雪結晶の観察方法

観察の仕方
  雪結晶は肉眼でも見えるが、虫眼鏡や顕微鏡を使用すれ ば細かいところまでくわしく観察できる。特に透過光による顕微鏡観察が最適である。
  あらかじめ冷やしておいたガラス板に雪を受けて顕微鏡で観察する。倍率は20倍前後の低倍率が適当である。照明はあまり熱を出さないものを用いる。顕微鏡写真は、顕微鏡アダプターを準備すれば、普通の一眼レフカメラで簡単に撮影できる。

温度の条件
  雪結晶の観察や写真撮影は、気温がー3℃以下でないとうまくいかない。できればー5℃以下が理想的と言える。
気温がー3℃以上の場合は、ガラス板に受けた結晶がとけ ていくので、完全な写真をとることができない。
新庄の場合、1月・2月の早朝や深夜は気温がー3℃以下 となる日が結構多いので、いろいろな種類の雪結晶が観察できる。

写真:顕微鏡


雪結晶のレプリカ

雪の結晶は、降雪をガラス板や黒い布に受けて観察しますが、そのままにしておくとすぐ融けてしまいます。しかし、降ってきたばかりの雪結晶にある薬品をかけると、形をそのまま何年も残すことができます。このときできる雪結晶の形は、水蒸気が凍ってできた雪結晶そのものではなく、セミの抜けがらのように雪結晶の形だけが残ったもので、「雪のレプリカ」と呼びます。
雪結晶をレプリカにすると、すぐ融けてしまうという心配がないので、ゆっくり観察できます。

準備するもの
<薬品>
○ポリビニール・ホルマール(粉末) (通称ホルンバール)
○1・2- ジクロロエタン(液体) (二塩化エチレン,500g入り)
*有害なので取り扱い注意

写真:薬品 写真:器具
<器具等>
ガラス板(スライドガラスでも良い。)
ポリ容器(100cc位)、上皿天びん、スポイト、メスシリンダー

レプリカ液の準備
a)メスシリンダーで1・2- ジクロロエタン 100cc をはかり、ポリ容器に入れる。
b)上皿天びんでポリビニール・ホルマール 2〜3gをはかり、a)のジクロロエタンにとかす。
c)ポリ容器にふたをし、冷蔵庫の冷凍室に入れて冷やしておく。(溶液が蒸発しないように、容器のふたはしっかりしめておく。)
*ガラス板・スポイトを冷蔵庫の冷凍室に入れて冷やしておく。

雪結晶レプリカのつくりかた
1.上空から降ってくる雪結晶をガラス板に受け、その雪結晶にスポイトを使用して、冷やしておいたレプリカ液を滴下する。

2.そのガラス板を0℃以下の状態で1日位放置しておく。(降雪がかからないようにして、軒下などにおいておく。)



レプリカができるしくみ
放置しておくと、滴下したジクロロエタンは揮発性なので時間の経過とともに気化していき、また雪結晶もポリビニール・ホルマールの被膜を通して昇華蒸発していき、あとには雪結晶の形を中にとどめたポリビニール・ホルマールの被膜だけが残る。できたレプリカは、暖かい所においても変化せず、何年も保存することができる。



ポイント
雪結晶レプリカの作製は、気温−5℃以下の低温で行った方がよい。

レプリカ作製を行った日時や天気・気温・湿度・降雪の状態などの気象条件は必ず記録しておく。

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