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アユの「ガラ掛け」に賛否 気仙川
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2006年10月16日の「岩手日報」

<記事全文>

 住田町と陸前高田市を流れる気仙川のアユ漁は今年、数年ぶりの豊漁にわいた。現在は産卵期を迎えたアユを狙う落ちアユ漁のシーズンだが、アユを引っかけて釣る漁法の「ガラ掛け」をめぐり、釣り人の間で賛否が分かれている。減少する天然アユ資源の保護か、地域に伝わる川漁文化の伝承か―。渓流釣りのメッカと言われる気仙川の恵みを後世に残すため、アユの生態に沿ったルール作りが求められている。

 気仙川のガラ掛け漁は、気仙川漁協(佐藤啓一組合長)の組合員だけに許された漁法で、友釣り解禁から1カ月後の8月1日に解禁されている。

 アユは産卵期を迎えると産卵床を作って群れるため、そこでガラ掛けを行えば大量のアユを釣り上げられる。しかし、産卵を控えたアユの乱獲は、天然物の資源量に大きな影響を与えかねない。産卵期前でも、ガラ掛けにおびえたアユはおとりアユを追わなくなるため、結果的に友釣り客を遠ざけてしまっている。

 同市高田町で釣具店を営む笹崎浩丸さん(39)は「気仙川のアユ資源は天然物に依存しており、来年の釣果のためにも産卵期のアユは保護すべき。気仙川は全国的な知名度があるのに、友釣り客を呼べるのが7月の1カ月間だけとはあまりにもったいない」と、規制強化を求める。

 一方、レジャーとしての釣りが定着する以前は、気仙川のアユ漁の大半がガラ掛けだったことから、愛好者は「気仙川のガラ掛け漁は地域の伝統文化だ」と反論する。

 既に、産卵が最も盛んな9月末からの約半月間を禁漁としているほか、アユの人工増殖事業もガラ掛け愛好者が中心となって行っている。

 気仙川で50年以上ガラ掛け漁を続けている同市高田町の松田邦夫さん(67)は「地元住民が昔ながらの漁を行い、積極的に資源を守る活動をしているのに、なぜよそから来る釣り人のために伝統漁法をやめなければならないのか」と問いかける。

 北里大水産学部の朝日田卓准教授は「アユが縄張りを張っている8月からの解禁は乱暴と言わざるを得ず、解禁時期を遅らせるべきだろう。一方でガラ掛け漁は地域の伝統文化であり、資源保護に必要な禁漁区を設けるなどして受け継いでいくべきだ」と指摘する。

 佐藤組合長は「ガラ掛けを組合員の特権とするのは時代にそぐわず、資源保護のため禁漁区の設定も検討している。しかし古くからの愛好者も多く、簡単には決められないだろう」と地道にルール作りを進める構えだ。

 アユのガラ掛け漁 大きな針が多数付いた仕掛けで川底をなぞり、アユを直接引っかけて釣る。県内では盛川など8月下旬から解禁となる河川が多く、閉伊川などでは資源保護のためガラ掛けの区域を指定している。