TOKARA 遠征 2015  

fish on top
2021年1月14日(木)
TOKARA 遠征 2015
 
 
  
10月9日〜12日まで、実釣1日半(1航海)、夢の列島「鹿児島県・トカラ列島 平島」へ遠征してきた。
対象魚はGT、イソマグロ、キハダのショアゲームと、状況次第ではオフショアも視野に入れ底物の巨大魚やカンパチも狙おうというもの。
同船、FCLLABO代表津留崎氏と同じで、かつ同じ島でカンパチのオフショアジギングで結果を出されたようだった。先日たまたまロッドを買い、直接やり取りもしていたが、何となくお声掛けせず遠くから拝見するだけにした。(なぜ自分が本能的にそうしたかは帰りに気がついた。)
トカラの最盛期は5月〜6月のトビウオ産卵シーズンであることはわかりながらも、「10月は未知数、それでも可能性を秘めている、いるに決まっている」という先人たちの情報を基に乗り込んだ格好だ。アテンダーは熊本のショア専門ショップ「REEF」の鬼塚氏。ほぼお分かりではないだろうが、トカラ・小笠原を歩きつくし、今有名になっているメーカーの方々の礎を築いた方だ。周辺からはロックショアの実力1位2位を争うと言われている。「磯の作法」で知られる青木氏と近しく磯のパイオニアだ。
たまたま縁あって(これが最大の幸せ)、アテンドしてもらえることとなった。そもそもの私の始まりは磯のルアー釣りを始め、厳しい環境の中で魚とギリギリの勝負をすることに目覚めてから。それまではGTなんて夢のまた夢と思っていた。ましてやショアからなんて。
ショアからの大型回遊魚は釣りの最高難易度であることは間違いないだろう。掛けるまではよくても獲ることは一般人ではほぼ運と勘任せ。堤防ならなんとか。かと言って練習回数を増やせるかというと、金と時間が掛かりほぼ無理。突然チャレンジするのは元から無理があるのはわかるが、人生で僅かなチャレンジ回数しかない、運と勘とセンスに任せ夢を果たそうとブッツケ本番で挑んだわけだ。実践の技術を磨くほどの余裕、現場なんて身近にどこにもない。出来るのは体力づくりとイメトレくらい。
釣り道具のキャパも飛びぬけている。リールはシマノ20000番、ダイワ8000番、ラインキャパはPE8号が300mが最低ラインとのこと。イソマグロはノンストップ200m走ることがあるとのこと。意味不明だ。リーダーは60号200lbが5ヒロ前後。ロッドは8ft〜12ft。オフショア用でも初心者はむしろ使いまわしが効くと聞いた(事前に津留崎氏、鬼塚氏から聞いたから間違いないだろう)。
私はロッド:MCワークスセブンマイルズ846、リール:ソルティガ6500を携えて挑んだ。ルアー:ポッパー、ペンシル、ミノーの75g〜120g、フック:3/0〜5/0。5/0は秋田で市販されていないだろうが見ると笑えます。でか過ぎて。スプリットリング:#11等200lb超のもの。

初日10日、台風23号の影響はやわらいだもののウネリがやや残り安全のため磯には上がらず、船からムロアジをサビキで確保し、船から泳がせ釣りとルアーのキャスティングをしようと無人島ガジャ島周辺を目指した。途中、キハダのナブラが小規模で起きたもののベイトが少なく単発数回のみ。ベイトがいないため、ムロアジも同様に釣れない。泳がせフカセ釣りを主で考えていた秋田からの同行者さんはエサが釣れないことからお手上げ。単発のナブラや潮の激流に数十投キャストしたのみで終わった。私はというもの、船酔いで初日機能せず!!終始、自前蒔きエサ係状態…。
船中サビキにヒットするハタ系の赤い魚(たしかチギ?)とナンヨウカイワリのみで初日の半日を終えた。(正直、船酔いしてもしていなくても釣果は同じで内心安堵!まあ魚、船中が沸いていれば治ったでしょうが。)

最終日11日、予報が変わり風が出てしまったが、安定した向きであることから風裏の磯に渡してもらえることとなった。やはり同様にアテンダーは泳がせ用のアジを釣ろうとしてくれていた。
私たち秋田組3人は各々ルアーのキャスティングゲームを開始。足並み揃って目ぼしい座についてからそう経たない頃、10m横の潮の当たる磯先端に居たMさんにヒット!Mさん優勢でファイトしていたが、一瞬ググググッとロッドが突っ込んだ後にフックアウト。勝手な想像からすると5kg前後のカスミアジではないかと思われる。周囲から聞くところによるとアオチビキ、カスミ、カイワリでも「焦る、端から見ると落とされるんでないか心配になる」とも耳にするため、タックルバランスからしても5kg〜10kg以下の魚だろう。
その15分後、またもMさんから声が。最初見たときはリフトアップしていたが、私が走って近寄っていく頃には魚が本気モードに!ジィ--------ッとスプールがみるみる痩せていくのを見たときの興奮は忘れられない。ファイト時間、5分もしないだろうか?3度目くらいの寄せの後、岸伝いに進路を変更した魚はスピードとトルクを一気に上げ、Mさんが岸から離そうとスプールをハンドドラグで止めに入った後、鈍くロッドが固まりブンッとブレイクとなったのだ。手前のサラシに入った瞬間、GTが横になりルアー(100gミノー)を食い、そのまま沖へ一気に数十メートル引っ張り出していったとのこと。サイズにして20kgクラスが予想される。とてつもない力に成す術なし。ただ相手に翻弄されただけであった。(ちなみに写真のファイト一見かっこいいですが、スタンダップ派ではアウト。ケツが着く着かないというより落ちている時点でダメなようです。ふくらはぎ、もも、腹筋、背筋、それに腕力全て鍛えないと体幹勝負出来ませんね。)
ちなみにMさんのミステイク、指定されたラインにせず、当初から巻かれていたPE5号前後、リーダー130lb前後だったとのこと。仮にこのスペックならドラッグを止めることは出来ないのだろう。ロックショア末恐ろしい…。根に走ったらラインフリーにするくらいの余裕が必要だし、力勝負はタックルが負けるか人が落ちるかとのこと。
 
その後も川のように流れる潮にルアーを投げ倒したのだが、2度と魚が回ってくる事はなかった。たしかに朝のその時間は、10cm程度の小型のベイトだが、ルアーから逃げるのが確認出来た。
一方、エサのムロアジはというと、数尾釣れるに止まり、流したところイカに八つ裂きにされて終わったとのこと。潮が緩かった証拠だろうか?
話は脱線するが、トカラのアオリイカは2月に7kgに成長し、ヒラスズキは130cmまで確認できているらしい!またまた意味不明…。なんという新世界だ…。食物連鎖の頂点に君臨するショアと言えるでしょう。
更にもう一方、船でムロアジを調達してくれようとしていた民宿の大将だったが、2日連続ムロアジ調達出来ず。全体的に沿岸は潮廻りがよくなかったのかもしれませんね。10月にショアから1本でもまだいい方なのかな?同日、オフショアのキンメ等の底物とカンパチのジギングが好調であったとのことだが、無謀なショアゲームに来た人間は私たちと堤防に来た野宿アングラー1人のみで比較するともちろん貧果であった。ちなみにその方はアオチビキ、カスミ等ヒットしたと聞いているがGT等本命はノーヒット。それでも物凄い感動して帰られたのは印象的であった。
 
結果としては1人に対し2ヒット中1バラシ、1ブレイクという貧果。ただ、ここに来ればわかる数値結果だけではないたくさんの学ぶこと・感じること。
自然の偉大さが第六感を刺激し、そして、その重みというか大きさはまだまだ到底敵うものではないことを感じるはずです。(本当に釣りが好きならば!)
普段、「釣れそう」とか、「何故かその日はそこで粘ったら釣れた」とか「ここは危ない」等々、何かしらの動物的勘があるはずですが、その勘(感覚)が自然の力から圧倒される気分になるのです。
そして、そこに集う複数名の夢追い人も見ただけで何か独特のオーラがあり、一人で初めて来て野宿をしている人から受ける戦闘能力(人間力)も私自身の小ささを感じさせてくれました。「世の中こうやって一人で来る人もいるんだ…」と。私自身、一人でここに居るということは想像出来ませんでしたし、一度行った今もまだ出来ません。軽トラ一台分に迫る道具の準備、ランディング対策&ツール、金と時間のセッティング、家族の同意、一人で全て揃えることは金と時間と労力が相当掛かるでしょう。
このような目に見えない感覚の話は文章としてビミョーであることとは思いますが、釣れずに学んだことは正に「新感覚」でした。
実は、このアテンダーの鬼塚氏とも渓流や得意とするトラウトの話を出せずに終わったのだが、これは冒頭の津留崎氏に話しかけられなかったのと同じ感覚だったためだ。釣りを悟った人間に私のような若輩者が釣りの自論をネタに会話することすら出来ないと感じたからだ。私もプライドが高いせいか何か恥ずかしさすら感じたと言ってもいいかもしれない。プロ野球選手に自分の野球論なんて言えない、大企業社長に経営論を語れないと同じこと。完全なオーラ負けだ。
巨大な自然のオーラに立ち向かう人間はそのオーラも負けておらず、そのオーラに私は圧倒され、それがいい刺激となりたくさん成長することができた気がする。
私自身のライフイベントの関係で、来年は遠征出来そうにないが、今回の同行者さん2名は来年最盛期の5月か6月行こうと既に計画を進め始めている。私は行けるならば最速で再来年2017年の5月か6月。何度も感覚の勉強は出来ない。感覚を学ぶのは1度で十分。あとは釣って得られる自信(オーラ)を身に付けたいと心に誓った。 yuki


top

 | fish on top | 











copyright © 2008 Na.Craft