(40歳、男性の方より)

 前世療法。 本で読んで知っていたとしてもなんともつかみどころのない響きです。 なにかうさんくさい感じもします。ところがなにげにネットで見かけて、行こうかな・・という気持ちになりました。不惑を迎えたのに何とはなし“憂い”があることと、それにやってみたいとの気持ちからです。 阿蘇、うちから1時間くらいです。

 迎えてくれたのはまず普通の民家です。たいそうな看板も仏像もありません。 セラピストの松永さんは話をすると単刀直入な感じがして、 そのごまかさない雰囲気が安心感を生みます。しばしの雑談で緊張がほぐれた後、こんな風にセッションが進みます。

 お香と鈴の音に包まれながら・・自分では全く普通の感じなのに実はもう入っていたのでしょうか。 例えば私は左足をよく痛めるんですが『そうなった理由の時に戻ってください』と誘導されるんです。そうすると僕は農民らしい青年になっています。茶色い髪と黒い瞳。年は23。なぜか状況がわかります。 そこにお侍さんらしい人が現れて・・・「こわい」と思っていると・・切られてしまうんです。左のすねから下が全くなくなってしまって・・・よく見たら左肩もものすごく大きく切られてて。死んじゃうのかな・・・って思ってます。痛い・・ その辺からがすごくうまく誘導してくれるんです。 『今の生活の誰か見覚えある人ですか?』 よく見るとお侍は今の父で、残していく恋人、それが今の妻で、残して死んでいくことが心配ですごく残念で怒っているんです。 『でもその怒りを持ったままだととこれからも同じ苦しみや怒りが続きますよ。』 それもそうです。でも怒りが治まりません。それでもいろんなやりとりの中で次第に私は納得し、足と肩を切られ死んでいく無念さから解放されて、お侍(父)への怒りももうなくなって、残した恋人(妻)に対しても「また会おうね」ってお別れができたんです。でまた現世で出会って結婚しています。

 また別の場面では仕事をしている医者としての自分を患者さん側から見ています。不思議ですよね、あたかも何かの風景を見ているかのように自分が目の前にいます。こうやってあらためて自分を見ると、どうも自分の態度がカドがあるように感じられます。しかも二人の間にカーテンのようなしきりがあります。 『そのままにしていいですか。』 私は開け放ってみることにしました。すると霞が晴れたように患者さんとの目線が同じになった感じがあります。なるほど〜・・こんな風にすればいいんだ・・はっきりとコツをつかめた感触があり嬉しく思っています。

 このような過程で何回も泣いたり笑ってみたり、3歳に戻ったり、自分の中のドロドロしたものを掻き出して袋に詰めて残りを掃除機で吸って・・なんせ解決の仕方が突飛でない分素直にできてしまいます。 最後にはほんと、ほんとにすばらしい体験をしました。どんな?守られているという実感です。ひとりじゃないという確信です。その感動に私は思いきり泣いていました。

 ほんとにすごい!と思いました。なんせ終わってみれば2時間以上があっという間だったんです。大きく3つの“憂い”の元があったのがすごく気持ちが軽くなって、帰ってから昼寝して起きたら体も軽くなっていました。 おかしいんですよ。前世療法という言葉にうさんくさいものを感じていたんでしょう、私が帰ると妻はほっとしたように言いました。「あなたの記憶が前世に飛んじゃって私のことを憶えてなかったらどうしようと 思ってた。」もう大笑いです!その日は久々に家族全員でお風呂に入りました。

 セッションを受けてみて、結局今の両親との確執やら妻との関係やら仕事のことやら、今現在のいろんな問題を解決する大きなヒントになるんだと思いました。 私が農民で切られて死んだなんて何も証拠はありません。純粋にヴァーチャルな世界かもしれません。セッションの中でどんなイメージを持つかはその人次第でしょう。セラピストが教えてくれるわけではありません。沸き出したイメージを引き出してくれるだけで、全ては自分の中にあるものです。すでに自分の中に問題解決のヒントがあるんですよね。それを自分が納得できる形として引き出してくれる、それが前世療法なんだと思いました。私自身はいろんなことが体験できてとてもいいヒントになりました。気持ちと体が軽くなり、表情も柔らしくなったと言われました。 すごい! すごい! 全てをうまく説明はできませんが、でもこれはとてもいいですよ。はまる人には究極の癒しではないでしょうか。