たとえ彼らが一般的にいう悪だったとしても。

たとえ彼らが神に反するものだったとしても。

たとえ彼らが何者であったとしても。





たとえ彼らが”世界の敵”であったとしても。






こんな私を拾ってくださったことを、

私は感謝したい。




















過去と未来、

そして裏切りと忠誠

―真実―





















「薔薇十字騎士団(ローゼンクロイツオルデン)…ですか。」


「ええ、それが私たちの組織の名前……世界を変えるものたちの名前です。

私たちは皆、この組織の頂点に立つ我が君…カイン様を慕い、集っているのです。


騎士団(オルデン)にはそれぞれ階級があり、頂点に立つカイン様は10=1。

私は9=2でメイガス。ディートリッヒは8=3マギステル・テンプリ。

その下に7=4、6=5……と続いています。



我らは皆、”我ら炎を持って世界を更新せん(イグネ・ナチュラ・レノヴァートル・インテグラ)という

言葉を元に、我が君に忠誠を尽くしているのですよ。」



「”我ら炎を持って世界を更新せん”………」


「それが僕らのうたい文句みたいなものさ。

ま、イザークみたいに変なやつらばっかだけどね、騎士団(オルデン)は。」


「……君だけには言われたくないね、”人形遣い”。



だいたい…君が余計なことをしてくれたおかげで、

まだ黙っていようとしたのを言わざるを得なくなったのだよ。」


「それはそれは…すみませんでした。


てか、何?魔術師、あの時僕との会話聞いてたの?

……相変わらず趣味が悪いんだね、君は。」


「君に言う資格があるのかね?」


「たいしたことないじゃないよ。いずれバレることだし?」


「え、ええっと…あの…」


「あぁ、お気になさらないでよろしいですよ。

こやつはいつもこのような態度ばかりで……私も手を焼いているのです。」


「…よく言うよ。」



「えと…あの…し、真実を教えて頂けて、私は嬉しかったです。

どうであれ、私を拾ってくださったのですし…ありがとうございます。」


そう言って頭を下げる少女に対し、ディートリッヒとイザークの二人はそれに目を見開いて一瞥するが、

すぐにクスリと笑みを漏らす。


「いえ、こちらこそいろいろと粗相をしました…。

我々ローゼンクロイツオルデンは世間では一般的に悪だと見られております故。

お話申し上げようか迷っていたのです。


…ですが、大丈夫なようですね。」


まぁやはりこの男に過失はありますが、とそう言ってディートリッヒを見やると、

彼は過ぎ去ったことはしょうがないさ、とあっさりと答えた。


イザークのはぁ、というため息に、は聞いてはいけなかったのだろうと、

少々おろおろとする。






「いいんじゃない?これで僕らもに隠さず話が出来るんだし。」



不意に、暗闇からの声。

その声を聞いたとたん、イザークは恭しく頭を下げた。

同時にやディートリッヒもその方向を見る。




「我が君、そのような痛み入る言葉などこの男には不要かと…。

むしろ反省させるべきです。我が君から許しを得る前にこやつは話したのですから…。」


「んーまぁ確かに先に言われちゃって僕的には残念だったけど…

こうしても受け止めてくれているし?

ま、結果オーライだよ!!うん!!」


「我が君……」


「さすが我が君はわかっていらっしゃる。

ありがとうございます。」


怒りを表す様子もなく、満面の笑顔で人差し指をたてて言う主人、カインに

イザークはまたこの主人は…と呆れたようにため息をついた。

ディートリッヒは反面、勝ち誇ったように笑みを深める。





「あの……」




そんなやり取りの中、遠慮するかのごとく小さな声が響く。

どうかされましたか、とさっとの方を向くイザーク。

彼が日ごろ、カインの元で手際よく働いているのが良くわかるほど、

その動きは執事のごとく滑らかだ。


「なんだか…私は聞いてはいけないことを聞いてしまったのでしょうか?

そうなると…私は消さなければいけない存在ですよね…


あ、あのありがとうございました。」


そう突然言い出し、深々と頭を下げるに、

三人はよくわからずを見つめる。



「秘密を知ってるものをこうしてほおっておくわけにはいきませんよね……

すごく良くして頂けて嬉しかったです。何なりと処理してくださいませ。」


そう真剣に考え込むの意図がわかり、

プッと最初に吹き出したのはディートリッヒであった。


同時にカインもクスクスと笑い出し、イザークも心なしか口に手を当てている。

当のはそれを不思議そうに見上げるだけだ。


「…あの何かおかしなことを言いましたでしょうか?」


「クスクス…いえ、申し訳ございません。

そのようなお言葉が出るとは、思ってもいませんでしたので…つい。」


「ホント、君っておもしろいね、。」


え?え?とその意味がわからないのか、はきょとんとしている。

そこをフォローするように、カインが入ってきた。



「んとね、僕達はをどうこうするつもりはないってことなんだよ。

確かに僕らの秘密はばれちゃったけど、いずれにしよ話そうかと思ってたし。」


「確かに…もともとさまを拾われたのは我が君のご判断ですからね。」


「そういうこと!!だからね、







は好きなだけここにいていいんだよ?」







カインのそばに控える二人、イザークやディートリッヒもまた。

笑みを浮かべてこちらを見る。



眩しいくらいの豪奢な金髪、頂上に君臨する品格、そして満面の笑み。

その時、にはまるで彼が天使、いや神に見えたのかもしれない。


それは怪しくもあったが、美しくもある。


カインの笑みに対し、も最高の笑みをもって返したのであった。





「はい、ありがとうございます。」























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ひっさびさの更新ですね…(遠い目)

なんとしても過去偏は完結させたいので、頑張って書きますよ!
たぶん予定ではあと2話・3話ぐらい?次が長いやもしれません…。

今回は少々短めでした。ヒロインにカインたちの真実を明かす時。
ですが!ヒロインにとっては大して気にならなかったようですね。
むしろ彼女は感謝でいっぱいなんですね。
てか、ヒロインが微妙に天然っ子になってしまった(笑)

次で結構大きな?展開があります。
早く決着させたいですね〜てか頑張れよって話なんですが(笑)

H19.4.8