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いわき市立植田東中PTA新聞コラム『汐風』1号

 近所の空き地に家が建つことになった。最初広々しているように見えたその土地が、不思議なことに、基礎のための縄張りがされると急に狭苦しく感じるようになった。実際に基礎工事が終わり、間取りが見えるようになると、今度はその基礎工事の中の一つ一つの部屋の区切りが狭く見えてくる。柱が立ち、屋根がかかって初めてようやく家の本当の広さが分かってきた。
 何もない土地を眺めている時は広すぎて見え、基礎工事の時は狭すぎて見える。もpのを作るとき、本当の大きさは、図面の中で想像された形が実際に立ち上がるまでなかなか掴めないものなのだ。
 ヒトもまた、同じかもしれない。子供たちが中学校でやろうとしているのは、小学校で地ならしの終わった土地に、将来の部屋の間取りを想像しながら縄張りをし、基礎を打つような作業だろう。はたから眺めていると、時に大きすぎ、時に小さすぎるように見える。といって、柱が建つためにはもう少し時間が必要だ。期待や不安が交錯するのも道理だろう。
 しかし、だからこそ急がず、丁寧にその基礎を固めさせてやれたら、と願わずにはいられない。目指すものは異なるだろう。方向も様々かもしれない。けれど、子供自身さえまだ全体像を見たことのない人生の設計図を信じて、その成長を待つことができるのは、私たち大人の経験と愛情があればこそ、なのだから。
 植田東中がスタートを切った。すべてを新しく立ち上げていくのは困難も伴うが、期待も膨らむ。東中もまた、急がず着実に育ってほしい。私たちの身近な地元に誕生した、私たちと私たちの子供にとって大切な礎石となる場所である。そのために私たちができることは何か。粘り強く考えていきたい。