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  Fan Novel





人間がやって来た。
死を撒き散らしにやって来た。
でも困ったな。
ああ困ったぞ。
王様は人間がキライなんだ。
人間なんてシモベにしたくないんだってさ。
じゃあどうしよう。
王様って怒ると怖いんだ。
よし、じゃあこうしよう。
ほらみんな、手伝っておくれ。
引き裂こう、切り刻もう、抉り取ろう。
噛み千切ろう、食い散らそう、啜り尽くそう。
ほら、出来上がり。
ここにお似合いの飾り付けだね。
だって王様は―
人間が死ぬのはダイスキなんだ♪






  黒のカタコンベ
    第八幕
      「表層・Side『シュウ』」


                               
滑稽





早朝。
プロンテラ東門前。
「黒のカタコンベはこの下か」
「ああ」
「ふん…。これは凄い」
「え?」
「グラストヘイムと同等以上の死臭がしやがる。覚悟決めとけよ、フィル」
「覚悟?」
「気ぃ抜いたら…死ぬぞ」
「…ああ」
ぞろぞろと騎士達がダンジョンへと降りていく。
「あら、シュウの旦那」
「おう、ララムさん」
と、こちらの兜でも見止めたのか、ララムとナッツがこちらに向かって歩いてきた。
「行かないんですか?」
「あの群れに雑じって?動きが取れなくなるだけさ。君達ももう少し待った方がいい」
「でも、臆病とか言われませんか?」
「臆病でも死ぬよりはマシさ。違うかい?」
「え、あ、まあ…そうですけど」
「それにほら、見てみ?」
「え?」
ぞろぞろと降りていく調査隊の面々。
が、彼等のように列から外れて、悠々と自分達の入り時を待っている者も少なからず居た。
人が減ったからそれが判るようになったらしい。
「あの人達は…」
「それなりに場数ってやつを踏んでる連中さ。…お」
と、その中の一組がこちらに向かって手を上げた。
「よう、フリューゲルドルフ。久しぶりだな」
「おう、暫くだな。リュード」
声をかけてきたのは騎士。ペコペコをシュウのすぐ側まで走らせ、にっこりと人懐こい笑みを浮かべる。
その後ろからついてくる、三人の女性。騎士が一人にプリーストが二人。
「後ろの連中はお仲間か?」
「まあ、な。お前さんとこは…初めて見るな」
「一人は古い馴染みさ。あとの二人は、この前ちょっとな」
「ああ、大聖堂で一緒に馬鹿やったとか言うねーちゃんか」
その言葉に、頬を引き攣らせるララム。
「惜しかったな…。俺も行っておきゃ良かったぜ」
「ああ、やっぱりサボってたか、お前」
「当たり前だろ?誰があんなブッたるいトコ行くかよ」
「…私は行かせたくせに」
拗ねたように呟く女騎士。
「だぁからその後可愛がってやったろ?」
「…んー」
くしゃくしゃとその髪を撫で付けるリュード。そしてその様子にやはり嫉妬の目を向けるプリースト二人。
「ま、お前さんの期待したほどブッたるくはならなかったけどな」
「違いねェ。行くなら教えとけよな」
「俺はそもそも真面目なんだよ」
「真面目!?どの口で言いやがるよ、お前」
「ん、そろそろ空いたかな?」
「…流すなよ」


最初の引き鉄は、天井からやってきた。
ぼとぼとと、岸の鎧の上に落ちてきた腐肉の塊。
「ちっ!」
まるで雨のように降り注ぐそれに、鬱陶しげにペコペコを走らせて振り払う先頭集団。
「おい、隊伍を乱すな!!」
だがペコペコ乗り達は止まらない。腐肉塗れになるのは嫌だとばかりに、あっという間に見えなくなってしまう。
「仕方ないな…。おい!行くぞ!!」
それに追いつく為に、後続の徒歩の騎士やクルセイダーらが腐肉を踏み越えて歩きだした。
そしてプリースト達が続いてその腐肉を踏みつけた時。
チクリ、と。
不運な一人のプリーストの足に、何かが刺さった。
「痛っ!?」
「どうした?」
「棘でも踏んだかな…がっ!?」
応じた直後、彼の顔から急激に血の気が引いていく。
ビクビクと痙攣して泡を吹き、瞬く間にそれが赤くなって―
「が、ぁ…」
倒れて動かなくなった。
「毒…!?」
「まずい、寄るな!!」
プリースト達の足が止まる。
と、腐肉の塊がうぞうぞと動き出した。
「まさか、これは…」
「前衛!来てくれ!モンスターだっ!?」
「おう!」
戻ってくる徒歩の騎士達。
だが、ペコペコに乗った連中は更に先行して走って行ってしまっており。
そして時同じくして、彼等の方も戦闘を始めていたのだ。


ペコペコ達に異常が発生したのは、後ろが何時まで経っても追いついてこない事をいぶかしんだ誰かが立ち止まった時だった。
凡そ半分のペコペコが、がくがくと体を震わせ始めたのだ。
「おい?」
これは腐肉の中に混じっていた毒針の所為だったのだが、彼等にそれは判らなかった。
「動け!動くんだっ!!」
非情ではあるが、彼等にしてみても死活問題である。
のたのたと歩いてはいるが、その動きは乗っていない方が速いくらいだ。
そして。
「がぁー」
「がぁー、がぁ」
気と力の抜けた鳴き声を上げて。
向こうの暗がりから何かがやってきた。
「ペコペコ…?」
「ぺ、ペコペコじゃない!!」
いや、それは確かにペコペコだった。
ただし、その姿は腐りきってぶよぶよで。
まるで生気のない目でこちらを見ている。
「ペコペコゾンビ…?」
武器を構える面々。
のたのたと歩いてくる大量のペコペコゾンビ。
「ツーハンドクイッケン!」
「スピアクイッケン!」
「ボーリングバッシュ!」
騎士達は勇猛だった。
群がってくる死体の群れを勢い良く破砕していく。
無事なペコペコに乗った騎士達、クルセイダー達が駆け回って、ペコペコゾンビを単なる死肉に戻していく。
だが、ペコペコゾンビはあまりに数が多すぎた。
一匹の毒にやられたペコペコの首に、ゾンビの嘴が突き立てられたのである。
「クェェェッ!?」
「くそ!!」
その直後には乗り手のクルセイダーによってペコペコゾンビは突き壊されたが、既にペコペコは呼吸をしていなかった。
「くっ…」
苦楽を共にした相棒である。
悲しくない訳がなかった。
「済まない…。必ず外で弔ってやるからな…」
死してなお直立していた乗騎。その体を横たえ、瞳を閉じてやろうとした時。
彼の指が食い千切られた。
「…え?」
反応など、出来よう筈がなかった。
自分の指を、今しがた殺された筈の相棒に食われるなどと、誰が予想しただろうか。
「うわあああああっ!?」
むくりと起き上がるペコペコ。
否、新しいペコペコゾンビは、自分を見上げるかつての主にその無感情な瞳を向けた。
「ひ―」
反応出来たのは、彼にとって幸運だったのか。
彼の火を吹く槍がゾンビの喉笛を貫くのと、彼の顔面が嘴に突き潰されるのはほぼ同時だった。
「じょ、冗談じゃない!?」
その様を見て居た騎士が叫ぶ。何故なら、彼の乗るペコペコ。
その胴にもまた、ゾンビの嘴が刺さっていたからだ。
「許せっ!!」
背後からペコペコごとゾンビを叩き斬る。
しかし。その降りた地上には、ペコペコゾンビの群れ、群れ、群れ。
「くそおおおおおっ!!」
彼の姿はその中に埋もれて見えなくなった。
均衡が崩れだす。
ある者は己のペコペコゾンビに止めを刺せず。
ある者は降りたところをペコペコゾンビに押し潰され。
またある者は自分のペコペコを疑って自らその首を刎ねた。
ペコペコゾンビの群れを彼等がやっとの思いで駆逐した時。
生きているペコペコはもう一羽も居なかった。
「…生き残りは?」
「これだけだ。…くそ」
五十人は居たペコペコ乗りが、いまや半分も居ない」
「十と七…八、九。…少ないな」
「最初の接触で三十人とペコペコ全てを失うか。…大事だぞ、これは」
「どうします?」
「後続が追いついたら協議してみよう」
「そうですね」
「くそっ…」
ぐったりと床に腰を下ろす騎士達。
散乱した血と肉と骨。
そんなものも気にならないほど、彼等は疲れきっていた。


腐った肉の焦げる臭気が充満する。
火属性の武器で腐肉を逐一焼いているのだ。
「あれ?まだここに居たのか」
シュウ達が降りたのは、ちょうどこんな折だった。
「お前達は…」
「ん、ちょっと人がはけてから、と思ったんだが」
「そうか…。気をつけろ、ここは普通じゃない」
何を当然の事を、とも思うが、とまれ彼等に鞭打つつもりもない。
「死者はそこのプリーストの兄さんだけか。…あれ?ペコペコ乗りの連中はどうしたんだ?」
「あ、ほんとだ」
見回すと、ペコペコの姿がない。その所為か、フィルとリュードのペコペコだけが無闇に目につく。
「ああ、彼等は先行した」
「先行?偵察か?」
「いや、これが落ちてきたのでね。嫌った彼等が先に走り去ってしまったのだ」
「…陣形も戦略もなしかよ」
呆れ返る。部隊の体裁すら出来ていないとは。
「じゃ、俺達が先に様子を見てくるよ。…リュード、お前さんたちはこちらの方々についていてくれ」
「ん?何でよ」
疑問符を浮かべるリュードに向かって、言葉と、それとは別にもう一つ。
「そりゃ勿論、組織的な行動は大事だからね」
『こいつら俺達の思った以上に無能みたいなんでな』
ウィスパー、といわれる一種のテレパシーを同時に彼に送る。
「ま、そうだが…大丈夫か?四人だけで」
『こんな役にも立たない連中を俺にどうしろ、ってのよ。精々盾にするくらいしか使えないぜ?』
「なに、そんな無茶はしないさ」
『ああ、それで充分だろ』
表では普通に会話しながら、裏では滅茶苦茶に貶める。
「ふむ…」
『そこまでして何で俺達をこっちにつけたがる?一緒した方が危険も減るだろうに』
「皆さんもそれでいいかな?」
『一応、な。一部始終を知っている奴が俺以外にも居てくれないと困る』
「済まん、頼む」
「危険だが…大丈夫なのか?」
「ええ」
にこやかに頷くシュウ。
「しかし…彼等だけに任せてはいけないのではないですか?」
「構わないさ。アンタ達に大事なのは、まず体勢を立て直す事。大丈夫。先行した連中と合流したら連絡しますよ」
『俺やここのダチはサザイって貴族に目をつけられてるからな。戻って全滅報告入れたところで適当な罪科なすりつけて殺されそうなのよ』
「判った。こっちは任せてくれ」
『ある程度状況を見極めたら勝手にしていい、って事か』
「ああ。じゃ、フィル、ナッツさん、ララムさん。行こうか」
『その通り。ま、頼むよ』
「無理すんなよ」
『へいへい。お前も程ほどにな』
特に否もなく頷く三人を連れて、シュウはそこを離れた。


「悪いね。勝手に決めちゃって」
「いや、構わないけど」
「あの無能達と一緒するのは勘弁願いたかったものでね」
この世界には、曰く四種類のテレパシーがある。
一つは世界に唐突に降りてくる天の声。これはこちらからの返答を求めていないもので、本当に根拠も何もなく降って来るのだ。
まあこれは特殊なものだが、残り三つは実用的だ。
先ほどのウィスパーもその一つ。
シュウがラガと連絡を取り合ったのもこれだ。
他に、シュウがラガのみならず『双つの月』のメンバーとどこからでも通信できるようにするギルド通話。
これはギルドを作る際に使ったエンペリウムを介してのもので、ギルド外の者がこれを聞き取る事はできない。
そして最後の一つが、今彼等が交わしているパーティ会話だ。
これもパーティ内のみで成り立つ機能で、咄嗟の事態に対応する為の意思疎通方法として存在する。
「良かったの?彼等」
「ん?」
「リュードさん達。足を引っ張られたりとか…」
「ああ、大丈夫だよ。あいつの仲間はどうだか知らないけど、あいつ自身の能力には折り紙をつけてもいい」
「そう。なら安心かしら」
「ただ、手癖は悪いんだよなぁ、あいつ。あの三人、多分全員関係持ちだよ」
「…まぢ?」
「…本気で節操ないのさ」


「…案の定、か」
その惨状を見たシュウが最初に漏らした呟きはそれだった。
「生存者十九人?何人居たのよ、実際」
「五十…三人だ」
「それは…」
フィルも絶句する。
「ペコペコゾンビ、か。成る程、アンタ達にとっては随分しんどい相手だったかもしれないな」
「後続は…?」
「向こうも向こうで足止めされていたのさ。どうやらこうやって戦力を分断するのが狙いだったようだな」
「くそ…」
「先行したのはアンタ達の責任だ。後続だって死人が出てるんだから、文句を言う筋合いじゃあねえぞ」
押し黙る生き残り。
「まあいい。後衛の連中が来るまでアンタ達はここでぐったりしていろ」
「…なに?」
「ついて来られても邪魔だしな。死にたくないならここに居ろ、ってことさ」
「…」
と、妙な音が脇の狭い通路から響いてきた。
カラコロカラコロ。
乾いたモノが転がるような。
「ん…」
暗がりから見えてくる、白。
物凄い速さで駆けてくる、それは―
「ホネ?…サベージの骨か」
角のように競りだした牙、長めの頭骨。
足が短いがその動きがせわしない四足のスケルトン。
「差し詰めスカルサベージってとこかな」
シュウは剣を抜いた。
「ホーリー…」
突撃してくるその横っ面を薙いで動きを止め。
「クロス!」
頭上から一気に打ち下ろした剣がその骨を完全に粉砕した。
「ふん」
骨から漏れ出た黒い気体が散っていく。
「…前言撤回だ」
「え?」
シュウの発言に、座っていた騎士の一人が反応した。
「立ちな、死にたくないなら」
「どういう…」
「聞こえないか?」
通路の向こうから、聞こえてくる音。
カラカラ。カラコロカラコロカラカラコロコロ…
今度は間断がない。しかも数が一つや二つじゃない。
「スカルサベージの…群れだ」
「な―!?」
見えてくる、白い塊。
その全てがスカルサベージだとするなら、目的は―
「ナッツさん!」
「サンクチュアリ!」
既に反応していたナッツが、白い群れと自分達の中間に光の領域を作り出す。
領域に弾かれ、先頭の動きが止まる。
「…狭くて良かった」
「立つんだ!あれじゃ足止めが精一杯だぞ!!」
フィルの悲鳴。
「天におわせし我が軍神よ!」
シュウは剣を地上に突き立てた。
「貴方が敵は即ち我が敵ッ!!」
収束していく聖なる力。
「悪しき力に拠って其処に在る、そのあらゆるを…」
領域の効果が消え、突進してくる骨の群れが。
「滅ぼす力を我に貸されよ!!」
シュウの体へ特攻しようとした刹那。
「グランドクロス!」
純白の波動が、シュウの周囲、その全てのアンデッドを消し飛ばした。
「サンクチュアリ!」
ナッツがその真下に間髪入れず領域を展開し、絶え間なく突撃してくる第二陣を弾く。
「助かる」
「いえ。体力は?」
「領域の力を少し吸った。フィル!立たない奴等は放っておけ!!」
「…ああ」
立っていないのは生き残りのうち、四人。
「死にたくなければ、足掻き通せっ!!」
シュウがグランドクロスで吹き飛ばした数の倍以上のスカルサベージがサンクチュアリをとうとう乗り越えた。
「バッシュ!」
「ホーリークロス!」
「ボーリングバッシュ!」
「ピアース!」
骨の群れがみるみる減っていく。
だが、スカルサベージもまた簡単には潰えなかった。
「げはァっ!」
座っていた騎士の一人。全身をバラバラにしながらも、骨の一匹が牙をその鎧に突き立てた。
「ごフっ…」
鎧の継ぎ目が砕け、外れる。
「大丈夫か!?…がっ!!」
立って戦っていたクルセイダーが駆け寄るも、背後からの衝撃に彼女の鎧も砕かれた。
「他を気にかけるな!死ぬぞっ!!」
発言とは裏腹に、彼女を護って骨を叩き伏せるシュウ。
「しかしっ―!」
「奴等は立てないんじゃない!諦めて立たないんだ!放っておけっ!!」
「くっ!」
と、彼等の脇を通り過ぎたスカルサベージの一体が、悶えていた騎士に突撃した。
「かっ!…がぶっ…」
胸板を牙に、全身をバラバラになった骨に突き破られ、盛大に血を吐き出す騎士。
「ご…バッ」」
伏す騎士。その体はもう、動かなかった。
「鎧を壊して止めを刺すのが戦法か…。きついな」
「…退くか?シュウ」
「どこに?」
「どこにって…」
「ペコペコがねえんだ。連中から逃げ切れる道理があるかよ」
「そ、そうか」
「乗り切るんだ。ここを乗り切らんで踏破なんて出来ねえしな」
「くっそ…!」
だが、事態は結構短時間で終結した。
「ふんっ」
相手めがけて突進する以外に何も判らないのか、往復を繰り返すスカルサベージ。
その走り方も雑で、同じように走っていた同族とぶつかり合って砕け散るというどうしようもないのも少なからず居たのだ。
気がつけば、その殆どは自滅して動けなくなっており。
掃討は一気に容易くなったのだった。
「さて…犠牲者は?」
最後の一匹に剣を突き立てたシュウが、周囲を見回す。
「立ってなかった連中だけだ。…危なかった、と言うべきかな」
「ああ。…で、鎧を壊されたのは?」
「鎧?」
疑問符を浮かべるナッツには答えず、黙って視線を巡らすシュウ。
「八人、か」
思った以上に多い。こちらの仮説が正しかったとするなら、次は。
「…アンタ等、地上戻れ」
「なっ!?」
噛み付いてきたのは、先ほど助けたクルセイダーの女性だった。
どうも女性に絡まれる星でもあるのだろうか。
「何故だっ!?」
「何故、だと?ペコペコは喪った、鎧も壊された。『足』と『防御』を砕かれて、アンタにあと何が出来る?」
「…」
「これでも進むって吐かすなら、それは単なる無謀だぞ?」
「しかし…!」
「メンツより命だと思うがね。…ま、どうしても無駄死にしたい、ってなら俺も止めねぇよ」
「…判りました」
項垂れる、彼女。
「よし。ならナッツさん、ポータルを開いてくれ」
「はいよ」
ナッツが空間に白い穴を開ける。
「では」
「済みません」
口々にシュウ達に挨拶をして行く満身創痍の騎士、クルセイダー。
その数、四人。
と、今しがたの女性がシュウの手を取った。
「フリューゲルドルフ殿…」
「ん?」
「私の名はリエル。リエル・プラウドネスと申します。…必ず、ご生還ください」
「無論だ。こんなところで屍を晒すつもりはないのでね」
「では、ご武運を」
そのまま白い光の中に消えるリエル。
白い光が消え、
「で、アンタ等は行かないんだな?」
シュウは鎧を壊されながらも残った騎士達に確認した。
「ああ。我々は戦って戦って、なお生き延びる所存だ」
「そうか、ご自由に。…俺達は先に行くぜ?」
「…うむ。我々は後衛を待つ」
「おう、じゃあな」
スカルサベージのやって来た方とは違う、大きな通路へと足を向けるシュウ達。
ほどなく階段を発見し、四人は下へと降りて行った。


続く










後書き
ども、滑稽です。
ひどく前話と比べると長くなってしまいましたが。
次以降は『シュウ編』と『突撃部隊編』に分けられるので、もう少し短く出来るかと。
では、また次回。






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