『Guilty〜消えることのない罪〜』

 放課後の静まり返った教室に直哉はいた。
 もう、何度目になるだろう・・・
 直哉はぼんやりとそんなことを考えながら、今のこの状況を拒むように、幼い身体を固くしてじっとしていた。
「どうした? ほら、力を抜いて・・・」
 そう言って、背後からTシャツ越しに道原の指が直哉の胸をまさぐる。
「や、やだ・・・先生・・・」
 柔らかな突起を何度もやさしくなぞると、次第にその部分が勃ちはじめ、微かな熱を帯びてくる。その敏感な反応を楽しみながら、道原はそのかわいらしい乳首を軽くつねり、こねるように愛撫した。直哉の身体が小刻みに揺れ、熱のこもった息が荒く吐き出される。
「はあ・・・ん・・・あっ・・・」
「直哉くんは本当にエッチなんだね」
 そう言うと、道原は直哉のTシャツを一気に剥ぎ取った。思わず抱きしめたくなるような華奢な背中が目の前に露わになる。
「やっ・・・」
 道原は前に回ると、固くなった突起を舌先でころがし丹念に舐め回した。冷たい痺れたような感覚が直哉の身体を震わせ、やがてそれは快感に変わってゆく。
「ふあっ・・・あっ・・・は・・・あ・・・」
 愛撫を続けながら、道原の指が直哉のお腹を静かになぞってゆく。その手が、直哉の一番敏感な部分に半ズボン越しに触れた。
「あんっ・・・」
「・・・イケナイ子だなあ、こんなにしちゃって・・・」
 直弥のペニスは既に固く勃起していた。直哉の顔が一気に赤くなる。道原は慣れた手つきで直哉の半ズボンを下ろすと、くっきりとその形を浮かび上がらせている部分を、ブリーフ越しにやんわりと攻め立てた。
「い・・・は・・・んあっ・・・はあっ・・・あ・・・」
 直哉の喘ぎ声が教室中を妖艶にこだまする。道原はそんな直哉の乱れぶりを楽しみながら、直哉のブリーフを静かに下ろした。プルンとしなった直哉のペニスは、赤く色づき艶やかに潤んでいる。
「こんなにトロトロにして・・・本当にイヤラシイ子だなあ・・・」
「やあっ・・・んはあ・・・」
 道原の細い指が、直哉のペニスの先端を刺激し、時にはゆっくりとしごき立てる。
「はあっ・・・ああっ・・・だ・・・だめ・・・もう・・・」
 すっかり快感のるつぼにはまった直哉を横目に、道原はその指をスッと下にずらし、直哉が感じるもう一つの部分に指を挿入した。直哉の身体がビクンと跳ね上がる。
「やあっ・・・!」
「直哉くんはここも感じるんだよね」
「だ、だめ・・・そこは・・・あっ・・・」
 痛みはすぐに溶けるような快感に変わり、直哉の全身を駆け抜けて行く。道原は速いピッチで指を上下に動かし、さらにかき混ぜるように直哉の中をこね回した。
「ひあっ・・・あう・・・せ、せん・・・せい・・・はあっ・・・あん・・・」
「もう、いいかな・・・」
 そう言って、道原は直哉のアナルから指を引き抜くと、直哉を机の上に寝かせた。直哉の目は潤み、口からは一筋の涎を垂らしている。直哉の淫乱さに微かに微笑むと、道原はひくひくと物欲しげに蠢いている直哉のアナルに自らの剛直を持っていき、一気に貫いた。
「ふああっ・・・!」
 直哉の身体が弓のように反り返り激しく痙攣する。そんな直哉を道原は優しく抱き寄せた。自然と直哉の両手が道原の肩にからまる。
「動くよ・・・」
「あっ・・・」
 ゆっくりと突き上げられ、沈み、さらにもう一度・・・ グチュ グチュと二人がこすれあういやらしい音が辺りをかき乱し、直哉の熱い疼きをさらに掻き立てる。
「んはっ・・・あっ・・・はっ・・・んあっ・・・」
 制御の利かなくなった直哉の身体は、絶頂を求めて激しく揺れ動く。直哉はその幼い腰を、道原の動きにあわせて懸命に振り動かした。
「あ・・・は・・・せん・・・せい・・・だ・・・もう・・・出ちゃう・・・んは・・・ああっ・・・ああっ・・・!」
 道原が果てるのと同時に、直哉も硬直したペニスからピュッ ピュッと白い塊を勢いよく吐き出した。白い稲妻が脳を駆け巡り、直哉の身体は宙を舞った━━

「・・・大丈夫か?」
 ・・・・・・?
 ぼんやりした目を向けると、目の前に普段通りの先生の顔があった。生徒に人気があり、保護者からも慕われている先生が・・・
「気をつけて帰れよ」
 教室を出ようとしてさらにもう一言。
「誰にも言うんじゃないぞ」
 ・・・道原が教室を出て行き、直哉は一人になった。今までの興奮が冷めてくると、決まって途方もない罪悪感が直哉に襲い掛かってくる。両目が熱く潤んでくるのを直哉は懸命に耐えた。
 わかっていたはずだろ? こうなることは・・・
 思えばあの時・・・
『カンニングすることがどれだけ悪いことか、わかってやったんだろうな』
『いえ・・・その・・・』
『人として最低だな』
『すいません・・・』
『こういうことがあっては、君の両親にも話をしないといけないわけだが・・・』
『え・・・』
『・・・だが、先生も鬼じゃない。君の対応によっては考えなくもないよ』
『対応・・・ですか?』
『ああ・・・』
 ・・・あの時、つっぱねていれば何かが変わったのだろうか・・・?
 直哉は床に落ちているTシャツを拾い上げると、悲しげに袖を通した。机の乱れを直しそっと教室を後にする。
<誰にも言うんじゃないぞ>
 道原の言葉が直哉の頭の中をリフレインする。
 なすがままの快楽に身を委ねてしまう僕。
 いけないと知りつつ、またここに来てしまうであろう僕。

 それは、決して消えることのない罪━━