竜園
Original Novel
- 銀のHYDRA -
第W章 拗れるは赤い糸
カムイはキッチンの入り口に立ち尽くしていた。
阿呆のように口を開け、見慣れた炊事場を見詰める。
「あ…お早よう。カムイ」
カムイに気づいたミリュウが、振り返って可愛く微笑む。
カムイの許しを得、繰り返し愛の行為を受けたミリュウは、幸せ気分で一杯だった。
新調した前掛けは、フリル一杯の思い切り少女趣味の代物だった。
強いて言えば、ミリュウは素っ裸に前掛けだけの姿をしている。
三つ編みされた尻尾が、締まってすらりと伸びた脚の間で揺れる。
剥出しの臀部から背中の曲線が、差し込む朝日に黄金色に染まっている。
カムイの見惚れた様子を確認し、嬉しそうに優しく微笑むミリュウ。
「ぇ…と、牛乳飲む? それとも、果実汁? それとも………エッチする?」
指折り数えるミリュウが、流石に恥じらって震える。
「エッチする…」
「はぃ…じゃ、きて」
妖しく火照って呟くカムイに、可愛く頷いたミリュウは後を向く。
屈んで流し台に手を突き、脚を開いて尻を掲げる。
プラチナブロンドの陰毛が可愛く生え揃った恥丘は、その引き締まった性器を誇るように堂々と晒される。
逞しささえ感じる、肉付きの良い成熟した臀部が差し出される。
尻尾がカムイを誘うように可愛く揺れる。
ミリュウの背後に立つと、ズボンを降ろして肉根を突き出す。
とうに勃起していた肉根は、ミリュウの下腹部をびち…っと弾いた。
硬さと勢いの良さに、カムイが催している欲情を知って、それだけで堪らなくなる。
普段の、優しく可愛がられるプレイも好きだが、時には激しく無茶苦茶に犯して欲しいと思ってしまうミリュウだった。
「ひゃ…」
「濡らさなきゃ…」
微かに残った理性で、ミリュウの準備を気遣う。
いきなりではミリュウが傷付いてしまう。
「ぅんん…平気。ずっと…濡らしてたの………カムイの事…待ってたから」
恥じらいに消え入りそうに訴えるミリュウの太股に、性器から零れた粘液がつぅ…っと糸を引いた。
ミリュウは但じっと、カムイからの挿入を待ち望むだけだ。
首輪を付けてから、一段と従順に尽くすようになったミリュウだった。
「好きに動いて…好きな時にイッて…いいの。私は………精液、膣に流し込まれれば…満足…だから、犯して…酷く犯して。ミリュウの事考えないで、なぶって…シテぇ」
もう、ほとんど膣出し精液中毒のミリュウだった。
自分で変態の淫乱だと思い込んでいる。
「カムイを満足させるのが…私の使命だからぁ………」
「ぅ…ミリュウ!」
成熟して張り出した臀部を掴み、遮二無に抱き寄せた。
筋肉質で弾力のある桃尻肉に、赤子の腕程もある肉杭が挿し貫かれた。
みちみち…っと粘膜に食い込む肉根の端から、ぴゅ…ぴぴっと愛液が染み出す。
湿っていただけの肉唇と違い、膣粘膜はどろどろ…に煮えたぎっていた。
ミリュウの女陰がきつく窄まり、体液を漏らさなかったらしい。
みぢ…っと括約筋を押し分けて、ぬぬっ!と肉根が奥深く突っ込まれた。
「く…ぅ!」
何時もの圧倒的な子宮を犯される感触に、牙を食いしばって藻掻くミリュウ。
「くふぅ…ふぁ…ふあぁッッ…」
ねっとりと激しく淫猥に胎内を掘り貫き回され、強く牙を食いしばって喘ぎ声を押さえようと努力する。
身体ごと腰を撃ち突けてくるカムイに、髪を振り乱して責めを甘受する。
カムイが接合部を見詰めると、自分の逸物が粘っこくミリュウの尻肉の谷間からじゅぶじゅぶ…っと浮き沈みしていた。
抜く度に捲れ上がる桜色の粘膜が、何とも可愛かった。
膣のきつい窄まり具合は、相変わらず最高だ。
ミリュウの腹を抱き抱えて、尻の密着をより深くし、背筋に走る快感に身震いする。
激しく責めるカムイの行為に、愛情を感じてしまうミリュウだった。
子宮口にずんっ…ずんっ…と肉根が突き当たってくる。
「ひゃん!ひゃん!ひゃん!きゅ…きゅーぅ…ん」
流し台に縋り付いたミリュウは、潰すほどに強く握り締めた。
可愛く尻を突き出したミリュウは、獣耳を切なげに震わせている。
カムイは深く結合したまま動きを休め、ミリュウの腫れた肉芽と乳首を弄った。
同時に尻肉の溝に指を這わし、可愛くひゅくひゅく…っと窄まるアナルも揉み解す。
アナルの開発も、ミリュウの希望で少しずつ始めている。
一月もすれば、ペニスを挿入しての拡張まで行く予定だった。
「ゃ…ひぃ……やぁー」
「我慢しないで。ミリュウも感じて、その方が………可愛いよ」
小刻みに腰を蠢かし、奴隷妻のごとく奉仕するミリュウを犯す。
本人は、まんま性交奴隷の心算だった。
「ぁ…かむい…カムイぃ……はぁ…ぁ…ぁぁ」
「ミリュウは、も…俺の妻なんだろ? 遠慮…しないで」
初めて認めてくれたカムイの言葉に、幸福な歓喜に身を震わせるミリュウ。
ただ嬉しくて、思い切り抱きついていた。
「嬉しい…嬉しい…よぉ。好きィ…ずっと大好きィ」
「ミリュウが望むなら…応えて上げる」
激しく動き続ける腰に、ミリュウが手足を絡ませて密着する。
毎夜の営みで鍛えられた膣筋肉が、吐出す液を求めてビクク…ッと強烈に凝縮した。
「おゥ…っ!」
根元から千切られそうに肉根が搾られ、ミリュウの尻を抱き寄せ思い切り射精した。
えぐられている子宮口に直接精液を流し込まれ、ミリュウはカムイの肩を噛んで爪を剥いてしまう。
お腹の内部に、びっ…びっ…と鮮明に粘液を注がれるのを感じる。
酷く熱く、粘っている感触まで感じた。
このまま妊娠しても構わないとさえ思ってしまう。
カムイとの子供なら、産んでもいいとミリュウは絶頂の中で思う。
「ぅんん…産みたィ………」
「え…っ?」
思わず漏れた呟きは、幸いなことにカムイの耳は届かなかった。
「ぁ…ぅん…好き。だい…好き」
「ん…ミリュウ…」
膣孔に満たされた精液に満足したミリュウは、カムイの寝巻を破きながら床にへたり込んでしまう。
股間から抜け出した肉根は、可愛く脚を投げ出して蹲るミリュウの頬に触れた。
ふたりの混じり合った粘液に塗れた肉塊は、余韻にびく…びく…っと痙攣している。
生臭い匂いがミリュウの脳髄を刺激した。
本能的な仕草で、可愛く舌先で肉根を舐める。
「あっ…汚いよ。ミリュウ、や…やめ」
「…ん…ぺちゃ………感じて…る?」
逃げるように引かれたカムイの腰を抱き、ぺろぺろ…っと亀頭部をしゃぶり続ける。
「くぁ……っ…き、気持ち悪く…ない?」
「んっ…んっ………ぅんん。カムイのだから。ぁ…おっきくなってきた」
勃起の弛んでいたカムイの逸物が、芯が通ったように硬度を増す。
カムイが悦んでいる事に気づいたミリュウは、がぜん熱心に舌を這わす。
「も、もっと…シテ。お願い、ミリュウ」
「ひゃぅ…くちゅ…ぷ…ちゅぷちゅぷ…ちゅぱ!…んんんッ……ちゅ!」
耳の後を撫でてくれるカムイに応え、今度は口腔に含んで吸って上げた。
カムイも自分を舌で可愛がってくれた事があったが、あれ位気持ち良いのだろうか?
ミリュウは自分に考えられる限りの技で、カムイの肉根に奉仕し続ける。
牙で傷つけないよう、細心の注意を払って。
「後免…ミリュウ。少し…我慢しててね」
「はぅ…ぐみゅ……ふひゃ…んむっ…くぅんくぅんくぅー…ん」
「我慢できなくて…もっと気管から力抜いて、いいよ…ミリュウの喉、感じて…」
カムイは謝りながら、ミリュウの後頭部を押さえて出し入れを始めた。
限界まで口を開いたミリュウは、苦しさに喘ぎながらも耐える。
唇から涎が滴り、肉根で膨れた喉部を伝う。
「こぷ…ぅ………けほ…けほ…。か…カムイぃ」
気管からゆっくりと肉根が引き抜かれ、ミリュウは子猫のように潤んだ瞳でカムイを縋り見詰めた。
唾液でべとべとに塗れた肉根が、ミリュウの目前に猛々しく反り返っている。
ミリュウはカムイの中の男性そのままを見せ付けられ、心の底から跪いてご奉仕している自分に気づかされる。
舌先を突き出し、カムイの淫袋と竿根を奴隷のように舐め尽くす。
カムイはミリュウの頬を押さえ、上向かせた。
息の荒いミリュウは、もよおしてきた欲情に切なく瞳を潤ませている。
「うん…中に…出して欲しいんでしょ………?」
「ぁうん…欲し…ィ」
「じゃ…お尻上げて。今度はすぐ漏らしちゃうケド」
ミリュウは床に這い、臀部を掲げる。
肉のたわわに張った尻肉を、自分で握って左右に押し開く。
ひくひく…っとしている可愛い褐色の肛門まで、あからさまに剥出しだ。
ミリュウの最も恥ずかしい部分が、カムイに捧げられる。
ぷっくり…と開いた小女陰から、カムイから犯され続けてすっかり練れた膣の粘膜が顔を覗かせていた。
襞の重なりは蜜で覆われ、注がれたカムイの精液がとろ…とろ…っと滴り零れた。
どんどんカムイに染められていく………。
ミリュウは喜びさえ感じる堕ちていく感じに胸を爛れさせた。
何時かは赤ちゃんも産ませられる………。
だって、もう数えきれないぐらい、カムイの精を受け入れているのだから。
カムイの精液が胎内に溶け込んで、自分の精と混じって赤ちゃんが産まれるんだ。
だって………避妊薬なんて意味ない位、いっぱいカムイに抱かれてるから。
カムイから妊娠させられるなら嫌じゃない。
カムイとの子供…欲しい。
嫌じゃないから…いっぱいシテ欲しぃ。
妊娠させられるまで。
素直に反応を示す尻尾が、挿入を待ち望んで揺れる。
「シテ………カムイの流し込んで、膣に一杯ぃ…」
「後免ね。ボクだけイッちゃうよ? ミリュウがイクまで、保たない」
「うん…ミリュウのお尻使って、気持ち良く…イッてぇ」
健気に幾度も頷き、望み通りに尻を自由に突かれまくる。
結局、カムイが終わった時には、ミリュウも可愛くイッていた。
「きゅ…旦那様。好き…好き…」
「ちょ…ちょっと、ミリュウ。旦那様ってのは」
「あぅん、カムイの事………。それとも、ご主人様…って呼んで欲しい?」
脱げた前掛けに座り込んだミリュウが、幸せそうに微笑み掛けた。
股間をぬらぬら…っと濡らした姿が、絶後に可愛らしい。
余韻を味わっているのか、お尻がひくひく…っと絶頂の揺り返しに痙攣する。
熱心な仕込みの御蔭で、お座成りなセックスでも絶頂が一致するようになってきた。
ちょっとした絆みたいで、内心ミリュウは喜びを感じている。
始めの頃は、カムイが先にイッた後で、優しい後戯でイカせて貰っていたのだ。
今は膣を貫かれ、子宮を突かれる快感を覚え込んでしまった。
絶頂に痙攣する膣内に精液を流し込まれた瞬間、ミリュウは肉体的精神的に溶けてしまいそうな恍惚な幸せを感じるのだった。
「凄く嬉しいよ………カムイ。私の事、ちゃんと可愛がってくれて」
肉唇から滴った精液を指先で掬い、ん…っとくわえた。
ミリュウは本当は、口に射精されて飲まされるのも嫌いではなかった。
ただ、それ以上に、膣に溢れる精液の感触が大好きなだけで。
エッチな行為をするとカムイが悦んでくれるので、つい仕草を覚えてしまう。
微笑みはそのままに、何時もの調子に戻ったミリュウが腰を上げる。
「朝ご飯、すぐ作るよ。グレイが帰ってくる前に…ね」
「その前に、その格好は………」
「ふふ…安心してくれ。カムイ以外には許さないから。………本当だぞ?」
上目遣いしたミリュウが、可愛く拗ねた。
「じゃなくって、どうしてその格好? 朝っぱらから、強姦しちゃったぞ」
「シテ欲しかったんだモン。強姦じゃなくて、和姦だゾ? 実はな、この格好だとカムイが喜んでくれると、グレイが教えてくれたのだ」
「あの…馬鹿狼はっ!」
「好きじゃなかったのか…?」
再び裸に前掛けを締め直したミリュウが、寂しそうに小首を傾げる。
「い…や。凄く可愛かった、何とも…興奮したし」
「良かった………」
ほっとしたミリュウは、フライパン片手に暖炉に火を戻す。
楽しそうに尻尾が揺れ動き、チラチラと目に映るお尻に、流石に天井を振り仰いだ。
朝帰りのグレイは、真昼時に戻ってきていた。
妙にすっきりした顔をしているのは、気のせいではなかろう。
「ふぁ、食った食った。ミリュウさん料理、凄ぇ美味くなったと思わん? やっぱ、愛の力かー」
頬を引きつらせたカムイは、険悪な目でグレイを流し見る。
「首元の毛に、口紅」
「ありゃ? げぇ…恥じぃ」
灰銀色の体毛に、紅が塗られている。
深紅は少女に似合う色ではないから、娼婦のお姉様にでも付けられたのだろう。
「人に勘付かれたら、いらん誤解受けるとこだった」
「誤解じゃなかろうが。娼婦館に通うぐらいなら、家賃払え。家賃」
「あ、ロハでシテ貰ったん。たちの悪いごろつき打ちのめしてサ。濃厚なお礼してもらった」
独り思い出し笑いをして北叟笑むグレイに、カムイは再び溜息を吐いた。
「僻まれる謂れはないだろ? カムイだって、ミリュウさんと………くふ」
「それだ。ミリュウさんに変な事教えないでくんない? 今朝、すっぽんぽんエプロンで料理してたんだぞ」
冷めた珈琲を啜っていたグレイは、思い切り吹き出して咽せ込んだ。
カムイは汚れたテーブルクロスを面白無げに拭く。
「ま…マジ? 軽い冗談だったのに。み、見たかった」
「うん。凄いくらくら来た。我慢出来なくって、そのまま………って話じゃなくて」
「あのサ、ミリュウさん抱かしてくれるって話だけどサ」
「それ、ちょっと待ってて。今…調教してる最中なんで、変な癖付いちゃ不味いし」
「ちょ、調教って………」
聞き慣れない響きに、暗い領域をときめかせるグレイ。
「ん…ミリュウさんってば、房中術覚えたいって」
「前々から気になってたんだけど。カムイってさ、誰に夜の作法仕込まれたん?」
誰を隠そう、宮廷錬金術師筆頭レヴィその人である。
それこそ、手取り足取り腰取りの、完全実地研修でだ。
「ミリュウさんも一発で参っちゃったし、ひょっとして凄ぇテクニシャン?」
「それは置いとく! もっと切迫してきた問題があるんだよね」
「実はサ。ちょっと耐久力付けたくって、ミリュウさんと一緒に教えてくんね?」
「だっからぁ、早い話金が無いんだ。後三日程で食費も尽きるぞ」
いきなりリアルな現実を聞かされ、尻尾から力が抜けるグレイ。
続きを聞くまいと、無意識に獣耳を伏せたりする。
本職の玩具屋は、開店休業状態が続いている。
カムイの玩具造りのセンスは良いのだが、如何せん身の上の評判が悪すぎた。
外国からの行商人が纏め買いしてくれる時もあったが、最近はご無沙汰だ。
「なしてー、ミリュウさんの持参金もあったじゃん」
「食うんだよ、おまい等が。ミリュウさんもあのプロポーションで結構食太いし」
「あはは、しゃあないじゃん。俺等の種族って、皆大食漢だもん」
「………笑ってる場合か。このままじゃ餓死だぞ」
顔を突き合わせるふたりは、揃って溜息を吐く。
「あ、の…私が何とかしようか?」
暗いオーラを纏った男達の背後から、責任を感じているミリュウが提案した。
食器を洗い終え、煎れたての珈琲ポットを可愛く捧げ持っている。
「カムイが望むなら、夜の街角に立っても………いいゾ?」
泣きそうな顔で、もじもじと立ち尽くしたミリュウが健気に呟いた。
その可憐な恥じらいの様が、何とも嗜虐心をそそった。
本当にストリートキャブに堕ちても、一財産は稼げるだろう。
「もぅ、そんなに思い詰めた顔しないで。大丈夫、なんとかするから」
「きゅう…カムイぃ」
カムイに抱かれたミリュウは、キスを欲して可愛く甘えた。
「あー、そこそこ。気分出さないように」
頭を撫でられるミリュウは、可愛く喘いで喉を鳴らす。
直情的で惚れっぽいウオルフィ種族だったが、ミリュウの場合は真剣にカムイに愛情を捧げているように見える。
じゃなきゃ、婚儀式の術なんかしないだろけど。
グレイは結構お似合いの二人を眺めながら韜晦する。
カムイが察した通り、婚儀式の術は奴隷制度時代の悪しき風習の名残だった。
ミリュウから口止めされているが、霊的な結合はカムイの想像以上に深い。
カムイが死亡すれば、ミリュウの命もすぐに絶える程にだ。
力場の流れは指輪から首輪へと繋がる。
双方の想いが同調する事すらある。
確かにカムイが知れば、何が何でも解呪の方法を探すだろう。
だが、グレイは内心ミリュウに感謝していた。
時に自分の命を顧みない衝動的行動を取るカムイにとって、ミリュウという楔はちょうどいい戒めになるだろう。
優しいカムイにとって、ミリュウを捨てる事は出来ないだろうから。
「んで、具体的な解決策はどうする?」
「傘張りとか、造花作り………するの?」
「あのサ、ミリュウさん。そゆうの、何処から覚えてきたの?」
グレイは思わず、ミリュウの発言に突っ込みを入れてしまう。
珈琲ポットからお代わりを注ぐカムイは、クスクスと微笑んだ。
「ミリュウさんの部屋に、時代劇の本とか一杯置いてあったから」
「そいや、お前この頃、ミリュウさん部屋に夜通いしてるだろ。朝までサ」
崩れた水車小屋は天井が抜け、蔦も絡んで遺跡のようになっている。
凹形にベンチと御影石のテーブルが据えられ、カムイ達の午後茶を過ごすお約束の場所になっている。
ミリュウが持ってきた人数分のクッションに、グレイは思い切り寄り掛かる。
「毎晩、良く保つよな。干涸びんのか?」
「まさか。そこまで好色じゃないよ」
「そうだぞ、グレイ。私がカムイの部屋に泊まる事だってある」
胸を張って弁護するミリュウに、男ふたりは腰砕けになる。
「ど、どうした? 何か変な事言ったか?」
「んんにゃ、別にぃ。んで毎晩シテるのは解ったけど、何回程シテるん? ミリュウさんの事悪く言う訳じゃないけど、ウオルフィ種って精力凄ぇ強いから。ほら、セックスって相性あるじゃん」
どんどん露骨になっていく質問に、カムイは赤面を隠せない。
「ウオルフィの娘、恋人にした奴知ってっケド。満足させらんなくって、破局したん」
「あのなー。こんな真っ昼間に、なんて話題を………」
「んっと、三回ぐらいだぞ。もっとシタい時は、カムイにお願いすると応えてくれる」
何気なく答えるミリュウの表情に照れは無い。
グレイも興味を引かれ、さらに突っ込んだ夜の生態を聞く。
「ま、若いから三発は珍しくないかな。んで、射精から射精までの所要時間は? 挿入してからどれ位我慢してる訳?」
「えっと、一緒に寝るのが日付越えてるから………一回で一時間弱かな。いろんな格好させられて、私の方が何度も気をやってしまうから良く覚えてないのだ」
指折り数えるミリュウは、可愛らしく眉をしかめる。
カムイに愛されている時間を、全部覚えていないのが悔しいのだ。
最も肉体の方は、カムイの感触を総て記憶している。
「それから、挿入はずっと続けてかな。始めの頃、カムイのに慣れるまで、一晩中膣にアレを射れて貰ってた事もある。カムイのおっきいから」
顔を上げられないカムイは、机に突っ伏して動かない。
グレイは尊敬の眼差しでカムイを見る。
ウオルフィ種族の恋人で、破局の原因は大概が夜のお勤めに応えられないからだ。
「後は朝起きてから軽く可愛がって貰って、お昼に一回かナ?」
「お、お昼も…?」
「そうだぞ? 何時もは、お昼ご飯の後とか………」
「って、まさか…さっきも」
妙に疲れた様子のカムイを思い出し、半信半疑で続きを待つ。
「ん。抱いて貰った」
「………」
「台所でシタのだ。流しの上とか、椅子に掴まってとか、今度クッション常備したから床でも平気だぞ」
「………」
「お風呂に一緒に入ってシタ事もあるぞ。カムイ後からスルの好きだから、場所は何処でも大丈夫なんだ。外だと膝擦り剥くけど」
よくぞまあ、自分に気づかれずそこまで睦み合っていたものだ。
グレイが向側を覗き見ると、カムイは耳の先まで真っ赤に染まっていた。
察するに、今の話は総て本当なのだろう。
しかし、外…風呂…台所。
好きだな、こいつ等…っとグレイは敗北感さえ感じて感心する。
黙り込んだ男達を、ミリュウは不思議そうに見る。
「え…っと、何か変なのか? 私、そういうの良く解らないんだ。カムイの教えてくれた事しか知らないし」
「いや! 普通だよ。全く普通………だと思う。感心すっけどね、カムイに」
「………も、止めて。普通の話しよ、健全な話」
死にそうなカムイが、弱々しく提案する。
「そーかー。そんなに可愛がってくれるのか。カムイは」
ミリュウは可憐に、幸せそうに頷く。
「はっきり言おう。ミリュウさんをそこまで満足させてくれる男って、この国でカムイ位だぞ」
「うん。大好きなんだ。カムイの事」
にぱ…っと微笑んだミリュウは、ごく自然に惚気る。
「良かったなぁ、ミリュウさん。いい旦那さん見っかって」
「………勘弁して。ボク死にそ」
「ところでカムイ君。師匠と呼んでやろう。真剣なとこ、俺にも教えてくれ。月謝払ってもいい」
からかい半分、真剣半分のグレイがカムイに向き直る。
「じゃ、リアルな話に移ろうか。ファクナ迷宮に降りる許可取ってる」
「はぁ…しょうがないか。武具を質入する訳にもいかんしなぁ」
グレイが家出する際に持ち出した唯一の代物が、爺様形見の魔法刀と甲冑だ。
武闘士として、錬金術士のカムイと旅をした事もある。
最近は城下迷宮の遺跡盗掘をして飢えを凌いでいる。
カムイとスゥとグレイの三人で、生きるか死ぬかの冒険をした事もある。
「今回は十二階までの進攻を目指そう」
「そーだな。浅い階の魔獣の首なんざ二束三文だし。十階下なら取り残しあっかもネ」
ファクナシオの城下町の中心には、巨大な地下迷宮が存在している。
誰が、何の為に作った迷宮なのかも不明。
迷宮の内部には、無数の魔獣と不可思議な罠が存在している。
建国当時の記録からあったらしいが、迷宮制覇した人物は記録されていない。
生還した勇者の話では、地下百階から更に続いているという話だ。
腕試しや、魔獣や神代の遺産を求めて、今だに迷宮に潜るものが後を絶たない。
迷宮管理ギルドに登録をすれば、誰でも迷宮探索が可能だ。
「ボクの準備は出来てる。後は保存食の用意だけ」
「じゃ、明日にでも出掛けよか。ところで………スゥちゃん呼ぶ?」
心無し赤面して言葉を詰まらせるグレイ。
ミリュウはスゥという名称に、密かに身動ぎした。
「ん…ああ。スゥは騎士叙勲の準備で忙しいだろうし………。今回はボク達で行こう」
「そっか、そーだったな。しゃーないっか」
傍目にも解るほど落ち込むグレイ。
カムイは澄んだ優しい笑みで、そんなグレイを見詰めた。
「ミリュウさんは、しばらく留守番してて。当面の生活費稼いでくるから」
「わっ、私も行くぞ!」
振り返ったカムイの言葉に、ミリュウが叫ぶように発案した。
勢い良く立ち上がった所為で、陶器が派手に鳴った。
カムイとグレイは吃驚した目でミリュウを見詰める。
ミリュウも自分で自分の声に驚いたのか、硬直してすぐに真っ赤になる。
「ど、どうしたの? ミリュウさん」
「それはだ! 私はこう見えても武術も人並みには出来るし、風霊と契約している巫女でもあるから、それなりに足手纏いにはならないと思う」
ほぼ、一息に捲くしたてたミリュウは、頭を真っ白にしていた。
言いたい事は解るが、文法的に目茶苦茶だった。
「………ミリュウさん。自分が、何言ってるか解ってる?」
「へぇ…ミリュウさんって、感応能力あったんだ」
感心しているカムイに、グレイが情けない目を向ける。
霊獣と呼ばれる存在が、この世界にいる。
燃え盛る炎や、荒れ狂う濁流。
芽吹く草木、自然がその力の象徴となる力。
そこには精霊が宿る。
稀に個々の精霊と近しい精髄を持つ者が、霊獣を従え操る事が出来た。
その者は巫女と呼ばれ、人々から敬われる。
「もしかして、ミリュウさんて、神殿に未登録の巫女?」
「………面倒なのが嫌いなのだ。秘密だからな。ばらしたら斬るぞ、グレイ」
真剣目のミリュウに、肩を竦めるグレイ。
「一緒に行くって、危ないよ?」
「大丈夫だ。カムイの事は私が守る」
「だから、ミリュウさんが………」
「いいじゃん、いいじゃん。連れて行こうよ。何事も経験」
軽いグレイの台詞に、カムイはなおも納得しない。
「………一緒に行く。連れてってくれないと、噛む」
「ぅ………………解ったよ」
じぃ…っと捨てられた子猫のように見詰めるミリュウの瞳に、カムイは渋々頷いた。
「あっ、彼奴ぅ! 女囲ってやがる」
「同族、ですわね。金銀毛の女性………ウオルフィの方ですわ」
ファクナシオの町並みから外れた一軒家のカムイの家は、結構敷地が広い。
折角の中庭も手入れされていないものだから、ちょっとした秘境だ。
フィズとローンは、草叢に身を潜めてカムイ達の野点を観察していた。
「この頃、妙に素っ気ないと思ったら、やっぱし女作ってやがったんだ」
尻尾を逆立てたフィズが、樹に爪を食い込ませて裂く。
当初の目的。
スーシャインにカムイを誘って欲しいと頼まれた経緯は、すでに忘れ去られていた。
「あんの浮気者がぁ! 股間蹴潰して、使い物にならなくしてやる」
「それだと困るのは自分ですわよ? 兎に角、申し開きを直接聞きたいですわ」
フィズが止める間もなく、立ち上がったローンが歩を進める。
何時もは超おっとり行動する親友の、猪突猛進の態度にフィズは慌てて後を追う。
『あれは確かに婚儀式の首輪』
フィズの言葉も届かず、ローンはミリュウの首に填められた代物を凝視していた。
『あの方が、グレイ様のお嫁さんになる人? でしたら、何故私に教えて下さらなかったのですか? ちゃんとお目出度う御座いますっと言えますのに。ずっと覚悟していたんですから。秘密にしてるなんて、酷い』
カムイ達三人は、唐突に現われたフィズとローンの姿に面食らっている。
「フィズ、ローン…? 何でここに」
真正面で仁王立ちしたローンに、グレイはようやく言葉を紡ぐ。
「っよ! ひさっしぶりじゃん、グレイにカムイさん」
追い付いたフィズが、取りあえずの挨拶をかます。
「酷いです! グレイ様」
「えっ…? え、え? なっ、何が?」
涙ぐんだローンは、圧倒されたグレイに詰め寄る。
そのままの勢いで、唖然としたミリュウを指差す。
「誰なんです?」
「えっと、ミリュウ=フォン=レキサンドゥラさん………だけど」
「無礼な娘だなっと思うぞ。な、カムイ」
「ミリュウさん、も少し穏やかにしてようね」
不機嫌に鼻を鳴らすミリュウを、カムイが優しく諌める。
「カムイが…そう言うなら」
「公爵家、ご令嬢………? はぁーん、そういう訳?」
ローンのいきり立つ理由を察したフィズが、冷たくグレイを見下ろして腕を組む。
愛人ふたりに挟まれたグレイは、冷汗をかいて必死に考えをまとめる。
「御結婚、なさるのなら、何故…教えて下さらなかった、んです………?」
震えるローンは、言葉を詰まらせながら続けた。
涙を滲ませた藍色の瞳に、狼狽する自分の姿があった。
「ちょ…待って! 誤解だって!」
「カムイ、おせんべ食べる?」
「ん、珈琲お代わり」
「ブレンドしてみたんだ。美味しい?」
修羅場を余所に、カムイとミリュウはのほほんとお茶を続ける。
「よそよそしいと思ったら、そー言う訳? 俺達が邪魔になったんだ? こん畜生!!」
「だっ、フィズ! 人の話を聞け!」
「言い訳なんて、聞きたく無いですわ! その指輪が………ぁ……え? えぇ?」
ローンは翳すように突き出されたグレイの左手を見て、言葉を失う。
有るべき筈の指輪が無い。
「だって、そんな………。対の首輪が………?」
「ローン! フィズ! ちょっと来い!」
視線を彷徨わせるローンを抱き、ついでにフィズも肩に担いでダッシュするグレイ。
「あー、グレイ。俺達夕飯まで出掛けるから。頑張りなよー」
「あぅん。お出かけ?」
ひらひらと手を振るカムイに、ミリュウが嬉しそうに鳴いた。
「じゃ、行こうか?」
「ぅん。初めてのデートだぞ♪」
「はぁはぁはぁ…はぁ」
開きっぱなしだったテラスから居間に入ったグレイは、ふたりをソファーに落として肩で荒い息継ぎを繰り返した。
「いってだろーッ。俺達ぁ、物じゃねぇんだからな」
顔面からソファーに突っ伏したフィズが、馬の尻尾でグレイを叩きまくる。
前垂と尻垂を合わせたようなスカートから、黒いレースのパンティが丸見えだ。
グレイは何時もの癖で、フィズの尻を撫でる。
「ばっ、てめ、勝手に人の尻触るんじゃねぇ! やっ…ぁ…め」
「いきなり現われて、いきなり喧嘩売るような娘にゃ、お仕置きが必要なんだ」
尻尾を引っ張りながら、フィズの臀部を強く揉む。
ばたばたっと口汚く罵って暴れるフィズだったが、次第に抵抗が緩慢になり、鼻先から可愛い呻き声も混じり始める。
「ぁ…もっと、ぐれい」
ぐた…とソファーにしな垂れたフィズは、陥落の印に尻尾をグレイの腕に絡める。
「ん、可愛いぞ。フィズ☆ 待ってな、今、腰抜けるまでシテやるぜ」
済し崩し的に話題を逸らす事に成功したグレイは、欲情のままにズボンを脱ぐ。
脈打つ赤黒い肉の根は、ビクビクに充血していきり立っていた。
カムイ程の人外の性器ではないにしろ、岩を穿ちそうな破壊力を感じる逸物だった。
グレイとの肉体関係も長いフィズは、野性的に膣を犯され、強引に女にされた経験を思い出した。
一時ぐれていたフィズは、グレイに決闘を申し込み、見事に完敗したのだ。
その日の夜。
約束通り一晩グレイの思う様に抱かれた。
薬を使われ、幾度もグレイと共に絶頂に飛ばされたが、初めての性経験だった。
翌朝、正気に戻ったグレイは、フィズに平謝りした。
その時、随分長いこと笑った事を覚えている。
「早く射れて、いきなりでイイから…もぅ………俺っ」
パンティを腿まで剥いて性器を舐めていたグレイは、にやりっと笑って顔を上げた。
活動的な普段着のフィズは、一見男にも見える程だ。
だが、俯せで腰を掲げ、尻を剥かれた様は堪らなく欲情をそそられる。
「んなねだるなよ。最低5回はするぜ? 俺、ちと溜まっててサ」
「いぃ…何回でもシテいいから! 早く…お願い、グレイぃ」
滅多に無いフィズからのおねだりに、グレイは焦らす事も忘れて激しく挿入した。
開脚後背位で貫かれたフィズは、野性的な突き上げに抜けるような悲鳴を上げた。
久々のフィズとのセックスに燃えるグレイは、雄々しく吠えて肉体を貪る。
激しく扱われる腰が痛みを覚えた頃、フィズは妙に可愛く鳴いて突っ伏す。
びッ!びッ!…っと激しい勢で、子宮を精液で射ちぬかれたのだ。
「ぁ…グレイ。痛ぃ」
「ん。悪かったな。今度は一緒にイカせてやるから………」
ソファーに座り直したグレイは、結合したままのフィズを抱き合わせで胸に抱く。
「馬鹿。今度はローンの番だろ…」
「無理すんじゃねぇーの。お前の後、ちゃんとローンも愛してやるから」
形式だけ暴れるフィズを抑え込み、後腰掛け位で腰を蠢かした。
確かに満足していなかったフィズは、射精液のぐちゅぐちゅいう膣の快感に素直に悶えた。
グレイの頭に手を回し、獣毛を纏めて引っ張る。
「って、毛が抜けんだろ? ったく…可愛い愛情表現だぜ」
「んくぅ…くぅ……くくぅ…馬鹿ぁ、野郎…ぉ」
重さを感じないように難なく両脚を抱え開かせられ、より深くなったグレイの肉根の挿入にフィズはされるがままに玩ばれる。
爪で衿紐を切られ、ぷるる…ッと零れ弾んだ乳房も揉まれる。
「んぅ!んぅ!ん………はぁあああーっ…ぁ!…ぁ!…ぁ!」
可愛らしく暴れるフィズがイッたのを確かめ、二度目の射精を思う存分注ぐグレイ。
らしくなく呆然と呻くフィズの髪を撫でながら、腰を小刻みに揺すって精液の残り汁を子宮に浴びせ掛ける。
「ふぁ…ぁ………」
「ん、んんーっと。ご馳走様、フィズ。可愛かったぜ」
毒気を抜かれ半ば失神しているフィズから肉根を抜き、優しくソファーに寝かせる。
強姦されたように秘所のみを顕にされた姿を、グレイは愛おしげに観察する。
激しい摩擦に粘膜の捲れた肉唇から、濃度の濃ゆい精液がとろ…とろ…っと逆流していた。
しなやかな赤毛の馬尻尾が、余韻にひくひく…っと痙攣している。
グレイは太股に残った黒パンティを、脱がせ切って机に飾った。
よく見ると、自分がフィズにプレゼントした下着だった。
「ぁ………膣内射精しちまったけど。ちゃんとピル飲んでるよな?」
「子種植え込んでおいて、随分と勝手な言い草ですのね。グレイ様?」
「したっけ、妊娠の責任は女の方にあるってのが慣習でしょ?」
振り返ったグレイは、嫉妬と欲情で瞳を潤ませたローンを手招く。
ふたりとは違い、猫科の細長い尻尾が立っていた。
「おいで………ローン」
「ぁ…グレイ…様」
肉付き良く、ぽっちゃりと抱き心地のいいローンを抱き寄せる。
グレイが眼鏡を外してやると、童顔ながらも整ったローンの素顔が顕になる。
「んふ…可愛い。美味しそうだぞ、ローン」
神官着をもどかしげに脱がしていき、着痩せするローンの巨乳を拝む。
「何度見てもでっかいよな。堪んない感触…この柔らかさ、もぅ最高」
「食べて、お食べになって下さい………。ローンのおっぱいは、グレイ様の物…ひぁ」
牙を剥いて微笑むグレイは、思う存分ローンの乳房を揉む。
ざらついた下で幾度も味見をされ、ローンの猫耳が切なげに痙攣する。
「後で俺の挟んでね。んで、顔射さして」
「はぃ………」
従順に頷くローンは、愛撫を受けながらグレイに縋りつく。
「何でも…何でもシテ差し上げます。ローンはグレイ様の物ですからぁ」
「ぅ…取り合えず! 一発かますぞ。んで………俺の部屋で3Pやろ。ガンガンやろ」
ローンの太股を抱え、幸せそうにグレイは腰を突き入れた。
久しぶりのセックスという事で、何とも濃密な淫行が繰り広げられた。
宣言通りに巨乳でパイズリされたローンは、一行に量の減らないグレイの精液を顔面に撒き散らされる。
その白濁した粘液は、四ん這いで覆い被さるフィズが、舌で舐め取らされる。
グレイはそのフィズの腰を抱え、バックから尻の具合を堪能していた。
フィズとローンは、無尽蔵のグレイの性責に骨抜きになるまで犯された。
「あー…っ! すっきし、何か思いっ切り満足。堪能したぁ」
寝台一杯に手足を伸ばしたグレイは、両脇に愛人ふたりを抱えで北叟笑む。
股間をグレイの精液でべっとべとにされたフィズとローンは、渾身の体力を抜かれて息も絶え絶えに喘いでいる。
息が落ち着くのを待って、フィズがグレイを薮睨みする。
「………おい」
「あん…あに?」
床にわだかまる服から煙草を取り出したグレイは、犬歯に挟んで火を点す。
「ひょっとして、まだ満足してねぇとか? 後、二回ぐらいだったらOッKだよ?」
「馬鹿っ野郎。俺のあそこ打っ壊す気かよ! 今だって…ちょっと、痛いんだからな」
「ん………後免。優しくシテあげるよ」
指の腹でそ…っと肉芽を撫でられ、フィズは我知らす可愛く鳴く。
「ばっ…違う。第一、俺達は情事に耽るために会いにきたんじゃなかったんだぞ」
「なして? 寂しくて俺に甘えにきたんじゃねぇの?」
「自惚れんな! 馬鹿」
グレイの腹筋を、腹立ち紛れに殴る。
正直、図星だった面もあり、意図以上に力が篭もっていた。
「ぐほ! かは…マジで殴った」
「グレイ様」
除者にされているローンが、グレイの二の腕を噛みながら睨む。
「もぅ…話して下さってもいいでしょう? あの女は何なんですか?」
「ん………本当の事言ってくれよ。俺も、ローンも覚悟は出来てるんだ」
真っ正面から、真摯で切ない瞳を向けられ、グレイは体を起こして頭を掻く。
しばし内心での葛藤があったが、やがて小さく溜息を吐いた。
「わぁーたよ………事情全部話す。だけど、ここだけの話だぜ? 絶対、他にゃ漏らすなよ。特にスゥちゃんには、な」
「解ってる。………凄いむかつくけどサ」
「仰って下さい。私達には隠し事をしないで………それが一番辛いです」
再び瞳を潤ませるローンに、グレイは髪を撫でて膝に乗せる。
「悪ぃ。嫌な思い、させたな」
「にゃ…ぁ………グレイ様ぁ」
可愛らしく喉を鳴らすローンは、グレイの体毛に頬摺りする。
「ミリュウさんは、俺の婚約者だった」
「やっぱり…ね」
「………続きを」
予想していたとは言え、身を固くして視線を外すふたり。
「半月ぐらい前…っか? 何か無理遣り押し掛けてきて、その…だ。なんて言ったらいいんか………だな」
「はっきり言ってくれ。その方が…楽だよ」
「んだからぁ。ミリュウさんカムイに惚れちまって婚約破棄。挙げ句、実家から勘当されちゃってサ。今じゃ、カムイの押し掛け女房してる」
一気に説明を終えたグレイは、反応を待って天井を仰ぐ。
凍り付いたように動きを止めたふたりは、正気を疑うようにグレイを見詰めた。
「ばッ…」
傍目にも解る程震えるフィズが、馬尻尾を怒髪天にして叫んだ。
「馬っ鹿じゃねぇの!? そんな嘘に誤魔化されるとでも思ってんのか!」
「………やっぱし」
眉間を押さえて俯くグレイに、フィズは悔しさの余り涙まで零して責める。
「っきしょー………ッ。最低だぜ! 大馬鹿野郎ぉ」
「だぁ! 刃物振り回すなぁ。心中する気か、お前はっ!」
護身用の短剣を振り回すフィズを押さえ込んだグレイは、背後のローンをフリーにしていることに背筋を凍らせる。
だが、予想に反して、ローンは真面目な顔をしてひとり呟いていた。
「………まさか、でも…カムイさんの指、指輪あった。本当なんだ………」
ぱぁ…っと喜んだローンだったが、すぐに複雑な表情に戻る。
例えるなら、金平糖と納豆を同時に食べた時のように。
「離せっ…この!この!このぉ! グレイを刺して、俺も死ぬ!」
「やめんか! この、早とちり娘!」
聞く耳持たずのフィズの顔面に、ローンは掌を翳す。
「Hyupnos Weeper」
「おっ、おい。ローン」
強烈な睡魔に抵抗しきれなかったフィズは、あっさりと意識を失う。
多少びびったグレイは、口の端を引きつらせて後づさる。
「あ、あのサ。もしかして、『永眠』の魔法じゃないよネ?」
「グレイ様」
「は、はいっ」
ちょこんと正座したローンの詰問口調に、グレイは馬鹿真面目に返事をする。
「『婚儀式』の詳細。ミリュウ殿は知っていらっしゃるのですか?」
「っ………やっぱな。ローンは知ってたんか」
きつい表情のローンから視線を外し、グレイは抱えたフィズを枕に寝かせる。
婚儀式はウオルフィ種族のみ伝わる秘儀で、今ではほとんど知る者も居ないし、実行する者も居ない。
現にグレイも、術式の具体方法は知らない。
「婚儀式は教会でも非公認の邪法です。もしや、無理遣り等という事は………」
「………当たり。無理遣りだったん、凄ぇ一方的に」
「やはり………そうでしたか」
ファクナシオ王国が奴隷制を廃止したのは、教会の強い働き掛けがあったからだ。
ローンは恐い顔のまま、決心したように頷く。
「ローン…? その棍棒、何?」
「カムイさんの事、見損ないました。本当は善い人だと信じていましたが………成敗します」
「ちょ! ちょっと待てぇ。お前、勘違いしてない?」
「弁解は無用です。もしや、グレイ様も一緒になってミリュウ殿を………」
ローンの脳裏に魔儀式で縛られたミリュウを、毎晩酷く凌辱するカムイとグレイの姿が浮かび上がった。
「解りました。グレイ様とカムイ殿を成敗した後、私も自害して果てます」
「それじゃ、フィズと同じだろーが!」
「グレイ様………お覚悟を」
グレイはジレンマに髪を掻き毟って身悶える。
「人の話を聞けぇ! 術を施したのはミリュウさんっ、被害者はカムイっ。以上だ」
「ぇ…そんな、だって」
「ちなみに、支配の指輪はカムイ、従属の首輪はミリュウさんで間違いないぜ?」
自分でも何と嘘臭い話だと思う。
正気の者なら、自分から奴隷になるわきゃない。
「あー信じられねぇのは解っけどサ。何かミリュウさん…マジでカムイに惚れてんだ」
「解りますわ………」
「あ゛?」
予想外の返答に、グレイは顎を開いて間抜けな面を晒した。
「そうでしたのね………。ミリュウ殿のお気持ち、私には良く解りますわ。女は愛する男に、何時でも束縛されていたいもの」
「そ、そうか…」
陶酔するローンに、グレイは乾いた笑いを返すしかない。
「………でも、許せねぇよ」
「? フィズ。何時から聞いてた」
「愛する男にゃ、束縛されてたい辺り。………んじゃ、マジなんだな。さっきの話」
起き上がって胡坐を掻いたフィズは、首を鳴らす。
正気に戻ったのか、愁いを含んだ表情で夕暮を眺める。
「んあぁ、実家の方も一昨日ケリがついた。婚約は白紙撤回、つうか、話自体無かった事になってる。ミリュウさんも、正式にレキサンドゥラ公爵家から離縁された。貴族位も剥脱って事になってる」
「ハッ! 醜聞を表沙汰にする心算はないってか?」
三人とも貴族社会の厚顔無恥さは、身に染みて解っている。
「カムイとミリュウさん、国外追放にならないように努力したんだぜ? ま、ミリュウさんに限って言えば、希望通りって事か。喜んでたよ」
放蕩息子のグレイだったが、爵位の時期後継者である事実には変わりない。
本人は忌み嫌っていたが、その発言力は一族でも当主に次ぐ。
「めでたしめでたし………ですか?」
ローンが何処と無く気落ちして呟く。
三人とも、喉に小骨が引っ掛かったような顔だ。
「しかし、阿呆な奴っちゃ。グレイの嫁さんに落ち着きゃ、一生左団扇だってのにさァ。ま、好きだけどね、そういう覚悟ある奴」
「そうですわね。お友達になれそう」
「本当、物好きだよな。カムイさんに惚れるたぁ、何考えてんだか」
「うふ、そうかもしれませんね。でも、カムイさんって、恋人がどうこうというイメージ湧かない気がしてたんですけど」
「惚れた腫れたに種族は関係ないやね。俺達も違うんだしな」
「生殖も可能ですしね」
会話に加わらないグレイは、背中を向けたまま頭を掻く。
フィズとローンも、話が途切れて重い沈黙に飲まれる。
「ああ! もぅ、止め止め。単刀直入に聞くわ。グレイ! カムイさんってスゥの事、どう思ってんだよ?」
「確かにそうですわね………。実は今日も、スゥに頼まれてお邪魔したんです」
フィズとローンは、グレイがスゥに惚れている事を知っている。
親友のスゥが、義兄のカムイを好きな事も知っている。
グレイはふたりが全部承知である事を知っていた。
「一応お伝えしておきます。久しぶりに狩りの旅にでないか、っという伝言です」
「俺達も一緒にって事でね。凶悪だよな。スゥの奴、恋愛関係に鈍いから」
「そっか………考える事ぁ、一緒かぁ」
溜息を吐いたグレイは、重力に任せて寝転がった。
「本当にな………………カムイの馬鹿、何考えてんだよ」