NSCの講習プログラムには様々なものがありますが、ここでは日本における中心的なプログラム“標準ファーストエイド,CPRとAED”を例にとりご紹介します。
救急車が到着するまでの間に行う市民サイドのファーストエイドの内容がプログラムされています。ファーストエイドは
誰もが簡単にできるものでなければ、救命の効果をあげることはできません。単純な方法で、繰り返しトレーニングして身体が覚えるようにしていきます。
また、単に手当ての仕方だけでなく
救助者の安全や
血液感染症の予防、
状況判断のための観察のしかた、ケガや急病の知識なども含まれた内容になっています。
講習会で
使用するテキストにも特徴があります。それは、
日本のテキストにはあまりない写真やイラストが多く取り入れられている点です。傷など“見て”判断する必要があるもの、手当ての方法などリアルな写真によって大変わかりやすくなっています。
NSCの講習プログラムは、
参加者のニーズが考慮されます。例えば、参加者が機械工場に勤める人の場合は傷や出血の手当てに重点をおいたり、心臓発作を起こしたことのある家族を持つ方へは心臓発作時の対処と心肺蘇生法を中心に構成したり、子供を持つ母親の参加者へは火傷や窒息にも時間を割いたりと、参加者のニーズに応えるよう配慮します。また、NSCのプログラムではそれが許されています。“いつも誰にでも同じ講習”ではなく、
“受講者が知りたいことに応える講習”なのです。
プログラムはアメリカ連邦政府の労働省の機関である職業安全衛生局(OSHA)の基準に基づいて作成されています。また、BLS(一次救命処置)はAHA(アメリカ心臓協会)のCPR(心肺蘇生法)とECC(emergency cardiac care:緊急心臓治療)のガイドラインに基づいた2000年ガイドラインに準拠しています。
信頼性の高いプログラムといえるでしょう。
余談ですが、AHA(アメリカ心臓協会)のガイドラインでは心臓停止の場合、早く救急車を呼び、早くCPRを施し、早く除細動(心臓の動きを正常に回復させるための電気的刺激)を行い、早く治療に結びつけることが重要であることを強調しています。早期に除細動を行う手段として、心電図の知識が無くても操作できる自動式体外除細動器の使用を勧めています。欧米では教育を受ければ医療スタッフではない一般人でもこの機器使用することができ、救命率を向上させています。自動式体外除細動器による除細動は一般市民の行う一次救命処置の範囲であるとの認識なのです。
国内の事情としては、2001年12月18日付けで航空機内における乗務員の自動式体外除細動器の使用が許可され、2003年4月より医師の包括的指示下において救急救命士のAEDによる除細動が認められました。しかし、病院外での除細動が必要な心停止患者の場合、救急車が到着するまでの6分間が救命にとって最も重要であることから、厚生労働省による検討がなされ2004年7月、ついに一般市民にもAEDの使用が認められるようになりました。最近では、空港など人の集まる場所で設置されたAEDを見かけるようになってきました。命に関わる緊急事態の発生から治療が開始されるまでのロスタイムをどう考えるか。心臓が停まってしまったその時、その場に居合わせた人だれもがAEDを使えるといいですね。
2003年11月“ファーストエイドとCPR スタンダード”を受講された方から感想をお寄せ頂きましたので、ご紹介致します。
自分の職場や、自分がかかわる日常での活動(ボランティアなど)で、万が一のことが起きたことを考えて受講を希望しました。
医療機関で働き、スポーツの団体にもかかわっている以上、中途半端な知識(10年前、在学中にかじった程度)で臨むのは大変危険でもあり、無責任ではないかと思ったのがきっかけでした。
が、実際こういった講義を探すと、なかなか見つからないもので、結局はインターネットの検索に頼りました。そこでヒットしたのがNSCによる講座でした。
もちろんいくつか講義を開いている団体がありましたが、講義は私のスケジュールを考えて、内容が充実していそうなここにしました。
受講当日は受講者が私一人にもかかわらず、1日かけてご指導いただきました。
確かに受講料は無料ではありませんが、その分受講証明が発行されたり、自らも指導者への道を進むことにより、ファーストエイドの重要性を広める機会が増えます。これは受講者のモチベーションを上げるのに効果的だと思いました。また、受講証明書の有効期限が記されていて、決して受講してそれで終わりにしないシステムも納得できました。
内容そのものも満足のいくものでした。指導内容もその効果や状況を考慮して、よく改訂されているようですが、その部分については別紙で説明を受け、情報が「時代遅れ」にならない工夫がされているようです。
最近では日本でも重要視されるようになったようですが、NSCの講義ではまず最初のうちにファーストエイドを行う際の法律との関係や本人の同意、義務などについて説明を受けるのも、母体がアメリカにあるからでしょう。日本ではどうしてもおろそかになりがちですので、今後、重要視されるべき内容だと思います。
受講後は、知識を得ただけではなく、改めて身近にいる誰かを絶対に助けたい、守りたいと強く思いました。自信も持つことがことができたように思います。
もちろんこのような知識が必要にならないことが一番よいのですが、そういう場面はほとんど日常生活で、思わぬときに起こります。一人でも多くの方に、ファーストエイドの重要性を知って頂けることを期待しております。
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