竜園
Original Novel
HighKingReport
第T章 機動甲冑
俺は村の地下にある遺跡を探索していた。
先人の『狩人』達に猟り尽くされた遺跡とは言え、神代の砦の中は魔獣や、取り残された金目の宝物が見つかる事もある。
地下に広がる階層の、最奥近くで道に迷った。
地図制作をしていなかったとはいえ、餓鬼の頃から入り浸っていた迷宮である。
「そも、こんな処なんて見覚えないぜ」
俺は抜き身の戦太刀を構えたまま、巨大な天蓋状の部屋を見回した。
幾何学的に並んだ石柱が、床に微かに残った紋章と相俟って儀式めいた魔法陣を形成している。
「迂闊に触るのは不味いか………。メイ=ディエも連れてくれば良かった」
部屋の中央から天井を見上げ、幼馴染みの魔道士を思い出した。
まだ見習いとはいえ、紋章学を学んだ彼女ならば場に施された意味が解っただろう。
帰ろうと振り向いた瞬間。
俺の足は円陣の上を踏んでいた。
石柱が唸り声を上げ、魔法陣が閃光を発する。
以前にも同じ感覚を経験した事のある俺は身構えた。
今はもう失われた魔道技術、位相の移動魔法陣だ。
乗り物酔いのような不快感が過ぎた後、俺はそこに立っていた。
うっすらと燐光に照らしだされた空間は、巨大な地底湖の中心に浮かんだ祭壇。
幾重もの円陣の石板の中心で立ち尽くす人影に、俺の目は引付けられた。
「………機動甲冑かっ?」
それは鋼鉄の四肢を持つ、魔道仕掛けの巨神だった。
高位の魔道術士が造り出す機動甲冑を操る者は、『騎士』と呼ばれる。
大概が国に仕えるエリート士官だ。
幾人もの魔道士が長い年月を懸けて造る機動甲冑は、高価で強力な芸術品だった。
溜息が出るほどに美しい優美な外骨格を、紋章で縁取られた装甲に纏わせている。
人型の機動甲冑だったが、背中部には翼のような突起が、腰からは装甲を繋ぎ合わせた形状の尾が生えている。
精悍な鎧の兜からは、双角が天に突き立っている。
だが俺はそんな事よりも、目前の石畳に突き立った剣に引付けられていた。
機動甲冑が捧げ持つ剣と同形状の美しい斬撃剣。
騎士のステータスシンボルであり、機動甲冑を操る機神剣だ。
機神剣は騎士の精神力を増幅して、機動甲冑を操作するアンテナのような代物だ。
また、機動甲冑と機神剣は常にリンクしており、通常の魔剣等と比べ恐ろしい破壊力を持つ。
俺は機神剣に魅入られるように、柄を握り引き抜いていた。
「我が・精髄を・解き放つ・主人よ」
「なっ! 誰だ!?」
突如、頭蓋に響く声が告げる。
「我・竜の精髄より造り出されし物。我が主人よ。汝・共にひとつとならん」
金縛りにあった俺の足元から、液化した金属の光沢を持った何かが絡み付く。
それは俺の体中に巻き付くと、鎧と服を通して肉体の中に侵入してきた。
喰われていくような想像を絶する不快感に、俺は悲鳴を上げ続けた。
「我が主人・A=Zよ。我は・機動甲冑『龍皇』」
「うわ!あ!ぁ!あ!ああああぁーッ!!」
自分の悲鳴で目が覚める。
息が荒く、全身に寝汗を掻いているのが解る。
全裸で寝るのが俺の習慣だから、シーツが汗で湿っていた。
一週間前から、毎晩のように見る悪夢だ。
「いや、本当に夢なら、どれだけ心安らぐか」
アズは自分の首元と、腰の後に手を這わした。
体温を持った肌の感触と、不思議な弾力のある磨かれた硝子のような手触り。
背中に紋章を描く様にして、金属が肉に融合しているのだ。
痛みも無く、筋肉を動かすのにも平気だったが、気色悪いのには変わりない。
俺も肉体には、魔式術の霊珠をみっつばかり埋めてあるが、得体の知れないものに寄生されているのは気色が良くない。
誰に相談できる事でもなく、悶々としているアズだった。
「呪咀か何かじゃないだろな。ミル姉に相談しようかな………」
だがミル姉は、一昨日から中央総教会に呼び出され、暫らく帰ってこない。
ミル姉、ミルリッヒ=ラーナフェオラ司祭は、トザク村の教会を任される女司祭だ。
また、俺にとっては母親でもあり、姉さんのようなものだ。
そして、密かに想いを寄せる最愛の女性でもある。
掛けシーツに包まる様にして寝転がる。
年季の入った煉瓦造りの自室は、手狭で質素な代物だった。
カーテン越しに差し込む朝日が、手製の卓上に乗った皮胸鎧と甲手袋を照らす。
立て掛けてある黒鞘の戦太刀は、使い古されてはいたが魔力付加された魔剣だ。
今を去る事18年前、教会の前に捨てられた麻編みの篭の側に置かれていたと聞く。
篭の中に入っていたのは、この俺。
ミル姉の祖父にあたる人物が死去してからは、ふたりだけで過ごしてきた。
餓鬼の頃はメザイアの街で暮らしていたのだが、ミル姉の辺境派遣と一緒にこの村に住み着いた。
所謂、捨てられっ子だった訳だが、今更親を恨む気も探す気もない。
唯一の手掛かりである戦太刀にしろ、名の通った名剣でも、意味ありげな紋章なども刻まれていない。
売り払えば結構な小遣いになるが、『狩人』志願の俺としては重宝している。
ミル姉という家族がいるから、不幸を嘆く気もない。
半年前からはませた妹のような同居人も居る。
「………飯食ってこよ」
ズボンを履き耐刃ジャケットを羽織った俺は、部屋を出て教会の門から外へ出た。
「あら…アズ、いらっしゃい。………もうお昼よ?」
「日替わり定食。…大盛りでね」
トザク村唯一の宿屋兼酒場『ラディッシュ』は、また村唯一の食堂でもある。
メザイア神聖帝国の開拓団が築いた村は、神代遺跡の砦跡を利用して作られている。
放牧と狩猟を生業にしている400人程の村人にとっては、十分な広さと堅牢な居住空間を提供してくれる。
ラディッシュの店も遺跡をそのまま利用した造りになっている。
吹き抜けの贅沢な間取りの店内は、俺が知っている限り満員になった事はない。
「今日はビーフシチューとサラダの盛り合わせね」
店の一人娘であるエル=リアが、木の盆に料理を乗せて戻った。
俺と同い年であり、可愛く小ざっぱりとした性格のエルは、独身の料理上手の娘であった。
村の独身男は隙あらば物にしようと画策しているのだが、本人は不思議と浮いた話のひとつも近付けようとはしなかった。
とろ味のある胃袋を刺激する匂いに、俺の腹は盛んに自己主張する。
「何でもいいから早く。死にそ…」
「もう、失礼な台詞ね。私の料理は結構、評判いいんだから」
膨れるエルを尻目に、アズは掻き込むようにシチューを貪る。
エルは内心溜息を吐いて、中途半端な時間なのでお客の居ない店内を見渡した。
皿の中身を綺麗に片付けたアズの前に、セットの珈琲が出される。
エルは自分の分をカップに注ぐと、煙草をくわえるアズの顔を見入る。
「ねえ、アズ。………貴方やつれてない?」
「ズズッ…この頃、夢見悪くて」
「ミルリッヒ司祭が居なくても、ミイアちゃんがご飯作ってくれてるんでしょ?」
カウンター越しに向かい合うエルは、教会の同居人であるちんくしゃ小娘の名前を上げる。
ミイア=アイメルララは、女神アイメルララの血を引く見習い神官である。
幼い頃に神々の血を引く神官候補として、教会に買い取られたのだ。
神の神聖法を使えるのは神の眷属だけであり、純粋に血筋による。
メザイア神聖帝国では、教会を国が保護しているので神官の地位は高い。
ミイアも修道院で修行をさせられていたが、15歳になったので侍祭として半年前に、この村の教会に派遣されたのである。
修道院に居たにしては妙におませな少女で、アズに対しても年下とは思えない態度で接する。
「あいつの手料理は………凶器だ」
「ひょっとして、ミイアちゃんってお料理下手?」
一昨日から強引に喰わせられる代物を思い出して身震いした。
悪夢を見る原因のひとつが、ミイアの手料理だ。
伝説に伝えられるドラゴンをも、一撃で倒せるんじゃないかと思う味だ。
もっとも、この世界のドラゴンは絶滅しているそうだが。
「でも、ちゃんと食べて上げてるんしょう? 優しいね、アズ」
「冗談。残飯処理させられる身にもなってくれ」
珈琲を啜りながら手を振るアズに、エルは小さく微笑んだ。
「あ゛…喉がいがいがする。あいつ飯に毒でも混ぜてんじゃないのか?」
ミイア必殺の晩餐の後、アズはよろめいて部屋に戻った。
旨いとか不味いとか、そういう次元の問題じゃない。
俺はドアに鍵を掛けると、寝具の下に隠していた剣を取り出した。
遺跡で見付けた機動甲冑ドラグーンの機神剣である。
普通の剣より一回りは巨大な斬撃剣の形状をしているが、刀身には燐光を発する魔力文字がびっしりと書込まれている。
構えているだけで強大なエネルギーを感じる。
「冗談じゃないぜ。俺が騎士だって?」
機動甲冑からの声の後、意識を失った俺は遺蹟の入り口に倒れていた。
夢でない証拠に、手には機神剣が握られたままだ。
「大体、機動甲冑がなきゃ、役に立たんぜ。この剣も」
不意に扉がノックされ、俺は咄嗟に慌てた。
「………アズ。ちょっと…いい?」
「待て、まだ開けるな」
「うん…後免ね」
妙にしおらしいミイアの返事が引っ掛かったが、俺は機神剣を鞘に納めて寝具の下に突っ込んだ。
ドアの鍵を外して開けると、ランプを手にしたミイアが立ち尽くしていた。
見慣れている見習い神官着の替わりに、可愛い絵の描かれた寝間着を着ていた。
ディフォルメされた竜のプリントの入った大きな枕を抱いているのが、歳相応の可愛らしさを醸し出していた。
頭の左右で結わえている栗色の尻尾が、ランプ明かりでオレンジ色に染まっていた。
右耳たぶには、ふたつのピアスを下げている。
アイメルララの神官は、必ず身体のどこかにふたつ以上のピアスを付けている。
一種の身分証でもあり、司祭侍祭のミイアは純銀のリングだ。
その赤紫の瞳が寂しさに潤んでいたが、俺の姿を確認して安堵したようだった。
まさかね、気のせいだろう?
「入っていい? お昼もどっか行っちゃってるし、アズの事からかわないと眠れないんだもん」
「お前なー…夕飯の時、散々に話ししただろ?」
相変わらずの可愛くない物言いに脱力した隙に、ミイアは脇の下を擦り抜けて部屋に入った。
その年頃の娘にしては、小柄で発育不良気味のミイアは、俺の胸下ほどの身長だ。
枕を両手で抱き締め、ベッドに身体を投げ出して子供っぽく舌を出す。
只でさえ童顔のミイアだから、そんな仕草が妙に可愛く似合う。
「うわぁ…汗臭いのー。布団干した方がいいよ、アズってばさー」
「大きなお世話。で…何の用だ? 俺はもう寝るんだからな」
流石に妹としても、ミイアの隣に腰掛けることは出来ない。
こんな時間で保護者は居ないし、シチュエーション的に危険だ。
俺は椅子に腰掛けると、水差しから冷たい紅茶をカップに注いだ。
本当なら寝酒代わりにブランデーを混ぜるが、ミイアの前だ。
「ね、アズ…。ばたばたしてたけど、ひょっとして………オナニーしてた?」
「ぶはっ…! げほげほっ…なっ何を?」
「あはっ、図星? 後免ねー、いっちゃう途中だった?」
ぱたぱたっと足をばたつかせるミイアは、むせる俺を見て意地悪く笑った。
「アズって童ー貞? 手で扱いたげよっか? ちょっとならお尻見せたげてもいーよ」
「ミイア! いい加減に…」
「それとも………ミイアの事、抱きたい…?」
俺は不本意にも胸が激しく脈打った。
微かに潤んだ上目遣いのミイアの瞳は、何時もの悪意のない冗談なのか本気なのか判断がつかない。
不意に、俺の脳裏にミル姉の怒った顔が浮かんだ。
「………餓鬼がその手の冗談を言っちゃ駄目だぜ。本気にする男も居るんだからな」
「もっ…アズの馬鹿、ミイア子供じゃないもん!」
「そういう台詞は、女になってから言いな」
「残念でしたー、ミイア女だもん。処女なら10歳の時に捨てちゃったもんねー」
「!?………マジ?」
普通、ここらの結婚適齢期で15、6歳とはいえ、10歳は早すぎる。
「マジだよー。もう、お口も、お尻も経験あるんだから」
「………ミイア。お前…一応、聖職者だろう?」
あっけらかんと自分の性経験を喋るミイアは、馬鹿にした顔で舌を突き出す。
「何言ってんのー、聖職者だからだもん。ミイアだけじゃないんだからね。同期の子達もみんな同じだよぉ」
ミイアが話す事は、俺にとって正しく寝耳に水だった。
神聖なイメージのある修道院だったが、実情は貴族や金持ちの娼婦館の役割を果していた。
金で買われてきた子供達に、国への服従と忠誠を強制的に教え込まれる。
そんな子達は、反抗する事も出来なくなる。
特に娘達は修行と称して、幼い頃から性的な訓練をさせられ続ける。
司祭や上位の階級の見習いからも、鬱憤を晴らすように尻を抱かれる。
貴族などの裕福なもの達も、娼館などより安全で機密の保たれる各地の修道院に通っているのだそうだ。
万が一、妊娠したとしても、神の血を引く司祭候補が増えるだけだ。
「縄で縛られて吊されて、鞭や板切れでお尻腫れ上がるまで打たれるんだよ。潅腸だってされたし、阿片も吸ったことあるもん。何人と寝たかも覚えてないもの。だって、ほとんど、毎晩呼び出されて相手もうしつかるんだよー。友達で13歳で妊娠しちゃった子も居るしぃ」
「そんな…嘘だろ?」
「本当だってー。ミイア可愛かったから他の子より酷かったけど。なのにアズって半年も経つのに夜伽ぎに呼ばないし。もしかして、修道の趣味かなって心配したもの」
「俺は女の子じゃないと駄目に決まってる!」
「じゃ…セックスしよ。オナニーはもう嫌だもん」
幼い顔に似合わず火照らせるミイアは、俺の手を引く。
だが俺は脳味噌がシェイクされたように、パニくっていた。
そんな…それじゃ、ミル姉も?
「アズがミルお姉様を好きなの知ってるから、今日まで我慢してたんだもん」
「あ゛…ッ!」
幼い頃からずっと心に秘めていた想いを見抜かれた俺は、硬直して赤面した。
「いいじゃない、楽しもっ? 中央教会に召喚されたミルお姉様だって、今頃は司祭様たちに抱かれてるんだよ。ミルお姉様って美人だから、きっと何人も何人も、入れ替わり立ち替わりに………っきゃう!?」
「いいぜ? ………俺に犯されたいんだろ? 犯ってやるよ!」
たぶん真実を告げているミイアの言葉に、心の奥で何かが壊れたような気がした。
気が付くと、激情のままにミイアを押し倒していた。
ミイアに馬乗りになり、頭に血が昇ったまま力任せに胸を握った。
息を止め、怯えたように見上げるミイアの瞳が、俺の嗜虐心に火を点けた。
熟していない果実のような乳房を強引に揉むと、痛みと恐怖にミイアの顔が歪む。
寝間着の襟首に手を掛けた俺は、一気に引き裂こうと力を込める。
喉を押されて仰け反るミイアは、諦めたように身体から力を抜く。
「気の済むまで抱いていいの………。だから…一緒に…寝かせて…ね」
「あっ………」
「ひとりで眠るのは………嫌ぁ…」
横向きのミイアの、何かを諦めた冷めた声に潜んだ哀願に、俺は冷水を掛けられたように正気に戻っていた。
そして、不意に悟った。
ミイアは最後の一言が言いたかったのだ。
物心付く前に両親から引き離されたミイア。
肉親の愛情を知らないミイアは、無意識に俺に優しさを求めているのだろう。
俺はミイアの上から降りると、何かに耐えるように目を瞑るミイアの、おでこにそっと口づけた。
「………あ…っ…?」
「馬鹿だな…俺に無理してみせなくてもいいんだよ」
ミイアの隣に寝そべったまま、しなやかな栗色の髪を撫でる。
俺を見つめるミイアは、茫然としている。
「あ…ず………」
「乱暴して御免な…。ミイアは俺の大事な妹なのにな」
「無理なんか…アズってば何言って……言って…い……ぃ」
気丈に冗談めかそうとしたミイアが、不自然に微笑みかけて言葉に詰まる。
無理に作った笑顔のまま、涙がぽろぽろ…っと零れ落ちた。
「我侭くらい言ってもいいんだぞ。…側に居てあげるよ」
「あっ…あ……ぁ…ッ」
小さく嗚咽を漏らすようにしゃくるミイアの頭を引き寄せ、胸に埋めさせる。
覚えのない温かな感情を拒否するように、一瞬だけ身動いだミイアだったが、堰が切れたように大声で泣きだした。
「我慢しなくてもいいんだ………」
「あぐっあぐっ…うわぁ…ひくっ、ひくっ」
しがみ付くように背中に腕を回すミイアを抱きながら、何度も頭を撫でる。
そのまま、俺はじっとミイアを抱き締めていた。
ようやく落ち着いた頃には、ミイアの涙で服が濡れていた。
「………平気か?」
「…あぅ…ぁ………」
涙と鼻水で汚れた顔を指で拭ってやると、ミイアは従順にされるがままだ。
飼猫が甘えるような、子供っぽい仕草だった。
ぼーっと俺を見つめるミイアが、急に恥ずかしそうに顔を伏せた。
「ん? ………なに」
「あ、あのね…アズ。本当に我侭言っても良い…?」
金はないぞと言い掛けたが、俺は黙って頷く。
「あの…あのね………お、お兄ちゃん…って、呼んでもいい?」
「あん…もちろん、構わないぞ」
とたん、破顔したミイアは嬉しそうに俺に抱きつく。
「お兄ちゃん、お兄ちゃぁん」
「あっ、こら。抱きつくんじゃないッ」
腕を背中に回して顔を擦り寄せるミイアは、先程とは立場を逆に俺の上に跨がる。
可愛い膨らみの乳房が、無邪気に押し付けられる。
俺の股間の上にミイアのお尻が降ろされ、身体を動かすたびに刺激が走った。
持ち主の必死の叱咤にも関わらず、ペニスが勃起し始める。
「ぁ…お兄ちゃん………」
ミイアがお尻に当たる異物感に気付き、真っ赤になってうつむく。
「ミイアの事………妹だって、言ったのに………」
「だからっ、これは男の生理現象って奴でだな…」
ミイアと同じく赤面してしまった俺は、しどろもどろに弁解した。
だが、ミイアは無言で抱きついた腕に力を込めると、勃起した肉根にくっ…と股間を擦り付けた。
「…あうっ!」
俺は不意を突かれた快感に呻いていた。
「くぅ…ん……っ。気持ち良かった…お兄ちゃん?」
ミイアは顔を上げると、頬を火照らせて問い掛ける。
図星を突かれた俺は、慌ててしまっていた。
「あっ…あのな、ミイア」
「ミイアの事…抱いていいよ」
「俺は…」
「違うのっ、良く分かんないけど…お兄ちゃんに抱いて欲しい………」
俺は不覚にも、ミイアが可愛く思えて唇を重ねていた。
震えるミイアの唇は、柔らかく微かに甘酸っぱい。
ミイアの手が肩を強く抱き締め、俺もその細い腰を引き寄せる。
そっと舌先で唇を開かせると、ミイアの方から舌を口蓋に入れてきた。
ちゅく…ちゅく…っと舌を絡み合わせる俺達は、互いに流れ込む唾液をすすった。
ミイアはうっとりと瞳を閉じながら、俺の存在を確かめる様に背中に手を這わせる。
頭の片隅で、背中の金属片が気になったが、すぐに消え去った。
「んん…っ」
「ぁ………はぁ…ぁ」
舌が気怠くなる程キスを堪能した俺達は、どちらからともなく顔を上げた。
ぼぉ…っと虚ろに瞳を潤ませるミイアは、俺の唇から零れたよだれを舌で舐め取る。
その間にも、キスの間中続けていたように、腰に押し付けたお尻を前後に揺する。
頭の芯が痺れたようになって、肉根はズボンの中ではち切れそうだ。
妹に手を出す罪悪感に戸惑っていた俺の両手も、ミイアの揺れるお尻の左右の肉を掴んで揉んでしまっていた。
「れる………。お兄ちゃ…ん」
「ん…ミイア。セックス………しよう」
股間に腰掛けて不安げに見つめるミイアに、俺は頷いて言った。
精霊を封印した、永遠に燃えるランプの明かりが揺らめいた。
俺は着せ替えさせるように、ゆっくりミイアの寝間着のぼたんを外していった。
はらり…っと撫で肩から上着が落ちると、思ったより大きな可愛い乳房が覗けた。
ブラジャーは着けないたちなのか、シルクのような肌が薄明りに染まる。
俺は乳房の頂に輝くリングに気付いた。
ミイアの乳首には、銀のピアスが其々付けられている。
これも女神アイメルララの神官ならば、誰でもしている事だ。
リングには鈴等を付け、性的快感を倍増させる事も出来る。
そっと乳房を撫で上げると、心地よい弾力が返される。
どうやらミイア、着痩せするタイプらしい。
「やぁ………」
続けて下履きを脱がせようとする俺の手を、ミイアが押し止める。
「やっぱり、止めるか…?」
「違っ…違うの。お兄ちゃん…軽蔑しちゃ嫌だよ……」
恥ずかしそうにベッドにうつぶせたミイアが、促すように腰を持ち上げる。
パンティごと服に手を掛けた俺は、背中の方からお尻を剥いていく。
太股の付け根が現われたときに、ミイアが恥ずかしがった理由が解った。
「俺のに擦ってる時、感じてたんだ………」
ミイアの性器は、快感の刺激に充血して、肉の合わせ目から蜜を溢れさせていた。
可愛く生え揃った栗色の陰毛も、蜜に濡れている。
司祭や貴族から散々使われた肉唇も、捲れて綺麗な臼桃色の粘膜を剥き出している。
ひくひくしているアナルも、艶光るあそこもミイアは可愛かった。
「いやぁ…お兄ちゃん、見ないで………」
「可愛いよ。もっと、良く見せて…」
視姦される羞恥に身を捩るミイアの臀部を掴み、尻の谷間に顔を寄せた。
「やぁ…お兄ちゃん…汚いよっ……あッあうぅ」
俺から逃れようと藻掻き掛けたミイアだったが、下肢に走る甘い快感に腰が砕ける。
肉唇に舌をなぞらせて蜜を舐め取り、皮膜に包まれた肉芽を指の腹で押す。
手加減しての愛撫だったのだが、ミイアはひくんっ…と腰を大きく痙攣させた。
「ぃ…イっちゃった…。お兄ちゃん…上手い……あぅ…ま、また…ああぁあ」
次々と蜜を湧きだす肉唇に舌を埋め、太股を撫でながら中で動かした。
絶え間なく与えられる快感に、ミイアは可愛く仰け反っては喘いだ。
ん…すっかり開発されてる身体してる。
そっとアナルを撫で上げると、驚く程に収縮した。
膣に舌の代わりに指を埋め、皮膜を剥いた肉芽を吸った。
シーツを握って快感に耐えるミイアは、ほとんど泣き声でお尻を弄る俺を呼んだ。
「お兄ちゃ…ぁん………。もぅ…みいあ…」
潤んだ瞳から涙を零して、生まれたままの姿を晒すミイア。
欲望に火照った虚ろな顔が、次の段階の行為を求め訴えていた。
「ミイア…後悔しないか?」
小さく、しかし幾度もミイアは首を振る。
俺は纏っていた服を全て脱ぎ捨てると、じっ…と待つミイアの上に被さる。
仰向けで脚の間に俺を迎えるミイアは、そっと手を延ばして肉根を握る。
「はぁ……熱ぃ…びくびく…してるぅ」
我慢できないように扱くミイアの手の中で、肉根が激しく硬直して脈打つ。
我慢できないのは俺も同じだ。
「いい…か?」
「………………ぅん」
本人の導きを受けながら、ミイアの肉唇に肉根があてがわされる。
その手が微かに震えているのが俺には解っていた。
「好きだよ………」
「あッ…ああぁー…!お兄ちゃぁんッ」
腰を落とすと同時に、蜜の滑りに導かれた肉根は、ミイアの膣肉を貫いていった。
ミイアの尻の中肉は、肉根に思い切り絡んで襞で締め付ける。
愛液がぐぷぷっ…と肉唇からあふれ零れた。
ゆっくり挿入したのだが、なかば程で余りのきつさに入らなくなる。
ミイアが凌辱者達に贔屓される理由が解った。
「あぁ…あぁ…ぁ……お兄ちゃん…」
「いいね…動くよ?」
苦しげに眉を寄せるミイアに告げると、入った分だけで出し入れ運動を始めた。
くっちゃ…くっちゃ…っと粘膜の粘い水音が、股間から響く。
股間をいっぱいに広げたミイアは、突かれる度にお腹を持ち上げる。
「いい…いいの…お兄ちゃん。……いいよぉ……」
「ああ…俺も凄く良いよ…」
可愛く喘いで小指を噛むミイア。
実際、ミイアのお尻はなかなかに具合の良い代物だった。
俺は片肘を突いてミイアの頭を撫でながら、繰り返し腰を送り込む。
普通は初めて同士は遠慮があってイけないものだが、ミイアは息を乱して絶頂に達する気配を見せ始めた。
「…イきそうなのか? ミイア」
「はぁはぁ…はぁ…。だめぇ…分かんないっ…あッ」
「じゃ…最後まで入れるぞ。痛くても我慢できるな…?」
細かく痙攣を繰り返すミイアの腰を抱き上げると、今度は奥にまで肉根をねじ込ませていく。
摩擦運動で練り込まれたミイアの膣肉を、俺の肉根が深く貫く。
快感に充血して腫れた蜜塗れの肉唇に、ずぶずぶずぶ…っとめり込んでいく。
「痛くないか? もう…ちょっとだからな」
「まだ…っ?……あ!あ!…おっき…ぃ…凄い……お兄ちゃんが…お腹の中にぃ…っ」
今まで経験のなかった深い挿入に、ミイアは驚きの中で激しく興奮した。
根元まで埋まった時、肉根の先はミイアの子宮に届いていた。
「…全部入ったよ。ミイア」
「ぁ…ぁ…ああぁ………」
お尻を串刺しにされるミイアは、声を搾りだす唇から涎を零していた。
俺はそんなミイアが愛しくなり、動きを止めたまま舌で舐め取った。
「イッて…いいからね」
俺もいつでも射精出来る状態になっていた。
ミイアの腰を抱き抱えたまま、激しく腰を揺すり立てた。
倍以上持続する膣襞が擦れる感触に、腸が引き抜かれる程の快感を覚えたミイアは、俺の胸の中で藻掻きまくって絶頂に達した。
「ああ!ああ!ああぁぁー……ッ!」
跳ねまくるミイアのお尻の中で、膣肉がひくひくっ…と凝縮した。
「…ッ…くうぅ!」
とっさに引き抜いた肉根の先から、勢い良く精液がほとばしった。
びゅうっ!…びゅくびゅく…っと粘液を噴き飛ばす肉根は、激しい快感にびくびくとしゃくり上げてミイアの体中に汁を注いだ。
精液を掛けられているのが分かるのか、ミイアは切なそうに可愛く呻く。
「あぁ…あぁ…ぁ…ぁ…ぁ………」
「んんっ…はぁ………ッ」
最後の射精感に震えた俺は、ミイアのおへその辺りに精液を垂れ流した。
エルとの性関係もご無沙汰していた為か、恥ずかしくなる程の量だった。
深い絶頂感の揺り返しで、甘い匂いの充満する部屋に互いの吐息だけが木霊した。
同じく絶頂の余韻にひくついていたミイアが、お腹に溜まった精液を指ですくう。
「…お兄ちゃん…凄い………」
「あ…んん。久しぶりだったから、な」
「ううん、そじゃなくて……ミイア…あんな感じたの初めてだった………」
呆然と呟くミイアの隣に寝転がり、優しくおさげを引っ張る。
「後悔…してない?」
「全然、だってお兄ちゃんの事…本当に好きだもん」
腰が立たないのか、明るく告白してもたれ掛かる。
俺はと言えば、ミル姉の事を思い多少後悔していた。
「お兄ちゃん………また…抱いてくれる………?」
「えっ…?」
「ミルお姉様には絶対言わないから」
ミイアは勘が鋭い。
「………絶対内緒だぞ?」
「うんっ…!」
多少はめられた感がしないでもないが、ミイアははっきり言って可愛い。
たまには寂しがりのミイアに付き合ってあげてもいいさ。
「じゃ…ミルお姉様が帰らない半月。お兄ちゃんの性欲、全部受け止めたげるねっ」
「ミイア…お前、毎日する気じゃないだろ?」
「うんっ! お兄ちゃんがしたくなったら、何時でも言ってね」
「たっく…この子は」
淫乱な妹の額を、軽く小突いた。
ミイアは可愛く、んっ…と首を竦める。
「だって…お兄ちゃんの凄いんだもん。………これ…凄いよぉ」
「あっ…こらっ」
萎んだ股間の物を、ミイアの指が弄る。
「みいあのお腹…破れちゃうかと思った………。お腹の中を無茶苦茶に掻き回されて……あぁぅ…」
下肢に残る感触が甦ったのか、ミイアはふるるっ…と震える。
実際、かなり肉欲が強いようだ。
そういえばアイメルララ女神は、男性への従順な奉仕と、淫乱な娼婦を守護する淫らな女神でもある。
「…お兄ちゃん…みいあの事…軽蔑しないで………」
「馬鹿…しやしないよ」
「こんな気持ち…恐いよ。分かんない…お兄ちゃんに甘えたいの…」
俺は水差しで濡らした布切れで、ミイアの肌に飛び散った精液を拭った。
「ぁ…ん。お兄ちゃんの精液…塗れ…」
刺激的な台詞を呟くミイアは、少しずつ充血していく肉根を扱き続ける。
ミイアの指戯は、明らかに性感のポイントを責める。
ぺろ…っとミイアが恥ずかしそうに胸を舐めた。
「んくッ…駄目だ。もう止め…立っちまうよ、ミイア」
「お兄ちゃん…したい? みいあ……いいよぉ…」
「あー…だな」
「あとね…みいあね…。リンの鈴膣に入れてるの。妊娠しないから…お兄ちゃんの精液、お尻の中に…出して……いいの」
リンの鈴は古くからある避妊具で、銀の鈴をふたつ膣の奥に込める。
薬などの副作用もないが、たまに当たったりする。
ミイアに刺激を与えられ続けた肉根は、鋼のように勃起してしまった。
「ん…ミイア。いいか?」
「あぅ…んぅ。お兄ちゃ…ん…」
従順に頷く妹の右股を抱え、そっと肉根をミイアの性器に射し込んだ。
今度は始めから、ミイアの股間の中に根元まで挿入できた。
「お兄ちゃん…あったかい………。朝まで一緒に居てくれる?」
「ああ…側に居てあげるさ」
優しく出し入れしながら、頷いていた。
ミイアも幸せそうに微笑むと、自分からお尻を揺すっていった。
ミイアの腹腔の深くに精液を注ぎ込んだアズは、イクと同時に失神してしまった妹を抱いて毛布に包まった。
長い夜の中で、ふたりは何方かが目覚めると、その度に体を求め合った。
そして絶頂の後の心地よい疲労の中で、また眠りに就いた。
「っんー………朝…日?」
生まれて初めての満ち足りた目覚めだった。
ミイアはまだ眠っている兄に気付く。
カーテンから洩れる陽の光が、アズの腕に優しく抱かれている自分を照らしている。
「…お兄ちゃん………」
ミイアは胸が切なくなる愛しさに、アズに対する自分の感情に気付いた。
それはミイアが初めて感じる感情だった。
「お兄ちゃん…大好き」
眠ったままのアズにキスをしたミイアは、そっとベッドから降りる。
繰り返し挿入された股間は、アズのそれを未だ余韻に感じている。
司祭や貴族に抱かれた時は嫌悪感でいっぱいだったが、アズのそれは不思議といつまでも残っていて欲しい感じがした。
「ぁん………。お兄ちゃん、いっぱい出したんだ………」
肉唇からにじみ出た精液の名残が、太股を伝い落ちる。
ミイアは我知らず、真っ赤に頬を染めて指先で拭い取る。
「水浴びしてこなくっちゃ………。それから、精のつく朝ご飯作ってあげちゃお☆」
もう一度、アズにキスしようとしたミイアは、背中に不思議な紋様を描く金属肌に気付いた。
「何かな? んー………後で聞いてみよっと」
明るく呟いたミイアは、そっとアズの部屋から戻ったのだった。