不良雑貨専門「だっぺ屋」の
山遊雑記|沢の主幻想釣行記友遊釣行記川柳画廊貧乏グッズ岩國渓流新聞漫画葛籠イカサマ・ペイント巡回サイト掲示板TOP


2003年5月18日

「おい、だっぺ屋、また来たのけ?」
「あぁ、来たよ。来ちゃ悪いカヨ」

哲学者のような顔した門番は微動だにせず、そのまま口を閉じてしまった。ここは、オレが、今一番大事にしてる沢だ。門番に会うまでに、難所がいくつかある。かといって、それをクリアしたからと言って、別に桃源郷があるわけではない。でも、人の匂いがしない沢なのだ。そして、ココにアイツはいる。難所を越えると、雪渓が待っていた。やはり、すこし早かったか。しかし、緑が大丈夫と言ってくれてる様な気がして、先へ進む。 途中、去年、アイツを見かけた淵で狙うも、お留守の様だった。どこかに引っ越したのだろう。



難所のゴルジュをなんとか、クリアする。渇水期なら、なんてことない、ゴルジュなのだが、今日は、かなり冷や汗をかいた。
(帰りは、増水し、冷や汗どころか、急所が縮み上がったぜ(苦笑))



今日の目的は、アイツの顔を見ること。昨年、アイツの影を見てから、取り憑かれている。雪渓からの流れで捕らえたのは、尺イワナだった。でも、こいつはアイツじゃない。オレが見たのはもっと大きかった。それでも、岩手に帰って初めての尺イワナだ。記念写真撮るにはちっと小せいなぁと思いつつも、ニヤニヤしながらザックの中の三脚を探してた。



やはり、嬉しかった。忘れ去られた沢。自分の足で探した沢。誰の助けも借りない。オレがオレだけを信じて、オレだけを頼りに挑んだ沢。閉ざされた沢での尺モノは、オレの気持を全て代弁してくれる。



その後も、泣き尺が釣れ、釣果には満足した。昨年その先を詰める事が出来なかった滝に辿りついたが、流れは轟音を立てていた。あの滝上にも良型がいたのは確認している。
アイツは、ずっと上まで行ってしまったのだろうか・・・。

(完)