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山遊雑記 
外来生物法を考える
(2005年2月5日)

1月31日の夕刊でオオクチバスが外来生物法の特定外来生物の第1陣に加えられた事が報じられた。小池環境相の一声が効いたのである。もちろん、先送りを決定したと思ってたバス養護派釣り団体(日釣振、全釣り協)や釣り具メーカー、バスの恩恵を受けているところは猛反発している。この問題をよく考えてみたい。もちろん、これは、誰に押しつける意見でもなく、こんな馬鹿がいるんだぐらいで読んでほしい。
尚、パブコメに記載した内容ではありません。


■無関心だった過去

私はこのバス問題については、あまり関わってこなかった。トラブルの多いこの問題について「触らぬバスに祟り無し」の立場だった。別に私が参加しなくても既に、バス害論(今ではバス害などというと怒られる)が一般化しつつあったので、そのうちそっちの方向で収まるだろうと軽く考えていた。

■意識の変化

しかし、バスの生息地域は確実に増えていく。北海道まで、生息が確認される始末だ。バスは海を泳いでいけないのだから、誰かが持ち込み放流したのだ。「全くけしからん事だ」などと、偉そうに言いながら、相変わらず、なにをするわけでもない「触らぬバスに祟り無し」の立場なのである。口先だけの他力本願だ。しかし、「触らぬバスに祟り無し」の立場を変える事件があった。私の住む北上市の大堤公園、白鳥の飛来するきれいな公園で、バスが大量繁殖していたのだ。昨年9月に池の水を抜き、完全駆除を行い、駆除されたオオクチバス1108匹。(水産振興課HP該当頁)止水系だけと思ってたら大間違いだった。私が大好きな和賀川でもバスが捕獲されている。(同じく該当頁)花巻でも、金ヶ崎でも、胆沢でも、気がつけば、私はバスに包囲されていた。この実体を知り、愕然とし、岩手県民として、北上市民として、そしてなにより、仮にも魚を相手にして遊んでる身として自分の無責任さを痛感した。このときから、「触らぬバスに祟り無し」の立場を捨てた。知りながら、自分には関係ないと、放っておいて気がついたら、手遅れで、慌てふためいてバス駆除を叫ぶ、もっとも情けなく、指をさして笑われるパターンだ。でも、仕方がない。全て自分の無責任が原因なのだから。

■岩手のバスはなぜ増える?


岩手では、移植が禁止され、リリースが禁止され、地元が駆除活動をしているのに、なぜ増えるのだろう?噂されるように密放流が依然として行われているのだろうか?それとも、自然繁殖して拡大しているのだろうか?岩手で密放流で検挙されたケースは確か今まで無いと思うが、可能性は否定できない。やるとすれば、見つからないようにやるわけだから、検挙されていないから密放流が無いとは決して言えない。

仮に100歩譲って密放流が無いとしよう。駆除しても、リリース禁止にしても増えている。しかし、バス釣り向けのリリース禁止は漁業権が設定されてる地域だけである。漁業権が設定されていない地域では、堂々とバス釣り本来のキャッチアンドリリースで遊べるのである。もちろんバストーナメントだってできる。世間が反バスに傾けば傾くほど、バス愛好者は愛情と哀れみを持ってバスを優しくリリースする。もちろん、反バスの人たちは、この事に文句を言えない。できるのは、お願いぐらいだ。これでは、いくら県がバスによる生態系破壊(この言葉も禁句らしいが)を食い止めようとしても、自らそれを放棄してるようなモノである。繁殖できる環境を許しては、バスなどいつまでも居なくならない。ダムなり溜め池なりから、川や水路を通ってバスは自分の意志で移動できるのである。全ての水域でリリース禁止、持ち帰り禁止にしなければ、どんなに地元の人たちが泥まみれになって駆除してもいたちごっこである。

■外来生物法で何が変わる?

外来生物法ができ、ブラックバスが指定されるとどうなるのだろう?
研究目的以外の輸入や飼育、移植を禁じている。バスの問題に当てはめると、まず、バス釣り団体や業界が要求していた公設釣り場の増設の道が完全に絶たれるはずだ。

罰則も厳しい。密放流した場合、岩手県の例では、もっとも悪質な場合、懲役1年以下、もしくは罰金50万円以下であるが、国が定める外来生物法では 個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金 / 法人の場合1億円以下の罰金となっており、かなり厳しくなっている。つまり、密放流は、重大な犯罪なんですよと、抑止を狙っている。

もう一つ、この法律の目的は特定外来生物の防除である。この防除ってのが、よう解らない。駆除ではなく、防除。どうやら駆除には、害虫駆除などのように害のあるものを一掃するイメージがあるため避けたのだろう。今回の防除の定義は「地域や現場の状況に応じて完全排除、封じ込め、影響の低減」となっている。かなり幅のある意味だ。行政でいくつか場所を決めて防除を行う計画らしい。防除の方法も検討中だ。

個人はどうすれば良いのだろう。見つけたり、捕獲した場合でも、その場で放しても良いことになっている。確かに、指定生物の中には、危険な生物もいるので当然だ。例外は無い。つまりブラックバスについても適用され、わざわざキャッチアンドリリースは問題ありませんと書かれてある。残念!リリース禁止は従来通り各県で判断するより仕方がないようだ。まあ、なんでもかんでも、国に頼る必要はない。ここまでやってくれれば、かなり、駆除に対するはずみがつくはずだ。後は地元の意識を盛り上げて、完全駆除を目指せばよい。「環境首都いわて」を標榜するかぎり、バス対策において先進県であってほしいし、これからは私も積極的に動きたい。指定が決定したらまず岩手県全水域のリリース禁止を訴えたい。穏健派も多いだろうけど、強行に完全駆除を言うやつもいないとダメだと思うのですよ。国が遠慮して防除なんて表現使っても、今まで駆除の方針で来たんだから岩手県は駆除で行け!!釣ったら食え!食わなかったら生ゴミで捨てる!ブラックバスは駆除!増田知事と水産振興課は絶対、今まで通りこの表現を変えない事を約束してください。

■例外はあるのか?

というわけで、(ふ〜すっきりした)私は基本的に県単位で駆除を目指せば良いと考えるのだが、地元の意識を高めても、他も高まってくれないと、また密放流されないとも限らない。他の地域がどうするかも見ていかなければならない。意見する気は無いが、もっとも関心があるのは漁業権が設定されている4湖はどうなるかということだ。確かに立派に地域経済に貢献している。地元紙などを検索すると、危機感を持っており、ブラックバス特区にしてほしいなどの意見も出ている。

しかし、純粋に今回の法の精神から考えるとどうなる?研究目的では無い、りっぱな生産増産拠点である。こここそ、真っ先に防除すべきだ!しかし今日まで、バスで生業をたててきたのを、はい、明日からダメですとは確かに言えないだろう。基本方針によれば「学術研究の他、展示や教育、許可規制を行うことで遺棄や逸出等に対して十分な抑止力が働く生業などの場合に限り、飼育等の許可の対象とする。」とある。これにあたるのか?許可を受けていることを明らかにするため、技術的に可能な方法で識別措置を講ずることとある。できるのか?逸出についても相当疑問がある。この辺を考えて【魚類グループ会合 オオクチバス小グループ会合】の資料では、「配慮が必要」としているのだろう。どんな配慮をするのか注目している。まさか、完全な治外法権にはしないでしょうね?最低限、期間を決めて数を漸減させるぐらいの事はさせるんでしょうね?当然、バスの駆け込み寺にもしてほしくない。そして地元の人たちの意識が変わる事を望む。

■世界に笑われないために

パブリックコメントの提出開始だった2月3日の新聞1面に、タイムリーな記事が載った。世界最大規模の環境保護団体コンサベーション・インターナショナル(CI)が主催した研究プロジェクトの結果で日本が保全急務地域に認定されたのである。日本は地域の固有種が1500種以上でもともとの生態系が既に70%以上破壊されている地域だというのである。記事の中でラッセル・ミッターマイヤー会長は
「先進国にこれだけ貴重な生態系が残っていることは驚くべきことだ。自国の自然が世界的に貴重なものであることを認識し、保護対策を強化してほしい」
と話している。別にブラックバスの事を言ってる訳ではないが、このように世界から注目されている中で、経済効果云々で指定からはずそうという考えは全く笑止千万である。生態系を破壊して経済効果をあげるなど、世界の笑いものだ。経済だけ先進国で環境意識は全く後進国などというのは情けない話だと思いませんか?バス釣り団体さんは、そんなにバスがかわいそうなら、こんないじめられる国から、故郷の北米に里帰りさせてあげたらどうですか。それなら、私も完全駆除だ!食え!生ゴミ!などいわず、無償で回収を手伝いますよ。たくさんの人に呼びかけますよ。そして300万人の北米バス釣りツアーを組めば、今まで以上に経済効果があるんじゃないですか?そうすれば、誰もバス釣りに偏見も持たなくなるし、あなた達を尊敬しますよ。最後の一匹まで里帰りさせてあげたら国民栄誉賞ものですよ。

以上