槌音は遠くに聞こゆ塩屋湾 入り江の春は今さかりなり
うららかに春陽はそそぐ水の面にかなしく咲ける蓮の紅(くれない)
降りそそぐ光りも淡き校庭に立ちてし思ふ我が卒業の日
崩れたる護岸に生えをる木麻黄の 幼(おさな)に張れる蜘蛛の巣一張り   
春寒の古城の跡にひっそりと 咲ける小花はかたかごの花
家持の詠みし花なる紫の 色濃き花はかたかごの花
流れゐる心の川よ神通川 水清ければ乙女のごとし
懐かしき人への思い抱きつつ来れども声を聞きしのみなる
氷雨降る浜はさびしや海晴らし 寄せくる波に誘はれゐつ
四十年ぶりに相見しは友の顔 おだしくまろくなりにけるかも
共に学びし友は三十九年卒 数珠のひとつも欠けずにあれ
三十五年ぶりに訪ぬる高岡の街は変わらず氷雨の中に
高岡の駅前通りは変わらねど 氷雨の中のわれのみ変わりゐて
角ぐめる桜の花の桃色の 霞みのごとくたなびきにけり