桐壷の巻で源氏は12才で結婚しますが、ここからはすでに17才の恋多き青年貴公子として登場します。
美男子で頭がよく、やさしくて学問、知識、遊び何でもこい・・・の源氏は、今や世間の憧れと好奇心の的で、幾多の女性と出会い、多彩な恋に情熱を燃やします。
いよいよ「恋の狩人」源氏の登場です。

  • 「帚木」・・・「空蝉」との出会い。友人たちとの女性談義「雨夜の品定め」
  • 「空蝉」・・・空蝉の継娘「軒端の荻」との出会いと契り。
  • 「夕顔」・・・「夕顔」との出会いと別れ。愛人「六条御息所」の物の怪。
  • 「若紫」・・・少女「若紫」(のちの紫の上)との出会い。藤壷の懐妊(源氏の子)
  • 「末摘花」・・・「末摘花」との出会い。これが想像を絶する醜女。



ははきぎ

この巻では、友人たちとの恋の経験談や恋愛論に花を咲かせるいわゆる「雨夜の品定め」が展開されたあと、その翌日偶然にある女性と出会います。他人の妻です。
さかんに言い寄りますが、女性は拒み続けます。源氏は、はじめて拒否する女性を知ることとなります。




頭の中将
とうのちゅうじょう
左大臣の長男で、源氏の正妻「葵の上」の兄。源氏の義兄でもある。競争相手の右大臣の4番目の姫君と結婚している。
源氏の大親友で良きライバルでもある。物語の重要人物としてたびたび登場します。
空蝉
うつせみ
源氏の家来筋にあたる伊予の介の妻。偶然泊まり合せた源氏に言い寄られます。




五月雨の夜、宮中で宿直をしている源氏のところへ、とりわけ親しくしている源氏の義兄の「頭の中将」ら友人が来て、さまざまな女性との体験談や打ち明け話に花を咲かせていました。いわゆる「雨夜の品定め」と言われている部分です。
それぞれが、嫉妬深い女や浮気な女など自分の女性との体験談を語る中、頭の中将も、子供を設けながらもはかなく姿を消してしまった女(実はあとから出てくる「夕顔」で、その子はシンデレラ要素を持って登場する「玉鬘」です)の話をします。
源氏はこれらの話を聞きながら、中流の女に興味を持つものの、心の中はただ一人の恋しい藤壷の宮のことばかりをおもい続けています。

翌日、久しぶりに妻のいる左大臣家を訪れた源氏は、その夜、方違え(目的地の方角が悪いので方角の良い方に一泊する信仰)のため急に中川の紀伊守の別邸に行くこととなり、そこで伊予の介という老人の若い後妻「空蝉」と出会います。

源氏は、人々が寝静まったあと、その閨に忍び込みます。空蝉は意外な抵抗を見せ、てこずらせますが、結局抗しきれません。
その後も源氏は空蝉の弟に手引きをたのんで言い寄りますが、我が身のほどを思い、涙にむせびながら源氏を拒み続けます。
源氏は、初めて自分を拒否する女性を知ります。

  • このあたりから、源氏の女性遍歴が活発化し、いかにも女を扱い慣れた青年といった感じがします。それにしても、いつの世にも、おんなたらしといわれる男性は、まめのようです。

・・・・・ほんの少し、雰囲気を。

空蝉との契りの部分

君は、とけても寝られたまはず。いたづら臥しと思(おぼ)さるるに御目さめて、この北の障子のあなたに人のけはひするを、こなたやかく言ふ人の隠れたる方ならむ、あはれやと、御心とどめて、やをら起きて立ち聞きたまへば、ありつる子の声にて、「ものけたまはる。いづくにおはしますぞ」と、かれたる声のをかしきにて言へば、「ここにぞ臥したる。客人(まらうと)は寝たまひぬるか。いかに近からむと思ひつるを、されどけ遠かりけり」と言ふ。寝たりける声のしどけなき、いとよく似通ひたれば、妹と聞きたまひつ。

源氏の君はくつろいでおやすみにもなれない。つまらぬひとり寝かとお思いになると、目がお覚めになってしまって、このすぐ北側の襖の向こうに人の気配がするので、こちらが話にでた女の隠れている所だろう、因縁だなと、放っておけないお気持ちになって、そっと起きてきて、立ち聞きをなさると、さっきの子供の声で、「もしもし、どこにいらっしゃいますか」と、かわいいかすれ声で言うと、「ここに寝ていますよ。お客様はおやすみになりましたか。どんなに近いのかと案じていましたが、でも、案外遠かったのね」という。しまりのない寝ぼけ声が、あの子によく似ているので、、その姉だなと君はお思いになった。

日本古典文学全集「源氏物語」(小学館)より



余談ですが ・・・ 「 源字物語 」

「帚木」・・・ふりがながないと正しくは読めないでしょう。おそらく「ほうき」がいいところ。
「帚」を漢和辞典で引くと、ソウ、シュウと読み、ほうきの形とほうきかけの形を合わせた合字でほうきをたてかけておく意。
「帚」に竹かんむりをつけると「箒」(ほうき)になり、テヘンをつけると「掃」(はく)になる。なるほど納得。
しからば、女へんをつけると・・・「婦」になる。これももしかしたら源氏物語が「源字」かも・・・。





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