第 3 章
相 談 2
 融資を断られた私達は、結局クレ・サラ被害者の会に相談する。そこの相談員は真剣に相談にのってくれ、債務整理の概要や関係してくる法律等まで簡単ではあるが親切に教えてくれた。
 クレ・サラ被害者の会がある司法書士事務所が特定調停を専門にしている事、そして特定調停に関する勉強会がある事、等が理由で司法書士にお願いする事にした。
勉 強 会
 勉強会の1回目だけ私も参加した。あまりの参加者の多さに驚く、小さい教室に25名程、教室に入れない人もいるほどだ。勉強会の内容は、現在調停中の参加者の途中経過やその問題点等を取り上げたり、質問の時間を設けたり、というものだった。沖縄の調停の現状を知るにはいい場所だなと思った。
特定調停
 資力検査は妻が一人で行った。仕事から帰って感想を聞く。妻の口から聞いた調停委員は本土とはかなりの違いがあるようだった。

 調停期日がやってきた、私は事前に上司に説明し休みを貰っていた。全債権者(6社)同時に同じ部屋での調停である。6社のうち2社は以前に一度完済している。計算書の開示請求をしていたが、この2社は計算書を出してくれなかったので行政指導を出していた。そのうちのS社はやはり1回目の計算書は出せないと言う。この1回目の計算書の開示に関しての話が難航し、なかなか先に進まない。又、債権者の提示する計算書と私達自身で作った計算書が違うところもあったが、「債権者は貴方達のお金の入出金をコンピュータでちゃんと管理しているのだから間違ってるはずがない」と言って、調停委員は私達の計算書は見てもくれない。

 そんな中比較的付き合いの短いR社と合意し、書記官が記録、そして裁判官が内容を読み上げる。その後、裁判官が「なんだ、まだ1社しか合意していないのか?」と調停委員に理由を聞いている。調停委員がS社の1回目の計算書開示についてもめている事を説明。すると裁判官が「1度完済した分の計算書を要求!?そんな馬鹿な事があるか!例え、裁判起こしても勝てないよ!」と言い、それを聞いて調停委員2人と、債権者の皆が笑い出した。1回目の計算書の開示は首都圏等では調停委員をはじめ裁判所自体率先して開示請求を行う方針だと聞く。又、全国的にそうする裁判所が増える傾向にあるという。そのような傾向の中での発言に私は沖縄の裁判官の資質を疑った。
調停委員もそうである、本来調停というのは債権者と債務者の話し合いの場であり、双方の意見の折り合いを付けるのが調停委員である。しかし、私達の調停委員は債務者の意見を何一つ聞いてはくれなかった。私達が話そうとすると「交渉は調停委員がやるから貴方達は黙ってなさい」と怒り出す程だ。そして調停委員の交渉はというと、

調停委員:「将来利息は何%にするの?」
債権者 :「うちは18%です。」
調停委員:「もう少しどうにかならないか?」
債権者 :「駄目ですね。」
調停委員:「そうか、じゃあしょうがないな」

 これで終わりである。そのような後に先ほどの裁判官の言葉である。正直気が滅入ってしまいそのまま1社、2社と合意した。その後、時間がないので残りは次の調停まで持ち越しとなった。
迷  い
 第1回調停期日から第2回の調停期日までは一月以上の期間があった。その間、私は1回目の計算書を出さないS社を弁護士による任意整理に切り替えようか迷っていた。1回目の計算書は取引期間を考慮にいれると20万近くの減額が期待できるからである。ただ、以前に相談した弁護士の印象がよくなかった事、又弁護士に頼んでも確実に減額できる保障がない事などが気掛かりだった。

 迷っているうちに私の気持ちに変化が現れる。もとはと言えば、妻をブラックにし、借金できない環境を作る事が一番の目的であったはずである。ある程度減額でき将来利息が18%に下がるだけでもかなり助かりありがたい事だ、とこのように気持ちを切り替えた私は弁護士に以来するのを止めそのまま調停をする事で気持ちが固まった。
特定調停2
 第2回調停期日の日、1回目から一月以上間があったのでその間の遅延利息もしょうがないという思いで調停に望んだ。ところが私の予想しない展開になる。

 残りの3社とも遅延利息はいいと言う。そしてS社は1回目の計算書を出さない変わりにこの間提示した金額より2、3万ほど下げてきた。さらに将来利息も取らないと向こうから言ってきたのである。まあ、1回目の計算書を出すよりはこの方が利益があるという事だろうが、私は正直嬉しかった。A社はこの間持って来た計算書に間違いがあったから新しいのを持ってきたという。見るとこの間より少し下がっていた。A社は残高が残り少ない事から一括にする事に。
 問題はS社と同じく行政指導を出したK社であった。K社は1回目の計算書を持ってきたが行政指導を出した事を怒っており一括以外は合意しないという。どうしても折り合いがつかなかったのでK社は一括払いになった。

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