雪結晶研究の歴史

最も古い雪結晶観察
マグヌスの雪結晶スケッチ 1550年、スウエーデンのウプサラの大僧正オラウス・マグヌスは、雪の結晶のスケッチを書き残した。彼が書いた雪の図からすると、雪が六角であることは当時はまだはっきりわかっていなかったようである。

 

1600年代の雪結晶観察
デカルトの雪結晶図 雪の結晶が六角形をしていることを指摘し、なぜ六角形になるかをはじめて論じたのは天文学者ケプラーである。また哲学者デカルトは1635年アムステルダムで雪の結晶を観察し、それをスケッチした。これは、雪の結晶を六方対称に描いた最初のスケッチである。デカルトは、単にスケッチをしただけではなく、論文「気象学」の中で雪結晶の種類・でき方について詳しく述べている。
 1600年代後半に顕微鏡が発明されたが、細胞の発見者フックは「ミクログラヒイア」(1667年)という本に顕微鏡で見た雪結晶の図をのせている。(画像をクリックすると拡大して見ることができます)


1800年代の雪結晶観察
土井利位の雪結晶図 1820年、イギリスの捕鯨家スコレスビーは雪の結晶を観察して、六花結晶以外の六角柱や六角錐などの新しい結晶を確認している。スコレスビーと同じ時代に、日本でも雪の結晶を観察した人がいた。下総古河(現在の茨城県古河市)の領主土井利位は、家老で蘭学者でもあった鷹見泉石の援助を得て、虫眼鏡を使って雪の結晶を観察し、その結晶図を1832年「雪華図説」、「続雪華図説」として出版した。この2冊の本には合計195の雪結晶が掲載されている。
 1890年代になってベルリンの医師ノイハウスやロシアの写真家シグソンが撮影した雪結晶の顕微鏡写真が紹介された。
ベントレーの雪結晶観察
 
1931年、アメリカのベントレーは、生涯をかけて撮影した顕微鏡写真から2300種の結晶を収めた写真集を出版した。

中谷宇吉郎の雪結晶研究
 ベントレーの写真集を手にして深い感銘を受けた中谷宇吉郎(当時北海道大学理学部物理学科教授)は、1932年雪の研究を開始し、5年間にわたる観測で2200枚の写真を撮り、雪結晶の一般分類を試みた。ついで、各種の雪結晶について、質量・落下速度・電気的性質・降下頻度などを調べた。1936年、中谷は世界で初めて人工的に雪結晶を作ることに成功した。

中谷後の雪結晶研究
雪結晶レプリカ写真 1962年に中谷は他界したが、その後を受け継いで北海道大学で雪結晶研究を続けたのが小林禎作である。小林は、雪結晶についてわかりやすく解説した数々の本をのこした。(雪結晶に関する参考書のページ参照)


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