「週刊朝日」12月 14日号に以下の書評を寄稿した。立花隆氏は科学の「伝道者」であって科学者ではない。伝道者は、その言説を広めるためにはレトリックを弄して人を煽る。そこに非科学的、ロマンチック、あいまいな表現が垣間見えるのは宿命的である。本書の著者は、若さゆえか、そのいちいちに噛み付いている。私の見るところ、立花氏は相当なロマンチストであって、そのことを、とても怒る気にはならない。
書評 『立花隆先生、かなりヘンですよ』谷田和一郎著 洋泉社刊・1500円+税
副題・「教養のない東大生」からの挑戦状
よくぞ書いたり、立花隆批判! 「教養がない」と氏になじられた東大生からの反撃だ。「知の巨人」と称される氏を批判して「非科学的」、「オカルト的」ついには「オウム的」とまで論断する。腰の引けた書名だが、内容は真っ向から氏にケンカを売って、論壇からの「退場」を促している。
著者によれば、立花氏の無知な言説がITバブルを煽り、環境ホルモンや遺伝子組み替えについての事実誤認は失笑もの、その一々を、氏の著作から引用して叩いている。
「よくぞ」にはもう一つ意味がある。折角の立花批判がこんなカタチでいいのか?「よくぞ拙速なことをしてくれた」という野次馬の嘆きである。
まず、主戦場を「自然科学」に限定したことで広範な読者の興味を殺いでしまった。次に、立花本からの引用がめったやたらの一八〇箇所! 「いいとこ突いてる」と思った瞬間、すぐまた引用だ。これじゃ、「氏からフンドシを借りてようやく相撲が取れました」。第一、ここまで大量の引用は著者の了解なしでは失礼ではないか。
東大生は教養もないが、礼儀も知らない。「自爆本」とも「売名本」とも取られて、とても「立花氏からまっとうな反論をいただける」わけがない。
最後に著者は言う「氏は、マスコミからは重宝がられ、読者からは権威として受け入れられ、科学者からは放置されている」。その通り。それを一行目に、自分の言葉だけで書き直すべきだ。「立花現象」とは、マスコミ人の不勉強、そして自分の言葉をもたないことの結果なのだから。