現世利益和讃 現世利益和讃 十五首 〈第一首〉 阿弥陀如来来化して 息災延命のためにとて 金光明の寿量品 ときおきたまえるみのりなり 〈第二首〉 山家の伝教大師は 国土人民をあわれみて 七難消滅の誦文には 南無阿弥陀仏をとなうべし 〈第三首〉 一切の功徳にすぐれたる 南無阿弥陀仏をとなうれば 三世の重障みなながら かならず転じて軽微なり 〈第四首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば この世の利益きわもなし 流転輪回のつみきえて 定業中夭のぞこりぬ 〈第五首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 梵王帝釈帰敬す 諸天善神ことごとく よるひるつねにまもるなり 〈第六首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 四天大王もろともに よるひるつねにまもりつつ よろずの悪鬼をちかづけず 〈第七首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 堅牢地祇は尊敬す かげとかたちとのごとくにて よるひるつねにまもるなり 〈第八首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 難陀跋難大龍等 無量の龍神尊敬し よるひるつねにまもるなり 〈第九首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 炎魔法王尊敬す 五道の冥官みなともに よるひるつねにまもるなり 〈第十首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 他化天の大魔王 釈迦牟尼仏のみまえにて まもらんとこそちかいしか 〈第十一首〉 天神地祇はことごとく 善鬼神となづけたり これらの善神みなともに 念仏のひとをまもるなり 〈第十二首〉 願力不思議の信心は 大菩提心なりければ 天地にみてる悪鬼神 みなことごとくおそるなり 〈第十三首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 観音勢至はもろともに 恒沙塵数の菩薩と かげのごとくに身にそえり 〈第十四首〉 無碍光仏のひかりには 無数の阿弥陀ましまして 化仏おのおのことごとく 真実信心をまもるなり 〈第十五首〉 南無阿弥陀仏をとなうれば 十方無量の諸仏は 百重千重囲繞して よろこびまもりたまうなり 已上現世利益