この絵本が生まれるきっかけは、2001年(平成13年)3月21日、 毎日新聞和歌山版に掲載された、草田さんを紹介する記事でした。 「難病男性、童話制作、俳句に励む」という見出しがついていました。 その難病が「ALS」(筋委縮性側索硬化症)であり、手足を動かすことも、 呼吸さえも自発的にできない病気であると説明されていました。    すさまじいばかりの「生きる不自由」を強いられながら、草田さんは 童話を書き、俳句を作っているといいます。  特殊なパソコンを使い、数ヶ月かけてつくりあげた童話を絵本にし、 '99年に生まれた初孫に残したいと、自費出版への協力を呼びかける記 事だったのです。 数多くの絵本を手がけてきた「わかやま絵本の会」を紹介したのは私です が、私は草田立晤(くさだ りゅうご)さんの高校時代のクラスメイトで す。  偶然にも「わかやま絵本の会」とご縁の深い中央印刷株式会社の松下、 山田両氏が草田さんへの協力を申し出てこられ、絵本の会代表の松下千恵 さんが絵をつけてくださいました。  草田さんと奥さんの啓子さんは今、文字版を使って言葉を交わし、気持 ちを伝えあっておられます。  この絵本の出版が、厳しい状況を生き抜いておられる他の難病の方々を 励ますメッセージになればと思います。 2001年7月           『森の犬とよしべえじいさん』はじめに、から引用