『13,000トン型 護衛艦「ひゅうが」の引渡式・自衛艦旗授与式に参列』

 「はるな」型DDH2隻の後継1番艦DDH「ひゅうが」の引渡し及び自衛艦旗授与式が3月18日IHIマリンユナイテッド渇。浜工場において挙行された。平成19823日の進水式において「ひゅうが」と命名されたが、これは「強い陽光を受ける国」という古語で、宮崎県地区を表す由緒ある艦名である。先代「日向」は、大正7年4月竣工の戦艦で「長門」型に次ぐ有力艦として終戦まで活躍した武勲艦であった。

会場となった岸壁から見上げると、飛行甲板まで続く艦側面と艦橋が仰ぎ見え、正にかつてなき威容であった。関係者500名が参列して10:30式典開始、マスト上のIHI社旗の降下に続いて武田良太防衛政務官から自衛艦旗が山田勝規艦長に手渡された。続いて飛行甲板上に来賓及び乗員が整列し、岸壁の参列者全員が見守る中、国歌「君が代」の演奏と共に自衛艦旗が艦尾旗竿に掲揚された。

出港までの時間を利用して、昨秋より続けられてきた「海上公試」の映像が紹介された。「ひゅうが」は30ノットを超える速力と、優れた旋回性能が確認された。飛行甲板は197mの全長にわたってほぼ全通しており、発着艦スポットは4箇所、エレベーターは2基あり、ヘリコプター(以下、HSという)4機の同時発着艦画可能である。また飛行甲板左舷には、キャット・ウォークが設けられ、HSへの給油作業が効率的に行えるようになった。HSの運用試験はSH−60K哨戒ヘリに続いて、大型のため護衛艦には発着艦できない掃海HSのMH−53Eとその後継の掃海・輸送HSのMCH−101の発着艦試験が繰り返された。これにより、海上自衛隊のヘリ運用は新しい時代に入ったといえる。

本艦は、イタリア海軍の軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」と排水量、全長、全幅が近いといわれているが、この伊艦は哨戒ヘリとV/STOL攻撃機計16機を搭載するのに対して、「ひゅうが」は、試験艦「あすか」で実用化された多機能レーダー、大型ソーナーに特徴があり、また艦内の容積が大きく、洋上の指揮艦として、さらに有事以外もPKO、邦人救出、大規模災害等、本来任務以外においても、高い能力が発揮されるものと期待されている。

 出港式は13:10から行われ、造船所側から乗員代表に花束贈呈の後、報道陣のヘリコプター数機が旋回する中、配備先の第1護衛隊群第1護衛隊の母港横須賀に向けて出港した。

     (阿武副会長 記)

                           写真提供:横監広報