<目と耳で科学>なんでもラトルバック |
'00 青少年のための科学の祭典北海道大会実験集原稿
水平な机の上に“それ”をおいて,ある向きに回します。すると,回転の途中でガタガタと激しく揺れ始め,その揺れが収まると同時に逆回転します。何のタネもしかけもありません。学校の物理の先生も首を傾げることしきりです。このふしぎな物体は名前をラトルバックといいます。ラトルバックを自分で作ってみましょう。
よういするもの
背中の丸まった細長いもの(例えば,コードレスホンの受話器,ホチキス,合成樹脂製トレーナーハンガー,その他いろいろ),おもり2ケ(使用済み単三乾電池など),セロテープ
やりかた
丸まった背中が下になるように,本体を机の上に置きます。この状態で回すとどちら向きにもクルクルとよく回ります。
次におもりをセロテープで図の位置に固定します。
たったこれだけで,逆回転するラトルバックが出来上がります。
ふしぎはどこだ
ラトルバックを,図の向き(おもりのついていない側が前になるように)に回転させます。すると・・・。
どうです?ふしぎでしょ?
最初に回す向きを逆にするとそのまま回り続けます。
考えかた
ラトルバックの端を指で押して振動を与えてみます。ラトルバックはガタガタと揺れた後,ある決まった方向へ回転を始めます。それは,ラトルバックが最後に回る向きと同じです。すなわち,ラトルバックは回転したい向きが最初から決まっていて,その向きに回されたときは何も抵抗しないが,反対に回されたときは途中で逆らってでも,最終的には自分の好きな向きに回転するのです。
もっと知りたい人へ
ラトルバックは「ケルトの石」ともいって,エジプトでは子供のおもちゃとして親しまれているそうです。
なぜ回る向きが決まっているのかについては,ラトルバックの丸まっている底の形と,物体の質量分布の対称軸が互いにずれているためということですが,詳しいことは現在私の勤務校の科学部が研究中です。
参考文献
神谷拓生「ラトルバックに挑戦」子供の科学1999-8
戸田盛和「いまさら一般力学」パリティ1994-3(ぶん:石川昌司)
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