宇多田ヒカルに激怒したNHK幹部の非常識


私が鎌倉・東京間の横須賀線で愛読する新聞に「東京スポーツ」がある。

略して「トースポ」。情報の信憑性が疑わしいときの表現に、「あいつの情報はトースポ並」と、一部で蔑称に使われる。しかし、トースポをバカにできる、どんなご立派なメデイアが日本にあるのか、きいてみたい。

ことの真相に迫らない点では、五十歩百歩である。何しろ日本国民は、小渕倒れて、どうやって森が総理に選ばれのか、真相を伝える、ただ一つのメデイアももっていないんだぜ、ベービー。

さて、その「トースポ」の12月17日(日)付け、全面記事で次のような見出しが踊っている。

宇多田ヒカルにNHK激怒
HPで言っちゃった「紅白は一度も見たことない」
報復口走る幹部「もう、一生出さない」
全面戦争へ発展も


彼女は、再三にわたるNHKの懇願にもかかわらず、紅白を辞退している。ファンからの問い合わせに、彼女自身のホームページ上で「だって、紅白は一度も見たことないし」とヒカルは答えた、というのだ。

これがNHK幹部諸氏のアタマにゴチンだった。怒った怒った、もう海老沢勝二会長など、ヤカンのような頭がグラグラ煮えたぎっているふうな写真も出ている。

バカにされた、と思ったのだろうが、少し、頭を冷やしたらどうか。私のラジオ番組に出てくれた齋藤圭子さんが、こう言った。
「彼女、本当に年末年始、日本にいたことないのよ。紅白見たことないって、ただそれだけのことよ」。

齋藤さんもまた帰国子女で、向こうにいた間は「紅白」など見たことなく、何の思い入れもないわけだ。

「見たことない」という発言を、「俺たちへの敵意」ととる、NHKの権威主義的感覚こそ恐ろしいではないか?

何しろヒカルの頭の中は、コロンビア大学での勉学と、自分のアルバム作りに集中している。人は自分の熱中を貫く権利があるはずだ。

それを気に入らないと「報復」を考える。異常なのはどっちだろう? つまりいかに普段、日本の芸能人がNHKにシッポをふっているか、それにNHK幹部が慣れきっているか、がこれでわかる。

ペルーのフジモリ元大統領が「日本人」だったと驚くメデイアは、宇多田ヒカルが本当に日本人かどうか調べ直したほうがいい。もう自分の常識が通用しなくなる、なんでもありの時代なのだから。

私のNY在住の友人は、アメリカ生まれのヒカルのことを、完全に「アメリカ人」だと思い込んでいる。もしアメリカ人が「紅白を見たことない」と言っても、NHK幹部はそれほど怒らなかったに違いない。

紅白は、日本人ならぜったいに見るもの、こういうジョーシキにこり固まったNHK幹部に「報復」されないために、みなさん、紅白は必ず見ましょうね。