住友インバータの周辺機器の制動抵抗器、制動ユニットについて説明を致します。
1)制動抵抗器が必要となる回生について
インバータ運転で、減速時や昇降機等での下降運転時に
モータは回生動作になります。
回生とは、モータの回転数に対しインバータ出力の運転周波数が低い状態
での運転でモータは電気的なブレーキがかかり、発電機と同様となり、
モータからインバータへ電力が戻ってくるものです。
言い方を変えれば機械側からモータが回されている状態ともいえます。
インバータに電源回生機能(インバータの電源側へ電力を戻す機能)がな
い場合は、そのままではインバータ内部の電圧が上昇するため、過電圧
保護機能にて減速時間を自動的に延長したり、出力遮断・エラーにて停止
となります。
このような回生動作での運転を行うために必要になるものが
制動抵抗器、制動ユニットになります。
インバータに戻ってきた電力を、制動抵抗器に電流を流すことで消費します。
2)制動ユニット
制動抵抗器に電流を流す制御をおこなう回路が制動回路です。
インバータ内部の直流電圧部の電圧をみて制動抵抗器の電流のオン、オフ
制御を行います。
インバータの機種、容量により制動回路内蔵の有無が異なります。
内蔵されていない場合は、制動ユニットを追加することで制動抵抗器が
使用できます。
例 住友インバータの制動回路の内蔵
SF320αシリーズ :なし、HF320αシリーズをご使用ください。
HF320αシリーズ :内蔵
HF430シリーズ
:11KW以下の機種は内蔵
3)制動抵抗器
住友インバータに用意してある制動抵抗器の選定表には
必要制動トルク、制動時間、使用率(%ED)の仕様がありますので
使用条件をご確認ください。
HF320αシリーズ:制動トルク100%、制動時間10秒、使用率10%ED
HF430シリーズ :2種類あり
制動トルク100%、制動時間7秒、使用率4%ED
制動トルク100%、制動時間15秒、使用率10%ED
使用率%EDについて
運転1サイクル100秒中、制動時間10秒の場合
10秒/100秒×100=10%ED となります
4)制動抵抗器のご使用の際の注意事項
制動抵抗器を使用の際はサーマルリレー等での加熱保護を実施してください。
ただし、制動ユニットとの組み合わせでご使用の場合は制動ユニットに内蔵の
サーマルリレーをご利用できます。
制動抵抗器は回生電力を消費する際に温度上昇を伴い、高温になることが
ありますので、耐熱電線の使用と設置場所に注意が必要になります。
5)インバータのパラメータ設定について
インバータ内蔵の回生制動回路を使用する場合はパラメータの設定により
回生制動回路の動作をさせる必要があります。
出荷時の初期設定では動作は「なし・無効」のためそのままでは動作しません。
住友インバータの関連パラメータ
HF320α:F304 発電制動選択(「あり」 にする必要があります)
F305 過電圧制限動作 (減速停止モード)
F308 制動抵抗値 Ω
F309 制動抵抗容量 KW
HF430:b090 DBTR使用率 (1サイクル100秒中の%設定)
b095 DBTR選択 (「有効」にする必要があります)
b096 DBTRオンレベル (直流電圧レベル)
DBTR:ダイナミックブレーキ・トランジスタ
制動回路のスイッチング素子
注) 10%を越えるような回生制動が必要な場合はメーカーにお問い合わせ下さい。
この他に、回生制動を必要とする場合があります。
例えば、偏心運動する構造の機械(クランク機構など)や、
重心がずれている(回転重心のズレ)、慣性モーメントの大きな
機械で減速時間を短縮したい場合、ロール機械での急停止用
など沢山あります。
このようなアプリケーションで回生制動機能が無い場合、
インバータは「OV:過電圧エラー」の発生を起こすことがあります。
本記載の内容は参考までにご利用下さい。詳しくはメーカーにご相談お願い致します。