『平成20年度 防衛講演会開催』 

 

 平成21年2月20日(金)1400からJR大船駅近傍の鎌倉芸術館において、海洋政策研究財団研究員の小谷哲男氏を講師に迎え、平成20年度の湘南水交会防衛講演会が実施された。当日はややぐずついた天気であったが、約100名の会員が参加した。

 講演会は、落合会長の挨拶、講師の紹介で始まり「空母ミッドウェイの横須賀配備とその戦略的意義」をテーマに興味深い話を伺うことができた。空母の横須賀配備は、ミッドウェイが昭和48年配備されてから、インディペンデンス、キティホークそして昨年ジョージ・ワシントンに受け継がれ、早35年を迎えるが、本講演に先立ち湘南水交会の事務局には、「演題は空母ジョージ・ワシントンの間違いではないのか」との問い合わせが多数あったことからも、会員の講演に対する期待の高さが窺えた。

 この分野の研究はあまりなされていないそうで、講師は、米国ヴァンダービルト大学日本研究センター客員研究員、同大学東アジア研究プログラム教官の経験及び米国政府が公開した公文書等から、空母の海外母港化構想の背景、その戦略的意義、候補地の選定、冷戦後の空母配備の意義、原子力空母の横須賀配備及び今後の課題等について研究され、その成果を分かりやすく講演された。
 講演の中で、ヴァンダービルト大学教授で元米海軍士官として日本の勤務も長かったジェームス・E・アワー教授が1960年代から日本にかかわった40年間の中で、空母ミッドウェイの横須賀配備が最も重要な出来事で、この空母の配備により日米安全保障体制が格段に強化され、この地域の安定に役立ったと語ったことが紹介された。また、アワー教授は、日本人に特に馴染の深いライシャワー元駐日米国大使のハーバード大学における教え子であったことも伺って、人の縁の不思議さを感じた。

 講演終了後、数名の会員から質問の手が挙がり1時間半の講演は参会者の大きな拍手の中終了した。引き続き同会場は、役員により15分程度で模様替えされ、恒例の講師を囲んでの茶話会に移った。茶話会は、来賓の紹介で始まり、コーヒーとケーキを楽しみながら講演内容への賛辞を交えた賑やかな歓談の中、予定どおり1630閉会となった。今回も100名という多数の参加者となり、防衛問題への関心の高さが強く感じられた。
       
                                          (武田常務理事 記)


                               講師 小谷 哲男 氏 (海洋政策研究財団研究員)

                                                    (武田常務理事 撮影)