さ・ん・ぷ・る

 ──静かな住宅街を早足で歩いた。前方からやってきた乗用車がつばさの横を通り過ぎていく。通り過ぎる際、そのタイヤがアスファルトの道路に散らばっていた小石の一つを、つばさの足元へと転がした。転がってきたそれを、タイミングよく足先でポーンと軽く蹴り上げる。小さな弧を描いたそれは、数回バウンドして排水溝の中へと消えた。
 つばさは自宅へと向かわずに、とあるアパートへと向かって歩を進めていた。もう、今となっては目を瞑っても辿り着けるくらいの慣れ親しんだルートだ。

「や、あぁっ……」
 袋の辺りに、ぬめっとした感触を感じたかと思うと、続いて竿に沿って硬い棒のようなものが駆け上がってきた。
「ひゃあっ」
「つばさのちんちん、すごく硬いな」
「や、やあ……」
 ペニスとペニスをこすり合わせただけなのに、全身がびりびりするような感覚がつばさを襲った。さらに、一番敏感な裏スジを中心に、弘明のペニスでぐりぐりと押し付けられる。ペニスが溶けてしまいそうなほどの気持ちよさに、つばさは打ち震えた。

「う、あっ……」
 ズボンの中ですっかり硬くなったペニスを、竿に沿って何度も上下になぞられる。腰が砕けるような快感がそこから流れ込んできた。肉付きのよい右手から繰り出される力の入った荒々しい按摩は、弘明との経験では体験することのなかった刺激だった。
「さーて、じゃあ、鶴見のちんこ、拝ませてもらうか」
 つばさの股間をいじっていたその手が、ゆるやかにバックルへと伸びた。両隣から、好奇心と弱者をいたぶる優越感とが一緒くたになった視線が、つばさの股間へと注がれる。生身のペニスが現れるその瞬間を見ようと。