さ・ん・ぷ・る

「……どうかしたのか?」
 円堂は立向居の隣に腰を下ろした。といっても、切り株はそれほど大きくないので、やや斜めに背を向ける格好になった。
「え?」
「いや、元気がないからさ」
「いえ……特に何かがあったわけじゃないんですけど……」
 チラリと立向居を見ると、打ちひしがれたようにうなだれている。
「……笑わないでくれますか?」
「もちろん、笑わないよ」
 円堂は、口元をギュッと真一文字に結ぶと、一つ大きく頷いた。
「その……俺って、全然ダメだなあって、ひどく落ち込むことがあるんです。大した選手じゃないし、チームの役に立ってないし、いてもいなくても同じだなあって。どうしようもなくふさぎ込んじゃう時があるんです。もちろん、そんなのは甘えでしかないし、そんな風に考えちゃダメだって、頑張らなきゃって思うんですけど、なかなかうまくいかなくて……」
 小さく肩で息をついて、立向居は自嘲気味に笑った。
「立向居……」
 円堂は素直に驚いた。円堂は、立向居が有能な選手であることを知っているし、チームの役に立っていないなんて思ったこともないし、大切なチームの一員であることを強く思っている。だから、本人がそんな風に考えていることはある意味衝撃だった。
「俺は、そんな風に立向居のこと思ってないぞ?」
 円堂は隣の立向居を諭すように語りかける。立向居が振り向いて、哀しげに小さく頷いた。
「ありがとうございます」
「俺は、立向居がすっげー頑張るヤツだって知ってるし、すっげー選手だって知ってるし、その……とにかくすっげーすっげーヤツなんだって、俺はわかってるつもりだけどな」
「円堂さん……」
 勇気づけようとするその言葉に少し元気が出たのか、わずかだけ立向居の表情も明るくなった。

 *   *   *    *   *   *   *   *   *   *   *

 何か、すっげーエロいぞ?
 その存在に圧倒される。鼓動が少し早くなったのを感じながら、円堂は膨らみに再度手を伸ばした。浮き上がった竿を握ると、スパッツ越しにもその硬さと重さが感じられた。軽くさすってみると、
「ん、んっ……」
 立向居が身体をよじる。
「気持ちいいか?」
「あ、はい……」
 しばらくの間、スパッツ越しにその感触を楽しむ円堂だったが、すぐにじれったくなってスパッツを脱がそうと腰に手をかけた。
「脱がすぞ」
「!」
 びっくりしたように顔を上げる立向居だったが、抵抗はせず、腰を浮かして円堂の導きに従った。
 ブルンと揺れてあらわになった立向居のペニスは、ぴったりと下腹に張り付いて硬直している。華奢な身体とは裏腹に筋肉質な印象を受けた。
「や、やっぱ、でかいな……」
 直に触るとずっしりと重く、そして硬い。若干の熱っぽさも感じられた。上下にしごくと、亀頭を覆う包皮がめくれたり、かぶったり。
「はは、なんかおもしれー」
「え、円堂さん!」
 立向居が顔を真っ赤にして抗議する。それをたしなめるように、
「なっ、気持ちいいか?」
「え? あ、はい……」
 主に先端部を凝視しながら、立向居の剛直を一定のリズムでしごいていく。力を入れすぎず、かといって緩すぎず、絶妙な力加減でしごいていった。振動でゆらゆらと陰嚢が揺れる。
 うーん……やっぱ俺より一回り大きいよな……
 半ば感心しながら、円堂は立向居のペニスから目が離せなかった。自身とは全く異なる形状に感動すら覚える。亀頭の大きさも、竿の長さも、血管の浮き具合も、ごつごつとした感触も、全てが異なっていた。このちんこから、どんな風に精液が飛び出すんだろうという好奇心が、円堂の頭の中をいっぱいに満たしていく。
 ふと立向居を見ると、顔を横に向けて目を瞑り、必死に歯を食いしばっていた。両手もギュッと強く握って微動だにしない。
「立向居、イキそうなのか?」
「あ、いえ、大丈夫です」
 気丈な様子で答える立向居。
「?」
 別に我慢する必要なんてないのにな……俺だったらすぐに出しちゃうけど……
 と、そこまで思って、円堂の頭の中に一つの案が浮かんだ。