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山遊雑記 
続・職人釣り師の話

「今時の若ぇヤツは何が面白ぇんだか、堰堤に行って、ヒョイ、で、すぐ車に乗って次の堰堤でヒョイ、そんな釣りのどこが面白ぇのがなぁ・・。

オレなんかよう、釣りに行く時はよぉ、かっちゃ(奥さん)ににぎりっこ、前の晩に作らしてよ、夜が明ける前に車止めに行ってよ、夜が明けるまで川を守るんだ。で、夜が明けたら、にぎりっこ背負って、奥の奥まで釣り上がって行くんだ。魚もいなぐなって、水もなぐなるっくれ行ぐのが、面白ぇんだよな。」

職人の楽しそうな話しぶりに聞き入っていた。川を守るという表現が面白いではないか。

「この前よう、いっつものどこで、釣ってだらよぉ、若ぇのが二人、後ろがら来て山道上がって追い抜いでいぐのよ。すぐ、怒鳴ってやったのよ。『ごらぁ〜!待でっ!なんで抜いで行ぐんだ!!』そいづら、ぶつぶつ言ってるんでよ『車止めに車あったべ?そしたら先に誰が入ったっつの分がるべよ!なんで入っでくるんだ?』そしたら、なんて言っだど思う?『川はみんなのものです。後先関係ないと思います』オレはぶち切れてよう『なにが、川はみんなのものですだぁ?!オメだち、ねぼすけにそったなゴト言う資格は無ぇ!釣りしだがったら、オレより先にこぉ(来い)!!』怒鳴りつけでやったのよ!」

職人は、その時を思い出したのか、迫真の声で再現してくれた。先客がいたら諦めるか、きちんと説明して先を行っても良いか了解を得るというのは、釣り人なら、当たり前のマナーなのだが、やっぱりいる。まあ、自分も失礼なヤツは何度か見かけているが、この職人みたいに怒鳴りつける勇気がないので、話にますます引き込まれてしまった。

「そいつら、まだぶつぶつ言ってでよう、んだどもよぉ、オレは相手が二人だってオレは怖ぐねぇ。いっつも腰に鉈ぶら下げてるがらよぉ、相手が熊だって怖ぐねぇ。結局、二人して頭下げて、済みませんでしたって、帰ってたのよ。全く、今の若ぇのはろくなもんじゃねぇ」

そこまで、語ると、職人はニヤリと笑った。もしかしたら、その時、腰の鉈に手をかけていたのだろうか?(苦笑)