*大樹*


              あの日 私は 裸のままで
 
                本当に 泣いていた


そして 時の樹が 枯れていくのを 待つことで

心からの孤独を得られると 信じていた。


                          小鳥は殺され

                          次はお前だと脅され
     
                          何が正しいのか
 
                          もう私は 泣きやしないけれど。



                  足のうらは ガラスと針にまみれ  これからも壊れていくだろう
   
                      想いは 忘却に 絶えたというのに



                あの日 私は 裸のままで 本当に 泣いていた

              身を纏う布を ひろう事すら 許されず

                   錆びた瞳から こぼれおちる水は赤くて・・・。


                       もう 殺してと乞う私を

                    体中で嘲笑う アナタを

              殺してしまった 私を

            狂わせていく アナタ・・・


                      どこまで 続くとしても 今は

                      時の樹が 枯れていくのを

                      信じているカラ


             あの日  私が生きていたことだけ

             今日  私が生きていることだけ

             おぼえていて  あげるんだ。




20010810発行詩集Baroque or Lilyより。


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