令和5年度インド太平洋方面派遣部隊護衛艦「いずも」帰国行事に参加  

 令和5年9月12日(火)、海上自衛隊横須賀基地逸見岸壁において、令和5年度インド太平洋方面派遣訓練(Indo-Pacific Deployment 2023:IPD23)に従事した護衛艦「いずも」の帰国行事が行われ、湘南水交会から眞木会長が参加した。

海上自衛隊として2017年から実施されている本派遣も今回で7回目であり、行動期間中の一部の訓練には陸上自衛隊及び航空自衛隊も参加した。

 IPD23部隊は、第1水上部隊(護衛艦「いずも」・「さみだれ」・「しらぬい」及び搭載航空機4機、約880名)、第2水上部隊(輸送艦「しもきた」及びLCAC2隻、約140名)、第3水上部隊(護衛艦「くまの」、約90名)潜水艦部隊(潜水艦1隻、約80名)で構成され、インド太平洋方面の十数か国を訪問し、約30にも及ぶ共同訓練、親善訓練、訪問等を行っている。

 海上自衛隊の公表によれば、護衛艦「いずも」は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携を強化すべく、日米仏共同訓練(Multi Big-Deck Event)、日米加仏共同訓練(ノーブル・タイフーン)、日米加共同訓練(ノーブル・レイブン23)(これらは何れも、米国主催大規模広域訓練2023(LSGE23)の一環として実施されたもの)、日ベトナム親善訓練、日豪共同訓練(トライデント23)、米豪主催多国間共同訓練(タリスマン・セイバー23)、日パプアニューギニア親善訓練、日米豪比共同訓練、南シナ海における対潜水艦訓練、日米加共同訓練(ノーブル・スティングレイ)に参加した。(細部は、海上自衛隊公式HPをご確認ください。https://www.mod.go.jp/msdf/release/)

 式典では、IPD23第1水上部隊指揮官である第1護衛隊群司令 西山 高広 海将補による帰国報告が行われた後、自衛艦隊司令官 齋藤 聡 海将から、所期の目的を果たして任務を完遂し帰国した部隊に対する慰労の辞が述べられた。この中で齋藤司令官は、出国行事においても言及された、『力による一方的な現状変更の試みは許さない』という我が国の強い意志を、同盟国及び同志国と共に示した成果を強調された。また、長期間の行動に不慣れな若い隊員に対して、本日「いずも」がこうして無事に帰国できたのも、諸君一人ひとりが不安を克服し、その持ち場で与えられた役割を確りと果たしてくれたお陰であると語りかけた。

 また、式典の終了後には、多くの出迎えの隊員や派遣隊員家族の見守る中で、派遣期間中に特に功績のあった6名の隊員を紹介し、司令官自らチャレンジコイン(*)の流儀に則り、指揮官のコインを手渡した。

 帰国行事はアットホームな雰囲気が感じられる簡素なものでしたが、「いずも」をはじめIPD23部隊が成し遂げたことは、戦後最も厳しい安全保障環境に於かれた我が国にとって、また、力による一方的な現状変更の試みに晒されているインド太平洋地域の安全保障にとって大きな貢献を為したものであり、「参加した隊員一人ひとりに、そしてその留守を支えたご家族に対して感謝申し上げたい。」、そんな気持ちを抱く機会を与えてくれる、とてもいい時間となった。
 (眞木会長 記)

<余 談>

チャレンジコイン(Challenge Coin)は、帰属意識や士気を向上させるために隊員に与えられる金属板で、部隊名(指揮官の職名等の場合もある)、ロゴ等が刻印された直径4センチ程度のコイン状のものが一般的であるが、貨幣としての価値はない。部隊長クラスが持つコインは、部隊内で功績のあった隊員の表彰や自衛隊支援・協力関係者等への感謝、部隊を訪問した海外部隊指揮官等への友好の証等として手渡される。その際、握手をする右手に隠し持ち、握手をした瞬間に相手の手のひらに渡すのが一般的な流儀である。元々は米軍において行われていたものであるが、近年は自衛隊においても一般的に実施されている。

友情の証として他国の軍人に渡すこともあり、その一例としてこんなエピソードがある。

1992年1月23日、東京から630海里の沖合でF−16から緊急脱出したパイロットを海上自衛隊第71航空隊の救難飛行艇US−1A 9081号機が救助した。その約20年後の2015年9月29日、在日米軍兼第5空軍司令官となったジョン・ドーラン中将が岩国基地を訪問した際、荒天で困難な状況の中にあって自分を救助してくれた当時のクルー3人と再会し、心からの感謝を伝えるとともにチャレンジコインを渡している。


  

  

  

 (眞木会長 撮影)