砕氷艦 初代「しらせ」見送り

 平成22210日(水)、海上自衛隊横須賀基地において、「宗谷」「ふじ」に続く3代目の南極観測船として南極観測事業を支えてきた砕氷艦「しらせ」(AGB:11,600トン)が、民間の気象情報会社「ウエザーニュース」に引き渡された。

 初代「しらせ」は、日鋼鶴見で建造され、昭和571112日に竣工して、平成20年7月30日に退役するまでの25年間に12,635名の観測隊員と約30,000トンの物資を輸送するとともに、国内巡航において200万人以上の体験航海を実施した。

 出港の式典が行われた吉倉岸壁には、氷細工と砂糖細工の「しらせ」が飾られていた。

 初代「しらせ」は、海上自衛隊横須賀音楽隊が「蛍の光」を演奏する中、文部科学省、ウエザーニュース社の関係者、防衛関係諸団体及び横須賀基地所在の隊員並びに26日インド洋における任務を終えて帰国したばかりの護衛艦「いかづち」を始め、試験艦「あすか」、海洋観測艦「わかさ」、多用途支援艦「えんしゅう」、更には海上からEODのゴムボートなどが見送る中、3隻のタグボートに曳航されて母港を離れた。 特に、各艦の乗組員が甲板に整列して帽振れと、汽笛の吹鳴される中で曳航される姿は、感動的で極めて感慨深いものがあった。そして、舵とスクリューを取り外された姿に、初めて初代「しらせ」の退役を実感した。

 湘南水交会からは、功刀会長、古賀理事、中村理事長、岩岸常務理事の4名が参加した。

 初代「しらせ」は、退役後、解体処分される予定であったが、くず鉄相場の下落による再公募の結果、ウエザーニュース社に嫁ぐこととなったものである。初代「しらせ」は、3月下旬まで、横浜市の三菱重工業竃{牧工場で検査や補修を受けた後、千葉県船橋市の船橋港(コンビナート岸壁)に係留されて、5月からは一般公開される予定である。また、気象観測や地球環境の情報発信を行う「SHIRASE」としても活用される計画である。

                                                          (中村理事長 記)

 





                                          (中村理事長、古賀理事 撮影)