後…式直前です。
文……
古代くんの告白…普通、式の直前にそれも花嫁の控室に来てまでこんなこと言うのかしら?と頭を捻りながらも書きました。
彼にはしんみりとロマンチックなことを言わせてやろうと…頑張ったつもりです。
by ゆみこさん(2004.1.16)
(背景:Pearl Box)