ゆめのうきはし


薫は、横川に僧都を訪れました。
ときめく右大将の突然の来訪に驚き、恐縮している僧都から、事のあらましをすべて聞きます。
平静をよそおっているものの、あまりの意外な話しに唖然として涙ぐむ薫の様子に、僧都は浮舟を出家させたことを後悔し、自分が過ちを犯したような気にさえなるのでした。

薫は僧都に、一緒に山を下りて小野に行き、浮舟との仲介をしてほしいと頼みますが、今は尼となった浮舟の心を悩ますことは僧として出来ないと、後日を約して薫の供をしてきた浮舟の弟小君に、浮舟あての手紙をことずけます。
薫は、人目をはばかってそのまま小野を過ぎ、京へ帰っていき、翌日小君を小野に遣わします。
僧都からの手紙には、薫の愛執の罪が消えるようにしてさしあげなさい、とあります。
浮舟は、自分の過去がすべて僧都に知られてしまったことを知ります。
訪れたなつかしい弟の姿に、母中将の君の姿を思い起こし、薫の文は昔のままに移り香にしみていました。

浮舟は、涙にむせびながらも、すべては人違いと、小君にも対面しようとせず、薫の手紙も受け取りません。
妹尼は、懸命に小君と浮舟との間をとりなしますが、小君は空しく帰るよりほかありません。

空しく帰京した小君から話しを聞いた薫は、浮舟の心をはかりかね、あらぬ疑いをもちます。
もしかすると、だれかが彼女を隠し住まわせているのかも知れない・・・・と。

自ら決意した一筋の道を、孤独に堪えて一人懸命に生きていこうとする浮舟の心は、今の薫には無縁なものになってしまったのか・・・・。


  • 薫と匂宮という当代きっての二人の貴公子から愛されながら、そのいずれをも選びとれずに入水する薄幸の「浮舟」。
    物静かで思慮深く夫にするには申し分ない薫ですが、一方で匂宮に会うとその情熱に負けてしまう、という、女性が持つ本性みたいなものを、浮舟に感じます。

    結末は、どこか将来を暗示させるように、余韻を残して終わります。続編を期待させるかのように・・・・。


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