私はどうして生まれてきてしまったんだろう……











私は誰なんだろう……











私は











どうしてここにいるんだろう――――――




















Existence

-無限城"IL"奪還作戦!-






















「…、もう大丈夫なのか?」



「うん、大分。

ごめんなさい、なんだか取り乱してしまって。

蛮君も…ごめんね、急に泣き出しちゃったりして。

服、ちょっと濡れちゃったね……」

「別に大したことねぇよ。

それより、ホントに大丈夫なのかよ、お前。」



「うん、もう落ち着いたから…」


が蛮にしがみつくようにして泣いた後、

少し収まってくるとは落ち着いたように見受けられた。


士度や蛮は大丈夫なのかとそれでもなお問いかけてみたものの

は本当に大丈夫だと、二人を安心させようと笑顔を見せていた。

あまり顔色のすぐれないの表情に二人は少々心配の色を浮かべていた。



―――良かった、アレが起こる前に蛮君たちが来てくれて…

ほとんどもう危ないと言ってよかったであろう。

アレが起こってしまえば、自分はもう……




「じゃ、も落ち着いたし、そろそろ行くか……地下に。」

蛮が立ち上がるとともにそう言った瞬間、

はそれを耳にいれると蛮の方を向き言葉を発した。


「やっぱり…ILのありかって地下だったのね。」


「おめぇも気付いてたか。

卑弥呼の追尾香のにおいが地下のゴミ処理場へ続くダストシュートから匂ってよ。」


「と、いうことは…卑弥呼ちゃんたちも下にいるってことだね…。


私達はてっきり、ILのありかが上の階だと思っていたけれど……実はそうじゃない。

それに地下だったらILをおいておくには十分適する場所でもあるし…」


「やっぱりってことは…お前、この無限城に地下があること知ってたのか?」


「ええ、そしてILの正体が”IMPLOSION LENS”という原爆の起爆装置であろうということも。」


「!!おまえ、どこでそれを…?」

ILのありかどころか、その正体まで見抜いていたの考察力に驚きを見せる士度。

蛮は特に何も言いはしないが、黙ってそれを聞いていた。


「実はね…最近あるルートで国家の機関からそれが盗まれたという情報が入ったの、

さすがに核兵器だから非公式ではあったんだけど…。

日本は核兵器の断絶を主張してはいるものの、裏ではいろいろと起きているみたいだし…

それを思い出して、きっとそうなんじゃないかと思ったの。


それにあの依頼人、仮面を被っていたところからして、きっとその辺りの人間だと思う。

私もだてによろず屋やってるわけじゃないし、これぐらいの情報は手に入れておかないとね。」


微笑とも呼べそうな笑みを浮かべ士度に向けるに対し、

士度は驚愕の表情を見せていた。


別に自体をあなどっていたわけではないが、

まさかここまでやる少女だとは思っていなかったからだ。

始めてあったときもそうだったが、があの「ミス・レッドムーン」

本人であると聞いたときも信じられなかったものである。


――さすがに、ミス・レッドムーンと呼ばれるだけあって、

その知識も戦闘能力も高いってワケか……


目の前の少女のすごさに少々圧倒されたものの、

士度はその少女を見つめていた。



「うっし、じゃあとも合流したし、

行くぞ。」


「ああ。」


「あ、あの……」

その場を立ち去ろうと二人が歩き出した瞬間、

ふとが二人を呼び止めるようにようにして声をかけた。


「あ?」

進もうとした矢先のの言葉に蛮含め、士度も振り返る。


「あの…その………」

少し言いにくそうに下を向く。

が、目の前の二人は特に何も言わず何かを言おうとしている自分を見ていた。

何も言う事もなく、何も自分に問いかけない蛮と士度。



その表情を見、二人が何も言う気がないのを理解すると


「ううん…何でも…ない。

ごめんね。」


「ならいいが…先行くぞ。」


「うん。」



―――わざと聞かないでいてくれたんだ……

先ほどまでの自分のあの姿の理由を、何も聞かず何も問いかけない二人に、

は二人ともわざと触れないようにしてくれているのだと確信し。

そして感謝を感じた。


あのことを今言うにはとても荷が重く、そして辛い。




それでもいつかは……


――いつかは…言わなくてはいけないかもしれない。

そして…みんなの元を去らなくてはならない。


その時が来るまでは…まだ秘めておこう。


いつか来る、その時まで―――


そう思うと、は前を行く二人の後をついていったのであった。










































「わーい!!蛮ちゃ〜ん!!」

嬉しそうに蛮に飛びついていく銀次の姿。

よほど合流できた事が嬉しかったのかその姿は微笑ましいものであった。


「会いたかったよ〜!会いたかったよ〜!!」

「ばーか、大した時間じゃねぇだろ。」

今は蛮の肩車のように乗る感じでたれモードとなっている銀次と蛮の笑顔。


――あの二人って、本当に仲がいいんだなぁ。

羨ましさを思えるを程に、その絆の深さを感じる。

自分は今までほとんど仕事を一人でやってきていたから余計に。

今までいろんな試練を二人で乗り越えてきたのであろう、

だからそれだけ互いを信じ、つよい絆を持つ事が出来る。


暖かな目で二人の姿を見るであったが、

ふと声がかかった。


。」


「卑弥呼ちゃん。」


自分へ近づいてきた人物を見、笑顔を向ける。


「卑弥呼ちゃんも、無事だったんだね。

良かった。」

「当たり前じゃない。私だって伊達に運び屋やって来ちゃいないわよ。」

「だね、ごめん。」

「いいのよ、それにアンタも無事で良かったわ。

…アンタの実力は知ってるけど。」


クスクスと笑いあうと卑弥呼。

その元へまた一人、近づいてくるものがいた。



さん、ご無事でなによりです。」


「花月さん。」


リン…と自身の鈴の音を鳴らし、端整な顔を向ける。

その姿を目に捉えると、はまた笑顔を向けた。


「花月さんも…無事でなによりです。

あの…多分花月さんもそうだと思うんですけど…

私、ここへ来るまでに筧家の方にお会いしたんです。」

「十兵衛に…?ということは戦ったんですか?」

「ええ、まぁ…途中、連絡が入ったみたいであんまり深くは。」

「そうですか…彼とは以前、無二の親友でした。

でも僕がここを出たのをきっかけに、あまり会うこともなくなり

マクベスの従者となったようです…」


「そうなんですか…友達…だったんですね。」

「ええ……」


かつては親友だったものと敵対すると言う事がどんなに苦悩なことであろう。

辛い…それだけでは言いきれないほどに。

目の前にいる花月の表情からも伺えるほど、その表情は曇っていた。


こうして平然を保ってはいるけれど、やはりどこか辛そうであった。




さん」


ふと、名前を呼ばれ顔をあげる

目の前にいた花月の顔には真剣な表情が浮かべ、

はそれに見入ったまま不思議そうにそれを見た。



「こんなところで言うことではないかもしれませんが……」


後方ではまだ、銀次と蛮が戯れている。






「…あなたは、あの家の方ですね。」

凛とした口調から発せられたその言葉。

は不思議そうな顔をした後、花月のその言葉を聞いて少し顔を伏せた。


周りも途端にシン…とし、沈黙が少し流れる。





「………ええ、そうです。

私は家の一族のものです。

花月さんの風鳥院家や筧家のことも、良く存じています。

先ほど筧の方と戦ったときも、そう言われました」


その言葉に、卑弥呼などの一部の人間の目が開かれる。


「やはりそうですか……初めてあなたの能力を見たときもしや…と思い、

名前を聞くと””ということでしたので。

家は古来から風を舞のごとく操る一族と言う事で有名でしたから。




…ですが…家は…」


「……ええ、すでにもう滅亡しており、

私は唯一生き残った家の一族のものの一人です。


そして数年前、家はある事情により滅亡しました……」


皆が聞き入っている事も気にせず沈黙の漂う中、話を続ける

端のほうにいた赤屍ものその話に興味を持ったらしく、その話に

聞き入っていた。



「滅亡の理由は…すみません…今はまだ話す事が出来ません…

ですが、数年前にそのような事態があったこともまた事実ではあります。


幸いにも、私は家が滅亡する前にすでにその全ての術を取得していました。

ですが、もう家は存在することはありません…」



「驚きました。僕は家が滅亡した後にその話を聞いたのですが、

正直、信じられませんでした。」


「ええ、そうだと思います。

あまりにも突然の出来事でしたし、内部事情はあまり知られていませんから…」


花月を前にし、は軽くおじぎをするように身をかがめる。


「…ごめんなさい。内部のことに関しては…言えません…」


「いいえ、いいんですよ。こちらも無理には問いませんので。」


「ありがとうございます。」



その場にいた全員は黙ってその話を聞きつつも、

が滅亡した一族の生き残りという事実を知り、そしてその過去の辛さを知る。


――こんなあどけない笑顔をみせる少女に、そんなことがあろうとは……




今はまだその一部とは知らないとは言えど、

沈黙は数秒ほどつづいたのであった。















「さて…お話もいいですが、そろそろ先へ進んだ方がよいのではないかと…

いよいよ大詰めのようですよ?」

沈黙を破った赤屍の言葉に、皆はハッとし元々あったいくつかのドアの並ぶ方へと目を向ける。


六つの灰色の鉄のドアが、全員の前に立ちはばかる。

それぞれ均等にならんでおり、まったく同じものであった。


慎重に選ばなければならない、という花月の言葉にも賛同する。

恐らく、このドアが全員の運命を決めるであろうから。


すると、銀次がごそごぞとポケットから何かを取り出すと「いいものみーつけたっ!」

とそれを差し出した。



「…サイコロ?」

「うん。丁度六つあるし、これを順番に振って決めればいいんじゃないかな。」


ゴン、と音が聞こえたと思うと、それは蛮が銀次の頭のを叩いた音であり、

蛮はその銀次のあまりにも能天気なところに呆れていた。


「…あ、でも七人いるから中途半端かな?」


「うーん…でも用意されたドアは6つだし、

これがそれぞれの運命につながるのだとしたらそれは関係ないのかもしれない。」


そう話していると、蛮が銀次を殴った衝撃で床に落ちたサイコロに

スッと誰かの手が延びていた。


「…赤屍さん?」


それを拾い上げたのは予想もしなかった赤屍であり、

スッとそれを顔の前に掲げると、はじくようにして赤屍はそれを投げた。

一同がそれを不思議そうに見つめている中、

投げられたサイコロはころころと音をたてて床に転がっていく。



サイコロが止まり、それが指したものは…


”1”


「1…ですか…それが私の運命ならば…」

そう言うと早々に一番左のドアに向かい、のぶに手をかけるとそのまま

赤屍は姿を消していった。




「そうですね…銀次さんの選んだ道ならば、

行っても悔いはありません。」


赤屍が去った後、そう言いつつ再びそのサイコロを拾い上げたのは花月。


次々とサイコロを振っていく者達。


そしてなんと、蛮までの六人がサイコロを振ったところで

それぞれが2〜6の数字をそれぞれ順番通りに拾っていたのである。


普通ならありえないようなことではあるが、

ここ、無限城では違う。

運命が、すでに決まっているのだから。



そしてついに、一番最後のがサイコロを振ることとなる。

ドアは六つしかないために、自動的には他の誰かと同じドアから入ることとなるのだが…。



「振るね。」

決意したようにそう言うと、ピンッとはじいてサイコロを押し出す。


ゆっくりと、まるでそれはスローモーションのように見えるかのように

落ち、転がっていく。


全員が目を見張り、息を呑む。

そして自身も、それをじっと見つめ、目で追っていく。

サイコロの動きが緩くなり、最後にピタッと止まった。

















「え…………?」

















そしてサイコロが止まったと同時に、


は目を見開いたのであった―――――



























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はいー、"IL"偏第9段、ついにこれもここまで来ましたね〜。
次でついに10です。
今回はそんなに大した話ではありませんでしたね〜。
ええっとそれからほんっとうに申し訳ないのですが、私はここのところを
全く原作もアニメも参考にしないで書いてしまいました(汗)
すみません…手元になかったんです…ので、いろいろと違う箇所があると思うのですが
どうか気にしないでください…(泣)
手に入ったら、もしかしたらちょこちょこ修正するかもしれませんー…(オイ)

それにしても…蛮ちゃんと銀ちゃんの再会は、あれはホントに自分でも微笑ましい光景
だと思いました(笑)もうこのコンビは本当に好きですね!!なんというか…お互いを
信じあってるし、いい二人ですよね。アーリーデイズとか感動しましたよ〜。

さてさて、ヒロインちゃんは一体何番を引いたのでしょうかね。
てか、ここは本当にどうしようかと悩みましたよ。
「ドア6つしかねーじゃん!」って(笑)
Rちゃん、助言をありがとう…!ここにて感謝!!

あと何話で終わるかこの話………。
どうかお付き合いくださいませ〜。
それでは。

H16.12.20