雨粒のたわわになれるゆうなの木 幼きころの夏寒かりき
雲海を分きつつ進む機の上を照らす宙にはフルムーンの月
雲海を下に眺めて飛べる機を 照らせし空にひとつなし
雲海を分きつつ進む銀翼の 上には月のかかりをるらむ
漆黒の雲間を抜けて見下せば 陸の灯りの怪しかりける
天空は雲一つなきに澄みたれど 地上の灯りの怪しきまでに
咲き誇りたる月下美人女王のごと 明けぬれば首をたれしままなる
明けぬれば首をたれをる月下美人 昨夜の栄の忘れがたくも
浜比嘉のイノウの色の青きかな 移れる雲に濃さを変へつつ
微風そよぐ津堅の島のモクモウの笙のごとき音に黙したり
夏盛る馬天の埠頭のまぶしさよ 裾野を渡る陰の濃かりき
絨毯を敷けるがごとき海の凪ぎ 山の麓を影の移りぬ
提灯の明かり灯れる馬天港 由なしごとに時は移れる
過疎村は園児三人始業を告ぐ その声朗々村に響きて
せせらぎに身をばゆだねて仰向けば 空に描かるマンダラの映ゆ
岩の上(え)に仰向きて聞く瀬の音の わが身の上を流るるがごと
眼を閉じ 仰向きつつ聞く水音の 聞こえしままに我はいまさじ
荒れし地に まばらに生ふる夏草の 露のつらなりロザリオのごと