…………頼むから、泣かないでくれないか。

その一言が、どうしても言えない。




最初は、他愛も無い会話だった。

しかし彼女の言う事に、適度な相槌を打っていたのがいけなかった…らしい。


「アンタ、あたしの話ちゃんと聞いてんの―――ッ!!?」


途端に、彼女は爆発した。




別に、彼女を蔑ろにしていた訳ではない。
話もちゃんと聞いていたつもりなのだが。

彼女には、そう見えなかったようだ。



お陰で、彼女は大爆発の後に泣き崩れてしまった。
私の部屋の、よりにもよって…ベッドの上で。



「ヴィンはどーせ、あたしの事なんてどうでもいいんだ…」

………そんなつもりは塵一つもないのだが。

「あたしが子供だから、とか思ってテキトーにあしらってんでしょ……ッ、……っく……」

………子供だと思っていたら、今この現状で葛藤してなどいない…。


「〜〜〜〜っ何とか言えよぉ…っ!!!」

ボロボロ涙を零しながら、ユフィは力無さげに私の胸元を拳で殴った。


……私には、こんな時何と言えば良いのか分からない。
慰め方など、知る由も無い。

それに、相手は『お前』なんだ。
余計な事を言って、あまり拗らせたくはない。

そう思うから、余計無口になってしまう。



…泣かないでくれないか。
お前に泣かれると、色々と困る。

そんな無防備に、私の前で泣き顔を晒さないでくれ。


―――理性が………利かなくなる……



「泣くな」の一言が言えぬまま、そっとユフィの髪に触れる。
理性を、保とうと葛藤するまま。


しかし、次の瞬間の。
彼女の顔が。

私が何も言わず触れた事に、驚いたように。
その漆黒の双眸に涙を溜めながら、私をみつめている。




彼女の額に唇を寄せる。
彼女に逃げる気配は、無かった。


私の理性など、もう関係無かった。

彼女の体勢が崩れてゆく。
私の身体が、彼女の身体と重なってゆく。





………だから、泣かないでくれと言ったんだ。




END


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いやいやいや、アナタ一言も喋ってませんからッ!!!!!!(爆)
「泣かないでくれ」なんて一言もッッ!!!!!(死)


………ヘタムツヴィンセント、遂に登場です(笑)
本当に一言も喋らんと、ユフィに手を出しおった………。
ヘタムツめ!!!!(お前だ)