「全てはカリキュレーション。

もう答え(アンサー)は出ている」




広い部屋の中には無数のコンピューター。

ピッピッと、機会らしい音が耳に入ってならない。

いくつにも繋がれたコード。

その部屋にあるのはコンピューターとコードだけであり、

あとは特に大したものもなかったのである。




が、その部屋には複数の自分物が座ったり、立っていたりしていた。

パソコンの前に二つの影と、その近くには四つの影。


いずれも同じ方向を向いていた。


















その時、ピーピーピーとけたたましい程に機会がなり、全員の目がその方へ向いた。



パソコンの前の一つの影はピッと、エンターキーを押した。

つけていたゴーグルをはずし、その顔がハッキリと見える。



「さーてお待ちかね」


パソコンの近くにいた四つの影もその姿をハッキリと現す。


「君たちの出番だよ



まずは不動琢磨、アンタに出てもらう。

それから……”ジョーカー”アンタだ。


そしてもう一人、帰ってきたばかりで悪いけど、


筧十兵衛。


君にも出てもらうよ。」



「…分かった…」



「で…ターゲットは?」

少年の指がまたキーボードを打つと、再びパソコンの画面が変わる。

その画面には三人の写真。




「ビースト・マスター、冬木士度。

邪眼の男、美堂蛮。

そして――




ミス・レッドムーン






















Existence

―無限城"IL"奪還作戦!―






















「うーん…。」


小さな唸り声らしきものが聞こえる。

先へ進んでみたもののどうもILらしきものには近づけず、

特に誰にも会いもしないし、

特に敵もでてこない。


ということは、用にこれは自分の進んでいる道が

間違っているかもしれないということなのである。



そういうわけでは一人あごに手をあてて悩んでいたのだ。

「やっぱりこっちの道違うのかなぁ…でもこっちしか行く道はないだろうし…







…むーーー……」



ぷくっと頬を膨らませて唸るが、当たり前のごとくどうすればいいのかわからない。


「私ってもしかして方向音痴とか…?」


挙句にはこんなことまで考えてしまうのだ。









むー…と悩んでいたその時、場の雰囲気は一気に変わった。





「!」


――この気配は…やっとお出ましかな……?



自然と臨戦態勢へと入る。

一寸先を見つめ、集中力を高める。


すると奥からぞろぞろと、複数の男が現れた。


「わーいっぱいお出ましだね〜…それにしても…人数多いなぁ。」


あくまで真剣な体制ではいるものの、口調はどこか緩やか。

の目の前にいるのは10…いや20だろうか…それぐらいの人数がいたのだ。

だが、どれも皆特に言葉を発することはない。


「…?」

明らかに何かおかしさを感じてはいた。


「ま、とりあえずいいか。

それに…




数が多くても、その中身が良いかにもよるしね。」



スッと変わる表情、いつもの戦闘態勢へと自分を持っていく。









「うおおおおおおおお!!!!!」


一人の鉄の棒を持った男がに襲い掛かろうと棒を振り上げた。









―――スッ…







「!?」


だがしかし男が棒を振り下ろしたときに、の姿はなかった。

変わりに、男の背後にその姿はあったのである。



「……行きますよ。」


背後で小さく呟かれた声。

男が後を向いた時、事はすでにおこっていた。



ヒュウ…と一筋の風がその場所を流れた―――


















――「さて…こんなものかな?」


目の前は気を失って倒れたものたちで満了になっていた。


戦闘の時間はそう長くなかった。

が舞うごとかのようにその動きをすると、複数の敵が倒れていく。


あくまで、戦闘の間は集中力を切らさない。


それが彼女の心がまえでもあったために、その戦いは一瞬の内に終わった。


「それにしても…何で意味もなく複数の敵を送ってくるのかしら…」


その、マクベスという者もそんなことに気付かない馬鹿ではあるはずがない。

なのに、先ほどから送られてくるのは似たような者たちばかり。



一体どういうことなのだろうか…?



目の前に倒れている敵を見ながら、そう思っていた


その時だった。





「ほう、やはりこの程度では倒す事は出来ないようだな。」



「!?」



急に体を、何か別のものが包むように反応を起こした。


――どうやら…そろそろ本物がお出ましのようね。













――「…………」


少しずつ、その人物の姿が明らかになってくる。

到って普通の格好ではあるものの、ただ一つ、かけているゴーグルが目立つ。




「お前がだな。

マクベスより、お前を始末するように言われてやってきた。


行く手を阻むものには死あり、今からここを引けば許してやってもいいが……


どかないと言うのなら……」



「どきませんよ。仕事ですから。」








十兵衛のを遮り、きっぱりと言い放つ。

その瞳は真剣さをやどし、彼女の信念を表してならない。



のその雰囲気に、十兵衛もこれ以上は言葉を発する必要もなくなったのか、

遮られたまま、言葉を続けることもなくなった。









「なるほど…どうしてもどかない…というのなら…




望み通り死あるのみ!!」




言葉と同時に3本の何か、光に反射して何か光るものが目に入る。

それは高速で近づいてきて、よけようとしたの髪を少し切り取った。



「…っ!」


――何!?これは……


針…!?――


最初こそは反射して見えなかったものの、

よく見れば、それは少々太めの針。


当たればもちろん、即死は間違いない。


避けた針はの体の周りを回り、主の元へと帰っていく。




――これは…!!


その動きのすばやさは目で追うのも難しいほど。



――これは相当の使い手と見て間違いないわね…


それにしてもこの針…どこかで……――


実力の高さを知らされるように、その針は自分に向かって攻撃をしてくる。

よければ床にあたり、とてつもない衝撃が起きる。


だが、には一つ、気がかりなことがあった。

自分に向かってくるこの針、どこかで見たような、聞いたような気がするのだ。







もしかして…―――


















「どこを見ている!!」


「!!」



ハッと気がつくと相手はすでに近く。

接近戦の状態となっていた。


針を受け止めることは出来ないので、咄嗟に身を翻し空中で一回転する。



ストン、と片方の足で着地し、態勢を整える。




「…逃げてばかりではこの先を突破できんぞ。」


「…………」


十兵衛は飛針を持ったまま、は直立したまま

互いににらみ合う。

十兵衛の言葉に特に答えることもなく沈黙を保っていた。



「まぁ元々先へ行かせるつもりはないが…その程度では俺が来る前に

他の奴が来ていたらすぐにでも死んでいただろう。



もう一度言う。




死にたくなければ今すぐここを引き返せ。

でなければ貴様は死ぬ運命にある。」












少々の沈黙。

重い雰囲気が両者の周りを覆う。


の顔は十兵衛から見て、少し俯き加減だったためによく表情は見えないでいた。




重い空気の中、口を開いたのはであった。

それもいつもより少々低い声で。




「……先ほどから黙っていれば、よくもまぁ…

勝手なことを言ってくれますね。







いい加減にしてもらえませんか。」





「……」

先ほどの柔らかな雰囲気とは一転し、唸るように声を上げる

十兵衛は何も言わない。



「私は、そんな簡単な気持ちでこの仕事をやっているのではありません。

確かに周りから見れば私はただの女子高生です。


でも、仕事に対する信念だけは、蛮君や銀ちゃん。

卑弥呼ちゃんや赤屍さん、士度さんや花月さんとは変わりありません。



私はそんな気持ちでこの世界に入ったわけじゃない。」





「…!?」



フォ…との周りの空気が変わる。



「仕事は最後までやり通します。

たとえどんなに命の懸けた仕事でも。


死ぬのが恐くないとは言いません、


でも気持ちは負けない。


今までも、これから先も。




たとえどんなものが立ちふさがろうとも。


私は逃げない。」




空気が変わり、そのオーラが十兵衛を圧倒し始めた。


――なんだこの殺気のはらみは…


この女、一体………!?――












「私は、自分の信念を貫く。」

























ヒュオオオオオ!!!!















空気が、風が、地から這い上がるように彼女を包む。

それは小さな竜巻のように、彼女を守るかのごとく彼女を捕らえる。



一寸の隙も逃さない


一瞬の瞬きも逃さない









力は放たれる、の手によって――


















「旋回風進!!」




















――ドオオオオオオオオォォォォン!!!!






























から放たれた風は弧描くように十兵衛の方へ直進。

圧倒的な力に驚愕し、身を守ることも忘れるほどにそれは距離を縮め。



十兵衛を体を押し、壁にへと一気に叩き付けた。







「く……!!」


――まさかこれほどの力を持つとは…!!




立ち込めた煙が少しずつ晴れ、まっすぐにこちらを見ているが見える。

その瞳は彼女の力を表し、ひきつけてならない輝きを持っていた。



だがハッと脳裏を何かが過ぎった。



――待て…この少女の力……


まさかそんなはずは……いやでもというのはやはり……!!――



「もしやとは思うが…まさか貴様……!」



「え…?」



目を見開く、

突然焦ったような十兵衛に戦闘時の緊張感も解け、不思議そうな表情となる。



だが、次の瞬間に放たれた言葉はの心を揺さぶる他なかった。









「貴様、まさかあの家のものなのか……!?」





















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無限城IL偏第5段です。
長い…長すぎる…そして目標の所まで行けなかったし…!(汗)
すみません次こそ………!!
あぁそれにしても、どこまで続くのかな…このIL偏…
まだまだいろいろ書きたいものはあるのに…切ない…。

というわけで、今回は十兵衛でしたね!
彼のサムライっぷりが私は好きです(笑)しかも声優は子安さんでしたねvv
ヒロインもちょっと怒らせて(?)みて、頑張って書きました。
決意の堅さを表したかったので。
そして今回は書けませんでしたが、主人公の過去の話を次でちょっと明らかにするつもりです。
その予告的なものに最後に十兵衛の言葉を入れました。
やっとですね…やっと……(遠い目)
このIL偏は一応主人公の過去の橋渡しみたいなものでもあるので…。
早く出せるといいなぁ……


それでは〜次の更新が早いことを祈って。
感想等を頂けると嬉しいです♪

H.16.10.15