No.9 
うささん王<風に乗る者>



ゴブリン勲章  イベントキー 紙でできたゴブリンの勲章  (price: 9999999 Rea)
デバッグ用キャラクター
紹介

常日頃から思っていたのだ!僕は旅に出るのだ!!
王宮で過ごす退屈な日々にも飽きていたのだ!
・・・・・・そ、それに、今日、父上が言った言葉!

「お前には決った花嫁がいる!」

僕は大嫌いなカミナリにうたれた気分だったのだ。
花嫁ちゃんは自分で探すのだ!だって自分のパートナーなのだ!
自分で探すのが当たり前というものなのだ!父上は何も分かっていない!
そんなこと言われた僕が大人しくしているワケがないのだ!

僕は宮廷を抜け出した。世話係のルナに手を貸してもらって・・・。
僕の花嫁ちゃんを探す旅に出るのだ!下界には何が広がっているのだろう。
それを考えるだけでワクワクするのだ!僕の旅は今日から始まる!
もうすぐ下界が見えて来る頃なのだ。何やら色んな光がピカピカしてるのだ♪
あの光の中にきっと僕の花嫁ちゃんがいるに違いないのだ。


花嫁探し日記。第1章

初めてなのだ!王宮を出たのも初めてなら、月から下界へ降りたのも初めてなのだ!
何もかも見たことがないもので溢れているのだ。ところで・・・ココは何処なのだ?
しよう・・・と・・・・・・てぱん?

テパンという街なのだ。誰かが言っていたのだ。旅を始めるならテパンだと・・・誰だっけ?
そうそう!通りすがりの猫くんだったのだ!
僕もここから旅を始めるのだ!僕の花嫁ちゃんを探す旅なのだ!
でも暗くなる前には王宮に帰らなくてはならないのだ!
それが王宮から出るのを手伝ってくれたルナとの約束なのだ!
ルナはいつも僕の世話をしてくれているから、ちゃんと約束は守るのだ!
それが男というものなのだ!!
とりあえず、今日はこの街を探索するぞ!ルナにおみやげを買っていってあげるのだ♪

今日の僕語録。「てぱんから始めよう」


花嫁探し日記。第2章

僕の花嫁ちゃん探しの旅は始まったばかりなのだ!
・・・だと言うのに、てぱんに着いてすぐ、花嫁ちゃん候補が出来たのだ!
小さな女の子が僕に惚れて着いてきたらしいのだ!
なんてことなのだ!もう僕の魅力でメロメロにさせてしまうとはっ!
名前を聞いたら「リトゥエ」と言うらしいのだ!でも・・・小さすぎる気がするのだ。
僕もまだ小さいけど、リトゥエよりは大きいのだ!これからドンドン大きくなるのだ!
残念だけど、リトゥエは僕の花嫁ちゃんじゃないのだ。
それにリトゥエのおかげで2人組の男と戦うハメにもなってしまったのだ。
女の子を守るのは男の義務なのだ!!でも戦ってばかりは嫌なのだ・・・。

リトゥエはずっとくっついてくる。僕が聞くと「お役目がある」と言って離れてくれないのだ。
このままでは花嫁ちゃん探しの旅に影響が出るのではないだろうか?
女の子と一緒に花嫁ちゃんを探すなんて、何処か矛盾してる気がするのだ。
でもリトゥエはもう着いてくると決めてしまっているみたいなのだ。
モテる男はつらいのだ。仕方ない、コレも試練なのだ!僕は受け止めるのだ!

気を取り直して、旅を続けることにするのだ。話相手がいると言うのもいいかもしれないのだ!
・・・あ、宮殿に帰る時はどうするのだ?ルナに誤解されるかもしれないのだ。困るのだ。

今日の僕語録。「メロメロはほどほどに」


花嫁探し日記。第3章

ジイはいつも僕を子供扱いするのだ!僕だってもう立派に大人なのだ!
今日だって、ミルクを飲まないだけでしわを寄せて怒る…。
それに比べてルナはちゃんと大人扱いしてくれるのだ。
無理にミルクを飲ませようとはしない。代わりにバナナジュースを作ってくれたのだ!
美味しそうに飲む僕を見ながら、ルナはにっこり笑って言ったのだ…
「王子は単純でカワイイですね♪」
褒められたのだ♪きっとそうに違いないのだ!
ちょっと幸せな気分でテパンの街を歩く。
何やら花嫁ちゃんが見つかりそうな気さえしてくるのだ♪
ふらりと入ったお店で花嫁ちゃんを探してみた。「はいんず雑貨店」って書いてあるのだ。
………しかし、花嫁ちゃんは何処に行けば売っているのだ?
僕は王子だからお金ならたくさんあるのだ!
お店の人に聞いてみても、首を傾げるばかりで花嫁ちゃんを売ってくれないのだ!
もう暗くなってしまう。仕方ない……出直すことにするのだ。

今日の僕語録。「単純は褒め言葉」


花嫁探し日記。第4章

宮殿を抜け出していることは、僕とルナとの内緒なのだ!ジイにも言ってないのだ!言ってしまったらジイはまたしわを寄せて怒るに違いないのだ!

テパンの街はもう3度目。だいぶ慣れてきたのだ。
この間、花嫁ちゃんを売ってる店がなかった。僕は同じ失敗を繰り返したりはしないのだ!
あらかじめルナに花嫁ちゃんの買い方を聞いてきたのだ!
そしたらびっくり!花嫁ちゃんはお店で売ってないのだ!
コレにはさすがの僕もびっくりなのだ!花嫁ちゃんは自分で見つけるしかないらしいのだ。
何て難しい旅に出てしまったのだろう。でも僕は負けないのだ!僕にぴったりのルナみたいな花嫁ちゃんを探すのだ!!

………………………??? ルナみたい? 何か胸がチクとしたのだ。
病気かもしれないのだ。大変なのだ!
僕は将来、月の世界を治めなくてはならない身なのだ。
今日はもう早めに宮殿に帰るのだ!
あ、ルナのおみやげを忘れないように買って行くのだ♪

今日の僕語録。「チクとなったらお早めに」


花嫁探し日記。第5章

今日も元気にテパンへ向かう!宮殿を相変わらず華麗に抜け出す僕なのであった!この間、突然襲われた胸の痛みは病気ではなかったのだ。
それは「ほうむしつく」だとルナが教えてくれたのだ。
旅に出ると良くなるらしいのだ!もう平気さ!

花嫁ちゃんを探すには、「ドキドキ」が大切らしいのだ。
ルナはいつも難しいことを僕に教えてくれるのだ。
テパンには僕の胸をドキドキさせてくれる女の子がいるかなぁ?
賑やかな所へ行ってみるのだ。まりはんす…はんかがい。そこへ行ってみるのだ!

通りを歩いていると、1人の青年が話しかけてきたのだ。
演奏や歌が上手くなる道具が欲しいと言ってきたけど、
僕は男の子には興味ないのだ!と言ったら哀しげな顔をしたのだ。
僕だって花嫁ちゃんが欲しいのだ。
仕方ないから見つけたら持って来ると約束したのだ。
人の世話をしている場合ではないのだ…。
僕の花嫁ちゃんは誰が持って来てくれるのか?

今日の僕語録。「待っても来ない花嫁ちゃん」


花嫁探し日記。第6章

僕は今まで宮殿の中の世界しか知らなかったのだ!
花嫁ちゃん探しをしているおかげで、宮殿の中以外のことを知ることが出来た!
毎日が面白くて仕方がないのだ!週に2日しか抜け出せないなんて!!
でもあまりたくさん抜け出すと、ジイたちにバレてしまうのだ。

今日はテパンから違う街に行ってみようと思っているのだ。
街がたくさんありすぎて、何処へ向かえばいいのか分からなくなる・・・。
僕の花嫁ちゃんは何処にいるのだろうか?
そういえば、ココの人たちはどうやって花嫁ちゃんを探しているのだ?
みんな忙しそうに歩いているのだ…
!! そうだ!! きっとみんな花嫁ちゃんを探す為に忙しそうにしているのだ!花嫁ちゃんはとても大切だから、みんな必死なのだ!僕も負けてはいられないのだ! 道行く人に花嫁ちゃんの情報を聞いてみる。
でもみんな「???」という顔をするばかり。
そうか、僕に言いたくないのだ!敵に隙を見せてはいけないのだ!

リトゥエが「しと、るあむじゃ」が1番大きな街だと教えてくれた!
「ルアムジャ」言いにくいのだ。リトゥエが横で首を振っている。何が気に入らないのか?
とにかくその街へ行ってみるのだ。大きな街にはきっと大きな花嫁ちゃんがいるのだ!
ああ、もう暗くなるのだ。宮殿に帰らなくては。次は「ルアムジャ」を目指すのだ!

今日の僕語録。「迷ったらルアムジャへ」


花嫁探し日記。第7章

ルアムジャに着いた!確かに大きな街なのだ!!人もたくさんいて、凄く賑わっているのだ!
ここなら花嫁ちゃんも見つかりそうな気がするのだ。
街に着いてそうそう、リトゥエがいろいろ説明をしてくれる。
で、何処へ行けばいいのだ?しばらく考える。
・・・・・・・・・・・・・・・昂壁の翼ってところに行くのだ!!
リトゥエが「そこは今行っても入れないの!」と言っている。
そんなことは行ってみないと分からないのだ!僕は月の宮殿の王子なのだ!
それを知ればきっと入れてくれるに違いないのだ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
着いた所は高い鉄の壁に囲まれた場所だったのだ。
「で、ここからどーするの?」
リトゥエが「ほらね!」みたいな顔をして僕に言うのだ・・・。
むー宮殿より警備が厳しいところなのだ。でも僕は王子なのだ!
と、言おうとして正門に回る。・・・・・怖い。警備員の顔が怖いのだ。
結局、ルアムジャの街へ戻ることにした。
あの壁の向こうにいかにも花嫁ちゃんがいそうなのに。

今日の僕語録。「僕は王子なのだ・・・。」


花嫁探し日記。第8章

最近思うことは父上は侮れないってことなのだ!
僕が宮殿をこっそり抜け出していることはバレていないハズなのだ!
なのだけど・・・・・・今日父上が僕に言ったのだ。
「花嫁ちゃんは見つかりそうか?」
むむむ、この言葉は奥深いのだ!何かにおうのだ!
自分の花嫁ちゃんは自分で探すのだ!と言ってあるので
おかしくないこともないのだが、でも父上は花嫁ちゃん探しの旅のコトは知らないのだ。
ヘタに返事をして、宮殿を抜け出していることがバレたら大変なのだ!
僕がウッカリ言ってしまうのを狙っているかもしれないのだ。
さすが僕の父上・・・・・侮れないのだ。一刻も早く花嫁ちゃんを探さなくては!

ルアムジャの街は大きい。僕は斡旋公社という場所へ行くことにしたのだ。
何やら仕事を求めて人が集まる所らしいのだ。
人が集まるところには花嫁ちゃんもいるに決っているのだ!
とりあえず、僕は何かの仕事をすることにしたのだ!花嫁ちゃんを探しつつ人の役にもたつのだ!
掲示板をみて「都内警護のお手伝い」を選んでみた。夜の都内を見回るらしいのだ!
よ、夜?! 夜は宮殿に帰らなければ、ルナに怒られてしまうのだ!
でも男が1度引き受けたら後には戻れないのだ!人のためなのだ!頑張るのだ!!

今日の僕語録。「ルナ、ごめんなさい。」


花嫁探し日記。第9章

夜の街はちょっと怖い。でも負けないのだ!僕は王子なのだ!!
途中で酔っ払い3人組を見つけたのだ。街中で暴れている。
僕はステッキを握り締めると、酔っ払いに近づいて注意をした。
「うるさい!まだよだれかけも取れないガキのくせに!」
!!
くぅ!それは言ってはならないのだ!これはよだれかけじゃないのだ!!
僕だって本当は気にしてるのだ。胸のところが白くてよだれかけみたいに見えるって。
僕の心を傷つけた罪は重いのだ!こらしめてやるぞ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そもそも1対3というのが不利なのだ。しかも酔っ払ってるから行動に手がつけられないのだ。
ビンを投げるし、嘔吐はするし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・泣きたいのだ。
結果、人数の差で負けてしまったのだ。しかも体中が酸っぱい匂いで包まれてるのだ。

急いで宮殿に戻ると、怒り顔で待ってたルナの口がポカーンと開いたのだ。
おかげで遅く戻ったことを怒られることはなかったけど、気持ちは複雑なのだ。
もっともっと強くなってどんな依頼もこなせるように頑張るのだ!
花嫁ちゃんを探しながら、僕は強くなるのだ!立派な王子になるのだ!

今日の僕語録。「よだれかけじゃないのだ…。」


花嫁探し日記。第10章

ルアムジャは大きな街だけど、色んな都市への道が伸びていて
何処に行っていいのかテパン以上に迷ってしまうのだ。
はてはて、何処へ行こう。
飛び込んで来たのは「カアライル家」 何やら由緒正しい感じがするのだ!
宮殿とどっちが立派なのか確かめてみるのだ!

と思ったら、中に入れないまま帰されてしまったのだ。
どうも中に入るには「象」が必要らしいのだ。
ぞうって・・・・・・・・そんな大きいもの持ってこれないのだ!!
「・・・・・・・・像よ。」
リトゥエの突込みが入ったのだ。像・・・・・・・・・・・像かぁ・・・。
でもどっちにしてもそんなの持ってないのだ。
花嫁ちゃん探しの旅を続けているだけなのに、どうしてこうも探し物が増えるのだ?
歌の上手くなる道具に、像・・・・・・・人のものばかり探すことになるのだ!
あくまで基本は僕の花嫁ちゃんを探すのだ!
僕と一緒に宮殿に住んでくれる花嫁ちゃんなのだ!
歌の上手くなる道具も像も、旅の途中で見つかったら持って行けばいいのだ!
よし、次は何処の街へ行こう♪

今日の僕語録。「惑わされず行こう!」


花嫁探し日記。第11章

花嫁ちゃん探しの旅を始めてから、街の酒場には立ち寄るようにしてきたのだ。
飲み物を飲むためでもあったのだけど、誰かに聞いたことがあったのだ。
「新しい街に行ったら、まず酒場に行きなさい。」
と。今となっては誰かは思い出せないのだ・・・。前にやったゲームかもしれないのだ。
最近その意味が分かるようになってきたのだ!
酒場は人が集まるところ!=情報も集まるところなのだ!

ルアムジャの酒場で花嫁ちゃんの情報を入手したのだ!
どうやら海都グラジオラスというところから行ける「星を視る丘」という場所で
花嫁ちゃんらしき人を見かけたらしいのだ!
その人物が僕の花嫁ちゃんにふさわしいかどうか行って確かめてみるのだ!!
えっと、でもグラジオラスという街にはどうやって行ったらいいのだ?
「テュパンから行くのが近いわよ。」
でも違う街を通っていく方が楽しいのだ♪
遠回りでも違うルートで行くのだ♪
隣でプリプリしているリトゥエを無視して僕は進むのだ!

今日の僕語録。「酒場は花嫁ちゃんへの道しるべ?」


花嫁探し日記。第12章

今日はバレンタインデエというらしいのだ!
宮殿を抜け出す僕にルナがチョコレートをくれたのだ。
「今日は女の子が好きな人にチョコをあげる日なんですよ。
王子にも早く花嫁ちゃんが見つかってチョコが貰えるといいですね。」
………ルナは僕のことが好きなのか?
でも僕は知っているのだ!ルナがじいにもチョコをあげたことを…。
きっと宮殿中のみんなにあげているに違いないのだ!
…………何だかちょっと哀しいのだ。
いやいや、僕だけの花嫁ちゃんを探すために今日も行くのだ!

ルアムジャからラケナリア経由で海都グラジオラスへ♪
新しい街はやっぱりウキウキするのだ。このラケナリアは大神殿があるらしいのだ。
大神殿というだけあって凄く広いのだ。でも行ける場所は限られているのだ。
せっかく来たのだから…と施療院へ立ち寄ってみたら5リーミル取られたのだ…。
「だから言ったじゃない」
リトゥエが冷たく言うのだ。いいのだ!寄付したと思えばいいのだ!
そろそろグラジオラスへ向かうのだ。

今日の僕語録。「ポリポリポリポリポリ♪」


花嫁探し日記。第13章

海都グラジオラスから星を視る丘へ辿り着いたのだ!
ここに花嫁ちゃん候補がいるという噂を聞いたのだが・・・・・・何処にいるのだ?
月の光の中、何処までも続く草原が広がっているのだ。
丘の上の方に巨大な岩が見える。とりあえずそこまで登って景色を眺めてみるのだ♪

『今日の客は貴様か』
岩の前まで来ると頭の上の方から声がしたのだ。見上げると岩の上に女の子が座っている。
「き、君が花嫁ちゃんなのか???」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わしはマレーネ。【星を視る者】マレーネ・ウルフ……』
わ、ワシ??? 女の子なのに随分ジジ臭いのだ。じいだってそんなこと言わないのだ。
『ここは貴様等の世界とは本来交わらぬ、運命の星々と共にある場所。………』
何か、僕の思ってる花嫁ちゃんとはだいぶ違う気がするのだ…。
『ちと判りづらかったか?』
「あのーごめんなさい、僕の探してる花嫁ちゃんと違うみたい。……帰ります。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・要はだな・・・・・・ココハフツウゲームノナカデハデキナイ・・・』
も、もう何を言っているのか分からないのだ。話を聞いてくれないのだ!どうすればいいのだ?
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、一体何を望むか?』
ぼ、僕の方が知りたいのだ。マレーネは何を望んでいるのだ???
「花嫁ちゃんを探してるのだ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・・あ、あと、強くなりたい・・・のだ・・・。」

「も、もえもえ〜ん???」

こてんぱんにやられたのだ・・・。クマに、クマに引きずってポイ捨てされたのだ。
マレーネはきっと僕が花嫁ちゃんを断ったことを怒ったのだ!そうに違いないのだ!
しかもマレーネは僕より背が高かったのだ・・・。背はいいとしても僕より強かったのだ。
僕より強い花嫁ちゃんは困るのだ。僕は何も出来なくなってしまうのだ・・・。
マレーネが花嫁ちゃんじゃなくて僕はホッとしているのだ。想像するだけで怖いのだ。
自分に合った花嫁ちゃんがきっと何処かにいるハズなのだ!メゲズに頑張るのだ♪
でもまた会いに来てあげてもいいのだ。いつか勝てる日がくるかも!なのだ!

今日の僕語録。「ポイ捨てはやめましょう!」


花嫁探し日記。第14章

『王子はどんな女の子を花嫁ちゃんにしたいのですか?』
マレーネにこてんぱんにされた後、落ち込んでいる僕にルナが聞いてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
改めて考えてみたことなかったのだ。花嫁ちゃんにしたい女の子???
『王子が一緒に暮らしたいなぁと思える女の子でないと花嫁ちゃんには出来ませんよ?』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ここでまとめてみるのだ。僕の花嫁ちゃんにしたい女の子とは・・・・・。

・出来るだけ僕より背が低い
・出来るだけ僕より弱い
・出来るだけ言葉は女の子らしく(ワシとか言わない)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
かなりマレーネ戦が響いている気がするのだ・・・・・。
『運命の人に会うと鐘がなるそうですよ。王子も運命の花嫁ちゃんに会えたら鐘がなるかもしれませんね♪』
「何処でなるのだ?近くに教会がなくてもなるのか?」
『………きっとその時に分かりますよ』
何やら良く分からないけど、それが合図なのだ!胸がドキドキして何処かで鐘がなるらしいのだ!
と言うことは、次は教会を目指すのだ!何処かに教会なんてあるのだろうか?
まだ行ってない街に行ってみるのだ!!ワクワクして来たのだ♪

今日の僕語録「背はなるべく低めの方向で・・・。」


花嫁探し日記。第15章

運命の花嫁ちゃんに出会うと何処かで鐘がなる。胸がドキドキする。
この2つのキーワードをヒントに、僕は教会を探して祈りの街ストレチアにやってきたのだ!
鐘=教会! うむ、我ながら見事な推理なのだ!! きっとここに花嫁ちゃんが・・・。
海都グラジオラスから長い道のりだったのだ。いくつも戦闘をしてきたのだ!
ついさっきなんか、毒々しい蛾に襲われたのだ。いかにも毒を持ってそうな色だったのだ。
僕は蛾が苦手なのだ。あの「もふもふ」した感じがなんとも嫌なのだ!

そんなツライ戦いの中、僕は見事に蛾を倒し、ストレチアに到着したのだ!
さっそく、教会を探してみるのだ。「祈りの街」というくらいだから教会がありそうなのだ♪
名前だけで判断して来たのだが、僕の考えは当たっていたのだ!街の中央に教会が!!

それは随分と古ぼけた教会だったのだ。今では使われているのかどうかさえも分からない。
僕のイメージしていた教会とは全然違ったのだ。真っ白な建物で鐘がリンゴン♪なっていて、
たくさんの人がお祈りに来ていて・・・・・そこにシスターの格好をした花嫁ちゃん・・・・・・・・。
リンゴン鐘がなる中で、お互いに目が合う僕と花嫁ちゃん。僕の胸はドキドキしっぱなしなのだ。
でもこの古ぼけた教会ではそんなシチエイションがあるハズもなく・・・。
とんでもないシスターが出てきそうな気さえするのだ。がくり。
せっかく来たんだから、お祈りだけでもしていくのだ。今後の花嫁ちゃん探しのために・・・。

今日の僕語録「名前で判断してはいけません」


花嫁探し日記。第16章

ストレチアの街は人が殆どいないのだ。酒場のさびれっぷりもたいしたものなのだ!
ここでは情報も集められないと考えた僕は、また新たなる街を目指すことにするのだ♪

何処でどう迷ったのか?街へ向かうつもりが薄暗い洞窟のような場所へ来てしまったのだ。
『ここはマルガ・ウザーフの地下冥宮よ。』
リトゥエが大丈夫なのぉ?という顔で覗きこんでくる。
奥が見えないのだ。かなり深そうなのだ。どうしよう………。
『怖いんでしょ?やめておいたら?』
「こ、怖くなんかないのだ!僕は父上に地下に閉じ込められたことだってあるのだ!
そんな時は中で眠る余裕だって見せたのだ!」
『へぇー、そんな風に見えないけど。じゃあ、行くのね♪』
「も、もちろんなのだ!」
僕はそう行って冥宮へと足を踏み入れたのだ………。

本当は父上が入れた地下というのが、お酒をしまう所だったらしく、
僕はそのお酒の匂いで酔っ払って眠ってしまったらしいのだ。
『もう王様の絵にヨダレかけなんか描いちゃダメですよ』
そういいながら、ルナが教えてくれたのだ。でも眠っていたおかげで怖くなかったのだ!

ここはお酒をしまう地下じゃないのだ。先が見えない暗い洞窟なのだ。
この冥宮は何処まで続いているのだろう?暗くなる前に戻ってこられるか心配なのだ。
でももしかしたらこの中にも花嫁ちゃんが!よし、行くのだ!!

今日の僕語録「洞窟を抜けるとソコには花嫁ちゃん(希望)」


花嫁探し日記。第17章

最近考えるのだ・・・・・・1人旅はツライものがあるのだ。今まで何度か戦闘をしてきたけど
1対1の時はどうにか倒せてきていたのだ!僕も少しずつ強くなっているハズなのだ。
でも敵が複数で出てくるとやっぱりボコボコにやられてしまうのだ。
この間の地下冥宮も結局3対1ですぐ負けて放り出されてしまったのだ。
街を歩いているみんなも何人かのパーティで歩いている人の方が多いみたいなのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも僕はパーティを組むわけにはいかないのだ。
そんな目立つことは出来ないのだ。宮殿をこっそり抜け出している以上、大人数で歩くのは
あまり良くないのだ。ただでさえ、頭の上をリトゥエがぶんぶん回っているというのに・・・。
どうにかして複数の敵を倒す方法はないものだろうか・・・・・。
これからの旅には必要になることなのだ。課題にしていかなくては。

さて、次は何処を目指そう。やっぱり大きな街の方が情報が集まりやすいみたいなのだ。
とにかく花嫁ちゃんを見つけるためには色んな出会いをしなくちゃいけないのだ。
色んな出会いをして、色んな経験をすることが、大切なのだ!
それで花嫁ちゃんも見つかるし、僕も大きく成長出来るのだ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、ルナが教えてくれたのだ♪

今日の僕語録「色んな出会い+色んな経験=花嫁ちゃん」


花嫁探し日記。第18章

僕が花嫁ちゃん探しの旅に出てから約3ヶ月が経つのだ。
毎週2回しか宮殿を抜けられない上に暗くなる前に宮殿に戻っているから
あまり旅とは言えないのだが・・・。
でも仕方ないのだ、抜け出しているのをバレないようにするには
毎週2回が限界なのだ。ルナのごまかしもギリギリなのだから・・・・・。
僕は思う!僕がもっと大きくなったら、この旅の経験を活かしてちゃんとした冒険の旅に出る!
将来父上のあとを継ぐためにもいろいろ学ぶことが必要なのだ!
その時には、他の人とパーティが組めるかもしれない。一緒に冒険が出来るかもしれないのだ♪

僕は双都カルセオラリアに到着した。中心に巨大な橋が掛かっているそこそこ大きな街なのだ。
ルアムジャとか大きな街の方が情報は集まるのだが、やっぱりまだ行ったことのない街に
行ってみたくなるものなのだ♪ 僕は早速「深緑の宝玉」という場所を目指してみた。
宝玉・・・・・何やら宝物の雰囲気がするのだ。
僕だって、父上に貰ったこのステッキも宝物だし、母にもらったこの青いバンダナも宝物なのだ♪
もちろん宮殿にも宝物があるのだ!ジイにもらった月騎士のオモチャも宝物だし、
ルナに貰った「僕の花嫁ちゃん」の絵本!これも大切な宝物なのだ!僕の旅の原点なのだ!
ここにはどんな宝物があるのだろうか?宝玉というからには・・・・丸いものに違いないのだ!
お月さまのように丸くてキレイな宝物があるのだ!その横に花嫁ちゃんもいるかもしれない。

今日の僕語録「バレない暦3ヶ月現在更新中♪」


花嫁探し日記。第19章

「深緑の宝玉」・・・・・・それは緑色の丸い宝石ではなく、深緑色で統一された遺跡だったのだ!
でも遺跡には宝があるというのが常識なのだ!何かがココにはあるに違いない。

正面に大きな扉が見えるのだ。きっとあそこから中に入れるのだ。
大きな扉を開けて中に入ると、広いエントランスに出た。宮殿に比べればまだまだなのだ♪
壁の模様が怪しく光っているのだ。うぅぅ、やっぱり暗いところは好きじゃないのだ。
エントランスには変な石像が何体か置いてあるのだ。僕の宮殿にもおいてある。
エントランスに石像を置くのは決まりごとなのだろうか?
それにしても・・・・・大きな石像なのだ。その横に奥へと続く通路が見えるのだ。
地下冥宮では奥まで行けなかったから、ここでは少しでも奥へ行けるように頑張るのだ!
僕は決意の一歩を踏み出したのだ!
がこん♪
「え?」
鈍い音がして床がめり込んだのだ!ぼ、僕はそんなに重くないのだ!!
『そんなことより、前!』
リトゥエに言われて見上げると、石像の目が赤く光っている。
あぁ、もう戦闘になってしまうのだ。まだ入り口なのに・・・・・。

自慢じゃないけど、複数相手になったら勝てっこないのだ!当たり前なのだ!!
入り口で引き返すことになるなんて・・・。ちっとも前に進めてないのだ。
最近負けてばかりで心複雑な6歳の春なのでした♪

今日の僕語録「エントランスには石像を♪仕掛けはナシで。」


花嫁探し日記。第20章

ミューズという金属の産地である鈴都アンサンシルに到着した僕は
ノーフェン穀倉地帯という場所へ向かってみたのだ。
ここで僕は2番目の花嫁ちゃん候補と出会うことになる。
穀倉地帯・・・・・・名前を見て、行けば何か美味しいものが食べられる気がしたのだ。
名前を見て判断してはイケナイと学んだハズなのに。
穀倉地帯を進んでいくと、焦げ臭い匂いがし始めて、だんだんと熱くなってきたのだ。
空も夕焼けのように赤くなり、目の前には・・・・・・炎に包まれたお城!!
凄い!僕の宮殿でもこんなこと出来ないのだ!凄いのだ!しかも中のお城は
フツウのお城と変わらないままなのだ!いったいどうなっているのだ?
もっと良く見ようと炎に近づいていった時、炎の中に人影が見えたのだ!
炎の槍を持った炎に包まれたキレイなお姉さん・・・・・・。
ちょっと緊張してしまうのだ。僕に微笑んでいる。よし、まずはお話してみるのだ。
「あの〜僕は月の世界の・・・・・・・!!」
言い終わらないうちに爆発が起こり、熱風に乗せて彼女は槍を投げてきた!!

最近の女の子はみんな強いのだ。僕はまたまたこてんぱんにされてしまったのだ。
彼女も僕の花嫁ちゃんではなかった。槍を投げられた時、ドキドキしたのにな。

今日の僕語録「身も心も燃えつきたのだ・・・・・。」


花嫁探し日記。第21章

僕はいま、イドバの奇岩洞窟に来ているのだ!今日は護衛依頼なのだ。
山都ガレクシンの斡旋公社で護衛依頼を受けたのだ。
依頼主とは現地で待ち合わせということもあり、ガレクシンからラズハイトへ移動、
イドバの奇岩洞窟でこうしてぼーっと依頼主を待っているのだ。

2時間待っても依頼主らしい人は現れなかったのだ。高い丘の上で景色がいいとは言え、
ずっと待っているのも我慢の限界なのだ。もう帰ってしまおうかと思った頃、
『ん?君は、こんなところで何をしているんだ?』
背後から声を掛けられたのだ。振り返るとソコには探検者風の格好をした男の人がいた。
「ガレクシンの斡旋公社で依頼を受けてきたのだ。」
『ああ、それなら僕がその仕事の依頼主だよ。・・・』
話によると、どうやら見つけた隠し通路の内部に亜獣がたくさんいるらしいのだ。
たくさん・・・・・・・・・嫌な予感がするのだ。たくさんってことは複数戦闘になるのでは?
僕はいまだに複数の戦闘であまり勝てたことがない。護衛出来ないかもしれないのだ。
そんなことを考えている僕にその人は自己紹介をしてきた。
ハマダン・オリオール。彼の名前なのだ。依頼を断るなら今かもしれないのだ・・・。
でも僕はそんな心配がないのに気付いた。オリオールは僕とパーティを組んだのだ!
初めてのパーティ!これなら複数戦闘も大丈夫かもしれない!

今日の僕語録「初パーティは男の子?」


花嫁探し日記。第22章

僕はいま古き都トホホに来ている。前回の護衛依頼でけっこうお金を貰ったのだ!
初めてのパーティを経験して、僕はやっぱり戦ってくれる仲間が必要だと思ったのだ!
オリオールに別れを告げて、フラリと立ち寄ったこの古き街トホホ。
そこで僕は街の近くまで広がっている黒の森へ行ってみることにしたのだ。
でもやっぱり出てくる敵は複数で強くて勝てなくて、森から逃げ帰る途中で僕は出会った!
迷子のようにウロウロしているのだ。
「ペンギン王なのだ!!」
僕はあっちこっちをウロウロしているそのペンギンに少し近づいてみた。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
あれ?ペンギン王はくちばし白かったかなぁ?あれ??体も白かったかなぁ??
というか、全身真っ白のペンギンだ!ペンギン王じゃないのだ!!
真っ白なペンギンは僕を見つけると、トタトタと歩いてきたのだ。
僕は持っていた海草を恐る恐る出してみる。
すると・・・・・・・・・・・・・・・食べたのだ!
僕と同じくらいの大きさのこのペンギン。(ジャイアントアルビノペンギンと言うらしいのだ)
ペットにするのだ!一緒に戦ってくれる仲間なのだ!リトゥエは一緒に戦ってくれないし・・・・・・・。
たまたま立ち寄った森で痛い目にあったけど、仲間にもあったのだ!
僕はペンギンに名前をつけた、旅の仲間として。「ムーン♪」僕の大好きな名前なのだ♪
これから心強い仲間になってくれそうなのだ!よろしく、ムーン♪

今日の僕語録「並ぶとどっちがペットか分からない」


花嫁探し日記。第23章

初めてムーン♪を見た時、僕は一瞬ペンギン王だと思ったのだ。だからもしかしたら通じるかと…
『王子、それはジャイアントアルビノペンギンです。ペンギンの王ではありません』
あっさり見破られ、しかも種類まで当てられてしまったのだ。ルナは何者なのだ?!
宮殿内にどうやってムーン♪を入れていいものか僕は困り果てた。
『もしかしてそのペンギンさんが見つけた花嫁ちゃんですか?』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違うのだ。でも冒険の仲間なのだ!」
ルナはしばらく考え込んでいるようだったのだ。そのうち不安そうな僕の顔を見てにっこり笑うと
『王様たちには私が上手に話しておきますね。安心してムーン♪をお部屋へ連れてってください』
ルナは本当に頼りになるのだ!おかげでムーン♪は宮殿の一員になれたのだ。
すぐにムーン♪は宮殿の人気者になったのだ。みんな可愛がってくれているのだ。
次の冒険に出る朝、ルナが僕に言った。
『王子は、妖精さんやペンギンさんに好かれますね。でも好かれるのはいいことですよ。
王様になるにはたくさんの人に好かれなくてはいけませんからね。』
僕の冒険はきっともっとたくさんのことを学ぶ為の冒険なのかもしれない。
花嫁ちゃん探しだけではなく、他にもたくさんのことを学んでいつかは父上に追いつくのだ!

リトゥエとムーン♪ 僕の冒険の仲間たち。そしてまだ見ぬ花嫁ちゃん。
今日も張り切って冒険に行くのだ!!

今日の僕語録「ウササン王はレベルアップした!」


花嫁探し日記。第24章

新たに加わった仲間、ジャイアントアルビノペンギンのムーン♪
黒の森で迷っていたムーン♪のために、河へ行こうと考えたのだ。
トホホの街から西ヨファイオ河を目指す。水浴びでもすればきっとムーン♪も喜んでくれるのだ。
ヨファイオ河はとても大きくてオイビア係留所には船がたくさん停泊しているのだ。
ムーン♪の水浴び出来るスペースがあるのだろうか?でも河を見ているムーン♪は何やら
嬉しそうに見えたのだ。それにしても普段からこんなに船が多いものなのか・・・。

リトゥエの情報収集によると上流に大水蛇が現れたらしく、それで船がココで停まっているらしいのだ。
上流でってことは、この係留所あたりなら水浴びしていても大丈夫だろうか?
船と船の間で水浴びをしているムーン♪を見ながら僕は考えたのだ。
『で、どうする?その大水蛇、狙ってみる?』
「ムーン♪の水浴びのために来たのだ。とりあえず、のんびりするのだ」
お昼くらいまで係留所でのんびり過ごした僕は、ムーン♪を連れてトホホへ戻った。
たとえ心強い味方が増えたとは言え、今の僕のレベルで勝てるとは思えないのだ。
蛇・・・・・あまり好きじゃないし。しかも大蛇なんて。食べられちゃいそうなのだ。
久しぶりにゆっくりした時間を過ごしたのだ。宮殿にいるとなかなか味わえない。
こういうのもたまにはいいのだ〜。

今日の僕語録「心の水浴びも必要なのだ♪」


花嫁探し日記。第25章

寒い。僕の体はそれなりにモフモフしていて温かいハズなのに、それでも寒い。
さすがは「凍える大地」と言う名前だけあるのだ。凍えてしまいそうなのだ。
でもムーン♪はとなりで嬉しそうに飛び回っている。リトゥエは僕の体から離れない。
そんな時、目の前に2匹のカワイイ白ウサギが飛び出してきたのだ。
僕の花嫁ちゃん候補だろうか?ちょっとまっしろでかわいいのだ♪話しかけてみるのだ。
近づいた僕の顔面に突然痛みが走ったのだ!
軽いフットワークでピョンピョンとびながら、僕にキックを繰り出してくる!
『花嫁候補じゃないみたいね』
リトゥエの冷たい視線・・・。ムーン♪も僕が蹴られて怒っているみたいなのだ。

ムーン♪と一緒に2匹の白うさぎを倒す。一緒に戦ってみて分かったのだ。
ムーン♪の与えるダメージと僕の与えるダメージが殆ど同じだということに!
中には僕よりダメージを与えている時もあるのだ!心強いというか、情けないというか・・・。
僕はもっともっと強くならなくてはいけないのだ!ムーン♪を守れるくらいに!

更に奥へと進むと寒さも厳しくなってきたのだ。リトゥエがもう耐えられないと言っている。
実は僕も限界まできているのだ。このモフモフの体が通用しないなんて!
大人しく引き返すことにするのだ。防寒具・・・・・これも頭に入れておかなくちゃ。

今日の僕語録「モフモフは凍える前まで!」


花嫁探し日記。第26章

僕は方向感覚があまり良くない。自分では分かっているつもりでも全く違う方向へ
行ったりすることが少なくないのだ!これは宮殿でいまだに迷うことからも分かる。
『胸はって言うことじゃないでしょ!要するに迷いこんだんじゃない!』
「うっ。」
リトゥエに痛いところをつかれたのだ。
『どうしてエーデンバーグに行こうとしてクォルルマル大森林に迷い込むのよ!』
そんなこと言われても、僕にだって分からないのだ。
方向音痴は感性のなせるワザであって、やろうと思って出来ることじゃないのだ!
『ワケの分からないことブツブツ言ってないの!敵よ!』
リトゥエに言われた方向を見と・・・・・1,2,3・・・・・・・・6・・・・7?!
今までで最大数の敵パーティなのだ!!7対2じゃ勝てないのだ!!
そうだ!作戦を立てればいいのだ!囮作戦なのだ!うまく行けば勝てるかもしれないのだ!
『って、私が囮―!』
叫ぶリトゥエを掴むと敵の方へ投げ込んだ。リトゥエの目暗ましの閃光が効いてるうちに
僕とムーン♪は片っ端から敵をポカポカと殴りまくったのだ。

ボロボロになりながらも何とか・・・本当に何とか敵を倒せたのだ。
でも本当に手強かったのは敵ではなくリトゥエだったのだ。
その後しばらくの間、リトゥエの機嫌を直すのに全力を注ぐ僕なのだった・・・。

今日の僕語録「女の子は難しいのだ・・・。」


花嫁探し日記。第27章

エデンバーグを目指して、クォルルマル大森林に迷い込んでから長い時間が過ぎたのだ。
そろそろ出られてもいい頃だと思うのだ・・・。
と、目の前に明らかに怪しい格好をした女の子を見つけたのだ!
見た目は猫のような・・・・・歩き方も猫のような・・・・・でも何処かヘン!?
その人は僕たちを見つけると声を掛けてきた。
『そこのあなた!あなた猫っぽいわ!この際いい機会だから、あなたも猫ライフを エンジョーイしてみない!?』
猫っぽい?!そんなワケないのだ!僕は由緒正しいウサギなのだ!
見た目だって、ピンクだけどウサギにしか見えないハズなのだ!!
『・・・・・ねえねえ、見ないようにして、通り過ぎたほうが良くない?』
リトゥエがそうささやいた。でも、でも、一言言わないと気がすまないのだ!
「僕はうさぎなのだ!猫っぽくなんかないのだ!花嫁ちゃんを探す旅をしているだけなのだ!」
『花嫁ちゃん?・・・・・・・・・私はもう少し大人な人がいいわ、ごめんなさいね、ぼく。』
な、な、なー!!僕だって花嫁ちゃん候補にすら入れてないのに!
僕が言いかえそうとした言葉をさえぎり、
『猫目石を探してきてくれれば、あなたもわたしも猫まっしぐら!この前、探してきてくれた
ほげほげ洞窟探検隊みたいな格好の人も、今やすっかり猫ライフよ? じゃあ、がんばって探してきてね〜』
花嫁ちゃん候補が猫なのはかまわないのだ。でも彼女は遠慮したい・・・。

今日の僕語録「ピンクだけど、由緒正しきウサギなのだ!」


花嫁探し日記。第28章

赤い塔が中心になっている観都エデンバーグ♪やっとやっと辿りついたのだ。
猫娘に怪しい猫ライフ勧誘を受けて以来、ちょっとネコに敏感になってしまった僕。
ネコを見かけるだけで、思い出してしまうのだ。僕はウサギなのに!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気を取り直して、エデンバーグを探索するのだ♪
観光主体の街だけにとても賑やかな雰囲気なのだ。
僕はモゴリーの花園へ行ってみた。この季節、きっと凄くキレイに違いない!
そこで花嫁ちゃんとの出逢いがあるかもしれないのだ・・・。

モゴリーの花園は期待していたような感じではなかったのだ。
巨大なハチが出現し、暴れているらしいのだ。ついてそうそう、聞こえてくる羽音。
『う、うえぇ・・・。ちょっと、あれ、でかすぎない?』
た、確かにでかすぎなのだ!20センチぐらいはある巨大なハチが3匹もいるのだ。
でもキレイな花園を取り戻す為には頑張って倒すしかないのだ!

ハチを倒した後、広葉樹の枝下で大きいハチの巣を見つけたのだ。
これさえ取ればきっと大丈夫なのだ!たくさん刺されたけど頑張ったかいがあったのだ。
ハチと戦ってて気づかなかったけど、花のいい香りがするのだ♪
「・・・・・・・・・・・・く、くちゃん!!」
????? 
「くちゃん!くちゃん!!」
『何それ?くしゃみ??花粉症だったの?』
「そ、そんとことないのだ。花は大好き・・なっ・・・のだ、くちゃん!」
『あー突然花粉症になることってあるみたいだもんね。ハチも倒したし、早く出ましょう!』
・・・・・・・・・・。花園での出会いは儚く消えてしまったのだった。

今日の僕語録「ぼ、・・ぼ・・は・・・くちゃん!!!」


花嫁探し日記。第29章

僕はいまシラーヌの白林に来ている。
『また迷いこんだんでしょ!』
と、リトゥエの突っ込みが入るが、今日はちゃんと自分で来るつもりで来たのだ。
白林というだけあって、びっくりするほど白いのだ。木も葉も実も土も・・・・・。
ムーン♪も保護色みたいになってしまっているのだ。
出てくる敵も真っ白なのだ。ヒツジにウサギ・・・・・・。真っ白なウサギ?
以前にも会ったことがあるような気がするのだ。確か凍える大地だったような・・・。
だから僕は知っている。花嫁ちゃん候補になってもらおうと近づいた途端、
キックがとんでくるのを!今度はその手には引っかからないのだ!
と思ったら、目の前の白いカワイイウサギが甘い声で鳴いた。あう、かわいい♪
あまりの甘い声にうっとり眠くなった僕に、もう1匹のウサギがタックルで攻撃!
あう!!ここのウサギはタックルだったか・・・・・・。でも何とか勝利。ムーン♪のおかげなのだ。

あまりの白さに不思議な気分になりながら、僕たちは白林の奥へと進んでいったのだ。
『あ、やばっ!ちょっと止まって!これ以上先に進むと、結界に捕まる。』
リトゥエが言うには、ココから先は迷宮になっていて正しい道を進まないと出られなくなるらしい。
リトゥエは拾った小枝で地面に印章を書くと
『うん!上出来上出来!これで、結界の中に入ってもいつでもこの場所に戻ってこれる・・・・・・
と、思う』
最後の一言が気になるけど・・・・・・・僕はリトゥエの言葉を信じよう!

今日の僕語録「・・・・・・・・・・・・・・・・と、思う。」


花嫁探し日記。第30章

結界の中に入った僕たちは別れ道に出たのだ。目の前には3つの道がある。
左と正面と右と・・・・・・・・・・・・・どうするべきなのだろう。
「ここは良く観察することが大事なのだ!」
左の道は2本の小枝があって・・・正面の道は奇妙な形に削られた岩・・・右の道は細いツタ・・・
「うん、左の道へ行くのだ!」
『何かわかったの?』
「勘なのだ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ぱし。』
リトゥエが僕の頭を小突く。何か気に入らなかったらしいのだ。
僕は胸を張って進んだのだ!だって悩んでも仕方ないのだ!分からない時は勘に頼るのだ!

ずんずん進んで行くと、また3つの別れ道に出る。でもさっきの道とは違うらしいのだ。
左の道は動物の気配がする・・・正面の道は矢印がついていて・・・右の道は轍の2本線・・・
『また勘なんでしょ?どうせ』
「いや・・・車輪のあとを追いかけるのだ!誰か通ったってことなのだ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・単純。』
リトゥエの言葉を流し、僕は右の道をずんずん進んだ。
目の前にまた3つの別れ道・・・しかも1番始めの別れ道と同じなのだ!
「戻ってきてしまったのだ?またやりなおしなのだ。2つ目まではきっと合ってるのだ!
車輪がいけなかったのだ!また左の道へ行くのだ!!」
ずんずん進む。僕の考えでは次も車輪の別れ道へ出るハズだったのだ。 でも・・・・・
『あ!やっぱりーーー結界の外へ出られたよ!』
確かに周囲の霧が薄くなって、遠くまでみることが出来るのだ・・・・・僕はやったのだ!

今日の僕語録「悩むぐらいなら勘で!」


花嫁探し日記。第31章

結界を僕の見事な推理(勘)で切り抜けた僕たちの前に巨大な湖の姿がうっすら見える。
『あの湖の先に、賢人達の都エル=サラームがある筈だよ。ほら、急ご』
湖に近づこうとした僕たちの前にエルフの一団が現れたのだ。
4人いるエルフたちはみんな真っ白な服を着てる。
「リトゥエ・・・・・。」
『なによ』
「どの人が女の人なのだ?」
『はぁ?』
「だって花嫁ちゃんになる人は女の人じゃないと困るのだ。じゃないと絵本みたいになっちゃうし。
でもエルフはみんなキレイすぎてどの人が女の人かわからないのだ・・・・・とっても困るのだ」
『花嫁ちゃん探ししてる場合じゃないでしょ?!』

『穢れた人間に、穢れた妖精か。我らが白都に、
貴様等のような汚濁した存在が足を踏み入れるのを許すわけにはいかない』
「人間じゃないのに・・・・・。例え女の人だとしても、あいつは嫌なのだ!」
『あんた、何かズレてるわよ』

『この森から立ち去れ!!』
結局、戦いには勝ったものの、何かものを投げつけられ、林の外輪部まで吹き飛ばされてしまったのだ・・・。
「あの杖持った人、かわいかったのだ・・・・・・」
『ぼかっ!』
またリトゥエに叩かれた。何が気に入らないのだ?

今日の僕語録「キレイすぎるのも考えものなのだ」


花嫁探し日記。第32章

リカステに到着♪ここはオルス内一の都市ということなのだ。
それにしても僕もけっこう色んなところをたくさん旅して来たのだ。
ルナの協力があるとは言え、父上や母、ジイや宮殿のみんなに内緒で冒険を続けられるとは
正直思ってなかったのだ!これもひとえにルナのおかげなのだ♪
ルナはいつも僕の冒険の話を嬉しそうに聞いてくれるのだ。それが僕も嬉しいのだ♪
でもまだ旅の目的である「花嫁ちゃん」は見つかっていないのだ。
何人かの候補には出会ったのだが、まだ見つかっていない・・・・・・。
『王子、花嫁ちゃんはそんなに簡単に見つかるものじゃありません。
だからゆっくり探せばいいんですよ。王子はまだ若いんですから。』
ルナの言葉を思い出すけど、焦らずにもいられないのだ!
だって、この花嫁ちゃん探しの旅の発端は、父上のいいなづけ宣言なのだ!
・・・・・・・・・・・・・父上と母はどうだったんだろう?今度ルナに聞いてみるのだ♪

分かっているのは、僕の旅はまだまだ続くということなのだ。
花嫁ちゃんが見つかるかどうか分からないけど、リトゥエやムーン♪と一緒に旅をするのも
実はとても楽しいのだ。ワクワクするのだ!だからこれからも旅を続けるのだ♪

今日の僕語録「父上には負けないのだ!」


花嫁探し日記。第33章

群竜回廊・・・・・僕はいまここに迷いこん・・もとい、ココに来ているのだ!
冒険者はココに竜の捕獲に来るらしいのだ。僕も捕獲を試みる!
ムーン♪につれて、竜まで仲間になってくれたらどれほど心強いだろうか!!
出来れば翼竜がいいのだ♪などと考えながら、僕たちは奥へと進んで行った。
途中の大きく3つに分かれたルートで西廻りを選んだ。
西廻りのルートは険しい峡谷で、強い風が吹いているのだ。ひとまず岩陰で休もうとした時、
目の前に大きなワイヴァーンが3匹襲い掛かってきたのだ!

僕は強くなったのだ。あれから色んなトコへ行って、仲間も増えて、ある程度は勝てるように
なっていたのだ。それでも!!・・・・・・・・・・それでもワイヴァーンには勝てなかったのだ。
あんなに大きな竜が3匹も出て来て、こっちはか弱いうさぎとぺんぎん。
勝てるわけがないのだ。
久しぶりにボロボロのメタメタにやられてしまったのだ・・・。
竜に挑むにはまだ早かったのだ!竜を仲間にするのもまだ早かったのだ!!
でも絶対にまた来るのだ!いつか翼竜の背中にのって旅をするのだ!!!

今日の僕語録「食べられなくて良かったのだ・・・」


花嫁探し日記。第34章

きょろきょろ、きょろきょろ。きょろきょろ、きょろきょろ。
『何、ビクビクしてんのよ!シャキッとしなさい!』
だって、ここは盗賊の街と言われているのだ!気をつけるにこしたことないのだ!
『そんな歩き方してたらよけいに不自然よ!逆に狙われちゃうでしょ。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
確かに。風を喚ぶ街リカステから遥か離れたココは灰色の街シラン。ある意味、活気に溢れてる。
ちょっといろいろ街を見て回るのだ・・・・・。

ハイド108という商店に入ってみた。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
こ、この店は何も言ってくれないのだ???
お店に入ったら何か一言言ってくれてもいいのだ。試しに薬草を買ってみると
『薬草ですね。お買い上げありがとうございます。』
普通の返事が返ってきたのだ・・・・・。何か調子が狂うのだ・・・。
とりあえずしばらくはシランでいろんなところへ行ってみよう!
夜霧の谷・・・、カクラの機甲館・・・、シラン郊外、地下水路・・・。
何処へ行けば花嫁ちゃんに出会えそうなのか・・・。
僕にぴったりな花嫁ちゃんを探し続けるのだ。

今日の僕語録「スマイル0rea」


花嫁探し日記。第35章

シランの街から夜霧の谷を目指した僕たちは霧の中に迷い込んでしまったのだ。
何やらこの辺りに「うがー!」という感じの化け物がでるらしい・・・。
リトゥエの情報収集は内容を得ないのだ・・・。
うがーって感じの形ってどんな形なのだ???まったく・・・。
とりあえず霧の中の探索は続く。
何回か戦闘を繰り返したが相変わらずの霧にもう疲れてしまったのだ。
「この霧じゃ、まともに探索も出来ないのだ・・・」
『んー。それじゃ、私が探してくるよ。はい、これ』
「痛いのだ!」
『痛いのは私でしょ!!』
「見てるだけでも痛いのだ・・・。」
『それ、ちゃんと持っててよ。でないと私戻れなくなるから!』
そういうとちぎった羽を残し、リトゥエは霧の中へ消えて行ったのだ・・・。

1時間ぐらいでリトゥエは戻って来た。今回はリトゥエが頼もしく見えるのだ!
リトゥエの探索では、人里がありそうな岩道と霧が凝り固まってる場所があるということなのだ。
もちろん!!人里を目指すに決まっているのだ!!
でなきゃ、花嫁ちゃんは見つからないのだ!

今日の僕語録「霧の中のうがー」


花嫁探し日記。第36章

壁に沿って細い登り道を登っていくと正面から突然吠え声が聞こえてきたのだ。
『犬、かな。あの声は』
そんなこと言われても、霧で周りが全然見えないのだ。
そのうち、目の前に犬の姿が現れたのだ。先に行かせないように立ちはだかっている。

犬を倒して先に進もうとした時・・・
『異郷の者よ』
何処からか声がするのだ。花嫁ちゃんにしてはカワイらしい声ではない・・・。
男の人のような、女の人のような、どちらとも言えない声なのだ・・・。
『ここから先は貴方等が足を踏み入れて良い場所ではない。早々に立ち去るがいい』
そんなこと言われても困るのだ。姿が見えないと花嫁ちゃんかどうか・・・。
『この場を退き安寧を享受するか、それとも先を目指し我の刃に倒れるか、二つに一つ。・・・』
「顔が見えないと花嫁ちゃんには選べないのだ!」
『またズレてる・・・・』
『そうか。ならば去ね』

霧の中、色んな方向からクナイが飛んできて、僕もムーン♪も避けるだけで手一杯なのだ。
そういえばジイから「しのび」という人たちのことを聞いたことがあるのだ・・・。
結局それ以上先に進むことは出来なかったのだ。顔を見ることも出来ず、
花嫁ちゃん候補も探せなかったのだ。身軽な花嫁ちゃんもいいと思ったのに。

今日の僕語録「顔を見ないと始まらない」


花嫁探し日記。第37章

ぴちょん、ぴちょん・・・。ここはあまり居心地のいい場所とは言えないのだ。
みんな何のためにこの地下水路にもぐりこんでいるのか?
僕の嫌いなアレがいかにも出そうな雰囲気たっぷりなのだ〜。
カサカサカサカサ・・・・・
って嫌な音がして・・・・・・・・やっぱり出たのだーーーーーーーーーー!!
僕の嫌いなご、ゴキブリ?!しかも体長2メートル近い・・・・・・・・う、うーん。
ま、負けないのだ!!頑張るのだ!!行くのだ、ムーン♪!!
『あんたも行きなさいよ!あの中に花嫁ちゃんがいるかもしれないでしょ!』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど!」
って、そんなことあるわけないのだ!!あってもそんな花嫁ちゃんはイヤなのだ!!
僕は猛烈な勢いでゴキブリに向かっていったのだ。おりゃおりゃおりゃーーー!

ふー。死闘の末にゴキブリ3匹を倒したのだ。ゴキブリに受けた毒を治しながら
僕は思う。今までで1番キツイ戦いだったのだ・・・。
もう2度と出会いたくないため、僕はそそくさと地下水路を後にしたかった。
僕は方向音痴なのだ。地下水路で迷っても仕方ないのだ。
結局数時間迷い、麻袋から224リーミルを見つけて地上に生還したのだ。
出来ればもう行きたくない場所なのだ・・・。

今日の僕語録「お金ってこうやって稼ぐの?」


花嫁探し日記。第38章

僕の大嫌いなゴキブリ・・・・・その死闘の末に地下水路から生還した僕たち。
お金を稼ぐというのはとても大変なんだなぁと実感したのだ。
それにしても、あんな大きなゴキブリは宮殿にだっていないのだ!
ルナが見たら悲鳴をあげて大騒ぎになるに違いないのだ!
ゴキブリと戦ったなんて言わないでおこう・・・僕はそう心に決めて宮殿に戻った。

『王子、お帰りなさい。今日も大冒険だったみたいですね。・・・何か臭いますよ。』
「ち、地下水路に潜ったからだと思うのだ」
『まあ、それは大変。早くお風呂に入って汚れを落としてください』
「わ、分かったのだ」
僕はそそくさとお風呂へ向かおうとした・・・その時、
『あら、ムーン♪ 何をくわえてるの?』
振り向くといつの間にかムーン♪が茶色い何かを口に・・・・・・あれはまさか?!
「あー!ゴキ・・・ブ・・リの殻・・・・わわ!」
『え?』
既にその黒光りする殻はルナの手の中に・・・・・・
『!!!・・・・・・・・・!・・・・・・・・・・・・・!!!!』

本当にびっくりした時って声が出ないものなのだ。あんなルナ初めて見たのだ・・・。
「お前があんなもの持ってくるからイケナイんだぞ。まったくいつの間に・・・」
僕は隣りで水遊びしてるムーン♪に言う。でも全然気にしてないようだ。
結局、殻はルナに捨てられてしまったのだ。後日市場を見てびっくり!
そっか、売りに出すものだったのか・・・・・。

今日の僕語録「いろんなお金の稼ぎ方があるのだ♪」


花嫁探し日記。第39章

街道の奥に現れたという奇妙な館・・・カクラの機甲館。
聞いた話によるとその館に存在する全ての物が「鋼鉄」で出来ているらしいのだ。
「鋼鉄の花嫁ちゃん・・・・・何だか凄そうなのだ。」
でも何処かにいる花嫁ちゃんを探すためにはいろんな場所に行かなくてはならないのだ!

森の中を数時間歩いていたら目の前に大きな館が見えてきたのだ。
塀で囲まれてて・・・・・でも僕はうさぎなのだ!由緒あるうさぎなのだ!
だから、塀なんてひとっとびなのだ♪
着地した庭は何か変な感じ・・・・・・花も土も・・・鉄で出来ているのだ!!
『・・・・・・なんなのよぉここぉ・・・・・・』
リトゥエの言いたいことも分かるのだ。
館に入ってあたりを見回してみる。シャンデリアも彫刻も絵画も・・・全て鋼鉄なのだ。
嫌な感じでいっぱいなのだ。こんなとこに花嫁ちゃんがいるわけがないのだ。
帰ろう・・・と思った時、
『クケルキリィクケルキリィ!!』
奇怪な声がしたと思ったら、目の前に3体の機械人形が降りてきたのだ!
『キたか来たリカ、コよ子よ子供。こレデ幾人、我ラの元へオとズレようや。良きコトよ良キコとヤ』
青色の人形がイヒイヒと酷く耳障りな声で笑う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『面シロオモ白。ヒ・・・・・・・・・・・・・』
「うわぁーーー気持ち悪いのだぁーーーーーーーーーーーーー!」
僕はリトゥエとムーン♪を掴むとその場から走りだしたのだ。
さすがに僕でもあんな花嫁ちゃんは嫌なのだぁ!!

今日の僕語録「鋼鉄の花嫁ちゃん・・・凄かった・・・。」


花嫁探し日記。第40章

シランはいろんな意味で凄い街だったのだ・・・。
僕の探している花嫁ちゃんは、シランにはいない気がするのだ。
僕は違う街を目指すことにした。シランから少し離れた砂漠の街タレス。
この街は昔は砂漠じゃなかったらしいのだ。
ニルギバータという砂漠が有名らしい。そこに花嫁ちゃんがいるかもしれない。
流砂の向こうはまだ誰も行ったことがないらしいのだ。
きっとあの砂の向こうに大きな街があって、そこにカワイイ花嫁ちゃんが・・・。
「よし、ニルギバータの砂漠に行ってみるのだ」
『砂漠に行くのぉ〜暑いよぉ〜』
「それでも行くのだ!乗り越えた先に花嫁ちゃんがいるのだ!
男にはやらなければならない時があるのだ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ』
リトゥエはため息をつくと肩をすくめる動作をした。もう無理だと思ったらしい。
心配なのはムーン♪なのだ。ムーン♪はペンギンだから暑さは苦手のハズなのだ。
暑さにやられないようにちゃんと準備を整えて出発するのだ。
きっとまだ出会ったことのない花嫁ちゃんに出会えるに違いないのだ♪

今日の僕語録「目指せ!流砂の向こうの花嫁ちゃん♪」


花嫁探し日記。第41章

砂漠。何処までも続く砂の海・・・・・そして限りなく暑い。
とりあえず目の前の巨大な流砂に近づいてみた。渡れるだろうか・・・?
『ちょ、ちょっと、本気なの?あんなの渡るなんて無理だってば。ちょっとーーー』
僕もそう思い始めているのだ。でも様子を見てみないことには・・・。
『あぶない!後ろ、跳んで!』
リトゥエの声にびっくりして、後ろに大きく跳ぶと、僕のいたところから真っ赤なサソリが!
いつのまにか3体のサソリに囲まれていたのだ!負けないぞ!!

ムーン♪と協力してサソリを倒して、なおも流砂に近づいてみる。
そっと流砂に手を入れようと座りこもうとして何かが目の前に飛び出してきたのに気づく。
「な、なんなのだ〜コレは〜???」
蛇のように足のない虫?が何匹も出てきたのだ!!
「うわ〜気持ち悪いのだぁ〜」
無我夢中でステッキを振り回して倒したはいいものの、まだあんなのが続々いるのだ〜?
正直へこむのだ。ま、まあ、気を取り直して流砂を調べてみるのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
流砂の流れが強く底もなく、何だか飲み込まれたら「おわり」って感じなのだ。
『だから言ったでしょーがぁ』
リトゥエの言葉に素直にうなづくと、僕たちは街への道を戻り始めた。

今日の僕語録「流砂のように果てしない僕の花嫁ちゃん探し。」


花嫁探し日記。第42章

ウスタール大街道、最近この辺りに赤い面覆いを撒いた一団が現れるらしいのだ。
道行く旅人や商隊を襲っては金品を巻き上げていくなんて、許されないのだ!
僕がやっつけてやるのだ!
『大丈夫なの?国の騎士とかに任せておいた方がいいんじゃない?』
リトゥエの言葉に僕は言い返す!
「だって、もし僕の花嫁ちゃんが奪われていたらどうするのだ?!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?』
「花嫁ちゃんの乗った馬車が襲われているかもしれないのだ!
そして僕が花嫁ちゃんを助けてロマンチックな出会いが・・・・・・」
『・・・・・ろまんちっくねぇ・・・・・』
リトゥエは呆れ顔でそれ以上何も言わなくなった。
ムーン♪はとなりでご飯をモグモグと食べている。

1日中見張っていたのだが、結局それらしき一団は現れなかった。
たまに馬車や旅人が通り過ぎていくだけ。花嫁ちゃん候補らしき人もいない。
『残念だったわね・・・』
リトゥエの口調が全然残念そうじゃないのだ。
仕方がない。一度タレスに戻って次の街へ移動するのだ♪

今日の僕語録「ロマンチックな出会いがしてみたい♪」


花嫁探し日記。第43章

武都テヌテ。1番はじのテリアミオ山の頂き付近にある街なのだ。
ここに来るのも大変だったのだ。その分、花嫁ちゃん候補がいるといいなぁ。

テヌテの酒場で休憩した時に不思議な噂を聞いたのだ!
そしてやってきた「リーンティク山」 この山で空をふわふわと飛ぶ羊を見かけたというのだ!!
「僕だって飛べないし、ムーン♪でさえ飛べないのに、羊が飛ぶなんて!!」
『うーん、確かに珍しいわよね』
「絶対に見つけるのだ!見つけて・・・見つけて・・・」
『お嫁ちゃんにするの?』
「・・・・・・・・乗せてもらうのだ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・』
空飛ぶ羊にのるピンクのうさぎ・・・・・かわいいに決まってるのだ!
空を飛ぶのは気持ちいいに決まってるのだ!!

僕の野望を察したのか、1日中歩いて探しても空飛ぶ羊は現れなかった。
羊どころか亜獣にも出会わなかったのだ。運やタイミングも関係するらしい。
また日を改めて来ることにするのだ。最近待ちぼうけがおおいのだ・・・。

今日の僕語録「空飛ぶ花嫁ちゃんもありかも・・・」


花嫁探し日記。第44章

最近、いつも山に来ているのだ。この前はリーンティク山で今日は鋭く高き山。
どうやらここには全身朱色の炎に包まれた鳥がいるらしいのだ。
そういえば、だいぶ前に鈴都アンサンシルのノーフェン穀倉地帯で
炎に包まれたお城を見たのだ。そこにはキレイなお姉さんがいたのだ。
お嫁ちゃん候補にしようと近づいたら、槍を投げられたんだっけ・・・。
今日もそんな出会いがあるのだろうか?ちょ、ちょっとドキドキしてくるのだ。

険しい山を苦労して登って行くと、岩陰から朱色がチラチラと見え始めたのだ。
そっと覗いてみると、一羽の大きな鳥が羽を休めているらしいのだ。
僕はしばし見とれた。と、
『くぉるるぅるる!!』
はっと気が付いて上を見ると、全身を炎に包まれた鳥がこちらに向かって飛んでくる。
と、とても花嫁ちゃん候補として交渉しているヒマはないのだ〜。

僕の毛はふわふわして意外に燃えやすい。結果、僕はまたしても手ぶらで帰ることに・・・。
ところどころ焦げた匂いがするのだ〜。ルナに薬を塗ってもらわなくちゃ!
花嫁ちゃん探しの旅がなかなか進まなくなってきている。

今日の僕語録「ピンクのボディだけど熱いのは苦手です」


花嫁探し日記。第45章

テヌテ十二街路の一つ、寅の道。この街路ではテヌテで盛んなガジュ・レ式健闘術を
学ぶ人が多いらしいのだ。人だかりが出来ているところへ行ってみると・・・
『ストリィィイイトフィアィトオアオァア!!』
・・・・・意味不明な垂れ幕。な、なんなのだ、これは???
覗いてみるとちょっとしたスペースに二人の男が素手で殴りあっているのだ。
・・・・・・・・・・・・・何やらここには花嫁ちゃんはいないらしい。
絡まれる前に場所を移動するのだ・・・。
『次の相手はぁあーーおい、そこのキミ、冒険者だろう? オレと軽い試合していかないか!』
「!!」
振り向くとやっぱり僕を見てるのだ。手遅れだったらしい。
『さぁ、いくぞぅ!!』

素手対素手の勝負とは言っても、僕はまだ6歳の男の子なのだ!
拳で男の人に勝てるわけがないのだ!!
ヒリヒリする手をさすりながら寅の道を後にする僕たち。
何なのだ?最近花嫁ちゃんどころか女の子にも会えないのだ。
まだまだ探し方が足りないのか?もっと積極的にいろんな場所へ行かなくては!!

今日の僕語録「拳で語るのは大人になってから!」


花嫁探し日記。第46章

海は好きだ!青く透き通った水がたっぷり溢れてて気持ちがいいのだ!
・・・・・でもココは何なのだ!!茶色い!水が茶色いのだ!
水ではないのだ・・・・・土?泥? 泥の海なのだ。たぷたぷなのだ。
『泥海・・・・・ログレブル湖よ』
これではいくらなんでもムーン♪も喜べないだろう・・・。
と思ってムーン♪の方を見ると・・・
「うわ!!」
ムーン♪が色替えしてるのだ!!白かったムーン♪はすっかり茶色ムーン♪に。
水際でたぷたぷ泥をかぶって遊んでいる・・・・・。
「あぁ、ムーン♪すっかりチョコレート色なのだ。洗うのが大変なのだ〜」
洗う場所を探そうと見ると、かなり離れた位置に煙のようなものが上がっている。
湖の近くに村でもあるのかもしれないのだ。とりあえず煙目指して行ってみるのだ!
花嫁ちゃんもいるかもしれないし・・・・・。

村は小さいけど緊張感のないのんびりした雰囲気が漂っている。
ムーン♪を洗う場所と情報収集をしようと歩いていると声を掛けられた。
庭でお酒を飲んでいる数人の老人たちがこっちを見ている。
『暇ならちょっくらワシらに付き合っていけや。一杯くらいならタダでくれてやるぞぅ』
・・・・・・僕はまだお酒は飲めないのだ。酔っ払っているのだろうか?
お酒は飲めないけど話くらいなら聞いてもいいのだ。
ついでにムーン♪も洗わせてもらうのだ♪

今日の僕語録「酔っ払っている時は話半分でw」


花嫁探し日記。第47章

泥の海ログレブル湖付近の村で僕たちは数人の老人につかまった。
お酒は飲めないので、お茶をもらいながらしばらく会話に加わる。
何か泥海の情報でも入手出来るといいのだけれどなぁ・・・。
泥海について何か知らないかと尋ねてみると
『・・・ふむ。わし等が知っている事なんざ、たかがしれとるよ。あの夜・・・『虹色の夜』 の後、突然じゃな。
あの湖が一晩で泥の湖に変わったのは。・・・それだけじゃよ、わし等の知ってる事といえば』
どうやら以前はこの湖は泥ではなかったらしいのだ。でも有害な水だったようだ。
『貴方達、なんでこんなところに住んでるの?・・・・』
リトゥエの言葉に老人の一人が
『そりゃ、わしらには古くからの役目がーーむぐ』
口を滑らせる。役目?何かの役目でここに住んでいるのだ?
その後、リトゥエの質問に老人たちは意外に素直に教えてくれた。
村の近くに小さな祠があって、それを守るために村に住んでいるようだった。
『宝とかそういったものは一切置かれておらん。・・・・』
なんでも、その老人たちの祖先がこの辺りで行き倒れそうになったとき、
その洞窟から 出てきた神さまに助けてもらったのが発端らしい。
「神さまって女の人なのだ?」
『・・・・・・・・・・』
リトゥエのあきれた顔。
『まぁ、気になるようじゃったら行ってみるといい。別に村の者以外の立ち入りを
禁じているわけでもないしな。』
よし、行ってみるのだ〜!!リトゥエがとなりでため息をついているのだ。

今日の僕語録「女神さまの花嫁ちゃんも・・・・・いい!」


花嫁探し日記。第48章

村を出て1時間もしないうちに祠らしき場所に着いたのだ。
聞いていた通り、見た感じ普通の洞穴だったのだ。他には何もない。
奥行きも殆どなく5メートルも行けば行き止まりになっている。
村人の手作りのような木の祭壇と花が置かれているだけなのだ。
『うーん、これは本当に何も無いねぇ』
リトゥエが辺りを見回しながらそう言った。
「女神さまの存在も感じられないのだ?花嫁ちゃん候補はいないのだ?」
『んー?―――――ぜんっぜんしない!』
「がーーーーーーん。また出会えなかったのだ。」
『・・・・・・・・・・・・・はぁ。』
ため息が出るのはこっちなのだ・・・。
僕は隣でペタペタ歩きながら楽しそうにしているムーン♪を見る。
何だか分からないムーン♪はワケもなく幸せそうなのだ。
どうやら完全に無駄足だったのだ。街に帰るのだ・・・。

今日の僕語録「分からない方が幸せなこともある」


花嫁探し日記。第49章

花嫁ちゃん探しの旅に出てもう半年が経とうとしているのだ。
旅を始めた頃に比べて僕は少しは成長しているのだろうか?
身長はずいぶん伸びたと思うのだ!3センチは伸びているのだ!
この分ならムーン♪を遥か見下ろすのも時間の問題なのだ!

そして僕は思う。空へ行ってみようと・・・。
何処の酒場だか忘れたのだが、噂に聞いたことがあるのだ。
浮遊大陸・ソルネアという大陸が空にあるということを・・・。
僕の宮殿がある月とはまた別の大陸らしいのだ!
確か・・・・・るあむじゃから行けるとか行けないとか・・・。
そこにまだ見ぬ花嫁ちゃん候補がきっといると思うのだ!!
全ての場所を回ったわけではないけれど、一度空へ旅立ってみようと思うのだ!
きっとルナも賛成してくれるに違いないのだ!まずは情報を集めるのだ♪

今日の僕語録「空へ!」


花嫁探し日記。第50章

「僕は空に行こうと思っているのだ!宮殿があるこことは別に
浮遊大陸ソルネアというのがあるらしいのだ!ルナ、僕はそこへ行ってみたいのだ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ルナはしばらくキョトンとしていたのだ。でもすぐに「にっこり」笑うと
『分かりました。でもルールは変わりませんよ?週に2回だけ、
暗くなりすぎる前に戻ってくること!約束してくださいね。』
そう言ったのだ。さすが話がわかるのだ!

いつも思うのだが、ルナはどうやって父上たちをごまかしているのだろうか?
旅の内容によっては、暗くなる前に戻れなくなったこともある、帰れなくなったこともある。
だけど宮殿に戻っても父上たちにはバレてないようなのだ・・・ルナ、恐るべし!
そのルナのおかげで僕はこうして週に2回、花嫁ちゃんを探す旅に出られるのだから。
「ルナ、いつもありがとうなのだ」
『いいんですよ。王子が素敵な花嫁ちゃんを見つけられるまで任せてください』
頼もしい・・・。ルナのためにも花嫁ちゃんを見つけて来なくては!
浮遊大陸ソルネア!まだ見ぬ花嫁ちゃんを目指して頑張るのだ!!

今日の僕語録「話がわかる!頼もしい!ルナ最強!!」


花嫁探し日記。第51章

『輝峰ラウマ』
そこが浮遊大陸への通り道らしいのだ!しかも山頂には巨大な金色の竜がいるとか・・・・・。
正直、竜は怖い!でも浮遊大陸へは行ってみたい!!
とにかく行けるところまで登ってみるのだ!
途中急な崖のような場所を登りきり、なんとか平らでゆったりとした場所へ辿り着いた。
『頑張ったねー、えらいえらい』
リトゥエが頭をポンポンと叩く。バカにされてる気がするのだ。
その場に座り込んで空を見上げた時、青い竜が浮かんでいるのが飛び込んできた。
背中に甲冑のようなものを身に着けた人影も見える。
『日暮れと共にダヴェズが活性化します。喰らいつかれると非常に危険です。
警戒してください。御武運を祈ります。』
人影は軽く頭を下げると山頂へと消えていった。
良く分からないけど、きっとココには何かがいるのだ!それだけは間違いないのだ!
思った矢先、ピンク色のモンスターが2体出てきたのだ!

僕は自分でも知らないうちにけっこう強くなっているらしいのだ。
倒した2体のモンスターは跡形もなく消えてしまった。
日が暮れた・・・。今日はここで野宿をするしかないらしいのだ。宮殿には帰れない。
ルナはどうやって父上たちをごまかすのだろう。そんなことを僕は考えていた・・・。


今日の僕語録「ちょっぴり、宮殿が恋しい・・・。」


花嫁探し日記。第52章

野宿は初めての経験だったけど、リトゥエやムーン♪がいたから全然平気だったのだ。
次の日も山頂目指して登っていった・・・そして・・・・・。
辿り着いた場所は一面の緑。花が咲き、樹木には果実がなり、小鳥のさえずりが聞こえる。
ここは何処なのだ?僕は一歩足を踏み出した。
『ダメっ!そこはグローエスじゃない!!』
振り返るとリトゥエが唇を噛み締めて緑の園を睨みつけている。
視線の先、洞窟から巨大な竜の顔が覗いていた。
『お相手・・・・・・願います!』
背中にまたがっていた甲冑姿の青年が言う。

彼はエスタ。ソルネアの人だったのだ。何だかいろいろなことがたくさん起きて、
頭の中がパンクしそうなのだ。 ソルネアでも大変なことが起きてるらしいのだ。
でも何故かリトゥエはソルネアに行って欲しくないと言うし・・・。
僕としてはソルネアに行くつもりで登ってきたから行ってみたいのだ。
リトゥエには申し訳ないけど・・・またグローエスにも戻れると言うし。
よし、決めたのだ!
「ソルネアへ行くのだ!!」

今日の僕語録「浮遊大陸ソルネアへ!」


花嫁探し日記。第53章

「ソルネアへ行くのだ!」
僕は黄金竜にそう告げた。リトゥエの小さなため息が聞こえる。
『・・・・・言うと思った。―――――・・・・・・でもね、忘れないでよーーーーー』
「リトゥエ?」
リトゥエはソルネアに行かないみたいなのだ。それとも行けない?
でもそれじゃ困るのだ!僕はリトゥエとムーン♪とソルネアへ行くのだ!!
どうやらリトゥエはソルネアに行けない体らしいのだ。
別れを告げるリトゥエの目の前に黄金竜が角から薄く柔らかな布を出す。
リトゥエは笑い掛けると僕に言った。
『私が注意しないからって無茶ばっかりしちゃダメだぞ。
ちゃんと計画性ってのを持たないと。いい?判った?』
「リトゥエ?」
リトゥエは布を巻きつける。布はリトゥエの体に絡みつくと繭に変わってしまった。
そのまま光り輝く繭は僕の胸元に消えていったのだ!!
「!!・・・・・・・・・・・・・」
『汝が再びこの地を踏む時まで、妖精は汝の中で眠り続ける。案ずることは無い。』
ソルネアではリトゥエと旅が出来ないのだ・・・僕は淋しくなった。
でもリトゥエは僕と一緒にいるのだ!きっと花嫁ちゃん探しの旅も見ててくれてる!!

今日の僕語録「新たなる花嫁ちゃん探しの旅へ!」


花嫁探し日記。第54章

気が付くと僕は奇妙な場所に立っていたのだ。ここが浮遊大陸・ソルネアなのだ?
見えるのはひたすら広がる雲海と青い空、そして空中にポッカリと浮かぶ・・・森?
何かの声に導かれているような気がして、進んでいくと巨大な大洞窟が待ち受けていた。
その中は、多種多様な飛竜たちがひしめいていたのだ!
「!!」
こ、怖い!何か見られてる気がするのだ〜こ、怖いのだ〜でも良く見ると飛竜たちは
威嚇をすることもなく、むしろ穏やかに見つめているような感じなのだ・・・。
中央に光が差し込む場所がある。僕はその光の中へ歩いていった。
そこにはまばゆいばかりの大きな竜の姿が・・・でも怖くない。
その竜は僕にソルネアが滅びようとしていることを教えてくれた。
・・・・・・何だか大変なことになってきたのだ!僕はただ花嫁ちゃん探しをしたくて
ソルネアへ来ただけなのに、「ダベズ」と言う奴と戦えと言われたのだ!
6歳の僕に何が出来るのだろうか???
ワケがわからない僕に、3頭の竜から1頭を選べと言ってきた。
これを選んでしまったらダベズと戦わないといけなくなるのでは?
でも飛竜がいないとソルネアでは移動もままならないのだ・・・。
仕方ない!やるしかないのだ!!何処まで出来るかわからないけど、
僕も男の子なのだ!!花嫁ちゃんを探しつつダベズも倒すのだ!!
「赤いやつーーー!!!」

今日の僕語録「で、ダベズって何だろう?」


花嫁探し日記。第55章

赤い竜から貰った「赤竜の卵」。これから僕の飛竜が生まれるのだ!
ガリアというおじいさんと一緒に孵化させる準備をする。
名前はもう考えてあるのだ!ムーン♪と一緒で僕の大好きな名前なのだ!
生まれてくる飛竜の子供に上げる餌をムーン♪と探しに出掛けた。
6歳で子供を育てることになるなんて・・・育児って大変なのだ。
昔、ルナがそんなことを言っていたのを思い出したのだ・・・・・。
母は僕を一生懸命育ててくれたんだなぁ。僕は立派な王子になるのだ!
生まれてくる飛竜の子も立派な飛竜に育てるのだ!!

その日は一晩中掛かって飛竜の世話をしたのだ!卵にヒビが入り、小さな竜が
一生懸命出てこようとしている・・・。僕は声を掛け続け餌を与えた。

だいぶ飛竜の子も大きくなったのだ!初めての戦闘も難なくこなす。
そろそろ旅立つ時が来たようなのだ。
ガリアのおじいさんは「学びの地」へ行けと言ったのだ。
よし、出発するのだ!ソルネアでの花嫁ちゃん探しへ!!

今日の僕語録「新しい仲間・クレセント♪」


花嫁探し日記。第56章

「学びの地」に到着!ポカポカと穏やかな日差しに包まれた緑の丘なのだ。
数匹のクレセント♪と同じような飛竜の子供がじゃれあったり眠ったりしている。
『ここへ初めて来られた方ですね?』
にこやかな顔の青年が白銀の飛竜の背中から声を掛けてきたのだ。
「そうなのだ・・・。」
『こんにちは。僕はシュウ。彼はスウォー。』
「こんにちはなのだ・・・。」

どうやらここは幼竜の訓練所らしいのだ。
シュウの話によるとここら辺り一帯に生息している
『ジェムプディング』というモンスターを食べた時に能力が少しずつ変わるらしいのだ!
ジェムプディング? 何やら美味しそうな名前なのだ・・・・・でもモンスター・・・。
クレセント♪は3匹くらい食べれば大きくなれるらしい。
話を聞いた僕とムーン♪は、クレセント♪の為にジェムプディングの探索に出掛けることにしたのだ!
名前からしてみるとプルプルで美味しそうな感じなのだ。
果たしてジェムプディングとはどんなモンスターなのだろ?ちょっとワクワクするのだ!

今日の僕語録「プルプル・・・プルプル・・・」


花嫁探し日記。第57章

僕はクレセント♪を成長させる為に「ジェムプディング」を捕まえに出掛けた。
色んなところへ出掛けて「ジェムプディング」と戦闘、『○○の神玉石』とかいうのを
手に入れたのだ!これがクレセント♪の成長に必要なものなのだ?
「ジェムプディング」は想像通りプルプルした感じのスライムみたいなモンスターだった!
クレセント♪は戦闘後のペシャリとしぼんでしまった「ジェムプディング」を丸呑みしてる。
とても美味しそうには見えないのだ。でもクレセント♪は嬉しそうに喉を鳴らしてるのだ。

それを3回ぐらい繰り返した後、クレセント♪が急にうずくまってしまったのだ。
やっぱり、あんなプルプルしたもの食べるからお腹壊したに決まってるのだ!
『いよいよですね』
シュウがそう言って近づいてくる。
『さあ、こっちへ。翼が伸びるんですよ。いよいよ飛べるようになりますね。』
成長するのだ!クレセント♪がこれから大きくなるのだ!ワクワクするのだ!!
今からクレセント♪は成長するために1日か2日の眠りにつくらしいのだ。
僕は眠り続けるクレセント♪をしばらく眺める。
大きく成長して一緒に花嫁ちゃんを探す旅に出るのだ!楽しみなのだ。
クレセント♪が寝てる間、僕に出来ることは何もないらしいのだ。
だから僕はシュウの作った夕食を食べて、それからシュウのお手伝いをすることにしたのだ。

今日の僕語録「花嫁ちゃんも乗せられるかな?」


花嫁探し日記。第58章

朝目が覚めると見慣れない天井が広がっていた。そうだ、ココは宮殿じゃないのだ!
何かに呼ばれたような気がして、僕は急いでクレセント♪のいる洞窟へ向かう。
前まで見下ろしていたクレセント♪の体は見上げる程になっていたのだ!!
『小さくなった?』
「クレセント♪が大きくなったのだ!・・・・・?!」
不思議なのだ!クレセント♪の言葉がわかるのだ!!意思の疎通が出来ているのだ!!!
『うん、クレセント♪、気持ちがわかる。クレセント♪、大きくなったから』
「何だか不思議なのだ!でも凄く嬉しいのだ!!」
リトゥエがいなくなってからやっぱり少し淋しかったのだ・・・。
言葉を交わせるな仲間が増えたのは心強いし嬉しいのだ!!
『クレセント♪、飛べる、飛ぼう!乗って』
そう言ってクレセント♪が頭を低くする。鞍も手綱もないけど乗り心地が良くて
とても安心出来るのだ。落ちる不安なんて全く感じない!

朝日の中を飛んでいると、シュウとスオゥーが近づいてくる。
『おめでとう!あなた達はこの学びの地を卒業です。・・・・・・・・・・・・・
あなた達の旅の無事を祈っています。竜神デフォーのご加護がありますように』
シュウとスオゥーに別れを告げて、僕たちはクレセント♪と新たな場所へ旅立った!
これから本格的に花嫁ちゃん探しの旅を始めるのだ!!
ルナ、僕は元気に頑張っていますのだ!

今日の僕語録「クレセント♪とムーン♪と僕で」


花嫁探し日記。第59章

聖洞院の北にある小さな港からたくさんの船が行き来している。
船と言っても、ここが浮遊大陸である以上それは飛空挺だった。
何だか凄く不思議な光景なのだ!海の上じゃなくて、雲の上に船が浮かんでいる。
あの船に乗ると何処に行けるのだろう?船員たちに話を聞くと、その飛空挺は
「王都ガウェイン」という街から来ているらしいのだ。
ソルネアに来て始めての新しい街!どんな街なんだろう・・・。
飛竜の乗り手は船代が王都持ちでタダらしい!さっそくガウェインを目指すことにする!

乗ってる途中も感覚が何だか不思議だ。甲板の下を覗くと見えるのは真っ青な青!
ではなく、何処までも続く白い雲!何だか落ち着かない感じなのだ。
『雲の上 飛ぶ 不思議? なぜ?』
クレセント♪が振り返ってそう話し掛けてくる。正確には思念を放つ。
うーん、雲海を飛ぶのが当たり前の住人に海を伝えることは出来るのだろうか・・・。
僕はグローエスで乗った船と海を思い浮かべ、クレセント♪に伝えてみる。
『水? 動く水? 鼻がムズムズする。変、とても変!』
そりゃそうだろうなぁ・・・。でもその感覚をまさに僕がいま感じているのだ。

王都ガウェインまでは船長の話だと2日ほどかかるらしい・・・。
着く頃には雲海にも慣れているかな・・・・・。

今日の僕語録「白い海!青い雲?」


花嫁探し日記。第60章

ガウェイン行きの船に乗り込んで、僕たちはのんびりゆったり旅をしていた。
ちょっと気になったのは、船長の言っていた言葉・・・。
『王島までは2日ほどかかるぞ。途中でバルーンやサメやらが襲ってきた時にゃ、
あんたと飛竜をアテにさせてもらうからな。よろしく頼むぜ』
・・・・・・・・・・・・・・・・バルーンやサメ???
それは海の生き物ではないのだ? しかもサメは分かるけどバルーンって何なのだ?
ソルネアでは海ではなく、雲海を船が渡る。ということは、やっぱりサメも雲海に住むのか?
ますます不思議な気持ちでいっぱいになるのだ。遭遇してみたいようなみたくないような。

しばらく甲板でうたたねをしていた僕は、船員たちの叫び声で目を覚ました。
どうやらバルーンやサメが襲って来たらしい・・・・・ドキドキドキ。

サメは見たまま、サメ。バルーンはクラゲのようなものに似ている感じなのだ。
クレセント♪の助けもあって、難なく倒すことが出来た。
そして僕は「フカヒレ」を手に入れたのだ!!高級品なのだ!美味しそうなのだ!
思わぬ収穫に僕は嬉しくなった♪
それからまた甲板でゆっくり船旅を楽しんでいると、目的地ガウェインに到着した。
船長に見送られ、僕は船を降りる。新しい街、王都ガウェインへ!!

今日の僕語録「フカヒレはソルネアでも高級品?」


花嫁探し日記。第61章

王都ガウェイン。ダベズの襲撃から都市部を守るために、建造物の大部分が
地下に作られた城砦都市なのだ!びっくりしたのだ!!
僕の宮殿にだってこんなに凄い地下建造物はないのだ!!
ここは下の世界で言う「るあむじゃ」のような街だろうか?
ココから色んな場所へ行けるらしいのだ・・・・・何処へ行こう・・・。

まずはこの王都を散歩してみるのだ!着いた街を探検しなくては!
だって何処に花嫁ちゃんがいるか分からないのだから・・・。
「クライン」という道具屋に入ってみるのだ!ソルネアではどんなものが売っているのか興味があるのだ!
軟膏・・・浮遊樹の根?・・・火の種・・・雷の種・・・・・
下の世界では売ってなかったものが売っているのだ。ソルネア風なのだ!
この種シリーズは確か火竜に与えるものだったハズ・・・。
ペットフードも売ってるのだ!そろそろムーン♪のペットフードがなくなりそうだったのだ。
これで一安心なのだ。僕はペットフードを買うとお城へ向かうことにした。

今日の僕語録「花嫁ちゃんもソルネア風?」


花嫁探し日記。第62章

王都の繁華街を通ってガウェイン城へと向かう。賑やかな街並みなのだ。
巨大な石で組み上げられた城壁に見たこともないような形の鉄の扉がついている。
凄い!こんな扉、いままで見たことないのだ!凄く頑丈そうなのだ!
こんなに凄いお城の中に僕は入れるのだろうか?
城門に近づくと、傍らにあった詰め所にいた衛兵が声を掛けてきたのだ。
『異国から来られた飛竜使いとお見受けします。我がガウェイン5世王へのお目通りは
成されましたか?まだでありましたら、ご案内するように申しつかっておりますゆえ』
「?????」
案内するように言われている? どういうことなのだ?
でも何か悪いことが起こるようにも思えない。僕は案内してもらうことにしたのだ!

途中、クレセント♪はそれ以上入れないと言われたので、僕は一人で進むことにした。
ムーン♪もクレセント♪と一緒にその場でお留守番なのだ。
ドキドキする。一人で知らない場所へ行こうとしているのだ・・・・・。
僕の宮殿より遥かに広い、遥かに大きい、想像もつかないような場所なのだ・・・。
王様はどんな人なのだろう? お姫さまはいるのだろうか?
僕の花嫁ちゃん候補になってくれるだろうか?

今日の僕語録「空の花嫁ちゃんまであと1歩?」


花嫁探し日記。第63章

磨き上げられた石組みの壁と床、そして天井近くに陣取る竜や大鷲の彫像に
囲まれた幅広の通路が続き、ボクは半円形の広場に到着したのだ。
そこには他にも同じように集められた人たちがたくさんいた。
前にはバルコニーがせり出していて、左右に近衛兵が立っていた。
あそこに王様が現れるのだろうか・・・お姫様も???
ドキドキするのだ。

『アルナスル・レン・ガウェイン王の御なりである』
近衛兵の声とともに現れたのは・・・40歳ぐらいの長身の男性だった。
『よくぞ参られた。竜神デフォーの加護を受けし者たちよ。−−−−−』
僕の父上よりも遥かに年上に見えるのだ。でも声が凄く若々しい!
王様は僕たちにダベズのことを話し、倒せるのは僕たちだけだと言った。
でも無理強いはしないと・・・・・。僕たちの心1つにゆだねると・・・。
そして支度金としていくらかのお金をくれたのだ。ソルネアでは下の大陸と
お金が違うらしい・・・でも僕はもうソルネアのお金を持っていた。
ルナが旅立つ時に渡してくれたのだ。
何故ルナはソルネアのお金を持っていたのか?それは謎である・・・。

とりあえず、クレセント♪たちの所に戻って次の行き先を決めよう!

今日の僕語録「空のお姫様は現れず、花嫁ちゃん候補も現れず・・・」


花嫁探し日記。第64章

ガウェイン城から戻った僕たちは貰った地図を片手に次の目的地を考えた。
「うん、この飛竜訓練所という所に行ってみるのだ!」
何しろ飛竜乗りになったばかりなのだ!訓練しなくちゃダベズとも戦えない!

飛竜訓練所も王都ガウェインと同じように建物の殆どが地中に隠れてるのだ。
何回見ても不思議な光景なのだ・・・。
『ようこそ、王島ガウェインの飛竜訓練所へ』
建物の中へ入った僕たちをブロンドの髪のお姉さんが迎えてくれる。
「!!」
久しぶりの花嫁ちゃん候補なのだ!ちょっと年上な気もするのだが・・・。
『私は受付係のラフォンです。ここでは・・・』
ラフォン、カワイイ名前なのだ!
「うん、久しぶりに花嫁ちゃん候補決定なのだ!」
『・・・・・はい?』
「ラフォン、僕の花嫁ちゃんになりませんか?なのだ!」
『・・・・・・・・えっと・・・うーん・・・ごめんね』
ガーン!!あっさりなのだ。
『子供が大人をからかっちゃダメだよ♪じゃ、説明続けていいかな?』
む・・・冗談だと思われてるのだ。冗談じゃないのだ!
よし、訓練所でもっともっと強くなってまた来るのだ!

今日の僕語録「当たって砕けた・・・」


花嫁探し日記。第65章

ラフォンに当たって砕けた僕はとりあえず訓練に取り組むことにしたのだ!
もっと強い男になるのだ!これから先の男は強くなくちゃ!なのだ!
僕はラフォンに実地訓練を頼んだ。実地訓練はラフォンがメニューを選んでくれる。
『初めての実地訓練だったら、製油作業場の護衛がいいかな?』
何でも来い!ってなもんなのだ♪立派にやりとげてみせるのだ!

ラフォンから地図を貰って辿りついたのは砦のような小さな島だった。
そこで証明書を見せて依頼の内容を聞く。それにしても凄い匂いなのだ。
どうやら廃棄物を狙ってくる雲海魚を倒すのが依頼内容らしい。
合図の鐘がなると雲の中にすでに魚影が浮かんでいる。
サメのような雲海魚を倒すと大型貨物船ほどもある魚影が小島へ近寄ってくる。
さっきのはザコだったのだ!こっちが本物の倒すべき相手なのだ!

僕とクレセント♪とムーン♪が力を合わせれば、大きな雲海魚だって倒せちゃうのだ!
でもせっかく倒したのに、責任者の話によると、当分の間しかもたないらしいのだ。
そのうちまた似たような大きな魚が出没するらしい・・・。ダメじゃん。
もう移転した方がいいと思うのだが、そういうワケにもいかないみたいなのだ。
大人の事情ってヤツなのか?僕には分からないのだ。
とりあえず依頼もこなしラフォンに報告する。
『おかえりなさーい。どうだった?バッチリ終わらせたみたいね。
じゃあ、最初の実地訓練は終了ぉ』
よし、どんどん強くなるぞ!!

今日の僕語録「ど〜んと来い!なのだ♪」


花嫁探し日記。第66章

『製油所の訓練は終わってるから、次は霧の森ヴェネスでの訓練ですね。
ここの北東にある森から、“金陽果”って言う果物を持って帰ってきてください。・・・・・』
最初の実地訓練をこなした僕たちは2つ目の実地訓練を受けることにしたのだ。
ラフォンが言うには、“金陽果”という飛竜たちの好物を取って来いと言うことなのだが・・・。

霧の森べねすへ向かった僕たちはラフォンに言われた特徴を元に木を探した。
クレセント♪は、赤く色づいた果実を見つけて口いっぱいにほおばっている。
僕はそんなクレセント♪を横目で見ながら、木を探し続けた。
あちこち見回しながら進むうちに、教わった通りの特徴を持つ木を見つけたのだ!
今にも食べそうなクレセント♪を抑えつつ、僕は果実に手を伸ばす・・・
「!!」
と、果実が横に裂けて、針のような歯が並んでいる!敵なのだ!!

敵の戦闘に勝って「陽炎メロン」を手に入れた・・・・・何だろう、これ?
でもこれで“金陽果”を持っていけば、2つ目の実地訓練もクリアなのだ!
ん?クレセント♪が茂みに顔を突っ込んだまま動かない。
「クレセント♪何をくわえているのだ?僕に見せるのだ・・・」
『ゴメン』
そう言ったクレセント♪の口にみずみずしい黄金色の果物が納まっていた・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

『熟しきった“金陽果”は、飛竜にはたまらない香りがしているみたいなの。
クレセント♪ちゃん、ちょっとガマンが足りなかったかな?残念だけど、訓練やりなおしね』
苦笑するラフォンの前で、クレセント♪は体をすくめた。

今日の僕語録「ク〜レ〜セ〜ン〜ト〜♪!!」


花嫁探し日記。第67章

僕が花嫁ちゃん探しの旅を始めるようになってから8ヶ月が過ぎようとしているのだ。
毎回暗くなる前には宮殿に帰るようにルナに言われている。
冒険内容によっては帰れないこともたまにあるけど、だいたいは帰っているのだ。
それはソルネアにいても同じなのだ。僕は何処にいても宮殿に帰ることが出来る。
その秘密は僕が常に手放さないステッキにあるのだ・・・・・・・・・・・
僕が生まれた日に父上が作らせたらしいのだ。詳しくは分からないのだが、不思議な
力があるのは何となく感じるのだ。僕もいつか自分の子供にステッキを作りたいのだ!

『昔からそうだったみたいですよ。』
「え?」
『王子のお父様も子供の頃に貰ったそうです。』
父上もジジ様から貰っていたのだ・・・・・それにしてもルナは何でも知ってるのだ。
「そうだ、ルナ。ムーン♪をしばらく宮殿で預かって欲しいのだ。」
『いいですけど、どうしたんですか?』
「ソルネアでは場所によって餌が売ってなくてあげられない時があるのだ。」
『あら、それは可哀相ですね。分かりました。みんなムーン♪が好きだから大丈夫ですよ。』
「よろしく頼むのだ。」
『はい。・・・・・・・・・だいたい王子と同じ大きさぐらいですね。ちょうどいいかも・・・。』
「ルナ?!」

今日の僕語録「僕の身代わり?!」


花嫁探し日記。第68章

ムーン♪をルナに預けて、僕とクレセント♪は今日も冒険に出る。
次は何処へ行こう・・・・・と考えて、ガウェインから『王立図書館』に行けることが判明!
僕はこのソルネアのことを何も知らないのだ!まずは知ることから始めなくては!!
花嫁ちゃんに出会うためにも知識はきっと必要なハズなのだ♪

図書館と言うからには本がたっくさんあるんだろうなぁ・・・。
僕の宮殿にも本がたくさんある場所がある!勝手に入るとジイに怒られるから
あまり入らないけど、父上は分からないことがあるとその部屋にこもるのを僕は知っている。
世界中の色んな本が集まっていてとても役に立つのだそうだ。
思うに王立図書館もきっとそういう場所なのだ!僕はそこでソルネアについて勉強するのだ!
知的な会話で次こそ、花嫁ちゃん候補を見つけるのだ!
父上の跡を継ぐには知識も必要だとルナも言っていたのだ。
優しいだけでも強いだけでもダメなんだって・・・・・・継ぐって難しいのだ・・・。

今日の僕語録「男って大変なのだ・・・」


花嫁探し日記。第69章

図書館の受け付けには誰もいなくて、カウンターの上に革張りの重厚な1冊の本とハンドベル。
僕はとりあえずそのベルを鳴らしてみた。と、置いてある本から声がしたのだ!
『現在、人手が足りないため、受付は不在だ。仕事を求めるなら、私に書かれている 依頼を読み、引き受けたい仕事のページを指差してベルを鳴らしなさい』
「わっ!!本がしゃべった!」
僕はびっくりしてその場から少し飛び跳ねてしまったのだ!

「し、仕事は別に求めてないのだ。どっちかと言うと花嫁ちゃんを求めて・・・」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「し、仕事求めてたのだ!めちゃめちゃ求めてたのだ!!え、え〜っと」
僕は恐る恐る本のページをめくってみた。
何か依頼を受けなくては何となく引き下がれない状況なのだ・・・。
いくつかの依頼を読んでみて、僕でも出来そうな依頼を見つけた!
「書物の配達!これなら僕でも出来そうなのだ!もしかしたらお届け先に
花嫁ちゃん候補がいるかもしれないのだ♪」
僕は書物配達のページを指差し、ベルを鳴らしてみる。
野獣が出るって言う部分が気になるけど、きっとクレセント♪と一緒なら大丈夫なのだ!!

今日の僕語録「受け付け嬢ならぬ受け付け本?」


花嫁探し日記。第70章

書物配達のページを指差して僕はベルを鳴らした♪
『しばし待たれよ』
本がそう話すと、両開きの扉の1つが開いて初老の男の人が顔を出したのだ。
『君が本の配送をしてくださるのかな?』
「そうなのだ!」
僕が言うと、その人は扉の奥へ引っ込んでしまった。
しばらくして1つの包みを持ってエントランスへ現れたのだ。
『配達して欲しいのはこの本です。配達先はここ。ここに住んでいる
ハーラントという老人に渡してくだされ』
「ろ、老人・・・・・。」
またもや花嫁ちゃんには出会えそうもないのだ。
!!
でも孫がいるかもしれないのだ!ルナだってジイの孫なのだ♪
『――――――――――――――――――――――――――――――よろしいかな?』
「へ?! わ、分かったのだ。必ず届けるのだ♪」
僕はクレセント♪に乗ると、貰った地図を見ながら届け先を目指したのだ。

今日の僕語録「初めてのお使い?」


花嫁探し日記。第71章

王立図書館の南東の森。本の配送先はそこらしいのだ。
森へ近づいたとたん、クレセント♪が何かを感じたみたいなのだ。
『ここ、チカラがいっぱい』
何やら魔法みたいな不思議な力が満ちているらしいのだ。
クレセント♪の言う通り、眼下の森がゆらぎ、大型の鳥たちが現れる。

何度か戦闘を切り抜ける。倒したモンスターはどれもかすれて消えてしまうのだ。
ここはいったい何なのだろう?ただの森ではなさそうなのだ・・・。
『なにをしておる!』
「!!」
いきなりの声に僕はびっくりしてクレセント♪の背から落ちそうになる。
周囲を見回すと落書きみたいな「へたくそな鳥の絵」がパタパタと羽ばたいていた。
『なにをしておると、尋ねておるんじゃ!』
「え?!え?!・・・お、王立図書館から本の配送に来たのだ・・・。」
『ならばそう言わんか。ついて来るがいい』
鳥の絵は向きを変えるとひらひらと舞い降りて行く。
僕はいそいでその後を追っていったのだ。いったい何処へ行くのだろう・・・。

今日の僕語録「絵の勉強はさぼらずしよう」


花嫁探し日記。第72章

へたくそな鳥の絵の後を追いかけている僕たち。
ついて行くと突然、森の木々が消えて、古ぼけた小さな塔が現れた。
鳥はそのまま、塔の屋根の天窓へ入って行く。僕はさすがに天窓からは入れないので、
すぐそばにあるベランダへと降りると、塔の中へ入ってみたのだ。

中はけっこう広く、望遠鏡、天球儀、錬金術用の道具、得体の知れない骨等々
“魔法使いの小道具”みたいなものがたくさんあった。
大きな机の向こうにしかめっ面のおじいさんが一人、僕を見ているのだ。
『やっと持って来たか』
包みを渡すとおじいさんはそう言って換わりに小さな袋をくれた。
『こいつが駄賃だ。持って行け』
駄賃・・・・・本当に子供のお使いみたいだ。
『いつまで居座る気だ?行った行った!』
「え!あ、あの・・・は・・・・・・何でもないのだ。」
花嫁ちゃんいますか?なんて聞けない雰囲気なのだ。
それに聞くまでもなく他には誰もいなさそうなのだ。
僕は早々に塔から離れると、空の上で塔を振り返った。
「・・・・・・・ないのだ・・・」
降りたハズの塔は何処にもなくなっていた。不思議なのだ・・・。
何だか変な気分のまま僕は図書館に戻ることにしたのだった。

今日の僕語録「頑固ジジイ・・・。」


花嫁探し日記。第73章

王立図書館で無事に依頼を済ませた僕たちは次の目的地へ向かった。
本当は図書館でソルネアについていろいろ調べたかったのだ。
でもあの図書館は僕が父上に聞いた図書館と何か違う気がするのだ。
依頼ばかりやっていてもソルネアのことは分からないのだ!
やっぱり自分で動きまわってみるしかなさそうなのだ・・・・・次は・・・。

「ほーじょーの森、しりるり?」何か難しい名前なのだ。
僕たちはしりるりを目指している。船に乗って雲海を進んでいく。
慣れると雲海も海もあまり変わらない気さえしてくるのだ。青くないけど・・・。
「ほら、シリルリが見えてきたぞ」
船員の一人が僕にそう教えてくれる。
「・・・・・・・・あれが・・・・・クラゲ?」
言われた方を見て僕はそう呟いた。クラゲみたいだ。空中に浮かぶクラゲ。
それは支えも無く空中を漂っているクラゲのような森?
僕はしばらくそれに見入ってしまったのだ。

軽い衝撃があって、船はどうやらしりるりの桟橋に着いたらしい。
ここに花嫁ちゃん候補はいるだろうか?初めての土地はワクワクするのだ♪

今日の僕語録「クラゲの中に花嫁ちゃんが?!」


花嫁探し日記。第74章

僕たちはいま「ほーじょーの森、しりるり」に来ている。
来ているのだがそれどころではないのだ!ク、クレセント♪の姿が変わってしまったのだ!!

新しい土地について僕はまず手持ちの荷物を整理しようと思ったのだ。
その中に「緑の神玉石」と「青の神玉石」というのがあった。
以前、まだクレセント♪が小さい頃にそれを与えたら何も変わらなかったので、
僕はもうこれはいらないだろうと何気なくクレセント♪に与えてみたら・・・・・。

それまで真っ赤だったクレセント♪の体が緑になりレベルも下がってしまったのだ!
僕はびっくりして思わず、青の神玉石も与えてみたのだ!
そしたら更にクレセント♪の体の色が緑から青へ。レベルも更に下がったのだ。
体型も全然違う・・・。な、何てことをしちゃったんだろう!!
これから新しい土地でクレセント♪の強さが半減してしまったら心細いのだ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、なってしまったものは仕方ないのだ。
赤いクレセント♪も格好良かったけど、青いクレセント♪も充分格好良いのだ!

今日の僕語録「ふぅ〜びっくりした・・・。」


花嫁探し日記。第75章

「ほーじょーの森しりるり」に到着した僕たちは管理所へ向かった。
到着した場所は管理所と言うよりは酒場と言った感じなのだ。
壁に依頼書らしきものが貼ってある。でも僕には読めない字ばかりなのだ。
『あ・・・のぅ、もしかして、よその国から来た飛竜使いさん・・・ですか?』
声を掛けられて振り向くとそばかすほっぺの目の大きな女の人が立っていた。
久しぶりの花嫁ちゃん候補になるのでは?!
  「そうなのだ。僕では読めない字ばかりなのだ。」
『あ・・・やっぱり。あの・・・・・読めますか?その依頼書?私、読みましょうか?
あ、私、この店のオーナーの娘でセリアと言います。えっと、あの、その・・・迷惑でしたか?』
慌てたり困惑したりとクルクルと表情が変わるのだ。
「僕は仕事より、花嫁ちゃんを探しているのだ!」
『え?!・・・・・・・・えっと、そうですね・・・この依頼の中にはそう言ったものは
ないようですね・・・・・・えっと、他にあったか見て来ますね・・・』
「え?いや、あの・・・」
セリアはパタパタと店の奥へ消えて行ってしまったのだ。
なかなか花嫁ちゃんを探すと言うのは難しいのだ。
僕は適当に依頼を1枚壁から破り取るとそのまま店を出た。
「思い出の品を持ち帰る依頼みたいなのだ・・・。」
僕はその依頼主のところへ向かった。

今日の僕語録「セリアも花嫁ちゃん候補なのに・・・」


花嫁探し日記。第76章

何気に受けた依頼は結構難しい依頼みたいなのだ。
あの後セリアが内容を説明してくれたのだが、廃墟の町リメインという所へ
思い出の品を取りに行かなくてはならないみたいなのだ。
「廃墟の町」・・・それだけでもう何やら怖そうな場所なのだ・・・。
廃墟になるにはそれなりの理由があるわけで・・・・・・。
戦闘を覚悟しないといけない上に花嫁ちゃんなんていなさそうなのだ。
でも1度受けた依頼はこなすのが男と言うものなのだ!僕はやるのだ!!
「王都の西・・・って言っていたのだ。」
僕はクレセント♪とともに「廃墟の町リメイン」を目指すことにした。
幸い期限はないそうなので、焦らずに行かなくてもすみそうなのだ。
王都の西ってことは、とりあえず「王都ガウェイン」まで戻るのだ!
僕は自慢じゃないけど迷いやすいのだ。
いくら期限がないといってもあまり長すぎるのはよくないし・・・。
よし、早く依頼を済ませてセリアをびっくりさせてやるのだ!

今日の僕語録「やるときやらねば!なのだ」


花嫁探し日記。第77章

「おかしいのだ・・・・・。また迷ってしまったみたいなのだ。」
向かっていたのは「王都ガウェイン」のハズ。でも僕たちはうっそうとした
森の中を歩いているのだ。・・・・・どうやら「古木の森」に来てしまったみたいなのだ。
む〜どうして目的地に辿り着かないかなぁ・・・・・。何とかして出なくては!
『下へ行くか?明るい方、行くか?』
クレセント♪が聞いてくる。う〜ん、とりあえず明るい方、外周へ行ってみるのだ。

クレセント♪は僕を乗せて光に誘われるように枝葉をすり抜け森の上へ出た。
緑の絨毯のような森がずっと続いている。僕たちは森の側面へ回りこみ、
そのまま雲海へ向かって舞い降りて行ったのだ。
下へ向かうほど緑の葉は少なくなり、太い幹が見えて来た。と、
『芋、芋がある』
クレセント♪が根の間に芋のようなものを見つけた。丸々とふくらんでいる大きな芋なのだ。
何とか芋を食べようとクレセント♪が首を伸ばすが、気が付いたら同じ芋を狙う虫たちの
ナワバリに入り込んでいたらしい・・・いつのまにか囲まれているのだ!!

クレセント♪もたくさん飛んで疲れていたの違いないのだ。
僕たちは結局たくさんの芋を狙う虫たちにコテンパンにやられてしまったのだ。
気が付いたら、森の外。ま、まあ森を抜けられて良かったのだ。
これで「王都ガウェイン」に向かうことが出来るのだ・・・・・。

今日の僕語録「迷う時は迷う!」


花嫁探し日記。第78章

僕たちはいま「帆船都市フレスト」に来ているのだ!
ここから「王都ガウェイン」に向かうつもりなのだ。
都市というからには大きな街だと思っていたのだが、来て見てびっくり!!
それは最大にして最古の「飛空挺」だったのだ!
今では珍しい獣の骨を使ってるらしいのだが見た目は飛空挺には見えない。
甲板があるべき場所に街並みと石畳の広場が見えるのだ。
『飛竜を連れて歩くなら、クォーターデッキには立ち入るんじゃないぞ。』
見張り台から男の人にそう声をかけられた。
「くぉーたーでっき???」
『フレストの後ろ半分だと思っときゃ間違いない』
「後ろ半分・・・・・・怖いのだ。」
『船長は飛竜がキライなんでね。好奇心で行ってみるのはかまわないが、
撃ち落されても文句は無しだぜ』
ダメと言われると行きたくなるのだが、好奇心で撃ち落されたらたまらないのだ。
気を付けよう・・・・・ココは怖いとこなのだ。
今は王都ガウェインを目指す中継地点で寄っただけだからさっさと次へ行くのだ♪

今日の僕語録「怖くない・・・怖くない。」


花嫁探し日記。第79章

「ほーじょーの森しりるり」の管理所で何気なく受けた依頼。
それは「廃墟の町リメイン」から思い出の品を取ってくる内容だったのだ。
僕たちはいまリメインを目指して、ガウェインから巡視艇フナブにいる。
フナブはダベズたちの温床になってしまったリメインを監視しているらしいのだ。
とりあえず僕は、リメインの話が何か聞けないかと保安官たちがいる部屋へと行ってみる。

部屋の中には2人の男の人がいた。赤毛の若い男の人が僕の前に来てこう言った。
『見たところ、リメインでの探索を目的に、この危険な西方区域へ来られたようですが、
その場合はまず、私から簡単な注意事項を説明することになっています。』
赤毛の男の人・・・ニールは、僕にさっくりとリメインの説明をしてくれたのだ。
どうやらけっこうな数のダベズがいるらしいのだ・・・。むむむぅ、戦闘を覚悟しなくては!
何とか思い出の品を見つけて急いで取って戻れば大丈夫だろうと僕は思っていた。

フナブ内でも小さい商店があるということなので、僕たちはそこで必要なものを買って
リメインへ向かうことにしたのだ。ちょっとドキドキするなぁ・・・・・。

今日の僕語録「廃墟の町の花嫁ちゃんもいるかも?!」


花嫁探し日記。第80章

今回の依頼が思ってる以上に簡単じゃないことが良く分かったのだ。
僕たちはいま「廃墟の町リメイン」に来ているのだ。巡視艇フナブを経由してリメインへ。
赤茶けた大地、枯れて倒れた木々、崩れ落ちた建物の残骸・・・・・想像以上なのだ。
着いてすぐのダベズとの戦闘もクレセント♪のおかげで何とか乗り切ることが出来た
とは言え、けっこうボロボロなのだ。リメインはダベズの温床になってるって聞いたのだ。
こんな戦闘が何回も続くのだろうか・・・。
とりあえず来てしまったからには行くしかないのだ!目指すは焼け落ちた館!

館の中は他の建物に比べてまだかつての姿をとどめている。
とは言え、火にあぶられ、土砂にのしかかられ、無残な姿に変わりはない。
クレセント♪と1階にある部屋を見て回った、何度かダベズの攻撃を受けたが、
その都度、クレセント♪のおかげで何とか乗り切っている。回復もしつつなおも先へ。

一通り見て回って、残るのは地下へ降りる階段のみみたいなのだ。
でも・・・・・ココへはクレセント♪は連れて行けなさそうなのだ。
僕が一人で・・・・・・大丈夫だろうか。でも・・・・・・・やるしかないのだ!

今日の僕語録「・・・・・・地下へ単身赴任?」


花嫁探し日記。第81章

僕はクレセント♪をその場に待たせることにして、地下への階段を降りて行った。
足がガクガクするのだ。勇気を振り絞らなくちゃ!僕は王子なのだから!!
欠けてゆるんだ段を踏み外さないように、ゆっくりと階段を降りる。
と、出たぁ!!ダベズが出たのだ!僕一人で大丈夫だろうか!!

ボロボロになりながら何とか倒せたのだ。僕はすかさず見えている部屋へ飛び込んだ!!
ひどく焼けた室内は、床も壁も天井も黒く焼けている。
目の前に炎のようなモンスターが出現した!何だか強そうなのだ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

僕が一人でこの地下を探索するにはまだまだ強くならなくちゃいけないみたいなのだ。
クレセント♪が待っている1階に戻りつつ、僕はそう思った。
結局依頼の品も見つからない。僕がこの依頼を達成できる日はまだまだ遠そうなのだ。
クレセント♪に乗ると、僕は1度フナブへ戻ることにした。

今日の僕語録「まだまだ・・・。」


花嫁探し日記。第82章

フナブからガウェインへ戻った僕たちは次に行く場所を考えた。
地図を見てみると、近くに「職人の街コリント」という街があるらしい。
なかなか大きな街のようなのだ。よし、コリントへ行ってみるのだ!

コリントはソルネアで利用される金属製品の殆どを生産している工業の街らしい。
大きな港があり、造船用のドッグが立ち並んでいる。
街の中心部には煙突を林立させた工房が列を成している。
『変なにおい・・・・・・。目がいたい』
クレセント♪が目をショボショボさせている。確かに変な匂いがするのだ。
僕は宿のご主人からいろいろと話を聞いてみた。
特にコレといった話はなかったが、北東のジェイドという場所で
事件だか事故だかが起こったらしい。それ以外は・・・・・・。
「もし飛竜の乗り手としてじゃなく、石工や細工師の仕事を探してるのなら」
と職人の斡旋所を教えてくれたのだ。
僕は別に石工や細工師になりたいわけではないが、何となく興味があるのだ。
砂や粘土でいろいろ作ったりするのはキライじゃないのだ。
ちょっと斡旋所を覗いてみよう♪教えてもらった2つの工房にも行ってみるのだ!

今日の僕語録「でも花嫁ちゃんは作れない」


花嫁探し日記。第83章

僕はコリントの工房通りに来ている。細いとおりの両脇には、立派な構えの商店が
立ち並び、ハンマーや金床をかたどった看板が通りに出ている。
それぞれの店の小さな飾り窓には美しい細工が施された武具など、いろんなものが
並べられ、職人の腕を競っている。歩いているだけで何だか楽しいのだ♪
そんな通りの中、店というより役所じみた戸口が見える。きっとココが斡旋所なのだ。
僕はそっと中を覗いてみた。小さなテーブルとイス、薄いカウンターの向こうには
引き出しだらけの棚がそびえている。その室内をホウキで掃いている女の人がいるのだ。
その人は僕に気が付くと声を掛けてきた。
『あら。ごめんなさい、気づかなかったわ。ご用は何かしら?』
「え?い、いや、あの・・・・・・」
『ここは工房通りで開業している店々から持ち込まれた仕事を斡旋したり、・・・・・・』
・・・・・・・・・・花嫁ちゃん候補にするには僕と少し歳が離れすぎているのだ。
母上よりも年上に見えるのだ。じいよりは若そうだけど・・・・でもさすがにそれは・・・。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・してあげられますよ』
「!! へ? あ、はい。」
話していたことを全然聞いてなかったのだ。
『今、持ち込まれている仕事は、この3つになります』
その人はてきぱきと僕に向かって依頼書を読み上げた。

今日の僕語録「歳の差は母上まで」


花嫁探し日記。第84章

斡旋所での仕事の依頼は3つ。でも僕は職人としての技術を持っていないのだ。
それでも何とかなるのだろうか?
僕は3つの依頼の中からちょっと気になる依頼を選ぶことにした。
「依頼2、人員募集 船の修理 がやってみたいのだ」
技術は持ってないけど、この依頼には「飛竜使い歓迎」と書いてあるのだ。
もしかしたら飛竜使いなら技術がなくても歓迎してくれるかもしれないのだ。
僕はとりあえず、その依頼を受けてみることにした。

指定された港の桟橋へ向かってみる。そこには小さい飛空挺が停泊していた。
『飛竜使いか!こいつは助かる』
まだ若い船長が僕とクレセント♪を見てそう言った。歓迎されてるみたいなのだ♪
船長の説明では故障した船はそんなに遠くない場所にあるらしいのだ。
でも雲海ギリギリまで沈んでしまっているらしい。
最悪の場合、この小さい飛空挺とクレセント♪でその船を引くことになるそうなのだ。
クレセント♪に船を引かせる・・・大丈夫かな。少し不安になる。
ともかくその場所に行ってみるのだ。僕でも役に立てるかもしれないのだ!

今日の僕語録「飛竜使い歓迎!を歓迎!」


花嫁探し日記。第85章

『急ぎの仕事だから、すぐに出港するぜ』
船長はそう言うと船員たちに号令を掛け、船は港を飛び出した。

しばらくして望遠鏡で雲海をながめていた見張りが叫び声をあげる。
『見えたぞ!』
それを確認した船長が僕に飛竜で先行するように言う。
よし、クレセント♪行くのだ!
僕はクレセント♪の背に乗ると、雲海の中に小さく見える船へ向かった。
何があったのか・・・船はかろうじて船体が取り残されているような状態なのだ。
そしてそんな船の周囲を巨大な魚影がゆったりと泳いでいる。
僕は船へ突進しようとしている魚影へ立ち向かって行ったのだ!

クレセント♪のおかげで魚たちの姿が遠ざかる。強くなったなぁ・・・。
やっと救助船が到着し、次々と乗員が乗り移って行く。
『コイツはかなり重症だな』
船長が顔をしかめている。どうやら、長期戦になりそうなのだ。
僕も何か手伝おうと修理用の資材を持って故障した船へ乗り込んだ。

今日の僕語録「パララパッパッパッパ〜ン♪クレセント♪レベルアップ!」


花嫁探し日記。第86章

沈没しかかっていた船の被害状況はかなり悪いらしく、船体の一部が分解しかかっているのだ。
船員たちはみんな懸命に働いているが、あきらかに人手が足りない。
僕は工具を受け取ると船底へ向かったのだ。
こんな作業は初めてで僕に直せるのだろうか・・・。
とりあえず夢中にとんてんかんと修理をしてみるが、やっぱり僕では修復出来ないのだ。
『壊れた側面は、今のまま俺の船で守りつつ曳航したいんだが、反対側の側面も同じような
速度で牽引しなくては、船が崩壊しかねない。あんたと飛竜の力が借りたいんだ。
いや、力を貸してくれ!』
船長がすがるような目で僕を見る。断るわけにはいかないのだ!
僕はクレセント♪に牽引用のベルトをつけると船の側面に行った。

元々飛竜はこういう仕事に向いてない生き物らしいのだ。徐々に速度が落ちてしまう。
結局、途中でまた雲海魚たちに狙われ、倒したはいいが牽引していた綱が切れてしまった。
救助船までが引きずられて傾き、危うく2隻とも沈みそうになる。
船長が救助船側の綱も断ち切り、船は雲の中へ沈んでしまった・・・。
『積荷は雲の下だが、乗員は助けたんだ。そんなにガッカリするこたないって』
船長が明るく声を掛けてくれる。僕は少しは役に立てたのかなぁ・・・。

今日の僕語録「しょんぼり。」


花嫁探し日記。第87章

『ごめん・・・クレセント♪がもっと、力あれば・・・』
僕はうなだれているクレセント♪の体を軽く叩いた。
「クレセント♪は頑張ったのだ。でも僕たちはもっと強くならなくちゃいけないね」
僕たちはひとまず宿へ戻ることにした。
クレセント♪が気にすることはないのだ。何とかなるかもと思って
修理技術もないのに船の修理依頼を受けた僕がいけないのだ。

その後、僕たちは2つの工房(ノルムド&ダグマラ)へ行ってみた。
そこで少しでも技術を学べないかと思ったのだ。
でも結局その工房は珍しい図面やパーツを買い取ってくれるだけで
技術を学べるとこじゃなかったのだ。花嫁ちゃんらしき人も見当たらず・・・。
技術を持たない僕たちにはコリントは意味のない街なのかもしれない・・・。
次に行く場所を考えて、近くに「大風車」があることを聞く。
何だかちょっと楽しそうなのだ、ワクワクするのだ♪
気晴らしに行ってみることにしよう!

今日の僕語録「天気は晴れ!」


花嫁探し日記。第88章

ファンデルの大風車は王都だけでなく、コリントや近隣の村々へも
水を供給しているらしいのだ・・・。
僕はクレセント♪の背に乗り、大風車を眺めてみる。
空から見ても威圧感を覚えるほど大きいのだ!
ココは中に入ることが出来たりするのだろうか・・・

風車の真下に庭のような場所がある。
城門のような巨大な両開きの扉が大きく開け放たれ、旅人らしき人たちが
次々と中へ入って行くのが見える。よし、あそこに降りてみるのだ!

どうやらこの大風車は、観光名所になっているようなのだ。
そう言えば、冒険に出てから僕は観光ということをしたことがないような気がする。
色んな場所へ行って来たけど、全て花嫁ちゃんを探すためなのだ。
たまにはのんびりと観光目当てもいいかもしれないのだ♪

今日の僕語録「うささんツアーのんびり初観光♪」


花嫁探し日記。第89章

しばらく大きな風車を見ながらのんびりくつろぐ僕とクレセント♪
風がゆっくり流れていてとてもいい気持ちなのだ・・・。

僕は風車の中に入ってみた。中はたくさんの観光客で混雑している。
大勢の観光客の間を抜け、職人たちが集まっている一角へ行ってみた。
『あの、ここは整備員専用の休憩所ですので、見学の方はエントランスの方へ
戻ってください。あ、ひょっとして修理の手伝いにいらしたのですか?』
案内役のお兄さんが僕にそう声を掛ける。
「何かお手伝い出来ることがあるならやるのだ!」
『飛竜をお連れですか?でしたらぜひお願いしたいと思います。
じゃあ、案内しますので、飛竜も連れてきてください』
何だか観光がお手伝いに変わってしまったのだ。
前回の船の修理もちゃんと手伝えなかったから今回こそは頑張るのだ!!
案内役のおにいさん=スティンは、僕たちを停止した中型風車の所まで連れて行った。

今日の僕語録「リベンジ!!」


花嫁探し日記。第90章

『俺が整備班長のエイロンだ。』
うっ、体つきの大きな人がそう挨拶をする。ちょっと怖そうなのだ。
『時間がないので手短に言うが、あんたとその飛竜には、ここにある羽根軸を
上まで運んでもらいたい。荷物を運んだら、次は・・・』
エイロンは僕が覚えきれないくら次々と注文をしてきた。
うぅ、何だかけっこうやることがたくさんあるのだ。大丈夫かなぁ・・・。

『どうした?元気ない』
「クレセント♪、何でもないのだ。頑張ろう!」

僕たちは言われた通り、羽根軸や帆布を運んだ。次は鳥の巣を取り払うのだ・・・。
屋根の上にバカでかい鳥の巣がある。樹木の枝でしっかり編み込まれていて
簡単には取り払えそうにないのだ・・・。中には大きな卵が2つもある。
『おおーい、早くやっちまってくれー!』
下から職人たちの声が聞こえる。簡単に言ってくれるのだ!
早く済ませようと思ったその時、不吉な叫び声と一緒に鳥ではなく奇妙なハ虫類・・・
蛇に羽根が生えたような生き物が突っ込んできた。

今日の僕語録「蛇は苦手なのだ」


花嫁探し日記。第91章

僕がもっと小さかった頃、宮殿の庭に蛇が出たことがある。
足がなく、にょろにょろ動く姿。鋭い牙と目に僕は動けなくなった。
涙がボロボロ出て、大声をあげて泣いたらルナが助けに来てくれた。
でもその時にすでに蛇はいなくなっていたのだ。ルナは
『きっと王子の泣き声にびっくりして逃げたんですよ。それも1つの方法ですね』
と僕を抱き寄せながら笑った。

かと言って、いまこの場で泣くワケにはいかない。僕はもう大きくなったのだから!
あの頃と違うのは、僕のそばには心強いクレセント♪がいるということ。
難なく2匹の羽付き蛇を倒してくれた。

苦手克服をした僕の苦労も構わず、エイロンはその後も容赦なく手伝いを注文し、
解放されたのは夜になった頃だった。
『おつかれさん。また別の風車を修理する時もよろしくたのむ。あと、腕の良い職人が
いたら紹介してくれ。イロイロ仕事がたまって困っとるんだ』
エイロンから貰った報酬は38ジェン。今回はちゃんと手伝えたみたいだ!満足!!

今日の僕語録「ルナ、泣かなかったよ!」


花嫁探し日記。第92章

僕が住んでる王宮はかなり広い。たくさんの人たちが住んでるから当たり前なのだが、
それに比べて、この「ラットランドの屋敷」は個人の邸宅とは思えないぐらいなのだ!
大風車で観光を終えた僕たちは、コリントからこのラットランドの屋敷へ来ている。
見張り台、窓のない石造りの壁、迷路のように入り組んだ狭い回廊、まるで城塞・・・。

クレセント♪と一緒に小さな人影が見える広場らしき所に下りてみる。女の子なのだ!!
「久しぶりに花嫁ちゃん候補らしい人に出会えそうなのだ!」
その子は僕の姿を見ると建物の中へ走っていってしまったのだ。
『女の子、逃げた。悪い事した?』
「何もしてないと思うのだが・・・・・」

しばらくして女の子は別の女の人を連れて戻ってきた。
『あなた方、ラットランドの迷宮に挑戦されるのですか?』
「は?」
迷宮??話が見えないのだ・・・。
「僕はお屋敷があると聞いて来てみただけなのだ・・・。そしたら花嫁ちゃん候補がいて・・・」
『私の名はジュアー、この屋敷に使える使用人の長を務めております。』
名乗ってくれたということは、花嫁ちゃん候補に立候補なのだ?と思ったら、
ジュアーの話はまだまだ止まらないのだ。
『端的にご説明致しますのでお聞き逃しのないようにご注意下さい。ここは大富豪
ラットランドの所有する屋敷です。この屋敷はーーーーーーーーーーーーーーーーー』

今日の僕語録「長話が終わりません」


花嫁探し日記。第93章

ラットランドの屋敷で使用人の長を務めているジュアーの言うことには、
この屋敷は迷路のようになっていて、挑戦するのは自由だと言うことらしいのだ。
何気にここへ来ただけの僕たちは別に迷路に挑戦するつもりもなかった。
でもここで見つけたジュアーと後ろに控えている小さな使用人の女の子は
久しぶりの花嫁ちゃん候補なのだ!!何とかお話ししたいのだ。
でも2人とも、ジュアーの長い説明が終わると建物の中に入っていってしまった。

僕の花嫁ちゃん探しの旅は実は期限がついているのだ。それは1年間だけのルナとの約束。
あと1ヶ月くらいで期限が来てしまうのに、まだそれらしき花嫁ちゃんは見つかっていない。
積極的にいかなくちゃ!!なのだ!
僕は迷路に挑戦することにしたのだ!彼女たちから何か情報を貰えるかも。キッカケなのだ!
よし、正面から僕は挑む!!行こう、クレセント♪!!

今日の僕語録「正々堂々と!」


花嫁探し日記。第94章

迷路ということは、迷ったら出られなくなってしまうのだろうか?
ちょっとそれは困るのだ。でも行くと決めたからには行かなくては・・・。

なんて少し屋敷の広い庭で僕は考えていたのだ。一応夜には宮殿に戻る約束だし。
『お時間いかが? 宜しければお茶でもしましょうか』
振り返るとジュアーがとリラが紅茶とクッキーを持って立っていた。
珍しく優しい調子のジュアーにちょっとびっくりなのだ。
「あ、頂きますなのだ。」
『へぇ、甘いものも食べるのね、結構意外かも・・・・じゃなかった、ですね』
「?????? 甘いものは大好きなのだ」
リラが大きな瞳をパチクリさせながら僕がクッキーを頬張るのを見詰めているのだ。
改まって見入られるととても食べづらいのだ・・・。

僕は久しぶりの花嫁ちゃん候補にドキドキしていた。
そうこうしていると時間は過ぎ、お話しだけで一日が終わってしまった。
なかなか楽しい時間が過ごせたのだ。よし、明日は迷路に行ってみるのだ!!

今日の僕語録「恋の迷路に迷いこもう」


花嫁探し日記。第95章

正面から迷路に突入して行った僕は見事に団体で出てきたお化けたちにコテンパンにされた。
いくらクレセント♪がいると言っても、大人数で来られたら勝てないのだ!!
それにしてもココに出てくる敵は強い気がするのだ・・・・・。

僕は今度はクレセント♪に乗って上空から入れる場所はないか探すことにした。
屋敷の上空を低空で旋回していると、幾つかの塔の窓からモンスターが続々出て来た。
むぅーやっぱり一筋縄ではいかないのだ。でも空の上ならクレセント♪に任せるしかない!
頼みのクレセント♪はやっぱり強かったのだ♪
襲ってきた敵を倒すと僕たちは急いで降りる場所を探した。
「クレセント♪、あの離れの建物へ降りてみるのだ!」
僕は屋敷から少し遠い場所にある離れが気になった。もしかしたらこっちが本体かも?!

その建物に近づいてみると窓が1つだけで入口がないのだ。
「この窓自体ワナなのかもしれないのだ・・・・・でも・・・。」
他に入口がない以上、ここから入るしかない。僕は仕方なく窓から入ることにした。

今日の僕語録「6歳でドロボウデビュー?!」


花嫁探し日記。第96章

窓から中に入ると、内部は天井まで届きそうな本棚が整然と並んでいる。
「まるで図書館みたいなのだ・・・」
それにしても、中にも出口がない・・・。何処かに隠し扉があるに決まってるのだ!
僕はカクレンボは得意種目なのだ!!ルナやじいと良くやったんだから!
まずは怪しいところを探してみるのだ!きっと床が怪しいのだ!
僕は床をくまなく調べることにした。とりあえず、ここにある邪魔な植木をどかすのだ。

ガコン

目の前の壁がポッカリと口を開けたのだ。僕はてっきり床が開くと思っていたのだが・・・。
中を覗いてみると奥から風が吹いてくるのだ。外に出てしまうのだろうか?
覚悟を決めて通路を歩いていくと、すぐモンスターの姿を発見した。しかも団体さんなのだ。
またもやコテンパンにやられてしまう。迷路の中の敵は今の僕たちでは勝てないのだ。
いや、僕がもっと強くならないといけないのだ。クレセント♪はよくやってくれてる。

今日の僕語録「カクレンボは得意でも、迷路は強くなってから!」


花嫁探し日記。第97章

コリントの北東にある鉱脈島ジェイド。コリントで使用される鉱石はここのものらしのだ。
長年に渡って掘り抜かれて来たせいで、この島には山らしい山は見当たらない。
緑も少なく、風が吹くたびに土ぼこりが立ち込めている。
港の近くにある小さな村には、男の人の姿は見当たらなかった。採掘場へ行ってるらしい。

僕は近くの島にあるという「聖石神殿」へ向かった。
神聖な島として保護下に置かれているこの島は、人の手が加わってないようで
緑に覆われ、野生の動物が多数見られるみたいなのだ。
クレセント♪に乗って飛んでいると、緑の森に包まれた中に奇妙な山が見えてきた。
近づいてみてびっくり!その山が丸ごと1つの神殿になっているのだ!神殿を作る
パーツの1つ1つがとても大きくて、人の手で作ったとは思えないのだ。
巨人がこの島にはいるのだろうか?
でも良く見るとその神殿は崩壊していた。円柱は倒れ、石組みは割れ、扉を飾っていた
紋様も読み取ることが出来ない。直すにしても巨大すぎて無理なのだ・・・。

扉の前に小屋があり、降り立った僕に兵士が駆け寄ってきた。
『何用で来られた?』
「花嫁ちゃ・・・・・いいえ、なんとなく・・・なのだ」
『この島はイリー神殿の保護下にあり、この神殿も許可なき者は立ち入ることができない場だ。
探索を望むなら王都のイリー神殿にて、許可を受けて来られることだ』
僕はクレセント♪に乗ると、また空へと舞い上がった。

今日の僕語録「お役所仕事・・・。」


花嫁探し日記。第98章

ソルネアへ来てもう6ヶ月が経とうとしているのだ。僕の花嫁ちゃん探しの旅も
あと少しで期限が来てしまう。結局、花嫁ちゃんは見つからなかったのだ。
僕は行く当てもなく王都ガウェインへ戻って来ていた。

「む〜お城にでも行ってみるのだ」
どうしていいか分からず、再度お城へ何となくお城へ足を運んだ僕は
城の庭で誰かを探しているらしいメイドの女の人を見つけた。
忙しく行き来する人々の中から旅装束のグループを見つけては駆け寄り
何か頼んでいるらしいのだ。でもことごとく断られている。
ため息をついて顔を上げたその女の人は僕を見るとまっすぐ駆け寄って来たのだ。
『あの、旅の方ですよね?』
「え?え?」
『すみませんが、旅の話をしていただけないでしょうか?いきなりですみません。
でもどうしても人を探さなくてはいけなくて・・・・・』
旅の話?僕の場合、花嫁ちゃん探しの話になってしまうのだ。
「僕はそんな上手に話せないのだ。他の人はいないの?」
『それが・・・・・ご主人様は、吟遊詩人の語りに飽きたとおっしゃって・・・、
もっと本当の話を語れる者を探すよう、私に申し付けられたのです。
でも突然のことで、探そうにも何をどうすればいいのか・・・。』
ショボンとしている顔を見ていたら何だかかわいそうになってきて
「僕のでいいなら話してみてもいいのだ。」
と受けてしまった。彼女は深々と頭を下げると、僕を謁見の間に連れて行った。

今日の僕語録「あえいうえおあお」


花嫁探し日記。第99章

話をする依頼を受けたはいいのだが、謁見の間でかなり待たされている。
手違いだったのかもしれない。もう帰ろうかなぁと僕が思った時、
『あなたが語り部の役を務めると言う人物か?ならばついて来られよ』
鎧を着た女の人がそう言って僕を別の部屋へ案内した。
何度も折り返す階段を登ってついた所は、明るい開放的な空間だった。
『この先、武具類の持込は許されていない。すべて彼女たちに預けなさい』
近衛兵の女の人に言われ、僕はメイドの2人に武具類を全て預けた。

そこはとてもキレイな庭園で、天井から太陽の日差しが差し込み、
木と花々が植え込まれていい香りがしていた。 中央のテーブルにドレスを着た女の人が2人座っていた。
『私は女官長のルージェラ・ニングです。あなたがエリダの呼んだ語り部ですね?
失礼ですが、話術の心得はいかほど?』
わ、話術の心得?そんなの持ってないのだ。
『お話していただければ、すぐにわかることではなくって?ルジェ?
ねぇ私、早くお話を聞きたいわ。いいでしょ?』
『お望みとありましたら』
どうやらルジェと呼ばれた人の隣に座っている桃色のドレスを着た女の人が
ご主人様らしいのだ。確かに気品があってかわいいのだ。
僕は緊張したけど、グローエスでの花嫁ちゃん探しの旅を1つだけ話した。
もちろん、花嫁ちゃん探しというのは言わずに・・・。
『とても面白いお話でしたわ。ただ、私としてはもう少し、胸にせまるロマンチックな
お話が聞きたかったのですけれど・・・・・』
僕だって出来れば花嫁ちゃんと出会ったロマンチックな話がしたいのだ!!

今日の僕語録「ロマンチックな出会い落ちてませんか?」


花嫁探し日記。第100章

ルージェラにうながされて、室内庭園から出て来た僕に、銀のお盆をかかげたメイド・・・
エリダが笑顔を浮かべて近づいて来た。
『こちらが報酬の品になります。お納めください。今日はありがとうございました』
エリダの笑顔を見て、依頼を受けて良かったと思ったのだ。
ロマンチックな話は出来なかったけど、少しでも楽しんで貰えたみたいなのだ。
あれ?っていうか、緊張してて気付かなかったのだが、エリダも花嫁ちゃん候補になるのだ!
話を聞かせたあの女の人も充分に花嫁ちゃん候補なのだ!!
僕は急いで振り向いた。でももう扉は閉ざされている。気付くの遅かったのだ・・・。

花嫁ちゃん探しの期限まであと数回のチャンスしかないというのに・・・。
僕はこのまま候補も見つけられずに旅を終わることになりそうなのだ。
手の中の32ジェンを握り締めて僕はお城を後にした。

今日の僕語録「旅終了まで秒読み開始・・・」


花嫁探し日記。第101章

去年の12月から始まったこの花嫁ちゃん探しの旅ももう終わり。
ことの始まりは父上の
『お前には決まった花嫁がいる!!』
宣言からだったのだ。僕は自分の花嫁ちゃんは自分で探すことにしたのだ。

あれから1年、住み慣れた宮殿を1週間に2回だけ抜け出して
グローエスとソルネアで花嫁ちゃん探しの旅を始めた僕。
ルナとの約束は暗くなる前には帰ること。
宮殿を抜け出していることは僕とルナだけの秘密。僕が抜け出している間、
ルナはどうやって父上たちをごまかしているのかいつも不思議だった。
時には帰れない時もあったのに・・・。でも帰ると父上たちは
いつも通り変わらぬ態度で接してくれる。本当にバレていないのだ?

だけど、結局1年の旅で花嫁ちゃんは見つからなかったのだ。
候補には何人かあったのだが花嫁ちゃんとして連れて帰ることは出来なかった。
期限切れの日、花嫁ちゃんが見つからずションボリ帰った僕を、ルナは
『おかえりなさい』
それだけ言うと笑顔で抱き締めてくれたのだ。何だか胸がキュンとする・・・。
「僕の帰る場所はココだったのだ。探していたものもココにあったのだ。」
『え?何かいいました?』
「ううん・・・何でもないのだ・・・・・」
僕はそのまま疲れてルナの腕の中で眠ってしまった。
長かった旅。色んな人と出会い、経験をして、僕は大きくなった気がする。
グローエスやソルネアで花嫁ちゃんは見つからなかったけど、旅をして良かったと思えたのだ。

今日の僕語録「僕の花嫁ちゃんを見つけたのだ・・・」


花嫁探し日記。終章

あれから僕は毎日宮殿で父上の後を継ぐために勉強している。
たまにグローエスやソルネアに行ったりもしているのだ。

実は後からルナに聞いた話なのだが、父上も母もじいもみんな旅のことを知っていたのだ。
というのも、父上も僕と同じくらいの時に同じように旅に出たらしいのだ。
それは花嫁ちゃん探しではなかったみたいだけど、代代続いている儀式みたいなのだ。
それで納得。なるほど、父上も自分が通ってきた道だったのか。
僕を旅に出させるために色々と考えて「決まった花嫁」話をしたらしい。
そして僕が旅に出るのに影響された絵本「僕の花嫁ちゃん」。
ルナが寝る前に毎日読んでくれた大好きな絵本だ。男の子が、小さい頃引っ越して行った
大好きだった女の子を探す旅に出るというお話なのだ。
僕はこの絵本の影響もあって、花嫁ちゃんを探す旅に出ようと決心したんだった。
ルナは旅を終えた僕にこう話してくれた。
『王子が大好きで影響されてたあの絵本、最後に主人公は大好きだった女の子に出会えて
プロポーズしたんですけど、それはかわいい男の子だったんです。
王子、最後まで読む前にいつも眠ってしまうんですもの。』
ルナはそう言ってクスクス笑っていた。
「がーん」
それでも僕の毎日は今までより充実しているのだ♪

最後の僕語録「旅に出るのは絵本を最後まで読んでから!」