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2004年9月19日
会津ヌメリ沢
三田村(L)、山咲、牛神、岩國
記 岩國 写真 山咲、岩國

ノーアシスト、ノーザイル
これが、日本吸盤協会のモットーである。これは、もちろん、個々の遡行、登攀技術を磨く事を意味しているが、本当の意味は人を頼り、安易に道具を使ってまで無理して登るな、自分の実力に応じて安全に遊びなさい、という戒めの言葉でもあるのである。

その日本吸盤協会は久しぶりに会津で親睦会を開くことになった。三田村、山咲、牛神、岩國のフルメンバーが揃い、連休で混み合う有名所は避け、無名のヌメリ沢へと向かった。


(3:30)車止め到着、沢の水量を確認するがかなり少ない。夜明けまで仮眠をとる。
(5:30)入渓。小雨がぱらつく天気だったが、雨具までは必要なさそうだ。雲も薄い。早速、竿を出してみる。7寸が出た。水量は少ないが、雨のせいか、魚の活性は高いようだ。しかし、平坦な河原で少々飽きる。
(7:00)最初のローカ地帯に突入。高巻きが通常ルートだが水量が少ないのでヘツリで突破する。

まもなく、F1到着。滝そのものは3M程だが直瀑で両岸とも20M程の垂直な岩壁。左岸の岩壁を登攀し高巻く。最後は70度程の壁を降りる。下降ルートには、十分な足場、ホールドがある。残置ロープがあるが、古いモノなので、いざというときにバランスを取る程度に使う。下降ルートはロープの支点から斜めに離れていくのに、体重をかけてしまい、強制振り子トラバースの体験した釣り師がいるらしい(過去自爆)
F1を後にすると、多少落差のある渓相に変わるが、平坦な流れが続く。 (8:30)雨が止み、遡行は軽快だったが、腹が減ってきたので、ここで大休止。朝食タイムとする。栄養補給を済ませると、いよいよゴルジュとゴーロが続く核心部に突入だ。


と、ここまでは沢屋さん風に書いてみたが、これからは核心部なのでちょっと状況描写やら、心理描写を入れないと(笑)

後半最初のゴルジュ、三田村、山咲が危なげなくヘツって行く。続いて牛神の番だ。今期まだ3回目という牛神はどうも勘が取り戻せていないようだ。慎重にヘツリ始めるが、どうもバランスが悪い。見ていて不安を感じるのである。そして・・・・

「あ”〜っ!!」

という叫び声と共に、大きな水しぶきが上がった。先で待っていた山咲と大声で笑ってしまった。牛神はしっかりと落ちた瞬間を撮られていた(笑)


さて、何度もこの沢を経験している三田村、山咲両氏も未知の領域に踏み込む。まもなく、最大の難所が現れた。カーブした先が小さなナメ滝なのだが、釜は深く、両岸壁に阻まれ、そのうえ壁がツルツルのヌルヌルなのだ。「ヌメリ沢」といわれる所以である(嘘)。

三田村が右岸、牛神が左岸を探るも、かなりの厳しさらしい。やっぱり、無理かと思ったとき、三田村が話しかけてきた。
「さて、こっちは岩國さんにまかして、ボクちゃんは牛神ちゃんの方試してみようかな〜(笑)」
三田村が謎の自信めいた笑いを残して対岸に渡る。

『よし!三田村さんと勝負だ!どっちが先にクリアできるかな?ふっふっふ、もしオレが遅れをとっても、三田村さんが諦めたルートを制覇したとなれば、一気にナンバー1になれる!』

早速、水中に足がかりを求める。手足のリーチの長さを生かして、なんとか水中に足の親指がかろうじてかかる程の小さな突起を見つける事ができた。足がかりの次は、手をかけるホールドを探す。注意深く探すと、1M程先に第一関節がかろうじてかかるホールドを見つけた。指先をかけ、重心を移動する。我ながら見事だ!

次は足をナメ滝の壁にフリクションを効かせ、効かせ、・・ん?全然効かない!(パニック)何度足をかけてもちっとも止まらない。あと一息なのに!だんだんもがいているウチに、態勢を維持しているのが辛くなってきた。

『くそっ!三田村さんは?、な、な、なにゅーん???!!!』
とっくに、登り終え余裕でこっちを見ている。仕方がない戻るか・・・
『戻れない!ま、ま、まずい!!、げっ!めちゃくちゃまずい!げ、限界だ〜!!!』

「ザイル〜っ!!」


一瞬あっけに取られた皆が一呼吸おいて爆笑する。後はご想像通り、岩國は足が滑り落ち、万歳の格好で足から流されたのである。惨めなスルメイカ状態だ。ここは「ザイルの滝」として伝説になるだろう(自爆)


(12:00)まだまだ、渓は続くが、今日は渓泊まりではない。既に6時間、釣りをしながらとはいえ、かなりのハイペースで登ってきた。帰りも3時間はかかるだろう。奥の二股で昼飯を食って帰ることにする。
皆、ラーメンの支度を始めたのに、三田村は左俣に釣査に出かけた。ほんと釣りが好きなんだなぁ(笑)やがて三田村が喜色満面で戻ってくる。どうやらウハウハだったらしい。食後、ほとんど竿を出していなかった山咲が三田村に勧められて、左俣に出かける。牛神は右俣に出かけた。すぐに8寸程の岩魚を手に牛神がニコニコしながら帰ってきた。山咲は尺モノをぶら下げて帰ってきた。
「年に1尾は尺を釣らないとね(笑)いやぁ、ほんとすごかったよ!」
山咲は嬉しそうに、すこし興奮しながら釣りの状況を説明する。仲間内に尺が出たことで、皆で盛り上がる。
帰りは、泳ぐ事に決定。まるで、悪ガキに戻ったかのようなはしゃぎぶりであっという間に帰ることができた。


牛神、行きま〜すっ! とりゃ〜!!
どっぽ〜ん!!


アタシャ、泳ぐなんてまっぴらゴメンだわ ほら、こうやって、華麗にへつるのよ
あれ?あれ?あれ〜っ!!
どっぽ〜ん!!


カメラ用意できた?
行きますよ!
どっぽ〜ん!!
上手く撮れた?(笑)


ツーショットを撮ってもらう三田村・岩國   飛び込み命!の牛神
そして自分の世界に入る山咲

(17:00)無事下山。街に降り温泉で汗を流す。その後、また林道に向かい野宿(核爆)全員大満足の釣行?いや沢登りもどきに乾杯!心地よい疲れから早々に三田村が眠り、牛神も眠り、最後、酒飲みの岩國と山咲だけが深夜0時まで四方山話をしてたとさ(笑)

しかし、今回ほど笑いの絶えない釣行はなかった。しかし、まだまだ釣りも遡行も三田村、山咲両氏には敵わないな。そういえば、帰りに牛神とはこんな会話をしたっけ・・・
「岩國さん、最高に面白かったっすね!また来たいですけど、岩國さんと二人だったら止めますけど(笑)」
「おれも、牛神ちゃんとふたりならごめんだな(爆)」
どうやら、当面の現実のライバルは牛神らしい(笑)ナンバー3の座をかけて、激しい火花が散った(核爆)

(完)