竜園
Original Novel
- 銀のHYDRA -
第[章 カレイドスコープ
艶とした肌に、漆黒の線が絵描かれる。
下着姿のスーシャインが、仰向けでベッドに横たわっている。
早朝の冷たい室温の中で、空気がぴぃんと張り詰めている、
カムイは墨壷に人差し指を挿入すると、どろりとした粘液を絡め取った。
そのままベッドに腰掛けると、スゥに跨がるように覆い被さった。
何かに耐えるように固く目を瞑っていたスゥが、ぴくり…っと身動ぐ。
「動かないで」
「…っ、解ってる」
震える返事を聞き流し、カムイはスゥの背中に指を這わしていく。
繊細に優しく、愛撫しているかのように。
不思議な曲線を絵描いた軌跡が、スゥの全身に刻まれていく。
それは、一時的にではあるが、肉体に強靭な装甲を宿らせる魔道紋章だった。
傭兵などが稀に、刺青として半永久的に刻印している。
だが、代償として肉体の触感が鈍化してしまう。
金銭に余裕のある者は、戦いの前に錬金術師に刻印を依頼するのが常だった。
儀式にはかなりの羞恥が伴うのも確かで、フィズとローンは遠慮している。
先に刻印の儀式を済ませたミリュウは、グレイ達と共に迷宮探索の準備をしている。
背面の処理を終えたカムイが、額に浮かんだ汗を拭う。
「ふぅ………。脚、開いて」
仰向けになっているスゥは、さらに真っ赤になって股間を開く。
最愛の兄に触れられている興奮と緊張とで、スゥの肌はじっとりと汗ばんでいた。
顔を背けて硬直していたが、敏感な太股の内側に指が這うと、傍目にも解るほどに震えた。
白絹の下着の底が、うっすらと濡れる。
感情と感覚を押し殺したカムイは、機械的に刻印を終えて後を向いた。
衣擦れの音の中で、かわされる会話はなかった。
ファクナ迷宮。
神話の時代から存在していると云われる、超巨大遺跡だ。
限りなく続く地下への階層は、冥府にまで届いているといわれる。
深淵へと向かう毎に強力になっていく魔獣達。
其処此処に配置されたトラップ。
レベルに応じて隠されている魔道具。
そして、日々変化していくる迷宮の構造。
まるで、神が企んだ残酷な遊技場のように。
奇声を上げる牛頭巨人が、巨大な戦斧を振り降ろした。
迷宮の床を造る大理石が、空を切った斬撃に砕け散る。
「風斬!」
「散牙!」
前衛の二人が、軌跡をクロスさせた攻撃を放つ。
床に火花を散らしそうな下段から斬り上げが、高圧な風を纏って鎌鼬となる。
ミノタウロスの分厚い胸筋肉が、斜めに裂かれて血飛沫が吹く。
体勢の崩れたところに、閃光の突きが三発入った。
鳩尾、喉、眉間を砕かれたミノタウロスは、地響きと共に絶命した。
「Oh〜…すげ」
大剣を肩に担いだグレイが、思わず呟いた。
板金鎧のパーツを、急所に纏っただけの軽装だ。
金銭が無いというのが最大の理由だが、格闘資質がずば抜けているグレイは致命傷を受けた事はない。
抜群ともいえるコンビネーションを見せたスゥとミリュウは、しかし外方を向いたまま刃を鞘に納める。
「いやサ。凄ぇ事は凄ぇケド………恐いよ。俺」
閉所戦闘用に短く切り詰めた槍斧を突き、フィズが呻いた。
くすんだ赤毛をきつく結い上げ、頬に一族に伝わる呪いの印を絵描いている。
皆の中で彼女だけが唯一、重装甲の全身甲冑を身に纏っている。
騎士団に配賦される最新型の騎士鎧は、鎖帷子や板金に錬金術加工した特殊な合金が使われており、通常の品より軽量だ。
「………同感ですわ」
武装神官着を着込んだローンも頷く。
鎖帷子が編み込まれた直垂には、亜人の守護神エグザイルの聖印が描かれている。
腰にはメイスを差しているが、戦う事は滅多にない。
とはいえ戦闘術は、神官の必須科目だ。
長い髪は、背の高い神官帽に収めてある。
額に掛かったブロンドのほつれ毛が揺れる。
「さて、と」
肩掛け帯から両刃の短刀を抜いたカムイが、ミノタウロスの死体に歩み寄る。
カムイの装備は昨日と同じだが、鞣革のベストを着込んでいる。
左肩掛けの外套には、今朝に買い込んだ肩当てをしている。
半端な銀髪は、無造作に後ろで縛ってある。
「ミノタウロスって、何処だっけ?」
背後からグレイが鉈を手に手伝いにきた。
迷宮探査専用のギルドで、狩った魔獣に応じて報奨金が出る。
その際に、魔獣の一部を証拠に持ち帰るのだ。
「右の角。後は睾丸が売れる」
「げ………んな物、何に使うんだ?」
カムイがミノタウロスのぼろい腰布を無造作に捲ると、死後硬直で隆起した肉根が顕になる。
辺境に出没するミノタウロスは、人間や亜人の女性を強奪して犯す。
種族の牝が希少なので、繁殖に使われるのだ。
「強精剤の材料になる。効き目は物凄いよ。………知ってるだろ?」
「………アノ時の、アレね」
グレイは、カムイがミリュウを強姦した時を思い出した。
レヴィが造った超強力興奮剤にも、ミノタウロスの睾丸干しが使われている。
発情したカムイの獲物が、性に対し純粋無垢だったミリュウだ。
経緯はどうであれ、レヴィがカムイとミリュウの縁結びを担った訳だ。
この事を話せば、ミリュウはレヴィに感謝するだろう。
折菓子など持って、お礼にいくかもしれない。
「ぅ…グロ。俺ぁ、この手の作業は苦手だ」
「………同感ですわ」
とか言いつつ、横目で巨大な魔獣の性器を観察するふたり。
ミノタウロスのペニスは、体格に比例して馬並みの面構えをしている。
ローンはくいくい…っと肘を曲げながら、自分の腕を見詰めた。
「これくらいありますわね」
「あんなモノ突っ込まれたら、壊れちまうって」
『………そかな?』
離れた所に立っているスゥが、口の中で反論した。
手にした細身の両刃剣を布で清めつつ、馬頭の睾丸を抜き取っている兄を盗み見た。
さすがにアレよりかはちっちゃいが、見比べても遜色無かったと思う。
まぁ、確かに兄のナニがアソコに捻入った時は、冗談抜きで身体が裂けると思ったのも事実だったが。
とんでもない思考をした事に気づき、スゥの頬が桜色に染まった。
身体の線にぴったりとフィットした魚鱗鎧姿のスゥは、バンダナ代わりのヘッドガードを指で掻いた。
不図、視線を外すと、同じように小首を傾げている人狼族の娘に気づいた。
獣皮を鞣した鎧を身に付け、異国風の片刃剣を捧げ持っている。
異種族という事を差し引いても、容姿は非常に整っている。
兄の側に立っていたとしても、見劣しない。
腰まで流れる美しいプラチナブロンドと尻尾は、器用に三つ編みにされてリボン留めしてある。
それを見て、スゥの心臓はズキリっと痛んだ。
無意識に自分の短い髪を引っ張る。
親衛騎士隊の入団規則のために切ってしまったが、スゥの黒髪は幼い頃からずっと長髪であった。
癖のない艶やかな髪は、まるで朝露に濡れているようだと讃められていた。
娘らしくないスゥの、唯一の女らしい自慢の種だった。
とはいえ、しょっちゅう気になり今度こそ切ると駄々を捏ねるたびに、カムイが綺麗に結い上げてくれていたのだった。
優しく微笑みながら、頭を撫でてくれた。
優しく歌いながら、髪を透いてくれた。
その優しさはもはや自分ではなく、この人に向けられている。
スゥは初めて沸き上がった嫉妬に胸を絞められ、自分の気持ちに気づいて驚く。
スゥにとってカムイの存在は、常に側にあって当然の空気のようなものだった。
自分の半身をもぎ取られた。
そんな、取り返しのつかない喪失感。
皮肉にも決別の日は、初めて女としてカムイを感じられた、あの日からだった。
「………ぅん!」
頷いて気合いを入れたスゥは、勢いよく頬を両手で挟み叩いた。
パン!と突如鳴った脈絡のない打撃音に、吃驚した皆が振り返った。
同じく怪訝な表情を見せるミリュウに、親指を立てて片目を瞑る。
「強いんだね、ミリュウさん。でもっ! ボクも負けないからねっ?」
「ぁ…ああ」
意表を突かれたミリュウは、反射的に頷く。
が、すぐに言葉に含まれた挑戦に気づいて、同じく気合いを入れ直す。
「ぅあっちゃ〜…。格好いいねぇ、スゥちゃんってば。ふっ切れたみたいだな」
誰にともなく呟いたグレイは、血塗れた手を拭うカムイに視線を流す。
採取した睾丸は硝子の小瓶に収められ、外套の内ポケットに入れられる。
錬金術ギルドに持っていけば二十金貨。
約、ふた月分の生活費になる。
彼等の技量では、ミノタウロスとて良い獲物でしかない。
金銭目的の猟では目玉を狩ったのに、カムイの表情に笑みはない。
「当てが外れたみたいだな」
「あぁ…」
思わず頷いたカムイだが、キッとグレイを睨んだ。
「何が?」
「さぁー…って、ね?」
とぼけたグレイは、外方を向いて頬を掻く。
一行のコンビネーションも熟れ、地下十階頃には一人頭二十金貨の報酬が入るようになっていた。
ここいらに出現する魔獣はヒドラやケルベロスなど、地上では滅多に出会う事の無い強力な魔獣である。
単体なら未だしも、複数にかかれると彼等も苦戦した。
「あててっ………。ローン、腕の傷治してくれ」
「はい。グレイ様、お気を付け下さいね」
双頭狼の灼熱息で火傷したグレイを、駆け寄ったローンが癒す。
が、一行が休息する間もないうちに、一つ目巨人が姿を現した。
「糞っ! チャージ行くぜ!」
腰だめに槍矛を構えたフィズが、弾丸の勢いで突撃した。
スピードを乗せた体重で武器を叩きつけ、通常の倍以上のダメージを与える騎士種族の必殺技だ。
背中まで槍矛が貫通し、フィズは武器から手を離して転がった。
特殊配合した火薬を空中に撒いたカムイは、空間閉鎖と現象増幅の魔式を唱える。
フィズが効果範囲から脱出した瞬間。
「…炸裂!!」
迷宮の通路に、爆炎が炸裂した。
「あぢぢ」
「たーまやぁ」
バックドラフトに髪を靡かせたスゥが、発破後の極め台詞を吐く。
黒焦げの死体から突き立った矛槍を前に、カムイは溜息を吐いた。
隠し球だった爆破の術は、強力な分、触媒が高価だ。
握りが冷えるのを待つフィズが、圧倒的な破壊力に感心する。
「すげぇじゃんか、カムイさん。何で出し惜しみしてたん?」
「今の一発で五金貨分。ねた切れだよ」
錬金術をベースにした攻撃術は、前もって準備した触媒がいる。
触媒に使う火竜の化石は、レヴィから安価で譲って貰った物だ。
「サイクロプスは再生能力があるからね。マジックアローじゃ焼け石に水さ」
肩掛けしたベルトから、魔弾の薬莢を抜く。
カスタムの戦闘帯には、数本の瓶詰された触媒と、十発の薬莢が装備されている。
魔力を吸収して溜める性質のある鉱石が、薬莢の中に仕込まれてある。
薬莢から導きだした魔力を、衝撃波として撃ちだす。
薬莢一発一金貨したが、再利用が可能だ。
大概の錬金術師は、魔弾を常備している。
無意識に武器に手を延ばした事に気づいたカムイは、何処か不安げに周囲を見回す。
「しっかしサ。一つ目巨人って、もっと下の魔獣じゃなかったっけ?」
「双頭狼が群れるなんてのも珍しいよね?」
癒された腕を振るグレイに、双頭狼の牙を抜くスゥが頷く。
「予定より早いけど、戻る方がいいかもしれない」
「…カムイ?」
独り言のように呟くカムイを、小首を傾げたミリュウが見詰める。
その拳には、探索中に見つけた手甲が填められている。
白銀に黒金のガントレットは、魔獣の爪のように伸びており、格闘にも使えるようになっる。
神代遺産の魔道具だ。
実際報酬を半分にするという約束で、ミリュウの物になる事が決まっている。
貴重な品だが、カムイが金欠になったら、あっさり売ろうとミリュウは思っている。
「………やっぱり戻ろう」
「えぇ? 何でよ。やっと体が暖まってきたとこじゃん」
「そうですわ。まだまだ疲れてませんし」
慎重を過ぎて弱気なカムイの発言に、フィズとローンが首を振る。
ふたりとも帰郷してから家出する事を決めているので、なるべく資金調達を望んでいるのだ。
「ま、半分の時間で、予定金額は稼いだんだけどな。急ぐ必要はないじゃんサ」
「だから、だよ。魔獣との遭遇率が高いからだ」
「そんな日もあるって。心配する事無いんじゃん?」
お気楽に肩を叩くグレイだが、カムイの顔色は晴れない。
光球の明かりに照らされた顔色は、青く染まっている。
スゥは避けられているのを忘れ、カムイの側に寄った。
「………兄貴、気分が悪いの?」
「嫌な感じなんだ。何処か狂ってる、歪んでる感じがする」
不吉な言い方に、スゥはぞっとして周囲を見回した。
遠くに魔獣の遠吠えが聞こえる他は、何時もと同じにじめった空気だ。
だが、確かに何かが何時もと違う。
圧迫感にも似た、微妙な気配が重い。
「この、迷宮が、なんだね?」
スゥは兄の不安を正確に理解した。
「今直ぐの方がいいかな?」
「ああ、危険な気がする」
「兄貴の直感は当たるからね」
くすっと微笑んだスゥは、皆に振り返った。
「あのサ。ボクも、ちょっとお腹痛くって。今日は早めに帰ろうよ」
「うえぇ?」
「スゥまでそゆ事言う?」
皆もぶつくさ文句を言いながら、これ以上探求を続ける事を諦めた。
スゥがカムイの意見につく以上、翻す事は出来ないだろうからだ。
ただミリュウだけが、置いてきぼりされたような疎外感を味わう。
「………何で帰らなきゃならないんだ?」
「しょうがないじゃん、ミリュウさん。カムイがああ言ってるんだし」
呟きを聞き取ったグレイは、俯いたミリュウの肩を叩く。
「違うっ。カムイの命令なら何でも聞く。でもっ、これは違う…」
グレイの手を弾いたミリュウは、スゥの側に居るカムイを見詰めた。
自分でも狭量な嫉妬に捕われているのが解る。
そんな自分が情けなくて唇を噛む。
複雑な想いを察したグレイは、明後日を向いて溜息を吐いた。
こればっかりは、他人が干渉してどうこう言う筋合いではない。
「こういうの、苦手なんだよな。俺………」
始めに異変に気づいたのはグレイだった。
気まずそうに後頭部を掻いていた手を止め、振り返って耳をそばだたせる。
何かが擦れ合うような、微かな地響き。
「グレイ様?」
「………黙って」
ローンの問いを手を振って制したグレイの頭上で、僅かな砂が零れ落ちる。
今度は誰もが感じた。
地の底から鳴動する、不気味な地響きを。
「なっ、何だぁ!?」
「どうしたんですの…ッ?」
続いて突き上げるような衝撃に、皆がよろめいた。
迷宮が振動しているのだった。
バランスを崩したローンを、グレイが辛うじて抱き留める。
地質学的に安定しているこの世界では、地震など百年に一度も起こらない珍事だ。
ましてや、ファクナ迷宮は超高度な魔道技術の産物だ。
人工的に起こした地震でも、内部には一切の振動が伝わらない。
「まさか………っ!?」
ミリュウに肩を抱かれたカムイは、恐ろしい想像を導きだした。
「こりゃ一体、何なんだよ? カムイ!」
「階層の組み替えだよ! 迷宮が初期化中なんだ!!」
ファクナ迷宮最大の謎が、尽きる事のない魔獣と、変化し続ける迷路空間だ。
魔獣を駆逐し、迷宮の地図を描こうとも、七日間に一度起こる迷宮の構造変化。
迷路と共に、魔獣も宝物も補充され、真っ更な状況になる。
「だって、そりゃ明々後日のはずだろう!」
「僕だって知るもんか! 其れしか考えられない。聖域にまで逃げるんだ、早く!!」
カムイの言葉が正しいのを本能的に悟ったグレイは、皆を促した。
迷宮の中心地には、絶対不可侵の聖域と呼ばれる空間があった。
魔獣も侵入不可能なそのエリアは、円形の亜空間になっている。
迷宮初期化時の待避所と推測されていたが、今は其れが頼みの綱だった。
だが、駆け出した瞬間。
壁が迫り出して急速な変化が生じた。
天井と足元からもブロック状の圧縮花崗岩が外れ、縦横無尽に崩れ始めた。
それは、さながら子供が玩具のパズルをひっくり返したようであった。
悲鳴と混乱。
その最中で、石壁が交差する隙間に、取り残された人影があった。
まるで駒送りのように短い黒髪が散り、青翡翠色の瞳が迫り来る死を見詰める。
スゥは次の瞬間に襲い来る破滅の包容を感じた。
誰もが身動ぎも出来ない空間で、銀のはためきが流れた。
破滅のあぎとが閉まる瞬間。
カムイはスゥを向こう側の空間へと突き飛ばしていた。
尻餅を突くスゥは石壁が閉じる隙間に、カムイの安堵したかのような瞳を垣間見た。
スゥを突き飛ばした左手に、自分も指を差しだそうとした。
白く繊細な優しい腕は―――石壁の顎に食われた。
「ぃ…嫌あああああーぁぁッッ!!」
スゥの悲鳴が、こちら側に取り残された者達の耳を貫く。
冗談のように転がる腕に、金銀糸の指輪が光っていた。
真っ白な閃光が、視界に弾けた。
一瞬、遅れて身体を震わせる衝撃。
屋根を叩き続ける豪雨の中で、神鳴りが大地へと降臨したのだった。
一層激しくなる雨音を聞きながら、寝巻姿のカムイは震えるスゥの身体を抱いた。
貴族などの屋敷がある、特権市民達が住むエリア外れに、王宮礼拝堂付き大神官レイロードの住居があった。
周りの建物から比べれば質素な作りだが、一般市民から見れば大きな物だ。
ベッドと机のだけの質素なカムイの部屋に、真夜中を告げる柱時計が鳴った。
カムイが造った永久ランタンから漏れる明かりが、ベッドで抱き合う二人の姿を壁に映し出している。
再び雷が鳴り、小さく悲鳴をあげたスゥがカムイの寝巻を強く握る。
普段は全裸に近い姿で眠るカムイだが、スゥが一緒では常識外れというものだ。
今をときめく騎士叙勲審査を控えた天才美少女剣士と名高いスゥだが、雷と蛇だけは死ぬ程に苦手だった。
ずっと物心つく前から、雷が鳴ると義兄に助けを求めた。
其れは今でも変わらず、枕を抱えてカムイの部屋に避難してきていた。
「もーいい加減にしなね」
「だって…恐いものは仕様が無いんだもん。理屈じゃないんだもん」
素っ気なく引き剥がされたスゥは、頬を膨らませてカムイを睨む。
腰まで伸びた艶やかな黒髪は、風呂上がりで湿ったままタオルで纏めてある。
スゥの子供っぽい柄物のパジャマは、サイズが大きくぶかぶかしている。
襟から覗く純白の下着から、カムイはさり気なく視線を逸らす。
低気圧の中心地に入ったのか、雨も止み、雷も遠くに去った。
「スゥも十六歳になったんだから、嵐の度に俺の部屋に逃げるのは卒業しなさい」
カムイはスゥに対しては、一人称に『俺』を使う。
スゥ自身が『ボク』を使うので、ややこしいから変えているとカムイは言うが、スゥは特別扱いされているようで密かに嬉しかったりする。
愛用の羽枕を抱えたスゥは、大きくない義兄のベッドに寝転がった。
「先生ぶっても、おにーちゃんには似合いませんよーだ」
子供のように足をばたつかせるスゥは、可愛らしい仕草で舌を見せる。
無邪気で無防備なスゥの態度は、無論カムイに対してのみ見せる仕草だ。
お互いに物心つく前から側に寄り添い、本当の兄妹以上に心を許せる関係だ。
だが、そんな関係だからこそ、それ以上に踏み込めない領域がある事にふたりは気づいていた。
スゥはシーツに顔を埋めると、楽しそうに義兄を仰いだ。
「くす…お兄ちゃんの匂いがする。ちゃーんと洗濯してるの?」
「五月蝿い。スゥには関係ないだろ?」
「駄目。病気にでもなったら大変だよっ。明日にでもボクが洗ってあげるね。ついでに部屋の掃除もしてあげるから」
呆れたように嘆息したカムイは、頚後に縛った銀髪を掻く。
床に足を降ろし、サイドボードに煎れ置いた蒸留酒入りの紅茶をすする。
「ね………今夜、泊まってもいいでしょ?」
「駄目」
素っ気ない台詞を吐くカムイの肩は、スゥが気づかない程僅かに震えた。
振り向きもしない義兄に、むっとしたスゥは自分でも解らない程意固地になった。
「いいじゃんか。ちっちゃな頃はよく一緒に寝たじゃん。ここは童心に帰ってサ………なんて。今更、冷たい布団じゃ寝れないよ」
「駄目だ。嵐が止んだら帰りなさい」
「嫌っ。絶対ここで寝る」
カムイが振り返ると、枕を抱いたスゥは瞳に涙を浮かべていた。
早打つ鼓動を隠すために、カムイは深く深呼吸をする。
幼さを装うには、とうの昔に限界を超えている。
「聞き分けの無い事を言わないで。良い子だから自分の部屋で寝なさい」
「お兄ちゃんと一緒に寝たいの! もぅ…ボクは子供じゃない、よ」
スゥにとっては聞き分けないのは義兄の方だ。
何時までも妹の立場に我慢できる訳がない。
好きだという言葉に含まれる感情は、男と女の愛情以外の何物でもない。
「子供じゃないから駄目なんだぞ! いいから帰るんだ」
「………解った。じゃ…お休みのキスして」
俯いて肩を震わせるスゥに、安堵したカムイはスゥの側に腰掛ける。
おでこへの口づけに顔を寄せるカムイに、弾けるように抱きついたスゥは唇と唇を押しつけた。
時が凍り付いた。
思い出したように豪雨が再開し、閃光が窓から部屋を照らしだす。
もう一度いかずちが閃光を発した時、唇を貪っているのはカムイの方からだった。
さらに、もう一度。
もう一度。
もう一度。
呼吸の苦しさに顔を離したスゥを、強く抱き締めて逃がさない。
「んぅ…ぁ………ぉ…お兄ちゃん…痛い」
「はぁ…っ!?」
義妹の陶酔に霞んだ熱い吐息に、我に帰ったカムイは怯んだ。
すぐに自らの行為に、大切なものを傷つけた罪深さに怯え、震えた。
「っご…御免…ッ」
「何で………謝るの?」
むしろ、謝罪の言葉に傷ついたように、スゥは義兄を見詰めた。
「ボクの方も…シテ欲しかったんだよ………。もぅ…我慢出来ないよ…お兄ちゃ…ん」
「俺達は兄弟なんだぞ! ………母様だって」
「ママは関係ないじゃないっ。きっと、解ってくれる。ボクが…本気で…お兄ちゃんを…ぁ、ぃ…してる…コト」
カムイの胸倉にしがみ付くスゥが、禁断の思いの丈を吐露した。
背筋を駆ける膨大な量の感情に、カムイは意識の奥底の何かが、崩壊したのを確かに感じた。
「ス、スゥ…」
「それに………今夜は、ママはお城から帰らない…よ」
カムイは震える腕で、誰よりも愛しい、世界中で最も大切な義妹を抱き締めた。
縋り付いてくる義妹に、かける言葉は喉の奥で消えた。
愛している、なんて言葉じゃ伝えられない程の感情。
思いの総てを抱擁に込めて。
水晶の涙を零すスゥに、甘い永い口づけを。
「………天罰が下るよ」
「いいよ。………お兄ちゃんとなら、地獄に堕ちても…いいよ」
至福の微笑みを浮かべるスゥが、十字を切って神に誓った。
「絶対に…後悔なんてしないよ。本当に大好きなの…」
願わくば。
願わくば、神よ。
カムイは今初めて、神の存在に真摯に祈った。
この子に幸せを。
自分の総てを代償に、スーシャインが誰よりも幸せであるように。
だから………だから今、この瞬間だけは!
偽りを脱ぎ捨てた、本当の自分に戻る事を赦して下さい。
「愛してる…スゥ。誰よりも………」
「ぁ…」
もう一度抱き締め、体を重ねながら囁いた。
乙女の本能が身体を強ばらせたが、愛しい男に抱かれる安堵が力を抜かせる。
「抱いて………抱いてっ。お兄ちゃん」
自らの躊躇いを振り切らせるように、思い切り求める。
頭貫衣タイプの寝巻を、ばんざいをされるように脱がされる。
カムイの手が、間を置かずにスゥの下着をまさぐらせる。
性急に行為を急ぐカムイに、スゥは流石に藻掻くように手を押さえる。
自然に涙が零れる。
「ま…待って…待って」
「黙って…」
「ゃ…ぁ…」
腰を捩るスゥはベッドに釘づけで、良い様に肉体を玩ばれる。
がちがちに力が入っていたスゥだが、レヴィから房中の訓練を受けて始めたカムイのテクニックに、次第に幼い官能を覚えだす。
フリルが可愛い絹のパンティは、カムイの指の動きで蜜の分泌に濡れだす。
スゥは愛液の分泌が激しい質らしく、布越しに粘液が沁みだしていた。
てろてろに滑る下着は、肉唇に密着していた。
激しい興奮に我を忘れるカムイの指が、下着と一緒に深くスゥの胎内に食い込む。
「んはぁ…ッ!」
震えながら口を押さえて我慢していたスゥだが、思い掛けぬ刺激に腰を跳ね上げる。
同じように怯んだカムイも、慌てて手を離す。
「ご、ごめ…」
「ううん。へーきだから………ちょっと吃驚しただけ」
胸の上で顔を俯かせる義兄の銀髪を、愛しさを込めて撫でる。
「あの…知ってると思うケド。ボク…初めてだから…も…ちょっと優しくして欲しい」
「………うん。解ってる」
真っ赤なままの頬を、無理に微笑ませる。
「お兄ちゃん…慣れてて、上手いね。………恋人、居ないよね?」
「居る訳っ…ないだろ」
「いいの。でも…今は、今はボクがお兄ちゃんの恋人、だよ」
スゥの胸に顔を埋めるカムイの背中が、傍目にも判る程に震える。
スゥにとって沈黙は苦痛ではなかった。
「スゥ…俺、は」
「何も言わなくっていいよ。今は…愛して欲しい」
優しく義妹を見詰めるカムイは、優しく口づけを交わした。
小振りだが形良い乳房に手を乗せ、そっと蠢かす。
身体を鍛えているお陰で、上向きの美麗な乳房だった。
「後免ね………ちっちゃいよね」
「何で?…綺麗だよ」
鴇色に隆起した乳首に、すくい取るように舌を絡めた。
「ひゃ…ぁ……電気が走…った」
「スゥは敏感だ、ね」
紅の瞳を細めたカムイは、太股を擦りながら乳房を揉みしだいた。
初々しい果実のような乳房は、触れられる快感に肉が絞まって、芯が入っているような感触を伝える。
スゥの白いうなじに唇を落とし、再び股間に指を滑らせた。
「ふくっ…」
また、無意識に背筋を強ばらせるスゥだが、優しい指使いに股間に痺れるような快感が生じるのを感じた。
じゅく…っという感じで指先を濡らす感触に、カムイはスゥの下肢に視線を向ける。
繊細なカムイの指が、へその下を滑って下着の奥に沈む。
勃起した肉芽を掠め、ねと…っと口を開いた淫唇を捉える。
その瞬間。
じかに触れられた感触と感動で、スゥは初めてのあくめに達した。
くたりと脱力した義妹を愛しげに見下ろし、呆然としている内に下着を引き降ろす。
「ゃ…見ないで」
「見せて。見たいんだ。スゥの総てを………」
脚を立てて腰を捩るスゥの膝を押さえ、ゆっくりと開かせていく。
総てを顕にされたスゥのそこに、カムイは総てを忘れて魅入った。
髪と同じ捩れた黒毛の陰毛から、蜜で塗れた肉芽が勃起している。
興奮に内側から膨れた性器は、可愛く薄桃色に染まる肉唇から蜜が滴っていた。
「ぁ…恥ずかしい…よぉ」
「綺麗だよ………」
「ひゃ…あふぅ!」
驚く程に薄い陰毛を掻き分け、包皮から肉芽を剥いて吸った。
激しい快感に驚いたスゥは、カムイの頭ごと太股を絞めて髪を掴む。
スゥの女芯に顔を埋めるカムイは、思う様にねぶって愛を施した。
「うあぁ!…ぁ…うわああぁぁ!」
背筋を激しく反らせるスゥは、二度目、三度目の絶頂にシーツを握り締めた。
搾りだすように溢れるスゥの愛液を、カムイは音を響かせて嚥下した。
「は…恥ずかしいよぉ。ボクばっかり…何回も…」
「何で…可愛いよ」
「だって…こんなエッチな娘じゃ…お兄ちゃんに嫌われる」
しゃくって涙を零す義妹を抱き締めたカムイは、顔中にキスの雨を降らせた。
「愛してる………誰にも渡したくないっ」
「ぁ…ぼ、ボクもっ」
「俺の…モノにしたいッ!」
スゥは義兄を見詰めた。
そこに居るのは、誰からも忌まれる天人でも、優しい義兄でもなく、女として自分を求めるただの男だった。
「して…」
スゥは苦悩に身を焼くカムイに、総て受け入れた微笑みを浮かべて手を差し伸べた。
「お兄ちゃんの…カムイの物にして。お兄ちゃんをボクの中に刻み込んで」
酷く、ゆっくり時間が過ぎた。
長い嵐は、風と雨をファクナに送り付けていた。
スゥの太股を抱えたカムイは、苦痛に唇を噛み締める義妹に覆い被さった。
スゥの小さな尻に刺さった肉根は、半ばまで淫唇に埋まった。
尻を伝う愛液に、鮮血が酷く混じって滴る。
成熟しきっていないスゥの性器に、カムイの逸物は余りにも不釣り合いだった。
奥まで愛しい義兄の肉根を受け入れたスゥは、カムイの罪悪感が薄れるように、自分の下腹部に癒しの術を施す。
痛みは潮が引くように失せたが、圧倒的な圧迫感に呼吸も出来ない。
「本当に…本当に平気か?」
「ん………大丈夫、だよ。お兄ちゃんとひとつになれて…幸せだよ」
カムイは健気に微笑むスゥを抱き、ずっと髪を撫でてやる。
「ずっと…夢見てた。お兄ちゃんに…処女を捧げる日」
「スゥ…」
「凄い幸せ………死んでもいい。愛してるよ…お兄ちゃん」
堪らなくなったカムイは、我を忘れてスゥとの口づけに溺れた。
ぎこちなく舌を泳がせるスゥも、カムイの腰に脚を絡めて、必死に応えようとする。
腰の出し入れをしない内に、カムイは我慢出来ない程に昂ぶっていった。
「ぅく…いきそう、だ」
「イッて…お兄ちゃんを…出して。ボクが…全部受け止めるから」
女友達からセックスの仕組みを学んだスゥは、カムイの痙攣する身体に手脚を絡ませて強く抱き締めた。
「駄目、だよ。外にっ…」
「平気だから。大丈夫な日だから…中に…中に欲しい」
身体が理性を裏切っていた。
強くスゥの腰を抱いたカムイは、堰を切ったように激しい射精をした。
異物が流れ込むのに反応して窄まるスゥの胎内に、濃ゅい大量のザーメンが断続的に撃ち注がれた。
「ぁ!…ぁ…ぁ…ぁ…ぁぁ…ぁ…熱ぃ」
幾度も幾度も、びゅくびゅくと弾けるペニス。
鷲馬の並みの射精液は、幼いスゥの子宮には収まり切れず、淫肉の接合部からぶじゅるぶじゅる…と溢れ漏れた。
可愛く痙攣する義兄の尻を、スゥは女の幸せに浸りながら撫でていた。
胎内に溜まった、ぬるりとした物も、スゥには愛しく感じられる。
「スゥ…」
「お兄ちゃん…」
何度目か忘れる程の口づけは、ずっと昔から連れ添う恋人のようだった。
くん…っと引き締まった尻が掲げられる。
とろり…とした半透明の粘液に塗れた肉根が、尻たぶの溝に乗った。
赤子の腕程もある巨根は、俯せで尻を掲げたスゥの尻を貫いたら、臍上の内蔵にまで貫通する長さを持っていた。
剣術で鍛練された贅肉のない脇腹を押さえ、尻肉の溝に挟んだ肉根を油送する。
少年のように未発達の骨盤では、固く薄い肉付きの感触がした。
だが、カムイにとっては、どんな美女に挿入するより法悦を感じる。
「ふぅ…ふぅ…ぉ…お兄ちゃん。へ、変な事しないで」
「じゃ…いくよ?」
枕に顔を埋めたスゥは、背後に膝立ちになった義兄に頷いてみせる。
自分の右手で肉根を握るカムイは、先端を滑らせながらスゥの尻底をなぞっていく。
途中、肛門に引っ掛かった時。
粘液塗れで滑る感触に、スゥの腰が跳ねる。
「ぁ…や」
左手をスゥの股間にあてがうと、中指と薬指で滑塗れの淫唇を押し開いた。
幾度もの穿孔で抉じ開けられた膣口は、粘膜が捲れて桃色に爆ぜている。
幾重に重なる膣膜に、白濁した粘塊が充満していた。
性器から滴れるザーメンと愛液は、スゥの太股と尻周りに滑る膜を引いている。
「もう…休もうか?」
カムイの巨根を受け入れる度に癒しを施したスゥは、三回目からようやく挿入の感覚を覚え始めた。
射精が終わるたびに戯れあい、若さが肉体のくすぶりを掻き立てる。
男女の営みが初めてのスゥも、カムイが射精した後に指戯で上り詰めた。
「駄ぁ目。お兄ちゃんの、まだ…おっきいじゃんかぁ」
「だっ、だから…俺は」
くすっとエッチに微笑んだスゥは、自分で腰に手を回して尻たぶを左右に開く。
「お兄ちゃんが満足するまで…エッチしよ」
義妹のあどけない誘惑に、カムイの逸物はみぢみぢと反り返る。
「もぉ…痛くないんだ。ちょっと…不思議な感じするの。その………お兄ちゃんのが、お腹の中で動くと」
「ぇ…感じて、る?」
「解んないよぉ。でも、嫌じゃないから………勃起が解けるまで…シテ」
「萎える訳…ないだろ。スゥのそんな姿見せられて」
淫唇に亀頭をねじ込んだカムイは、ベッドボードを掴んで腰を突き降ろした。
ぬちゅん…ッと粘い粘膜摩擦で、カムイの肉根がスゥの胎内を貫く。
ぞくぞくと背筋を走る快感に、スゥは枕に顔を埋めた。
ぢゅくっと淫芯が内部に向かって凝縮し、カムイも尿道が焦げるような媚感に呻く。
「今………絞まったよ。凄く、感じた」
異物の侵入に膣が慣れたせいだろうか。
スゥの括約筋が、微妙な反応を返し始める。
出し入れを始めても、新鮮なスゥの膣は、窄まり過ぎて肉根に襞を削られる。
スゥの腰も、義兄の律動に合わせて挿入に同調して蠢く。
「お尻が…ボクのお尻が…凄いエッチに動いてるぅ」
「もっと、その感じに任せて………。お兄ちゃんが教えてやるから」
淫媚に腰を蠢かし続け、髪を撫々してやる。
背中からシーツに零れるしなやかな黒毛は、スゥの純粋さの証のようだった。
「はぁ……ぁぅ……ぁぅ……ぁ…」
明らかにスゥは腰を捩って陶酔している。
無意識に蠢かす尻も、押し付けるような動きだ。
自分で乳房を揉みながら、尻を掴んだ手で貫かれる性器を開いている。
義妹の快楽に浸る姿に、罪悪感と至福の感情で胸が引き裂けそうになる。
スゥの尻を貫いて犯している自分を、責めている自分がいた。
だが、スゥを抱きたいという気持ちが、総てを圧倒している。
「スゥ…俺、又いくよ」
「んんぅ…きて…一杯きて……おにぃーちゃん」
首を捩って顔を上げるスゥに、舌を生物のように絡め合わせる。
キスで舌を重ねるなど、初めて知ったとスゥは言っていた。
そんな義妹の舌を吸い、逆に送り込んで唾液を飲ませる。
「…ちゅ………ぁ…熱ぃ…のが………いっぱぃ」
「ん…抜く、よ」
「ふぁふあぁぁ…ん」
ずびゅぶぶ…っと失神しそうな程に鄙猥に響いて、可憐な性器から凶器が抜ける。
ごびゅぶびゅぶびゅ…っと膣洞に空気が混入し、どぽどぽどぽ…とザーメンが濃縮ミルクのように膣口から垂れた。
「死ぬ程恥ずかしいぉ…」
「も…最高に可愛い瞬間なんだけどな」
可愛らしく膨れたスゥが、お尻を隠して起き上がる。
「お兄ちゃんの意地悪」
「否定しない」
「んっ…」
何方からともなく手を絡め合い、溶けるようなキスに耽る。
唇から舌が抜け落ちても、顔中に唾液を擦り付ける。
幼馴染みのセックスでは遠慮が無くなるというが、それ以上に濃密な行為に耽るふたりだった。
お互いの我慢から解き放たれ、幼い獣になっている。
スゥの脚を腰に跨がらせ、尻を上げさせて性器を密着させる。
挿入の瞬間には、可愛くスゥが喘ぎを漏らす。
「こんな格好……ぁん」
向かい合わせに結合したふたりは、本能に任せて腰を揺すり始める。
秘肉が絡み、子宮を捏ねくり回されるスゥが唇を噛んで震える。
「スゥ…疲れたら、終わりにするよ?」
「…嫌ぁ」
カムイの首に腕を回し、熱い吐息を漏らす。
「お兄ちゃん…ボクの身体に飽きたの?」
「そんな訳ないだろっ。だったら…こんなになってない、よ」
性急過ぎる勘違いをするスゥに、根元まで淫唇にくわえ込まれた肉根を抜き見せる。
「ぇ…えっちだよぉ。自分じゃない…みたい」
「今の内に言っとくけど。多分、俺は萎えないからな………。朝まで、ずっとスゥを抱いていたいんだから」
耳たぶを食みながら、恥ずかしそうにスゥに囁く。
「じゃ…ずっーとエッチしてて。ボクも…おにぃーちゃんに抱かれてたい」
ぐっとスゥの尻を抱えたカムイは、激しくベッドを軋ませた。
スゥの尻の下は、漏らしたように愛液の染みが出来ていた。
「スゥは汁の多い子だね」
「あっ…うくっ…そんな…知らないモン」
初めて激しく求められるスゥは、カムイの背中に爪を刻む。
射精の回数が増えるにつれ、挿入時間も長くなっていく。
優しくされ続けているとはいえ、カムイもスゥも獣のように貪る勢いはなくなる。
ただ、優しく抱き合い、性器を交じり合わせる悦びに浸った。
「ぉ…おにぃーちゃん…おにぃーちゃん………」
「スゥ…スゥ…」
何時からか右手と左手を重ね合わせた掌と、深く挿入された性器は繋がったままになった。
愛しさを込めて名前を呼び合い、僅かに腰の出し入れを続ける。
飽和する意識で、一緒の夢を見ながら。
今のふたりは、ファクナの国で一番幸せな恋人同士だった。
とろりとした舌を、顔も触れ合う距離で絡ませる。
お互いの髪を撫で、甘い体温に身を委ねる。
わだかまりは完全に霧散し、ふたりの身も心もひとつに溶けて交じりあった。
二人の願いはひとつになった。
夜が永遠に続けばと。
小鳥の囀り。
雨戸から差し込む日差しに、カムイは目を細めた。
隣で寝ている最愛の義妹を、優しい眼差しで見詰める。
自分で頬を抓り、夢でない事を確かめる。
ずっと昔からこんな朝が来る事を恐れていた、そして夢見ていた。
自分がスゥの将来に、悪影響を与える事に怯えた。
誰にも言わずに、姿を消す事も考え続けている。
せめて、スゥがどこかに輿入し、幸せを確信するまでと言い訳してきた。
敬愛する継母も、義兄離れしないスゥに危惧を抱いているのも知っている。
自分はその思いを裏切ったのだ。
だが、どうして後悔できようか。
どうして諦められるだろう?
義妹に、身を千切る程に愛しさを感じるのが罪だというのか?
身体の半分に流れる天神の血が、何よりも恨めしい。
目を抉り、耳を切り、髪を千切ったとしても人間になれるわけではない。
もう一度愛する女を見詰め、床に脚を降ろした。
その時。
カムイは扉の軋む音を聞いた。
そこには、呆然と目を見開く、もうひとりの大事な人の姿があった。
「か…継母さま………………」
愕然としたカムイの呟きは、スゥの耳に届かなかった。