竜園
Original Novel
-迷宮神話-
第W章 MISTRESS's
艶々と滑った鱗が、甲冑の表面を擦る。
獲物に躱された大蜥蜴は、6本の足をばたつかせて回廊を反転する。
爬虫類独特の無機質な目玉が、高い位置からシヴァを見据える。
アークリザードと呼ばれる、全長5メートルを超す大きな蜥蜴の魔獣だ。
第72階層。
ここら辺りのレベルの魔獣になると、地上で目にする事は滅多に無い。
普通の人間が太刀打ち出来ない強敵だ。
「くっ、ゥ」
振り回された尻尾を盾で受け止めた時に、右腕が痺れてしまっていた。
大蜥蜴の硬い鱗は、剣撃を弾いた。
さらにもう一度、鞭のように尻尾が打ち付けられる。
受け損ねたシヴァは吹き飛ばされ、迷宮の壁に激突した。
甲冑が壁に食い込み、螺旋状にひびが入る。
迷宮の砕けた壁は、すぐにではないにしろやがて再生してしまう。
痕跡を残さず。
「は、あァあ…」
処刑刀の刀身から、漆黒のオーラが立ち上る。
大きく顎を開いた大蜥蜴が、唾液を零しながらシヴァに突進してくる。
シヴァは逆刃に処刑刀を握り直すと、大蜥蜴の口腔に突き刺した。
「ブラスト!!」
真っ黒い閃光としか表現できない爆発が、大蜥蜴の頭部を吹き飛ばす。
紫の血液が、回廊とシヴァの身体に飛び散る。
だが、それもすぐに蒸発したように消え失せ、大蜥蜴の死体も消え失せた。
シヴァは壁に寄り掛かって蹲る。
どろり、と額から赤い液体が流れ落ちる。
咳き込んだシヴァは、赤く濁った唾を吐き捨てた。
シヴァは胸当ての上から鳩尾に触れる。
折れてはいないだろうが、肋骨に罅ぐらいは入っているかもしれない。
これ以上の探索を諦めたシヴァは、精霊珠を拾い集めてから喚んだ。
「我、此処に汝を召喚す。オフィーリア!」
何処からか蹄鉄の音が響いたと思った瞬間。
迷宮の壁を突き抜けるように、一頭の葦毛の馬が実体化した。
オフィーリアと名付けられた精霊馬は、甘えるようにシヴァに鼻面を押しつけた。
「ヒヒィィィン」
「良い子だ。基点まで、俺を乗せて行け」
シヴァはプーカの背に据えられた鞍に跨がると、手綱を取って拍車をかけた。
「やァ!」
オフィーリアは真直ぐに壁へと突っ込んだ。
精霊馬は物理的な障壁を無視して、基点へと駆け出した。
プーカには乗り手も共に、位相がずれた亜空間を駆ける事が出来る。
階層間の移動は出来ないが、同フロア内なら結界などが張られた場所以外は自由に行き来が可能だった。
シヴァは壁中の灰色の空間の中で、草原を駆けた昔を思い出していた。
迷宮から帰還したシヴァは、夕陽に手を翳した。
篭手がひび割れているのに気づいたシヴァは、憂欝そうに溜息を吐いた。
シヴァの騎士甲冑は非魔法具のままで、欠損修復機能はない。
宿場街は、迷宮出入口からすぐ側に隣接している。
幾人かのシーダー達も、迷宮からシヴァと同じように帰還していた。
『斑の木馬亭』に辿り着いたシヴァは、騒めきと共に注目されて顔を顰めた。
下層の宿にミドルクラスの騎士が泊まっているという事で目立っていたが、シヴァ本人はまったく意に介してしない。
硝子に映った自分の姿に、シヴァは納得した。
額から滴った鮮血が顔を染めている。
ひび割れた甲冑の所々からも、にじみ出した血が結晶となってこびり付いていた。
「買い替えねば」
頬を掻きながら決心し、カウンターに手を突いて口を開き掛けた。
が、思い直して踵を返した。
今までは部屋の鍵をカウンターに預けていたのだが、その必要がなくなっていた。
「あら。お帰りなさいませ、シヴァ様」
「や」
腰掛けて荷物の整理をしていたエミュールが、立ち上がって深々と頭を下げた。
自分の部屋を引き上げ、シヴァの元へ身を寄せている。
占い師の商売用装束ではなく、シャリアメイ風の普段着姿だ。
象牙色のぶかぶかなズボンに、腹部を露出した袖無しのシャツを着ている。
奇妙に露出度の高い服装は、コケティッシュな色気を感じさせた。
「まあっ…お怪我をなさっているのですか?」
血塗れのシヴァの姿に、エミュールの顔から血の気が失せる。
屍が精霊珠となる魔獣では、返り血を浴びる事はない。
慌てて駆け寄るエミュールを、シヴァは軽く手を振って制した。
「大した怪我じゃない。明日までには癒えるさ」
「ですが………鎧をお脱ぎ下さい。傷を清める事ぐらいでしたら、私にも心得が御座います。手当てを、させて下さい」
頬を掻いたシヴァは、渋々といった感じで留金を外し始めた。
兜を机に放り出し、胸部を覆う板金を外す。
セーターのような鎖帷子を脱ぎ、脚絆を外し、二振りの剣ごと戦闘帯を解いて壁に立て掛けた。
グレイ地だった騎士服は、乾いた血で暗褐色に染まっている。
パリパリする服を脱ぎ捨てたシヴァは、溜息を吐いた。
どうやら、服も買い替えねばならないようだ。
甲冑の重さから開放されたシヴァは、黒髪を掻きあげてベッドに腰掛けた。
エミュールは裸になったシヴァの身体を、惚けたように見詰めた。
痩せ形に見える身体は、膨れた筋肉質タイプではない。
だが、鋼を捩り合わせたような、内に秘めた膂力を感じさせる圧迫感があった。
其処此処に刻み込まれた傷跡は、新しいものから癒え掛けたものまである。
「エミュール…?」
「ぁ………も、申し訳ありません」
我に帰ったエミュールは、赤面しながら濡れ布巾でシヴァの傷を拭い清めた。
抵抗するのを諦めているシヴァは、煙草を唇に挟んだままエミュールの好きに身体を触れさせた。
丁寧に傷を拭っては、薬壷から軟膏を掬って塗り込める。
「火…火」
「駄目です。良い子になさっていて下さい」
煙草に火を点そうと腕を伸ばすシヴァを、控え目だが有無を言わせぬ調子で窘める。
情けなくも万歳をした格好でベッドに釘付けにされたシヴァに、エミュールも釣られて跨がるようにベッドに乗った。
シヴァは擽ったさに身動ぐ。
マッサージをするようなエミュールの指の動きに、シヴァは惚けたようになる。
シヴァの視線は自然と、ゆらゆらと重そうに撓む乳房に向かう。
抉れた胸元からは、大部分の胸が露出されている。
シャリアメイではブラを着ける習慣がなく、生地から乳首の膨らみが見て取れる。
香油を塗ったように艶かしい小麦色の肌に、シヴァの股間が無意識に隆起していく。
太股に当たる異物感に気づいたエミュールは、改めてシヴァをベッドに押し倒しているような自分の格好に頬を染めた。
それでも、シヴァの顔から視線を外し、軟膏を塗る奉仕は続けた。
性的な行為を意識したためだろうか。
エミュールは自分の行いが、酷く淫媚な仕草に思えた。
「っ…ぅ」
青痣になっている脇腹に触れられた時、鈍い鈍痛が走ったシヴァは小さく呻いて仰け反った。
「あ…っ。申し訳ありません…」
反射的に謝罪したエミュールは、潤んだ瞳でシヴァの顔を見詰める。
シヴァは軽い熱病にかかったように、熱っぽく気怠げに見えた。
エミュールは自家製の薬草を練り合わせて作った軟膏を、そ…っと指先でシヴァの脇腹に塗った。
そして、顔をシヴァの胸板に寄せ、軟膏の滑りに口づけた。
つつぅ…と可愛い舌先が、シヴァの胸から鎖骨、首筋を這った。
「シヴァ…様」
怯えるように、懇願するように、エミュールの潤んだ瞳がシヴァを見据える。
震える唇が少しづつ下がっていき、シヴァのそれと触れ合った。
次の瞬間。
エミュールはシヴァの首に腕を回し抱き締め、熱く逞しい肉体に、自分の身体を投げ出した。
薄くシャドーを塗ったエミュールの眦から、涙の雫が零れた。
シヴァは綺麗な曲線に反った背中を抱え、蜂蜜色の髪を撫で梳いた。
震えたまま乙女のように身を固くしたエミュールに、シヴァの方から唇で口を開かせて舌を探るように口腔に挿れた。
エミュールも待っていたように、舌を螺旋のように絡めて応える。
エミュールは涙を零しながら、抱擁と接吻に胸が苦しい程の甘い疼き震えた。
シヴァの手が、乳房の膨らみに添えられる。
そこから、何もかも忘れるようなセックスに移行するのは簡単だった。
何よりエミュール自身が、真っ白になる程肉体を貪られ、シヴァに総てを捧げるように奉仕したく願った。
それは、自分を陥れる事で、罪悪感から逃れたく思ったのかもしれない。
だが、エミュールは込み上がる衝動に逆らい、身体を起こした。
自分自身にけじめをつけるために。
恐らくは、初めて自分で望んだ、これから側に居る事になる主人に対して。
「シヴァ様…ぁ」
エミュールは真っ赤に染まって目を瞑り、胸を捲り上げて乳房を晒した。
「………私を、貰って下さ…ぃ」
「…ああ」
頷いたシヴァは、もう一度エミュールを胸に引き込んだ。
恥ずかしそうに身悶えるエミュールの耳を咬み、今度は直接乳房を揉む。
指先に触れる痼った乳首を、捻るように摘まれる。
大袈裟に痙攣したエミュールは、潤んだ瞳で拗ねたようにシヴァを上目遣いする。
「優しく…シテ欲しいのか?」
「ぁ…」
俯いたエミュールは、暫し躊躇して頭を振った。
「激しく…気の尽きるまで…愛して…」
途切れに訴えるエミュールの下に潜り、可愛らしく充血した乳首に歯を立てる。
次の瞬間に襲う痛みに、震えたエミュールだがじっと動かなかった。
涙の溜まった瞳を怪訝に開くと、微笑みを浮かべたシヴァはレルっと乳首を舐めた。
「ひゃん」
「我慢ばかりするな。見てて痛々しい………」
改めて込み上げた涙が、エミュールの頬を伝い流れた。
ふるふると頭を振ったエミュールは、左乳房をシヴァの顔に乗せた。
「噛んで、シヴァ様…ぁ。私を………虐めて」
昨夜にエミュールを抱いた時、シヴァはこの美女のマゾ的な嗜好に気づいていた。
肉体的な苦痛に快楽を得るのではなく、精神的な束縛を求めたがっている。
自分の身体に対して、所有の証を欲しがるように。
シヴァは望み通り、大きく開いた口に乳房の頂を頬張る。
牛の母乳を吸うように、赤く染まる程度に歯を立てて咀嚼する。
「いっ、嫌ぁ…ぁ…あくぅ…」
エミュールはシヴァの頭を抱えるように、切なく身悶えた。
するっと背中を滑ったシヴァの手が、エミュールのズボンを下着ごと降ろす。
熱ぁと火照ったエミュールは、腰を捩って一緒に脱ぐ。
シヴァはエミュールの尻を揉む手に、肉が指の間からはみ出る程の力を込めた。
「はぁ、ぅ」
両手で尻の肉たぶを、左右に引っ張られる。
秘所が剥き出される羞恥と不安感に、エミュールは腰を振って許しを請う。
腰を抱いて体勢を入れ替えたシヴァは、膝立ちで下履きを脱ぎ捨てた。
艶っぽく火照った顔を逸らしたエミュールは、罠に掛かった子兎のように胸を手で覆って太股を捩っていた。
「脚…開け」
シヴァの命令に、エミュールはハッとして顔を見返す。
さり気ない意地悪に、瞳がうるる…っと潤む。
脚に手が触れるだけでも、自分から股間を開く羞恥心は薄れる。
自分の意志で股を開く事を促されたのだ。
「ぁ…許して」
「開け」
切ない声で哀願するエミュールに、素気なく命令が繰り返される。
エミュールは顔を手で隠し、脚をヒクヒクと痙攣させながら開いた。
窪んだヘソから恥丘へのラインは、不要な脂肪の一片も感じさせない。
白髪に近いブロンドの陰毛は、サリアの身体に馴染んだシヴァにとって、しっかりとした女を感じさせた。
視姦するシヴァの視線を恥部にマジマジと感じ、エミュールは堪え切れずに小さくしゃくった。
「いや…ぁ…もぉ、シヴァ様ぁ…嫌ぁ」
「泣くな。後免」
エミュールの淫唇は、触れるまでもなく潤っていた。
暴漢にレイプされた痕跡も薄れ、さらに昨夜たっぷりシヴァから可愛がらせたとは思えない程、可愛らしくピクついている淫唇だった。
槍のように勃起した逸物は、興奮の度合いを表すように血管が浮き出していた。
逆刺の亀頭が淫唇を抉じ開け、ぬるぬると容易く膣孔を貫いていく。
尻をびくんびくんと痙攣させるエミュールは、のしかかるシヴァの背中に縋った。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「ちゃんと根まで挿った」
苦しそうに浅く吐息をするエミュールに、優しく囁いたシヴァがキスをする。
逸物の反った笠の張りに、昨夜は中々根元まで挿入できなかったのだ。
「シヴァ様ぁ…シヴァ様ぁ」
試しに軽く出し入れを受け、エミュールは恥骨を押し上げるように反った。
シヴァは娼婦の技巧を無意識に使うようになったエミュールの、額に張りついた髪を優しく掻き分ける。
この娘が、誰かに調教を受けているのが、シヴァにも解った。
「エミュール…もう、誰にも身体を売るな」
「ぁ…」
再び瞳から涙が零れ落ちた。
「は…ぃ」
「生活ぐらいなら、俺が養う」
エミュールはバンブーに囲われて過ごした少女期を思い出した。
色黒の美少女だったエミュールは、醜い魔法使いに文字通り飼育されてきた。
始めの一年間は座敷牢に閉じ込められ、毎晩犯され続けた。
催淫魔法と媚薬を副作用が出る程に施されながら。
膨らみかけの胸を、未発達な性器を、望まぬ相手に玩ばれ汚された。
バンブーが少女の身体に執着が薄れる頃、エミュールは幾人にも身体を使った接客の奉仕を強要された。
魔法ギルドの役員の間で、バンブーに囲われた美少女を知らぬ者が無い程に。
「はい………はい。シヴァ様以外に…二度と操を許しません」
幸せそうに頷いたエミュールは、シヴァの首筋に頬摺りした。
シヴァは一瞬身動ぐ。
「だから、俺にも無理して身体開く事はない、から」
「まあ」
可愛く微笑んだエミュールは、括約筋を搾った。
控えめに滑った淫肉に、根元まで納まった逸物が、きゅ…ぅと搾られる。
背筋を走る快感に、シヴァは小さく呻いた。
「そうでした。シヴァ様はそういう御方ですものね。でも………意地悪です。お気が向いた時、抱きたいと仰って下さい。何時でも私をご所望ください」
エミュールはシヴァの首筋を、痕がつく程強く吸った。
「私を使って下さい。それが、私の望み………」
「だ…って」
「本当に…意地悪、ですね。一緒に居て…放って置かれるのは…痛い…ですから」
頬を真っ赤に染め、じっと見詰めてシヴァに訴えた。
「抱いて…欲しいんです」
シヴァはエミュールの太股を抱え込み、腰を動かした。
シーツに舞い広がる金髪が、腰の振りに合わせて波打つ。
枕に頭を埋めて仰け反ったエミュールが、足の指を握り込んで引きつった。
何年も断続的に施されてきた催淫術は、エミュールの身体に永続的な効果を持続させていた。
シヴァにも告げており、魔法で抑え込まなくともケアしてくれると約束していた。
絶頂と同時に膣奥で、逸物に無数の触手が絡み付いて引きずり込む動きが生じた。
シヴァは敢えて腰の動きを休め、同時に達するのを避けた。
「シヴァ…様?」
「気づいて、ないんだ」
射精しないシヴァに、エミュールが不安そうに顔を覗き込む。
「私の身体では、満足できませんか…?」
「逆、だよ。君を抱いた男達、二度目から早かった覚え、ないかい?」
真っ赤に恥じたエミュールだが、こくりと頷いた。
「一度イッた後、閂が掛かったみたいに窄まる、から」
「ぇ…」
「エミュールの、ここ」
シヴァは逸物を埋め込んだ淫唇の上、蜂蜜色の柔毛越しに恥丘を撫でた。
エミュールは泣きだすかと思う程、真っ赤に赤面してしまった。
「昨夜は立て続けに漏らしちまったから。隅まで、味あわせてくれ」
「シヴァ様の…意地悪…意地悪…ぅ」
「尻…上げて」
毛布を可愛く握り締めたエミュールは、シヴァの命令に従順に尻を掲げた。
ぬるんっと挿入されたエミュールは、背筋をくの字に折った。
シヴァは昨夜の睦事が不満だったらしいが、エミュールは失神し掛けていた。
魔法漬けで輪姦された時などより、圧倒されそうな官能に押し流された。
腰の動きと同時に甘い嬌声を漏らすエミュールに、シヴァはゆっくりと逸物をのた打たせる。
褐色の豊満に肉付いた臀部から、蜜塗れの剛棒がぬちゅぬちゅ挿貫される。
シヴァは微妙に角度を変えながら、小刻みに腰を撃ち続けた。
膣の粘膜を丁寧に擦りあげる逸物に、エミュールは小指を噛み尻をヒクヒク蠢かす。
じっくり胎内の膣襞一枚一枚まで味見された頃には、エミュールは横臥した姿勢で枕を抱え、小刻みに突き上げる絶頂感に気を失いそうだった。
「ぁ……しヴ…ぁ…様。…も………だめ…」
シヴァは頷いてエミュールの右脚を担ぎ、直角に開かれた股間に腰を密着させる。
膣深く、子宮に亀頭が食い込む程に挿入され、エミュールは小指をくわえたままの唇から我知らず涎を零して鳴いた。
「今日は、ちゃんと可愛がってやるから」
「あぃ…シヴァ…様ぁ」
瞬間、子宮に熱い迸りが吹き掛けられる。
どぷり…とした感触を膣に感じ、エミュールは堪えていた絶頂を解き放った。
シヴァは射精の脈動に合わせて腰を押しつけ、最後の一絞りまで膣に流し込む。
エミュールも無意識に脚をシヴァの身体に絡め、射精時の密着を甘受した。
「ぁ…ぃ……嫌ぁ」
小さく呻いたエミュールは、思わず顔を手で覆った。
エミュールのそこは新なる睦事を切望しているかのように、シヴァの射精が済んでもからも淫らに痙攣し続けていた。
シヴァはザーメンと愛液の肉壷から、ぬちゃり…と逸物を引き抜いた。
喪失感にゾクゾクっと震えるエミュールは、捨てられそうな子猫の瞳で仰いだ。
だが、シヴァは身体を上にずらして、エミュールの髪を撫でた。
エミュールは小さく頷き、目の前に差し出された逸物に指を絡める。
「ご奉仕…致します。………ご主人様」
瞳を閉じたエミュールは、そっと唇を開いた。
シーダーズギルドは、年中無休で営業している。
協会に所属する職員は、週に一度のローテーション制で休暇を許されていた。
職員達はギルドの寮に暮らし、贅沢とはいなかいまでも不足無い生活が保障される。
六畳程の個室が並ぶ第三寮二階の廊下に、亜麻色の髪をポニーテールにした半妖精が顔を覗かせる。
サリアは心無し足音を忍ばせ、玄関に足を向ける。
「サリア。お粧しして何処行くの?」
「あぅ…レナ」
背後から掛けられた声に、サリアは諦めて振り返った。
同じ事務職員のレナが、眼鏡の奥に悪戯っぽい瞳を煌めかせていた。
「お願い。見逃して」
「明日のお昼に、甘い物が食べたいなぁ」
「………いいわよ。大福奢ってあげるわよ」
サリアはこめかみを押さえ、大仰に溜息を洩らした。
「デートでしょ。相手は、誰? まさか、あの田舎者君?」
「そうよ。今じゃあの人、騎士様なんだからね。私の見る目は、確かなんだから」
「本当? 付き合ってるって事は、身請けしてもらうんだ。いいなぁ、サリア」
ギルド職員が、シーダーと個人的に交際するのは禁じられていた。
それでも、見初めたシーダーにコナを掛ける女性職員は結構多い。
シーダーに騙され食い物にされる例は多かったが、素敵な男に身請けされる事は娘達の憧れだった。
ギルドの娘達の末路は、子供を産ませるためだけの道具なのだから。
刑務所の一画に死ぬまで閉じ込められ、男性囚の子種で子供を産む。
産まれながらの奴隷としての子を。
「ね、私にも紹介して」
「だぁめ。じゃね、レナ。後は宜敷く」
ウインクしたサリアは、鼻先の丸眼鏡を押さえて街へ出た。
「いい加減、寝床変えればいいのに」
『斑の木馬亭』の軋む廊下に、サリアは呆れたように溜息を吐いた。
シヴァの部屋の前で立ち止まり、ノックしかけた手をノブに降ろす。
案の定、鍵は掛かっていなかった。
「もう。しっかり言っとかなきゃ」
「あ…ふ」
呟きながら部屋に入ったサリアは、聞き覚えのある寝呆け声に長耳を跳ねさせた。
ベッドに寝ていたエミュールは、微かな軋み音に目を覚ます。
横臥した格好の自分の後には、背中に重なったシヴァが抱きかかえていた。
尻を突く朝立ちした逸物に、ちょっと驚く。
昨夜も泣き崩れるまで、激しく自分を責めた逸物の元気さに。
片手の指数だけ回数を熟し、互いの精液が膣から内腿に垂れながら、更に抱かれた。
膣孔にネバネバと糸引くザーメンが、胎内に鄙猥に響いていた。
舌と舌とを絡めながら、幾度も性器に精を注ぎ込まれた。
嫌悪感のないセックスに、エミュールもシヴァが求め続けるだけ応えた。
その結果、ふたりの体力が尽きるまで睦み続けた事を思い出した。
淡い恋心から、はっきりした愛しさを覚え始めたシヴァへ、朝一の奉仕をしようかと身体を起こしたエミュールは、扉から顔を覗かせたサリアに気づいた。
「きぁ…ゃ」
エミュールは小麦色の肌を真っ赤に染め、胸に毛布を掻き抱く。
「あ、あは………お早よう。エミュール」
「あぅ…サリア…お早よ…ぉ、御座います」
気まずく微笑み合う親友の間で、低血圧のシヴァは爆睡している。
壁を向いたサリアの後ろで、エミュールは床に散らばった服を急々と着込んだ。
「後免ね、エミュール。居るとは思わなくって」
「ぃ…いえ。私こそ、御免なさい。サリアも…その…シヴァ様と………?」
椅子に腰掛けたサリアは、軽く染まった頬を掻いた。
「う、うん。そういう事」
「御免…なさい。私…」
「あ、違うのよ。シヴァ君も、私も承知してるわ。貴方を助けてあげてって、お願いしたのも私だったし。エミュールがこの人を好きなのが、解っていたから」
親友の男を寝取った罪悪感に俯くエミュールに、隣に座ったサリアが手を握った。
「サリア…わたし」
「うん。受け入れて…貰えたのね」
こくんと頷いたエミュールは、真っ赤になってサリアに寄り掛かった。
エミュールは途切れ途切れに、シヴァから救ってもらった経緯を話した。
「あのままだったら………奴隷にされて、売られるところだったの」
「うん…間に合って良かった」
振り向いて愛しそうに寝るシヴァを見詰めるエミュールは、小麦色の肌でもはっきり解るほど頬を染めていた。
「ふふっ…完全に、シヴァ君に惚れちゃったのね」
図星を突いたサリアの言葉に、エミュールの頬が赤みを増す。
サリアは優しく微笑んで、同類になってしまった親友の手を握った。
「愛し…ちゃった?」
「だっ…だって、サリアも…」
「まーね。そうかもね」
天井を見上げて素っとぼけるサリアは、背後の呻き声に振り返った。
がばと上体を起こしたシヴァは、寝呆け眼をしぱしぱと瞬かせる。
ベッドの端に腰掛けたサリアとエミュールを、状況の理解できていない眼差しで交互に見入やった。
「あ」
取り合えず口を開くが、言葉になっていない。
サリアとエミュールは、顔を見合わせると悪戯っぽく微笑んだ。
同時にシヴァを見詰め、声をはもらせた。
『お早よう御座います。マイ=マスター』
喫茶店『子豚の木』。
宿場街の端、メインストリート寄りにある、シーダー向きではない茶店のひとつだ。
ラグナロクで商売を営む住人や、馴染みの行商人が多い。
見栄えはしないが、値段も味も手頃なサリアの行きつけの店だ。
店の奥まった席で、テーブルに肘を突いたシヴァがパスタを掻き混ぜていた。
「だから。もっと、レベルの高い宿に移った方がいいわよ」
「そうですわね。これからの事も考えますと」
「…ふぁふ」
向かいに腰掛けたサリアとエミュールが、親しげに話を進める。
シヴァは生欠伸をしながら、皿を押しやって煙草をくわえた。
グラタンのポテトにフォークを刺したサリアは、まだ寝呆けているシヴァに微笑む。
「エミュールと一緒に暮らすんだったら、尚更ね。囲った娘用の部屋付き宿も、一杯あるんだから」
「サ、サリア…」
赤面したエミュールは、膝に手を置いて俯いてしまう。
頬を掻いたシヴァは、熱く濃く煎れた珈琲を注文した。
「いいんだけど。俺、何処でも寝れるから。好きに宿選んでくれても」
「見繕ってあげてもいいんだけれど、シヴァ君の予算、幾らぐらい溜まってるの?」
「あー…30000ソルと一寸」
ずっ転けるサリアは、じと目でシヴァを睨んだ。
明らかに無理をしたハイペースで、迷宮に挑んで溜まった金額だ。
銀のシーダーカードに記載されたLevは]]。
僅か数か月で稼いだ経験値としては、異例の速さだ。
セカンドクラスの二桁Levにもなれば、ラグナロクでも一人前のシーダーとして認められる強さだ。
外の世界であれば、国でも名の知られる使い手だろう。
「だーかーら、無理して戦っちゃ駄目」
「そうです。シヴァ様が、逝ってしまうような事があれば………」
「死なない、さ。まだ、死ねないし」
湯気の立つ珈琲を啜るシヴァは、奇妙に自分を突放した言い方をした。
「ですけれど…鎧も、ボロボロになるまで…」
「そうだね。いい加減、砕けそうだから、新しいナイトメイル買わないと」
「それだけお金があるんなら、魔法具の新しい甲冑買いなさいよ」
「それじゃ…」
反論しかけたシヴァに、サリアは人差し指を突き付けた。
「私なら、待つって言ってるでしょ? 防具にお金掛けて、損する事はないんだからね。シヴァ君が死んじゃうような事があれば、それこそ後の祭りなんだから」
「けど、俺は魔法具とか良く知らない」
「んもぉー、しょうがない人なんだから。いいわよ。私とエミュールで、選んであげるわ。武具屋にお買物にいきましょ♪」
再び頬を掻いたシヴァは、押しの弱い自分に嘆息する。
魔法具の階級は、大まかには三段階のクラス分けがなされる。
火炎剣を例に取ると、一般に出回り製造もなされているノーマルクラス。
固有の名詞を関され、同具種の数も少ないエグゼクティブクラス。
そして、まず目にする事が無いレジェンドクラスだ。
もっとも、一般的に地上の店で売買されるのは、ノーマルクラスがほとんどだ。
エグゼクティブクラスが店に飾られる事はない。
「まあ、綺麗。シヴァ様が着たら、似合いそうですわ」
「しけてるわね。もっと、強力な甲冑はないのかしら?」
「いいんだけどね。別に」
ウインドショッピング気分の二人に、シヴァは諦めたように周囲を見回す。
武具店『戦の誉』は、ミドルクラス者向けの店舗だった。
武器や防具はオリハルコン製の、即ち魔法具ばかりの品揃えだ。
シヴァは斧系の陳列棚の中に、見覚えのあるミノタウロスアクスを見付けた。
「でも、こちらの方が」
「駄目よ。折角、騎士で重鎧が着れるんだもの」
鎧の区分は、軽鎧、中鎧、重鎧に分けられている。
剣士は軽鎧のみ、闘士が中鎧まで、騎士は重鎧までを着こなせる。
重甲冑は抜きん出た装甲に加え、人工筋肉筒で筋力自体を増強させている。
武器程ではないにしろ、鎧にも特定クラスにしか着れない種類もある。
「対火属性の『真紅の鎧』か………。結構、流行ってるメジャー系甲冑なんだけれど」
「造りも格好いいですし、真っ赤な色が目立ちますものね。シーダーの人達がこれを着ているの、何度か目にした事がありますわ」
「うん。ミドルクラスのシーダーなら、無難な選択だものね。防御力は底々だけれど、これといった欠点もないし。バトラーなら買って間違いない品ね。でも、中鎧かー…」
サリアはディスプレイされた、真紅の鎧を眺めた。
値札に掛かれた金額は二万銀貨だ。
「あら? こちらも同じかと思いましたけれど………『紅蓮の鎧』?」
エミュールは影に据え置かれた甲冑を見つけた。
サリアは自分の頭を小突いた。
「忘れてたわ。紅系の鎧は、三種類あったんだ」
サリアはエミュールの隣に立って、『紅蓮の鎧』を眺めた。
真っ赤な金属光沢。
甲冑の所々に描かれた紋章は、魔法具独特の重厚を感じさせた。
肩当てに簾のように配された楔板と、翼のように張り出した放熱板が目立つ。
真紅の鎧のスマートなフォルムとは違い、流線を描く装甲は分厚い襦袢を思わせた。
それでも全体のバランスは、奇妙な美しさを有していた。
値段は、22000銀貨。
手頃買い頃かもしれないと、頷いたサリアはシヴァを呼んだ。
シヴァ達は荷物を掻き集め、サリアが契約を済ませた新しい宿に引っ越した。
『蒼天の星座』は宿場街の中でも、上級に分類される宿屋だ。
赤煉瓦造りの三階建ての建物は、ちょっとした貴族の屋敷にも見えた。
サロン風のフロントを抜け、噴水の設置された中庭に出る。
コの字型の建物は内側に入り口が並んでおり、一番奥の扉を開ける。
リビングに入ると、絨毯の敷かれた家具類と、吹き抜けのスペースが出迎えた。
バスや、炊事場までが完備されている。
階段を昇るとベッドが据えられた部屋があり、小さなバーカウンターまである。
三階は使用人や奴隷の部屋となっていた。
「………まあ」
ボストンバックを両手に下げたエミュールは、豪華な内装に圧倒されていた。
生まれて始めて見る世界に、ぽかんと可愛らしく口を開いていた。
シヴァは鎧や武器をビリヤード台に置くと、肩に手を当てて首を鳴らした。
「やっほ。やっと来たわね」
「もう少し、解りやすい案内が欲しかったな」
宿の場所が解らず迷ったのだ。
二階の手摺りから顔を覗かせたサリアに、シヴァは吐息を吐いて腕を組んだ。
蒼天の星座は、ミドルクラスの上級者が利用する高級宿だ。
ハイクラス者になれば、宿暮らしより屋敷を買う。
「フカフカの絨毯。キラキラのシャンデリア。ずっと、こんな所に住んでみたかったのよねぇ」
「本当………お伽話のお部屋みたいですわ」
「でしょでしょ。なにしろ、月二千銀貨のスイートルームよ」
興奮して手を合わせる二人を尻目に、シヴァは少ない荷物を整理し終えていた。
グラスと酒壜が並べられたバーカウンターに寄り掛かり、棚の銘柄を流し見する。
「俺は、寝床さえあれば構わないんだけど」
赤ワインを杯に注いだシヴァは、酒気を鼻に潜らせ、口腔に含んだ。
「………酒の趣味は悪くない、ね」
「もぉ、シヴァ様」
エミュールは腰に手を当てて、昼間からの飲酒を窘める。
サリアは自分達と違って、浮ついた様子がないシヴァに違和感を感じた。
無理に振る舞おうとした時の気障っぽさがなく、ともすればクド目の貴族風調度品の風景に溶け込んでいた。
シヴァは自称農民出身で登録した。
サリアは初めて会った時にも感じた違和感が、沸き上がってくるのを感じた。
「シヴァ君、貴方………」
言い掛けて、サリアは頭を振って口を噤んだ。
人に言えない過去を持っているのは、誰もが皆同じだ。
正面な人間なら、ラグナロクに来るはずもない。
側に居れば、いずれ話してもらえる日も来るだろう。
そうでなければ、悲しい。
「サリア?」
「ううん…後免、何でもないわ」
サリアは渡されたグラスを反射的に持ち、高級酒をなみなみと注がれるのに慌てた。
助けを求めて振り返って見たが、エミュールは両手でグラスを挟み、ぷはぁ…と頬を満足気に火照らせている。
「あ、あ、エミュールってば」
「引っ越し祝い」
「引っ越し祝いじゃしょーがないですぅ」
エミュールはお代わりを所望して、にぱ…と破顔した。
サリアは眉間を押さえて嘆息した。
エミュールは麦酒一杯で、翌朝までの記憶をすっ飛ばせる体質の持ち主だった。
うわばみの自分やシヴァと同じペースで飲んでいたら、目玉グルグルのヘロヘロになるのは目に見えていた。
「いーんだけどね。別にね」
「そーれすぅ」
普段は淑女然としたエミュールだが、妙にライトでポップな笑顔で笑っている。
立て続けに空けたグラスを両手で握り、斜め上に謎の微笑みを向ける。
流石のシヴァも一歩退く。
「だから、この子に飲ませちゃ駄目だったのに」
「いや、平気な顔して空けるから」
「ある程度アルコールが入ると、性格が一転しちゃうのよね」
カウンターのシヴァの隣に腰掛けたサリアは、高級酒を遠慮無しに喉に流し込む。
「普段がアレだから、欝憤が溜まってるのかしら?」
「そういうもんか?」
「そーゆーもんよ。もっとも、今は貴方が居てあげるから平気なんでしょうけれどね」
サリアは肩越しに振り返って、意味もなく楽しそうなエミュールを見る。
「独りじゃ生きていけない子って、結構居ると思うな、私」
「………解るよ」
「シヴァ様ぁ」
どんっとおんぶするように、エミュールがシヴァの背中に抱きつく。
胸を押しつけるように抱えたまま、猫のようにゴロゴロと甘える。
「あのね…エミュール」
頭を抱えたサリアだったが、拗ねるように自分を盗み見るエミュールに焦った。
仲間外れにされたと感じて、嫉妬しているらしかった。
「にゃん。シヴァ様ぁ………エッチしましょ」
シヴァはあからさまな要求に、抱きつかれたまま転けた。
普段のエミュールは淑やかな淑女ぜんとしている。
だが、エミュールも本音ではこんな事も考えていたらしい。
「だっ…」
「ね…しましょ。シヴァ様ぁ」
「エっ、エミュール。あんた、思い切り酔ってるわね?」
「大丈夫。サリアもぉ…一緒に、三人で寝ましょ」
エミュールは名案を思いついたかのように、会心の笑みを浮かべたのだった。
「ぺちゃ…ぺちゃ」
「ちゅ…ちゅるるぅ…」
子猫がミルクを舐める音。
舌舐めずり。
皿からスープを啜った時のような、はしたない響音。
ベッドに座って脚を開いているシヴァは、俯いた頬を真っ赤に染めていた。
二階のシヴァの部屋になるベッドは、悠々三人は寝転がれるサイズをしていた。
ベッドに乗っているのは、シヴァと二人の娘だ。
サリアはシヴァの右足に跨がって、亀頭を含むように舐めている。
浅黄色のボディスに、薄桃色のパンティを着けている。
シヴァの左足を抱えたエミュールは、睾丸を舌先で転がすように吸っていた。
紐のように細い純白のパンティは、小麦色のぽっちゃりした尻に食い込んでいる。
日焼けではなく元々色黒なのであり、シーツに潰れた乳房も綺麗な褐色だ。
「んふ…」
金髪を掻き上げたエミュールは、大胆に唇を開いて肉棒を横ぐわえした。
逸物を取られたサリアは、長耳をぴくっと立たせて拗ねた。
「もぉ、エミュールだけのじゃないんだからね」
「られすもふ」
「吸ったまま喋んないで………擽ったい」
小さく震えたシヴァは、二人の髪を撫でながら懇願した。
「だって…シヴァ君」
「ぷぁ…ふ」
顎を押されて顔を上げたエミュールは、口腔からずろり…と亀頭を吐き出した。
涎が唇から逸物へ、とろり…と滴る。
欲情で火照ったエミュールも、潤んだ瞳でシヴァを仰ぎ見る。
「お願いだから、喧嘩しないで。ちゃんと、二人とも可愛がってあげるから」
「はぁ…ぃ…シヴァ様…ぁ」
「ぅ、うん。そだよね………シヴァ強いから、萎えないもんね」
身体を起こしたサリアは、興奮を冷ますように、小さく熱い吐息を吐いた。
ポニーテールを解いて、眼鏡もベッドボードに置いた。
亜麻色のストレートヘアが、細い肩から背中に流れ落ちる。
「エミュールから愛してあげて。目がグルグルしちゃってるから、眠っちゃうわ」
「ね…寝ないれす」
「いいから、シヴァに愛して貰いなさいな」
駄々を捏ねるエミュールの頬にキスし、サリアは小麦の美女を仰向けに寝かせた。
そして、母親のような優しい微笑みで、シヴァを招いた。
「さ…シヴァ」
「サリアは後で…ゆっくり、ね」
「ぁ、ぅ…うん」
折り曲げた膝を閉じたエミュールは、火照った顔を逸らしたまま小指を噛んでいる。
「ほらぁ…エミュールったら、今更恥ずかしがらないで」
「ら、らって…」
悪戯っぽく微笑んだサリアは、エミュールの膝頭を押さえて左右に開いていった。
「ゃ…やぁ」
「ほら。エミュールの…ここ、綺麗よ」
艶やかに指先を舐めたサリアは、エミュールの窪んだウエストラインから恥丘に愛撫を滑らせていった。
瑞々しく蜜を湛えた淫唇に沈んだ指の関節が、淫らに浮き沈みする。
サリアはエミュールの淫唇に挿れた二本の指を開く。
「ふみ…ぃ、サ…リア」
くちゅ…と抉じ開けられた膣口から、愛液の雫が滴る。
柔らかそうな桜色の肉窟の内部は、幾枚にも重なり合った膣襞に、蜘蛛の巣のように粘液が滴れ絡み合っていた。
「シヴァ…挿れてあげて」
「あ、あぁ」
ドキドキして二人の絡みに魅入られていたシヴァは、バツが悪そうに近づく。
膝立ちで股間に腰を入れ、切なそうに見上げるエミュールに跨がった。
サリアはエミュールの股間から手を差し入れ、反り返ったシヴァの逸物を握った。
「うぁ…凄い。何時もより、ビクビクしてる」
「サ、サリア」
「折角だもん、サポートしてあげる。ただ、待ってるなんて出来ない…よ」
僅かに胸を刺すジェラシーに、サリアの瞳は潤んで見えた。
シヴァはサリアの唇を舐めるように口づけ、腰を落とした。
サリアの指に導かれた逸物は、同じくサリアの指先で抉じ開けられたエミュールの淫唇に埋まっていった。
「あふ…ぅ、ぁ」
「やん、凄ぉ…あそこからエッチなお汁が漏れてる」
サリアの淫猥な評価に、シヴァとエミュールは奇妙に興奮して呻いた。
シヴァはエミュールの太股を抱え、奥を抉るように突き射れる。
エミュールは腹部を反らせ、逸物をくわえた恥丘も顕に身悶え始める。
突かれるたびに形良く膨らんだ乳房が、左右に円を描くようにたわむ。
「おっきな胸………嫉妬しちゃう」
太股を捩って盗み見ていたサリアは、シヴァから隠すようにエミュールの乳房に掌を乗せた。
「らめぇ…サリアぁ」
「早く、イッちゃいなさい」
サリアは虐めるように、激しく揉んで乳首を擦った。
エミュールは二人がかりの責めに、腹筋をビクビクっと痙攣させて達してしまった。
そして案の定、失神したように意識を失う。
置いてきぼりにされたシヴァは、モヤモヤした顔でサリアを睨んだ。
「酷い」
「いいの。次は、私の番だもん」
苦笑したシヴァは、エミュールの胎内から射精前の逸物を引き抜いた。
愛液に塗れた逸物は、青筋が浮き出すほど精力が漲っていた。
サリアは裏筋に、つぃ…と中指を滑らせる。
「後免ね。貴方がイク前に終わらせちゃって」
「妬いた、のか?」
「だっ…て」
怒られるのを待つように身体を寄せるサリアの、腰を抱いて胸に納めた。
パンティを脱がせるために指を這わすと、内腿にぬるぬるした液体が滴れていた。
「見てて興奮しちまったんだ」
「馬鹿ぁ、意地悪………」
胸に納めたサリアを持ち上げ、そのまま引き寄せるように降ろした。
「あ、あい…ぃ」
「んく…中も、こんなに熱っつい」
「だって…だって、不安だったんだもん」
胸に回されるシヴァの腕に、サリアはぎゅっと縋った。
「エミュール美人だし…私、このまま忘れられるんじゃないか………って」
「馬鹿…だな」
シヴァはサリアの腰を両手で抱え、ベッドの弾力を使って出し入れした。
少年のように締まったサリアの尻が、シヴァの腰上で弾む。
サリアの尻から、肉杭がぬっぬっ…と貫き沈みした。
「ぁ…はぅ…シヴァ、我慢しないで…」
「いいから。俺に…任せな」
サリアは健気に膣を窄め、エミュールの身代わりに射精を促す。
「俺は出したくて、お前達を抱いてる訳じゃない、よ」
「………シヴァぁ」
シヴァは優しい瞳で、シーツに肢体を沈めるエミュールを振り返った。
「お前も、俺も…同じ」
サリアは身体を開いて、シヴァの胸にしなだれかかった。
瞳を潤ませて振り仰ぐサリアに、シヴァは唇に舌を射し入れた。
サリアはちゅ…と舌先を吸ってから、唇を開いて自分の舌を激しく絡め合った。
シヴァは心も身体も委ねるサリアを、性器を突き上げて責めを再開した。
サリアは肉欲を充たす娼婦の交わりとは違い、深い心まで交合するようなセックスに忘我で浸った。
子宮を突く逸物は、弾ける時を待つように痙攣している。
「あぃ…ぃ……ぃ、っくうぅ」
胎内に流れ込むシヴァの精液に、サリアは下腹部を押さえて仰け反った。
断続的に弾ける射精は、子宮に大量のザーメンを噴き掛かける。
腰と首を捩るサリアは、何時もより生々しい程鮮明にシヴァの性を感じていた。
サリアにうな垂れ掛かるように抱き締めたシヴァは、射精後の脱力感に熱い吐息を洩らした。
亜麻毛からの長耳を伏せさせたサリアは、シヴァの胸で子猫のように縮こまる。
後ろ手にシヴァの黒髪を撫で、愛しそうに頬摺りする。
「ぁ…」
胎内で萎れていた逸物が、ゆっくりと勃起しだす。
優しくシヴァの頬にキスしたサリアは、尻を左右に振って刺激を与える。
「私は毎日来られないから………今夜は一杯、シテ」
体位を変えて正面から抱きついたサリアは、シヴァを押し倒すように跨がった。
一度シヴァにキスを求めてから、勃起してビクビク痙攣している逸物を掴む。
シヴァの腰に跨がっているサリアは、尻を掲げて位置を合わせ、一気に落とした。
「あふぅ」
胎内に食い込む熱く硬い異物の侵入に、サリアは髪を振り乱す。
シヴァの胸板に右手を乗せ、左手で自分の尻を押さえながら直ぐ様動き始めた。
ギシギシ軋むベッドの弾みも、高級宿に相応しいサポートをする。
シヴァもサリアの細い脚を掴み、腰の動きを合わせた。
騎乗位でシヴァを受け入れるサリアは、瞳を閉じて可愛く尻を弾ませ続ける。
胸を隠すサリアの下着は、普通より短いボディスだ。
洒落たレースに、肌触の良い浅黄色の生地越しに、シヴァの掌があてがわれる。
「ぁ…駄目…シヴァ」
「サリア、俺…」
シヴァは苦しそうに呻いて、サリアの腰を抱え込む。
「んぅ…ぁ」
サリアは膣中の逸物が、さらに膨らんだ感触に声を漏らす。
みじみじと亀頭が腫れ、鉄芯が埋め込まれたように異様な程硬さを増す。
サリアは潤んだ瞳でシヴァを見下ろした。
シヴァは何かに耐えるように、顔を顰めて腰を痙攣させた。
「シヴァ………遠慮、しないで」
前にも一度同じ事があり、サリアは自分なりにシヴァの症状を調べて理解した。
急速にEXPを身体に取り込んだ者は、異性との性行為で、過剰分の気を放出しようとする不随意反応が起こる。
ただ、激しい衝動に、獣のような荒々しさが伴う。
サリアは昂ぶりをやり過ごそうとするシヴァに、頭を振って身体を委ねた。
「駄目よ。我慢しちゃ…駄目。それは、貴方の身体を守るための反応なんだもの。だから………私を使って。私のお腹に…全部…吐き出して」
「だっ…俺は、お前を、傷つけたくない…ッ」
唇を噛み締めるシヴァの頬を、サリアは両掌で優しく挟んだ。
「愛しい人が苦しんでる姿の方が………私には辛い、よ」
ぎゅ…とシヴァの身体を抱き締めたサリアは、頬を胸板に押しつける。
そして、背中をM字に反らすように腰を掲げ上げると、自分から激しく尻を振った。
サリアとシヴァの腹部が、小気味よく鳴る。
一度受け入れて軟らかく解れた膣とはいえ、サリアは目尻に涙を滲ませながら懸命にシヴァに奉仕し続けた。
男性にとっては最も早く達する動きに、シヴァは腰をシーツから突き上げる様にしてサリアの胎内に精を放った。
腰を突き上げてサリアの膣に根元まで埋めたまま、思い切り射精を続ける。
「あ…ぁ…ぁ、ぁ…」
サリアは人形のようにシヴァに乗ったまま、尻から流し込まれる精液に呻く。
潤んだ瞳でシヴァを見詰め、気遣いと劣情が燃える顔に頷いてみせた。
「き…来て…。いっぱぃ…一杯シテ…シヴァぁ」
「ああ。遠慮はしない、よ。サリア」
「ぅん…」
ぽふ…とシーツに寝転がったサリアに、シヴァは獣のように跨がって突き犯した。
エミュールは衣擦れの音に、目蓋を震わせた。
一つ目巨人が悠々と寝転がれるベッドに、一人で眠っていた。
シャリアメイでは、眠る時は全裸が通例だ。
柔らかそうで豊かな乳房が、零れ落ちたシーツから顔を覗かせる。
瑞々しく弾力のあるエミュールの乳房は、僅かに左右に撓んでいるだけだった。
「ふみ…」
ぽぉと寝呆けたまま、身体を起こす。
まなじりを擦り、目の前に差し出された珈琲カップを、何の疑問もなく受け取る。
「お早よ」
「ぁ…お早よぉ御座います…シヴァ様」
微笑んで挨拶を返したエミュールだが、唐突に正気に戻って赤面した。
「サリアは朝一で戻ったよ」
すでにシヴァは戦闘帯を締め、騎士着に甲冑のパーツを帯びていた。
寝過ごした上に昨夜の記憶がないエミュールは、自己嫌悪に背中を丸めて呻いた。
「あぅ…御免なさい。シヴァ様」
「くすっ、気にするな。あーゆうエミュールも可愛かったから」
毛布を口元まで引き上げたエミュールは、拗ねて情けない瞳でシヴァを見上げる。
さり気ない媚態に、シヴァは唇を歪める。
昨夜、あれ程繰り返しサリアを責めた逸物が、ズボンを突っ張らせていた。
肉体に溜まった過剰EXPは、昨夜の営みでも消化し切れていなかった。
自己主張をする主人の股間に気付いたエミュールは、指示を待つように潤んだ瞳でシヴァを見詰めた。
シヴァはエミュールから視線を逸らし、気まずそうに頬を掻いた。
「少し…気を抜いてきたい」
「ぁ…はぃ」
「四ん這いで」
唐突な求めに頬を火照らせたエミュールだが、従順にシーツに這った。
天窓から差し込む朝日に、白いシーツに這うエミュールの肌が鮮明に映えた。
ベルトを解いたシヴァは、エミュールの掲げられた尻に顔を寄せる。
「あ、あぅ…構わないです。シヴァ様の好きに…扱って下さい」
「じゃ、いく」
「ふ、くぅ…ぅ」
流石に解れていない小麦の尻を、軋みながら逸物が貫いた。
それでも、唾液とエミュール自身の分泌液が、挿入をサポートする。
シーツを握り締めるエミュールは、荒々しく膣を貪られる動きに翻弄された。
腰を掴まれてバックから犯されるエミュールは、明るい部屋で身悶える自分に羞恥心を掻き立てられていた。
小気味よく痙攣し始めた膣孔に、シヴァは強かに射精した。
射精を促すためだけの繋がり故に、僅かばかりの短い営みだった。
「はあ」
呻いたシヴァが腰を引くと、ヒクヒク震える尻からごぽ…ぅと白濁液が漏れた。
褐色の内腿を伝う白い精液は、妙に映えて淫らに見えた。
「ぁふ…ん」
ぼふ…っと主人の手から解放された尻が、乱れたシーツに投げ出される。
快楽摩擦の続きを求める淫唇が、白液を垂らしながらピク…ピク…と蠢いていた。
納得していたとはいえ、中途まで感じさせられたエミュールは切なげに呻いた。
小指を噛んで横座りするエミュールは、物足りなさそうにシヴァを仰ぐ。
はしたないと思いつつ、身体は続きを欲求していた。
「シヴァ様…ぁ」
無意識に媚を含んだ、甘える声が出る。
シヴァは困ったように頬を掻いた。
「帰ってから、可愛がってあげる」
「はぁ…ぃ」
拗ねるかとも思ったが、エミュールは素直に頷いて衣服を着た。
律儀に後ろを向いていたシヴァに、背後から手を絡めて微笑み掛ける。
「何か、可笑しいか?」
「いいえ。………嬉しいんです。シヴァ様が私を求めて下さって」
階下に降りたエミュールは、シヴァの鎧着付けを手伝う。
亡父の手伝いをしていただけあり、武具の扱いも手慣れていた。
不意にデジャビュを覚え、エミュールの手が震えた。
あの朝も、同じだった。
父親が二度と戻らなかった、あの朝も。
朝も夜も、開かれるはずの無い扉を見詰めて過ごした、悪夢のような日々。
紅蓮の鎧と剣を帯びたシヴァを、エミュールは背中から抱き締めた。
「どうした?」
「………帰ってきて下さい。他には、何も望みません」
苦笑したシヴァは、篭手を填めた手でエミュールの頬に触れた。
「待っていろ」
「は…ぃ」
シヴァの後ろ姿を見送るエミュールは、手を組み合わせて立ち尽くしていた。
第72階層の探索を続けるシヴァは、妙な不快感に頭を振った。
騎馬オフィーリアも同様なのか、不安そうに嘶く。
明らかに、昨日とは迷宮の構造が変化しているのだ。
地図制作をしているわけではなかったが、プーカには優れた方向感覚が備わっており、主人が辿った道筋を誤る事はない。
シヴァを乗せたオフィーリアは、尻込みするように蹄を止めた。
「行くぞ。オフィーリア」
盾を鞍に着けて手綱を握ったシヴァは、宥めすかすように拍車を掛けた。
オフィーリアは渋々といった感じで、ゆっくりと進んでいった。
シヴァは剣を鞘に納めた。
朝に迷宮へ降りてしばらく経過したが、一度も魔獣と遭遇していない。
オフィーリアが袋小路に突き当たった瞬間。
目眩く閃光がシヴァを包み込んだ。
次の瞬間には、階層が微かな地響きに震え、遠く雷鳴のような叫びが呼応した。
誰も居なくなった迷宮に、もう一度雄叫びが響いた。