手作りWebページで自学自習する授業(Web授業の実践) |
1.はじめに
高校のパソコン教室にも,ようやく生徒用コンピュータが40台が並ぶようになり,生徒40人のクラスでパソコン室を利用しても一人一台のパソコンを使わせることが出来るようになってきた。最近では,それらのパソコンのすべてがインターネットに接続されている学校も多いだろう。筆者の勤務校のパソコン室も2000年秋にインターネット接続された。それを機会に,筆者は,自分の授業でWebページ(通称ホームページ,以下Webページという)を“教材提示装置”として使ってみることにした。
しかし,ただ教材を提示するだけでは面白くないので,教師の指示がほとんどなくても,生徒が自分なりのペースで自由にその時間の学習活動を進めていけるように工夫した。具体的には,生徒がその時間にやるべき課題を書いたWebページを用意しておいて,生徒は時間の最初にそのページをアクセスし,出された課題を指示された方法で解決しながらその時間の学習活動を行い,最後にその成果を教師宛にメールの形で報告するような形で行った。このような授業は,生徒が自ら主体的に学習に取り組む姿勢を育てる上で効果があると思う。筆者はこの授業を「Web授業」と名付けている。
2.授業記録
2001年1月から2001年6月までの間,筆者が勤務校で行ったWeb授業は計5回である。
1回目1月20日3年理数科 アインシュタインの,人物伝または科学的業績業績を調べさせる課題。 2回目1月26日2年普通科文系クラス物理 光速について書かれたWebページをアクセスし,光速について学習し,指定フォームに従って質問に答えさせる課題。 3回目2月9日2年普通科文系クラス物理 パソコン室サーバ機のHD内の指定のプログラムを起動し,凹面鏡と凸面鏡,凹レンズと凸レンズに対する光線の反射と屈折のシミュレーションを通して,幾何光学の法則を学習し,指定フォームに従って質問に答えさせる課題。プログラムの起動の仕方,操作方法,シミュレーションの条件等は最初にアクセスするWebページにほとんど書かれている。 4回目3月14日2年普通科文系クラス物理 2000年にノーベル賞を受賞された白川英樹博士の札幌講演の模様を記録したWebページをアクセスし,読後,感想をメールにまとめて報告する課題。 5回目5月7日3年普通科理系クラス物理 電流と電流計,電圧と電圧計についての実験と解説が説明されているWebページをアクセスし,自分も同じ実験を行いながら学習し,回答フォームにしたがって質問に答えさせる課題。 Web授業を行うときは,授業者は,授業前までに課題を書いたWebページをWebサーバの所定のフォルダにアップロードしておく必要がある。校内LAN内にWebサーバがすでに動いている場合はそこに置く方法もあるが,私は,授業の前の日の晩に,自宅からインターネット上の自分のホームページにFTPでアップロードする方法を用いている。その方が,時間を気にせずゆっくり課題を考えたりWebページをデザインしたり出来るからである。
実は,3回目のWeb授業は,筆者は最初の10分程度しか授業に同席せず,残りの大部分の時間は自習扱いで別の先生に面倒を見てもらった。この先生は生物が専門の年輩の先生で,かわった自習監督を頼まれて内心いい迷惑だったのかも知れないが,授業最後のメールの送信の仕方とパソコンの電源の切り方を説明して,それだけで大丈夫ですと言うと快く引き受けてくださった。筆者は,その日の授業の最初に,課題が書かれたWebページのアドレス(URL)とそのページを開くためのパスワード(後述)を生徒に指示し,後はその先生にお願いをして,ばたばたと出かけてしまった。その後,帰ってきてからその先生に授業の様子を聞いてみたところ,生徒は全く私語もせず,その時間いっぱい真剣に画面に集中していたそうで,全然手間はかからなかったということだ。このクラスはその日が2度目のWeb授業であり,それぞれが自分のペースで自由に課題に取り組んでいた証拠だろう。もちろん,その日の筆者のメールボックスには,クラス全員からの課題報告メールが届けられたのは言うまでもない。
これなら,授業者の長期出張中における自習課題の出題や提出レポートの受付・添削作業もインターネット上で行えるかもしれない。筆者は今までもモデム内蔵のノートパソコンを持って出張する習慣だったので,このような学習指導が出来ると非常に便利だと思う。
3.パスワードによるアクセス制限
最初に生徒がアクセスするページには次のようなことが書いてある。
石川昌司のWeb授業この先は石川昌司が札幌啓成高校の授業で用いるページです。生徒諸君は自分のクラス名のリンクボタンを押し,授業時間に示されるパスワードを用いてアクセスして下さい。
それ以外の方の出入りはご遠慮願います。
クラス名のリンクボタン 本来Webページはすべてのインターネット利用者に対して公開されているのが原則だが,その時間そのクラスでだけしか使われない学習課題のWebページを,46時中世界中に公開しているのもおかしな話である。
そこで,これらのページについては,パスワードをかけて排他的にアクセス制限をすることにした。その方が,教師も生徒も,妙にかしこまったりせずに普段着でのびのびと学習活動に取り組めるだろう。
私の場合は以下のような簡単な方法でそれを実現している。
以下のようなhtmlファイルをつくりindex.html名で保存する。そしてリンク先のURLで示されるフォルダ内にこのファイルを入れて置く。正しいパスワードが入力されたときに開きたいページは,index.htmlとは別の名前のhtmlファイルとして同じフォルダ内に置く。
HTMLプログラムはWeb掲載しません
パスワードは授業クラス毎にすべて変えてある。また,授業実施から約1ケ月以上経過したものもパスワードを変えて,古いページはアクセスできないようにしている。
なお,上の方法は,あくまでも擬似的なパスワードシステムであって,セキュリティはそれほど強くない。使われる方は注意していただきたい。
HTMLプログラムは例えば以下の文献を参考にしてください。
(株)シーズ:ホームページ作成Tips ポケットリファレンス,技術評論社,2000
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