コラム

「原崎沼にカモが来たので、もうすぐ冬」

当果樹園のすぐ近くに「原崎沼」(ばらざきぬま)がある。農業用水の、ため池として作られた人工の沼です。

夏は「へらブナ釣り」で有名な場所で休日には多くの釣り人でにぎわいを見せます。

渡り鳥たちのために、11月1日から3月いっぱいまでの期間は「釣り禁止」になり多くの渡り鳥たちの楽園になるところでもあります。もちろんココは鳥獣保護区に指定されており、カモ類を中心とした鳥たちは安心して羽を休められる限られた空間です。沼に氷が張らないように設備をしていますが、観光地によくある「餌付け」は一切しないので人が近づいたらカモたちは逃げていきます。「餌付けをしている飛来地」では人が寄っていくとカモたちが大群でエサを「おねだり」に来ます。それは、とても楽しく嬉しいことなのですが、私はカモが野生のカモである、この「原崎沼の冬」が好きですね。冬になると、私は800mmから1200mm望遠ズ−ムレンズを付けた、一眼レフカメラと三脚を持って彼らに会いに行きます。ここは昔「網」を高いところに張り、カモを捕まえていた場所で、私が子どもの頃にはよく知り合いの人が「マガモ」の首に縄を付けて、家に持ってきてくれました。そして家族みんなで、カモを食べていたのです。その頃が一番「自然と人間のバランス」がとれていたのかなと思います、今では考えられないことですが…。

 自然のバランスが崩壊してきている現在、昔では考えられなかったことが、いろんな現象として現れています。日光のサルが観光客から「エサ」をもらうことを覚えてしまったために、こんな現象もあるそうです。山の食べ物よりもおいしくて、手に入れるのが簡単な「エサ」を手に入れるために走っているクルマに飛び乗り「エサ」を奪ったりするそうです。それも「キバをむきだして」飛びかかってくるというのですから、とても恐い話です。「かわいい」から「エサをあげる」という次元ではないということです。

 これまで、自己中心に自然を開発してきた人間に対しての警告の一つなのかもしれません。

自然と人間の関係を、ちょっとだけ考えてみたいものです。

2000年11月 松田果樹園 松田信彦



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