閉ざされた真っ暗な空間。


あたりは静かで物音ひとつもしない。


自分の五感という五感は遮られ、ただ何の考えもなく無意識に進んでいく。



でも何故か、その無意識が何かによって引かれているような…

そんな気もして。





――闇は恐くない。


――闇は自分と共にあるから。



だから迷わず進める。


コツコツと響く靴音もほとんど気にせずに。


――不思議ね…来たことがあるわけでもないのに。



何も見えず、何も聞こえず、何も感じない。

それなのに、何故か迷いもせず進める。




進んでいく内に目の前に白い光が現れ、何かを映し出す。

最初はぼやけていて何か分からなかったために

目を細め、よく見ようと目を凝らした。





目を凝らして見たそれは両開きの白いドア。

近づくにつれてその視界もハッキリしてくる。


はその前まで来ると足を止め、それを見上げた。







――運命…か…






ドアの戸ってに手をかけたまま、そう思う。


このドアの先には自分の運命というものがある。


果たしてそれが何なのかはもちろんわからない。



だが…それでも…








――それが私の運命なのなら








そしてドアは開かれた。




















Existence

-無限城"IL"奪還作戦!-

10





















ドアを開けると、中は何もない空間であった。


先程の部屋とは違い、本当に何もない…壁さえない空間だった。


だが、暗いという訳ではなく、むしろその空間は明るさがあるほうではあった。



はその部屋に特に動揺もせずその中へと足を進める。






――「そろそろ次へ進みたいのですが…早く受け取ってもらえませんか。

始めましょう…戦いを。」


「それは…これを見てからではどうかな?」


進んでいく内、聞こえてくる二つの声。

一つは聞きなれた、恐らくいるだろうと予想した通りの声。

そしてもう一つは若く、少年のような声。


その声を聞きつけると、は足をさらに進めた。







――「どうだい、これは君にとっても意外な組み合わせだっただろう?

Dr.ジャッカル。」


そう言って少年の後ろにたたずむ大きな画面。

赤屍はそれを、帽子を少し上げ、目を細めて見る。


その姿を少年はクス、と笑い口の端を吊り上げる。

そして横目で左の方を見ると、予測してたかのように再び口を開いた。




「さて…もう一人お出ましのようだね。」

その少年の言葉に、赤屍は少年の見ている方向へと目をやる。

霧が辺りに立ち込めているため、一体何なのか把握出来ずいると

霧の中から一つの影が見え、それがハッキリとしてくると赤屍は目を見開いた。











「どうも、初めまして………


ミス・レッドムーンこと、さん。」



「初めましてね、マクベスくん。」


霧から現れた少女、は微笑みそこに立っていた。

まるで彼女自身も予測していたかのように。



「赤屍さんも、やはり一緒のようだったようですね。」


「どうやらそのようですね…あなたまでここに来るとは…

驚きましたよ。」


「クスクス、私もです。」


そう言ってポケットからサイコロを取り出し、1を表す方を向ける。

「まさか赤屍さんが行った方向の部屋とは思いませんでしたよ。

6つしかドアがなかったので、必ず誰かと同じ扉に行くとは思ってましたけど、

まさか赤屍さんと一緒だったなんて。」


「クス、どうやらさんとは少し縁がありそうですね…」


「あはは。」


あの赤屍と普通に会話を交わせるのは馬車の他、ぐらいだろう。

最初出会った時はさすがに警戒心を抱いてはいたものの、

今はそうでもなかった。


と赤屍の話少し離れたところから聞いていたマクベスは

クスリ、と笑った。



「…どうやら、あなたはすでに僕と会うことを予測していたようだね

さん。」


マクベスの声を耳に捕らえ、と赤屍はそちらの方へと顔を向ける。

はなおも静かに笑みをたたえていた。


「そうね、いずれあなたにはお会いするだろうということは思ったけど…

まさかこうした形で会うとはさすがに思わなかったわ。


少年王と呼ばれたあなたに。


……どうやら、プルトニウムの件は赤屍さんに回ったようですね。」


意味ありげなの言葉にマクベスはクスリと笑い、

赤屍は興味を持ったようにに問いかけた。


「…と、いいますと…?」


「赤屍さんが引き受けたプルトニウムの件は、実は私に回ってきたものだったんです。

ですが、その時私はすでにヘブンさんから依頼を受けていたのでお断りしたんですよ。」


「ほう…?」


「今回の依頼人にみんなとお会いしたとき、

すぐに今回の”IL”が原子爆弾の装置だと気付きました。

すでにいろいろと裏から情報を手に入れてましたし。


そしてこのメンバー中に、プルトニウムを運ぶ”ユダ”のような存在がいることも…

どうやら見たところ、赤屍さんのだったようですね。」


「クス…驚きましたか?」


「いいえ、そんなに。

元は私が受けるかもしれなかったものしれませんでしたから。」



「まぁどちらにしろ、君はここへ来る運命にあったみたいだよ。」


再び割ってはいるように口を開いたマクベスに、再び二人の視線がもどる。

に対し、艶然と笑う所は少年王を表すかのよう。


”ここへ来る運命にあった”


その言葉に一瞬の瞼が下がる。

だがその視線は再び戻り、そして静かには言葉を呟いた。






「………アーカイバ(倉庫)ね。」






ピク、とマクベスと赤屍が動きを見せる。

マクベスは再び、何か興味のあるものを見つけたように、楽しそうに微笑んだ。









「へぇ……知ってるんだ。」









から先ほどの笑みは消え、一心の真剣な表情を顔に表す。

の雰囲気が変わったことに、赤屍も視線をマクベスからに戻した。




「……君のデータを見たときから思っていたんだ。

君は初めてこの無限城に来たわけではない。


それも、仕事でもなく用事でもなくこの無限城に来たことがあるわけでもない。

そして鏡君は君のことを知っているようだ。



赤屍と君のデータを見つけたとき、君のデータにはほとんどプロテクトがかけられていて

この僕でも見つけることは出来なかった。


君と無限城は何か重要な関係があると考えてもいい。















…君は一体何者なんだい?さん。」



























流れる沈黙、両者ともピクリとも動く様子もない。

真剣な表情のマクベスとの瞳が交差し、どちらも揺らぐ事はない。


その沈黙の中を、赤屍もただただ黙って見つめていた。

目の前に立っているを見ながら。



















「…………」

ふぅ、と小さくため息をはく。



――ここで言う事になるとは……



思いがけないことになってしまった。

いや…もしかしたら予想通りだったのかもしれない。

内心では。



ここへ来てしまった以上は、仕方がない。





「…私は何者でもない。確かに無限城に来たのは初めてではない。


でも別に無限城と重要な関係があるわけでもないし、

あなたが思っているほど、大した存在でもないわ。


アーカイバで私のデータにプロテクトがかけられている理由さえ、

私にはわからないのだもの。」



「…だったら…そうだとしたら、君は何者なんだい?

一つ、無限城と関係があるんだろう?」



















「私は………」



















―――死にたくなければ今すぐここを引き返せ。

でなければ貴様は死ぬ運命にある









―――もしやとは思うが…まさか貴様……!

貴様、まさかあの家のものなのか……!?









―――ここを出て行ったのは僕たちのためであるんだろう?

アレを気にして、君は僕らに迷惑をかけまいと。










―――お母さんっ!!お母さんっ……!










―――どうして私はここに存在しているのだろう…











―――!!










―――ったく、オメーは…なにやってんだよ。




















―――それが私の運命ならば
























覚悟は決まっている。



















もう、すでに。


















―――それが運命なのなら私は





































「私は………」







































「私はこの無限城の……


謎多き場所、悪鬼の巣窟であるこの無限城のすべての事実があると言われ、


危険度80%と言われた最も恐れられる…




上層階、バビロンシティの出身者よ。」



















――それが運命なのなら私は、ただ進むしかない。


これから先も待ち受ける……


幾度の試練があろうとも―――



































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遅くなりました!"IL"偏第10段です。
ついに二桁になった!!なんて(笑)
なんかまた原作を無視してしまったような…(汗)
おおう…。

滅亡した一族と来れば、次はバビロンシティの出身者!!
謎が多いヒロインだなぁ…(笑)いや、自分で考えたんですけどね;
ヒロインが入ったドアは、そう”1”でしたね〜。
一度マクベスとの会話も入れたかったのでここに致しました。
今までの出来事がヒロインの心を決めたようです。
まぁまだまだいろいろあるんですけどね(またかよ/笑)
それは、このIL偏が終わってからの話ですが。

では、あと2話ほどでこの章の話も終わりそうです。
やっとですね…早く次に進みたい!

それでは。


H.17.1.15