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クライミング教室

2004年で一番大きな経験は、クライミング教室に通ったことだろう。日頃、登攀術に長けたいと思っているが、一匹オオカミとしては、自己流実戦登攀訓練しかない。一人であるが故に安全第一で高難度に挑戦するなどということはできず、限界を感じていた。

そんな時、北上市の広報で『初心者入門クライミング教室』を知った。これだ!きっと役に立つ!週2回の8回講座。早速飛びついた。

行ってみると若い人ばかりで、ちょっと気後れしたが、そこはオヤジの開き直りで、堂々と(笑)

ボード未経験とはいえ、滝登りで鍛えている。初心者コースなら案外すんなり登れたりして♪(^o^)と思ったが、大間違い(爆)。中段のオーバーハングで腕がプルプルしてギブアップ(^^;)。講師は『最初はどうしても腕に頼りますけど、足で登るんですよ。とにかく、慣れですよ。何回もやれば必ず登れますから』という。皆の『ガンバ!ガンバ!』の声もむなしく、挫折の日々が続く。(T_T)

最初は体力の問題と思ってたが、そうではないらしい。5、6歳の子供でも登ってしまうのだ。(正直ショックだった苦笑)もともと、運動神経が鈍いのは自覚しているが、6回目を終えてもまだ登れないとなると、さすがに落ち込み、止めようかとさえ思った。しかし、それではイワナ師としてのプライドが許さない。なぜオレは登れないのか?体で覚えることができないのなら、理詰めでいくしかない。家に帰ってからまじめに力学的検証をはじめた。

オレは腕で体重を支えてるから途中でギブアップしてしまう。クライミングは握力、腕力で登るのではないという。ハングしてるんだから、腕で支えないでどうする?重心の位置を考えてみた。自分の登り方は、足、腰、肩が一直線になるように心がけていた。つまりへっぴり腰にならないようにというつもりであった。普段登る前傾斜ならそれで鉛直方向に重心と体が一直線になるのだが、ハングしてるところでは、後ろに重心がきてしまう。どうしようも無いことだと思っていた。でも、足で登るのだという。腕力を使わずにどうやって体重を支えるのか?人間の重心はへそのあたりである。腰を突きだして、重心を出来る限り足の中心に近づければ・・・。単純計算でも、下半身が足で支えられれば、腕の負担は今までの半分になるはずである。当たり前の事なのだが、へっぴり腰同様、壁にへばりつくのも悪い登り方だと思いこんでいたのである。それは前傾斜の壁の話で、ハングした壁では登り方が変わって当然なのだ!(この後、遅くまで重心のベクトル解析をやってました(笑))

考えは正しかった。次の回に早速実践してみると、初めてクリアできた。感激だった。落ちこぼれのオヤジが登れたことで、ギャラリーも拍手をくれた。そして迎えた最終回には、汗もかかずに登りきる事ができたのである。さらには、クライミング独特のムーヴも『らしく』出来るようになった。ヒキガエル登りともおさらばだ。講師から、『綺麗に登れてましたよ』と言われた時は、ちょっと嬉しかった。

やっと、コツが分かったところでお終いになってしまったが、久しぶりに味わう何とも言えぬ充実感があった。この教室を終えてからの釣行では、以前よりもヘツリや登攀が格段に上達したような気になった。実際は大して実力は変わってないと思うが、歳をとるに従い、自分の可能性を封じ込めがちな中で、新しい可能性を見つけたことは本当に感激であった。本物の可能性かどうかは別にして、やはり人間はなにか希望を見いだすと、生きてる喜びが増すのである。